YouTubeをやっていることで、視聴者さんから耐震診断のセカンドオピニオンを頼まれることが多くあります。
その中でびっくりするような事例があります。
評価点(評点)が0.1以下の診断書が出ていると言う相談です。
診断の結果で1.0の点数があると一応安全と言うことになっています。これは建築基準法の求める耐震性をクリアしていると言う点数が1.0です。
建築基準法は最低限の強度を求めている法律ですから、これで絶対安全て言う事はあり得ません。
なので、新築の時によく使われる性能評価と言う耐震性のレベルは 1.5になります。つまり、建築基準法の定めよりも1.5倍強い住宅がより安全ですと言うことです。
話を戻すと、評点が0.08とか0.04とかそのような耐震診断書が出ているけれども大丈夫だろうかと言う相談があるわけです。
基準法の10分の1以下の強度しかないわけです。先ほど言ったように、最低限の基準が建築基準法です。その最低限の基準の10分の1、20分の1の家が30年40年壊れずに建っているのも不思議です。
そして、ほぼ間違いなく診断書と一緒に1.0にするための補強計画書が提出されるのですね。
今まで0.1の建物でも大丈夫だったのだから、無理矢理安全と言う1.0にする必要は無いのではないですかと考えるのも自然ですよね。
私も多くの耐震診断を行ってきましたが、どんなに低くても0.3くらいです。0.1を下回るような事例は私の経験ではありません。
診断書を作成した会社や診断した人間を見ると、1級建築士事務所であったり、行政から派遣されてきた建築士だったりしています。
疑うわけではありませんが、0.1を下回るように診断書を出すことに疑問を感じないのでしょうか。少なくともこの診断書を出したときに、住んでいる方々が、どのように感じるかを想像しているのかとても疑問です。
既存住宅の耐震性は非破壊と言って壊さないで調べますから、推測して建物の強さを判断していきます。なので、診断士によって評価が大きく違うことは確かです。真面目に診断をした結果、0.1を下回る場合には、なぜこのような点数が出たのかを住んでいる方に説明する責任があるはずです。
そうでなければ不安を煽るだけで終わってしまいます。
まず耐震診断で点数が低い場合、なぜ低いのかを診断士に問い出すことが大切です。場合によっては、違う人に診断書を再評価してもらうあるいは診断が適切に行われたかどうかを評価してもらう。そのようなこともしても良いと思います。
/ 田口寛英