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還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

停電した経験

昭和30年代生まれですから、停電や雨漏りは当たり前でした。

部屋の中に洗面器が置いてあって、ポタポタと雨音がしていました。

今はほとんど停電しません。時々あってもすぐに回復します。ありがたい世の中だと感じます。

 

最近の感覚だと、雨漏りすると家が腐る。材木が腐ると思ってしまう人が多いのですが、昔の家を考えるなら雨漏りしても案外大丈夫? かもと思ってしまいます。

 

実際にはどうなのか? 建築士の立場からいうと、木が腐る=腐朽禁が活発に活動するためには常時湿潤状態が必要ですから、時々雨漏りする程度では木は腐りません。

 

建物にとって危険なのは、屋根から天井への雨漏りよりも、窓周辺などからの壁内への水です。

なぜかというと、壁内は乾きにくいからです。

 

すぐに乾くなら、濡れても大丈夫。覚えておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

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リフォーム業を始める際に必要な資格や許可について

 

リフォーム業を開業する際に必要な資格や許可について、分かりやすくお話しします。

 

まず一般的に知られているのが「建設業の許可」と「建築士事務所の登録」です。

建設業の許可を取得するには、一定の条件を満たす必要があります。例えば、工事の実績や経理の実績などが求められ、それらを審査したうえで許可が下りる仕組みです。

一方で建築士事務所の場合は、建築士が在籍していれば、必要書類を提出することで登録が可能です。これは審査ではなく、登録という形になります。

 

さて、ここからが本題です。

リフォーム業を始めるにあたって、具体的にどのような資格が必要なのでしょうか?

 

結論から言うと、小規模な工事であれば「建設業の許可」も「建築士事務所の登録」も必要ありません。

では、「小規模な工事」とはどのような工事を指すのでしょうか?

実は、建築一式工事で1,500万円以下の工事がこれに該当します。1,500万円以下と聞くと、小規模とは言えない金額に感じますね。これには驚かれる方も多いかと思います。

 

つまり、リフォーム業は誰でも開業できてしまうのです。

 

リフォーム業の実際の仕事の進め方

 

リフォーム開業で重要なのは建築の知識や経験ではなく「営業活動」です。お客様から注文を取ることができれば、工事自体は専門業者に任せるという形が取れます。例えば、知り合いの工務店や大工さん、水道業者、電気業者などに協力してもらえば、工事を進めることが可能です。素人のリフォーム営業が存在する所以です。

 

建築に関する知識がなくても、お客様の要望をヒアリングし、それを信頼できる専門業者に相談することで対応できます。また、職人さんに見積もりを依頼し、それをまとめて見積書を作成するという方法もあります。このように、リフォーム業は比較的参入のハードルが低いと言えます。

 

リフォーム業界の現状と注意点

 

参入のハードルが低い分、リフォーム業界にはさまざまな背景を持つ業者が存在します。長年の経験と知識を積み上げてきた業者もいれば、比較的簡単にリフォーム業を始める人もいます。このように業者の質にばらつきがあるため、信頼できる業者を見極めるのは難しい場合があります。

 

大切なのは、「リフォーム業にはさまざまな人がいる」という事実を知っておくことです。リフォームを依頼する際は、業者の実績や信頼性をしっかりと確認することをお勧めします。

 

いかがでしょうか?リフォーム業を始める際のポイントや注意点についてご理解いただけましたら幸いです。

 

/ 田口寛英

 

YouTubeをやっていることで、視聴者さんから耐震診断のセカンドオピニオンを頼まれることが多くあります。

その中でびっくりするような事例があります。

評価点(評点)が0.1以下の診断書が出ていると言う相談です。

 

診断の結果で1.0の点数があると一応安全と言うことになっています。これは建築基準法の求める耐震性をクリアしていると言う点数が1.0です。

建築基準法は最低限の強度を求めている法律ですから、これで絶対安全て言う事はあり得ません。

なので、新築の時によく使われる性能評価と言う耐震性のレベルは 1.5になります。つまり、建築基準法の定めよりも1.5倍強い住宅がより安全ですと言うことです。

 

話を戻すと、評点が0.08とか0.04とかそのような耐震診断書が出ているけれども大丈夫だろうかと言う相談があるわけです。

基準法の10分の1以下の強度しかないわけです。先ほど言ったように、最低限の基準が建築基準法です。その最低限の基準の10分の1、20分の1の家が30年40年壊れずに建っているのも不思議です。

 そして、ほぼ間違いなく診断書と一緒に1.0にするための補強計画書が提出されるのですね。

今まで0.1の建物でも大丈夫だったのだから、無理矢理安全と言う1.0にする必要は無いのではないですかと考えるのも自然ですよね。

 

私も多くの耐震診断を行ってきましたが、どんなに低くても0.3くらいです。0.1を下回るような事例は私の経験ではありません。

 

診断書を作成した会社や診断した人間を見ると、1級建築士事務所であったり、行政から派遣されてきた建築士だったりしています。

疑うわけではありませんが、0.1を下回るように診断書を出すことに疑問を感じないのでしょうか。少なくともこの診断書を出したときに、住んでいる方々が、どのように感じるかを想像しているのかとても疑問です。

 

既存住宅の耐震性は非破壊と言って壊さないで調べますから、推測して建物の強さを判断していきます。なので、診断士によって評価が大きく違うことは確かです。真面目に診断をした結果、0.1を下回る場合には、なぜこのような点数が出たのかを住んでいる方に説明する責任があるはずです。

そうでなければ不安を煽るだけで終わってしまいます。

 

まず耐震診断で点数が低い場合、なぜ低いのかを診断士に問い出すことが大切です。場合によっては、違う人に診断書を再評価してもらうあるいは診断が適切に行われたかどうかを評価してもらう。そのようなこともしても良いと思います。

 

/ 田口寛英

『家 建て替え 何年』でグーグル検索すると、トップにこのような文章が出てきました。

 

 日本の住宅の平均寿命は約30年といわれていますが、実際のところ、木造は約30年、鉄骨造は約30〜60年持ちます。

 

 木造で30年と言うのは構造的な寿命ではなく、ライフスタイルの変化によって30年位で建て替える人が多いと言うオマケの説明がこの後に続いていますが、いくらなんでも30年はありえないだろうというのが正直な気持ちです。

 

 やっと住宅ローンが終わったら壊して建て替えるのでしょうか?

確かにその方が業界としては嬉しいですよね。でも地球環境と言うことを考えたら建てては壊し、建てては壊しがどれだけ環境負荷大きいか考えればわかることです。

 

 それに新築では、当然、将来の家族構成が変わるとか年齢とともに住まいに求めるものが変わるとかいったことを考えた上でプランを考えるのが当たり前です。

今しか考えないで、新築をプランニングする業者がそれだけ多いということなのでしょうか。

 

 昔の大工さんならこう言ったでしょう。

『俺が建てた家を30年や40年で壊されちゃ困るんだよ。』

職人さんは100年持ち家を建てようと言う気概で家を建てているのではないでしょうか。

 

 では、実際のところ何年持つかと言う質問に対しての答えは、お客様は何年この家を維持したいんですか?の質問に行き着きます。

つまりあと50年持たせたいのでしたら、50年持たせるような修繕をするのが、建築家の本来の仕事です。簡単に壊して立て替えましょうとか言うのは、私にとっては建築家とは言えない気がしています。

 

 もちろん昭和56年 1981年以前の建物は耐震性に劣っていますので何らかの補強工事が必要だったり、著しく老朽化していて、これはリフォームするよりも建て替えた方が良いと言う建物も存在します。

 

 でも、そろそろ建て替えたほうがいいですと言う業者さんの口車には乗らないほうがいいでですね。

 

 

/田口寛英

リフォーム業者を私は3つに分類しています。

①お客様の財布を見る業者

②お客様の住む家を見る業者

③お客様の人生を見る業者

 

①財布を見る業者を言い換えると、自社の収益や高単価工事を提案することを考えます。

 

②家を見る業者を言い換えると、建物が傷んでいるかどうかから考えてリフォーム工事を提案します。

 

③人生を見る業者を言い換えると、住む方の人生にとって必要かどうかと言う視点でリフォーム工事を提案します。

 

①は悪徳業者と言っていいですね。

②はどうでしょうか?  ②の考え方をする多くの方が建築の専門家です。家を見るだけなんですね。例えば耐震補強を考えたとき、何が何でも安全な家にしなければいけないと、平気で数百万円の高額補強工事を提案したりします。自分の専門性に凝り固まっている方々がその好例です。

 確かに②の人たちが言っている事は間違ってはいません。しかし、住む人にとってはそれが最善の方法ではない場合が多くあります。

 

こう言った人を、私は専門家バカと言う、ちょっと過激な言葉を使いますが、建築や工事の専門家である前に、住む人の人生観・価値観、生活の考え方、などを理解することがリフォーム業者にとって大切なことではないだろうかと思っています。

 

ですから、私にとって良い業者とは③の業者になります。

もちろん③の業者だって専門的な知識や経験は絶対に必要です。しかし、その知識や経験を振り回すことなく最優先するのは住む人の人生だと言う人が業者だと思っています。

 

/ 田口寛英