還暦建築士の日記:リフォーム百科事典 -26ページ目

還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

 建築士は3年に一度定められた講習を受けて試験に合格しなければなりません。
 

5時間の講義と1時間のマークシート試験。
9時半から始まって終わったのは18時近くでした。

内容は法律の改正が中心にして、昨今の建築を取り巻く環境変化などの講義もあります。

建築基準法、建築士法、建築業法、省エネ法、品質確保促進法、バリアフリー法、住生活基本法、耐震化促進法、消防法、景観法などの法律から
アスベストの問題や京都議定書やパリ協定といった地球環境問題まで、 
内容盛りだくさんで、これら全部を5時間の講義で行うのですから、駆け足ですね。

しかも、参加者は、1級建築士、2級建築士、木造建築士が合同ですから、
大規模なビルや公共施設の設計から、木造戸建て住宅まですべての建築が講義対象になり、参加者の中にはまったくの専門外の講義を聞くひともいます。

試験問題は○×式の40問で、木造建築士は30問まで、2級は35問まで、1級は全部の40問という試験方法です。

講義で使ったテキストは試験持ちこみOKです。
講義の時に先生が『ここにアンダーライン!』と出題しそうなところを教えてくれます。受講者はページに付箋をつけてアンダーラインを引きますが、
今回のテキストは、なんと印刷でマーカーが引かれてました。

なんと親切!!

 

試験は、テキストがあるので何とかなりそうですが、全部の設問を調べていると時間がなくなるので、それなりに理解していないと難しいですね。

でも、基本的にテキストのアンダーライン付近からの出題なので要領よくやれば答えられます。

 

3年に一回の講習ですが、やはり出てみると忘れかけていたことを思い出したり、知らなかった法改正があったりして勉強になりました。

 

 

 




 

 

 今日は千葉県の佐倉市に、耐震補強のコンサルティング(現場指導)のために来ています。

 

3業者に耐震診断と補強プラン作成&工事見積もりを作成してもらったのですが

3社とも診断結果が違うし、提案された補強箇所も違うし、予算もまちまちとあって

何を信頼して良いのかわからなくなってしまったお客様からの依頼でした。

 

3社の診断書を見せてもらいましたが、構造的に一体になっていない増築部分を含めた計算であったり、

そもそも図面が違っていたり、

築年数から言って普通で考えたら筋交いが皆無なわけないのに、入ってない前提での診断書であったり、

これじゃ、みんなバラバラになってしまうのは当たり前です。

 

あらためて診断と補強計画を作成して、地元の業者さんに施工してもらうことになり

今回は、既存壁が解体し終わったところでの補強の施工方法に関してのアドバイスのために来ました。

 

設計だけを行う建築設計事務所さんが陥りやすい問題は、机上の計画と現場は違うということです。

『事件は現場で起きている』とかの有名なセリフの映画がありましたが、まさしく。、補強工事は現場が命です。

机上の構造計画通りにはいきません。
新築なら問題ないですよ。でもリフォームですから壁を壊してみて初めて分かることも多いですし、金物の取り付けにしても大きな制約があるなかで最善の施工方法を指導していくわけです。

 

田口寛英

 

 

今日のテーマは『専門家の言葉の重さ』です。

 

一生の財産でもある家ですから、少しの異変でも気になりますね。

 

 基礎がひび割れている。

 クロスにクラックが入って破れた

 通りがかりの職人に屋根が○○と言われた

 


例えば、基礎にクラックが入っているケースで、可能性を考えるなら1~100の間でどの程度のリスクがあるのかと言う判断になります。

 

では、専門家から8割方大丈夫と言われて、皆さんはどうお考えになるでしょうか。

8割安全で良かったと思うか、2割危険が心配で夜も眠れない

 

実は、眠れない夜を過ごす方も多い気がします

 

私の場合、曖昧な言い方はせずに、大丈夫ですと言い切ることが多いですね。

なぜなら、安心して住んでもらうことが大事だからです。

 

もちろん、先ほどのケースですと2割のリスクはあります

そこに責任を取るのもプロの仕事だと思っています

 

ですから、『大丈夫 心配しないでください』の後に、『しばらくしたら、また点検に来ますね』とか『大丈夫だけど、何か変化があったりしたら教えてくださいね』と付け加えます。

 

事実を正確に言うことも大切です。
一方で、専門家の何気ない一言が大きな不安を生むことも知っています。

 

お客様の家・人生を託されている者の責任として、大丈夫ですと言い切る安心と、この後何があっても絶対に家を守るという覚悟が建築家としての矜持です。

田口寛英

 

 

 少し前の話ですが、中古住宅を購入検討中のお客様と現地を見に行きました。

 

少し調べたらすぐに『つくりが雑だな』とわかりました。

根拠は特になく、感じるのです。

 

いろいろ調べた結果の私のコメントはこうでした。

『この家から、建てた職人の愛も志も感じない。』

 

お客様は、購入見合わせを即決しました。


作った人の魂が宿ると言ったら大げさかもしれません。

でも、職人魂を持って精魂込めて作った家と、そうでない家が醸し出すオーラは確実に違います。

 

絶対に前者の家に住む方が幸せです。

 

 

 

 購入予定の中古住宅について、何が知りたいのでしょうか?

 

インスペクションの報告書が欲しいわけではないですよね。

 

*この中古住宅を購入していいのか?

*致命的な欠陥や劣化はあるのか?

*雨のシミや床の傾きの原因は何か?

*入居時の劣化(老朽部)補修にいくらかかるのか?

*購入後、5年後10年後のメンテナンス計画と予算は?

 

こういったことではないでしょうか。

 

これらの質問に、インスペクションは答えてくれません。

 

 購入予定の中古住宅の調査を依頼されたときの経験をお話します。


お客様の関心は『この家を購入すべきかどうか』でしたので、私は『調査の途中で、重大な劣化や問題が発見出来たら調査を打ち切りましょう』と初めにお話ししました。

 なぜなら、最後まで調べて報告書を作成すると費用が掛かりますから、ダメな物件は早々に見切りをつけたほうが良いですよね。購入しない住宅のインスペクション報告書なんて必要ないですし。

 

 私がインスペクションを依頼されたときは、お客様の会話を重視します。 家の状況を説明するのはもちろんですが、お客様がこの家とどう付き合っていくのかとか、20年30年後の人生の最後までの希望をうかがいながら、お客様の人生にとってこの家が相応しいかどうかまでを考えてアドバイスします。

 

 人生と住まいの最適解を導き出すのが、仕事だと思っています。

 

 

田口寛英