[解散]The Satellite Year - ドイツからの良質エレクトロ・エモロック[休止] | (旧)喜怒音楽 -きど"おと"らく-

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2020年に引っ越しをしました。引っ越し先は最新記事からどうぞ。

安室ちゃんのベストが200万枚突破したそうで。


"引退"の尾ひれがついたとは言え、


今の日本の音楽界で200万はさすがにすごい。


ただ、これが引退作ではなく、通常のアルバムだったとしたら


果たして200万の内の何割が買うんでしょうかね。


先日の「イッテQ」スペシャルでも、イモトが言ってましたね。


自分が安室ちゃんの最後のコンサートに何が何でも行くんだ!


って言ったときに、スタッフが「俺も行こっかな」って軽く言った時


そういう人もいるから本当に行きたい人が行けなくなるんだって!そりゃたくさんの人に見て欲しいし、(チケットの)確率は平等だけど…


ってことも言ってましたしね。


テレビ見ながら、イモトの言うことにとても共感してました。


どうも、トトです。

 

 

 

 

昨年(先月)リリースされた新譜のレビューは済みましたが


この記事も書くことを決めていました。

 

昨年最後のまとめ記事に、休止や解散で

年間で20以上、月に2つ以上
活動を終えてしまうバンドがいる

ってことを書きましたが、今回のバンドも

2017年12月に活動を止めてしまったバンドです。


Facebookでは2017/5/20から投稿はなく

11/3に動画投稿、

12/1に活動が終わるという旨の投稿をしていました。

その投稿も見ましたが、解散か、休止かってのが

イマイチはっきりと読み取れませんでした。

 

タイトルに解散休止を両方入れたのはそのせいです。

 

しかし、バンドは過去音源をDropboxを用いて、

無償でDL可能にしている時点で、

解散だろうし、無期限休止なんでしょう。

 

 

 

 

 

The Satellite Year

ドイツからの良質エレクトロ・エモロック
(2008 - 2017)

 

 

 

 

 


シンセを使用したエレクトロ要素のある

エモーショナルロックバンドThe Satellite Year

活動開始から終了まで、

EPを1枚、フルアルバムを2枚、他シングル数枚をリリース。

その内、2015年にリリースされた2ndアルバムは

GO WITH MEから国内盤がリリースされました。

その際、タワレコに展開されたパネルには

Taking Back Sunday のように疾走し
Jimmy Eat World のように穏やかで
The Get Up Kids のような優しさがある。


という『"エモ"といえば』なバンドを引き合いに出し

このような言葉が添えられていました。

そして、あるレビューブログには一言、

「'90年代~'00年代のエモを'10年以降へと語り継ぐバンド」

この言葉通り、タワレコの言葉通り、

ここに挙げられたバンドが好きな人には

大いに薦められるバンドなのは確かです。







This Is Voltaire (2008)
01. ...And She Aint Listening
02. Give Up God
03. They Might Call Me Tarantino
04. The Mannequin Sleeps Tonight (The Apollo Outcome)
05. Keep Hands In Plain View
06. Set A Light.com


バンドの活動と共に、同年にリリースされたEP。
初音源だからか全体的にエモーショナルながらも、
比較的アッパーなロックサウンドな強い印象です。
1曲目と3曲目は、僅かながら女性コーラスも入っており
そういった要素も曲の良さを引き立てています。
4曲目で約2分の短いインストを挟み、
曲のラストは少し歌唱を入れ、次の5曲目へ繋ぎます。
デビューEPとはいえ、
既にバンドの根幹は出来上がっており、
多くのエモーショナルロック好きにアピールできる
クオリティに仕上がっていると思います。
聴きやすいポップでキャッチーなメロディに、
哀愁漂う絶妙なエモーショナルさ、
主張せず、上手く溶け込む打ち込みサウンド。
潜在能力の高さが伺えますね。
個人的には2曲目の"Give Up God" がお気に入り。






Mission: Polarlights (2011)
01. ...And We Will Dance To Your Heartbeat
02. Because This Ain't Vegas
03. Girls Go Movie
04. Scene Scene Scenery (We Are So Far From Perfect)
05. Citizens. Districts. Telescopes
06. Jelly Jelly, How To Survive Such A Trip
07. Il Y A Que La Verite Qui Blesse
08. You Are Fiction / I Am Actor
09. Yeah, The Ocean
10. Give Up, God
11. A Campus: A Heart: A Star
12. C Is For Competition (We May Collide)
13. Actio Equals Reactio


2011年にリリースされた1sTフルアルバム。
ピコピコ感強めの1曲目30秒弱をイントロに
そのまま2曲目"Because This Ain't Vegas"
EPのクオリティからすると、こういった
ポップなエレクトロ感は意外でした。
曲調が少しPOP PUNK感もあって、
ちょっとEleventy Seven とか思い起こさせますね。
それも最初だけで、バンドの持つ本来の
"バンド感"は今作も健在です。
しかしやはり全体的にポップさ、キャッチーさが
EPの時よりも大幅に上回っているように感じます。
6曲目の"Jelly Jelly, How To Survive Such A Trip"
バンド初のMVとなり、そんなエモーショナルながら
ポップさも併せ持つリードトラックに。
7曲目"Il Y A Que La Verite Qui Blesse" で、
非常に美麗なピアノの旋律を1分弱入れ、
そこから先は後半戦。
10曲目には、リマスター化され、完成した
EPの"Give Up, God" も収録されています。
やはりカッコイイっすね、この曲。
13曲目には、バンド2つめのMV曲となった
"A Campus: A Heart: A Star" が。
美しいメロディに、美しいサウンド、
MVもライトアップした美しい街並みをバックにした
美メロとセンス溢れるエモーショナルソングに。
後半の方がエモーショナルさは強い感じがします。






Brooklyn, I AM (2015)
01. That This Was Wrong
02. Early In December
03. Brooklyn, I Am
04. Tarantino: Part II
05. Hurricane / Welcome Home
06. No Clubs For This Town
07. Fireworks
08. In Vitro
09. A Satire Of What Went Wrong With The American Life
10. This Is A Call
11. Universe
12. Not A Relief, Not A Resort
13. She Ain't Listening *
14. They Might Call Me Tarantino *

* 国内盤ボーナストラック

そしてGO WITH MEから国内盤がリリースされた
2ndアルバムがこちら。
MV化されている"Tarantino: Part II"
EPの"They Might Call Me Tarantino" のパート2
ってことですかね。ボートラにも入ってますしね。
そんな続編を彷彿とさせるのは曲調も然り。
勢いのあるロックサウンドに、絶妙な打ち込み、
MVにするのも納得なリード曲でしょう。
そしてボートラのもう一方も、EPからの
"She Ain't Listening" この2曲は嬉しい選択。

もうひとつリンクを貼った
5曲目の"Hurricane / Welcome Home"
イントロはハリケーンのような激しさと、
本編はホームのようなエモーショナルさを。

しかし、2枚目となる今作も、EPよりも
1stからの音楽性をそのまま2ndに落とし込んだ感じ。
1曲目の"That This Was Wrong" から、
そのエモポップさは健在でした。
しかし2曲目"Early In December" には
Kids In Glass Houses のようなエモロック感もあり
タイトルトラックの3曲目"Brooklyn, I Am"
7曲目の"Fireworks"
9曲目"A Satire Of What Went Wrong With The American Life" も、
持ち前のエモーショナルさを存分に発揮した、
心地良いエモロックを展開しています。

6曲目の"No Clubs For This Town" は、
今作唯一の2分台で終わる曲で、
短尺ならではの勢いある今作イチの攻め曲。

今作ではかなり鳴りを潜めているエレクトロ感も
8曲目の"In Vitro" では、かなり色濃く出てます。
ミドルテンポなエレクトロエモロック。
12曲目の"Not A Relief, Not A Resort"
エレクトロ要素を強く打ち出した軽快なエモロックです。

10曲目の"This Is A Call" では、美メロ、
美ボーカルを押し出した聴かせるロックナンバー。

11曲目にはアルバムリリース前、2013年に
シングルとしてリリースされた"Universe"
さすがシングル化されただけのクオリティです。
やはり時期的には1stの次にリリースされただけあって
ポップさの強いエモポップロックですね。


 

 



アルバムリリース後、Jay-Z
"Empire State Of Mind" カバーをリリース。

ドイツのバンドが、歌詞でニューヨークニューヨーク言ってて、
なんでやねんって思ったらJay-Z のカバーだったのね、と笑

しかし、これがTSYの中でも
疾走度、攻め感も高いサウンドで、
個人的にもかなり好きです。
本家はHip-Hop界の大御所だし、カバーとはいえ
当然のことながら原曲感は薄いけど、
そもそも原曲はfeat. Alicia Keys だし、
彼女が歌うサビのニューヨーク連呼は良きカバー部分かなと。
ちなみに原曲はコチラ






そしてバンドが止まる旨をFBに投稿する前に
2009年にリリースしたシングル、
"Could You Try To Speak In A Higher Register"
Farewell Edition として、2017年11月30日に
自身のYouTubeアカウントにUPしています。
そもそものリリースがEP後の曲なので、
EPの頃の勢いが感じられるロック色強いもので、
バンドの色でもあったエレクトロ要素もあります。
これが正真正銘、バンド最後の音源になりました。







という、The Satellite Year でした。

ドイツ故か、知名度故か、

2ndはGO WITH MEからリリースされましたが、

音楽性的なものを考えたら

KICK ROCKから出ててもおかしくない音楽性です。

それほどに、エモーショナルロックとしての完成度は

非常に高いと思います。


一昨年あたりから、過去にGO WITH MEから

国内盤がリリースされた世界各国のバンドが

RNR TOURSによって来日することが増えてます。

こういった状況になった時に、

肝心のGO WITH MEは、リリースが頻発してた

以前ほど動きが見られなくなっているのはとても残念だし、

時期が時期なら、タイミングが合えば、

The Satellite Year もRNRで来日する可能性があったかもしれない。

 

 

国内盤リリースの際にこそ、取り上げた激ロックとかも


バンドの活動が止まったことを記事にしないあたり、


それ以降のバンドの活動なんて追ってもいなかったんでしょう。


所詮は国内盤をリリースするからのみでしか動いていない


ただの"仕事"なだけだったってことでしょう。

 

そんな"仕事"としてしか取り上げられない海外バンドなんて


日本には星の数ほどあるでしょうし、あったでしょうしね。

 

 




エモーショナルが好きとは言っても、

TBS、JEW、TGUK好きな人たちのどれほどが

TSYを知り、国内盤の存在を知っていたのか?

国内盤をどれだけの日本人が買ったのか?

来日云々ももちろんだけど、国内盤のリリースもそう、

バンドが続く続かないも、そういったところですよね。

当然すべてをチェックするのは難しいとはいえ

"国内盤"がリリースされる意味ですよね。

それを知らなきゃ意味がないとはいえ

2ndリリース時期に、

自分が今くらいレビュー記事を書いていて、

 

当時、このアルバムを買った時にレビュー記事を書いていたら、

少しでも多く、一人でも多く、

バンドを聴く人、興味を持つ人がいたかもしれない…

 

って思うと、個人的にも少し申し訳なさが芽生えます。




ヨーロッパでも、UK以外の国では

割とメタルなイメージが強い国もあるでしょう。

TSYの出国であるドイツも

世界的な大型メタルフェスWacken のおかげで

そういったイメージも強いかと思います。

でも、ドイツだろうが、スウェーデンだろうが、

デンマークだろうが、フランスだろうが、

そんなメタル御用達国だって、

当然の如く、メタルバンドばかりではなく、

良いバンドは人知れずいることもまた間違いないでしょう。

国でも、ジャンルでも、

先行したイメージに囚われるのは勿体ない。

まずは探して、聴いてみること。
自分で判断するのはその後でいい。

そうすることで、The Satellite Year のような

エモ好きな人たちにヒットするかもしれない

バンドに出会うかもしれませんしね。



エモーショナル好きな人には

本当にオススメできるThe Satellite Year

バンドとしての活動は終わってしまいましたが

是非、聴いてみてください。





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