大人は社会との接点があるゲームを好む
大人が好むゲームとは、一体何なのでしょうか?
業界関係者や開発者の多くは、ストーリー性や戦略性が高く複雑であったり、あるいは忙しい時間の隙間を埋める軽薄短小かつシンプルなものである、と2極の考えを持っています。しかし、実際はこれほど短絡的ではありません。
忙しくても面白いと感じたゲームは、睡眠時間を削ってでもやるし、シンプルであっても面白さを見出せないゲームは、店頭で手に取られることすらありません。
大人が好むゲームの多くに共通しているのは、社会との接点が多いということです。
たとえば、このゲームをプレイすると、現実に役立つ知識が身につく。または彼女や子供がプレイしているから、自分もプレイするとコミュニケーションの幅が広がる。などなど。脳トレやどうぶつの森がヒットしているのは、単にテレビCMをたくさんやっているから、であったり、有名人が使っていたというだけで飛びついているワケではないのです。
また、自分の今までの社会経験が生かせる(または試せる)ようなゲームにも興味を示します。逆に言えば、これまでの経験しなかったような概念が多いゲームに興味を示しません。社会経験がない学生がゲーム性のみで好みを選り分けるのに対して、大人は一筋縄ではいかない理由がそこにあります。
学生やゲーマーの場合の優先度は
ゲーム性>ストーリー性>社会性
ノンゲーマーの大人の場合は
社会性>ゲーム性>ストーリー性
とすれば分かりやすいでしょうか。これまで業界では、社会性についての考慮は、せいぜい話題性にかかわる「認知度」程度で終わっていました。CMをバンバン打てば売れる、有名タレントを起用すれば売れるetc。しかし、脳トレやどうぶつの森はコミュニケーションや知識、経験といった総合的な社会性を第一に考慮しています。認知や話題性に加えて、知識や経験、コミュニケーションといった要素をバランスよく織り交ぜてこそ、大人に受けるゲームに育つのではないでしょうか。
脳トレと同じゲーム性のものを発売したのに、売れないと悩むサードパーティーは、出発点がまず違います。第一にまねをするべき部分は社会性に対する考えかた。その意識の違いが、今の脳トレ系ゲーム地獄を生んでいるのだと思います。
それでも水平分業モデルを取る任天堂
ゲーム業界においても、アウトソースが重要視されていますが、これには大きな意味があります。昨日のエントリ でゲームにおける付加価値の話をしましたが、生産効率の向上は、(企業からみた)付加価値を上げることにつながります。
薄利多売のゲームビジネスにおいて、いかに開発コストを安く抑えるかは、長期的にビジネスを展開する上でとても重要な話なのです。
アイデアでものを売る。口で言うのは簡単ですが、斬新なアイデアを生み、それに商業的価値を加えるまでには、何度もトライアンドエラーを繰り返せるだけの多大な研究開期間と、製品の方向性を決めるための緻密な市場調査期間(マーケティング)が必要です。仮に開発における人件費を抑えられたとしても、その分研究開発費とマーケティングコストが重くのしかかっているのが現状です。
よく、Wiiは、ハードウェアだけを見て「低コストだ」といわれていますが、すでにゲームハードビジネスを、ハードウェアだけみて切るようなフェーズではなくなってます。任天堂はWi-fiコネクションにかかわる基幹部分を外注してますし、ブラウザについてもオペラ社へ委託するなど、外注できる部分はり他社へ任せて、ハコを作っています。一見垂直統合モデルを取っているように見えますが、フタをあけてみるとそうではないのです。
たとえばアップルのiPod。自社開発のiTunesとのコンビネーション効果もあってか、あたかも自社で作り上げられたように見えますが、iPodのユーザーインターフェイスや基本ソフトはPortalplayer社によるものです。
新しく、小さな事業からはじめて、将来大きな事業へ転換する最には垂直統合→水平分業のほうがパフォーマンスに優れますが、ゲーム業界ほど肥大化した産業において水平分業から垂直統合へと方針を変えるには、大きなリスクを背負わねばならない上、生産効率が低下し付加価値が下がるという、どうしようもないデメリットが発生するため、経営者がそのような舵取りをするのはあり得ないのではないでしょうか。
PS3の付加価値は低い
付加価値(ふかかち)とは、ある「もの」が有している価値と、それを生み出す元となった「もの」の価値との差のことである。
とあります。企業からみた付加価値とは、製品に対する利益を意味します。ただ、ゲーム機の場合は特別で、ゲーム機単体での利益とは別に、自社で販売するソフトウェア分の利益、他社へのライセンス料なども考慮するため不透明です。
が、見方を変えればハードウェア単体で見て付加価値が高ければ、ソフトが売れるたびに付加価値を高めていくことができます。また、将来的にコストダウンすることで付加価値を高めることもできるでしょう。
しかし将来的なコストダウンや、ソフトの売り上げを見込んで、ハードウェア単体で付加価値の無い(あるいはマイナスとなる)製品は、長期的なプランを練らなければなりません。
言うまでもなく、Wiiは前者、PS3は後者の道を辿っています。
ではユーザーから見た場合どうでしょうか? ユーザーにとっての付加価値とは、購入額に対して得られる満足度という形でしか表現できませんから、非常にあいまいなものとなってしまいます。
しかし、これはゲームハード1台あたりの、ゲームソフトの売り上げ金額を算出することによって、ある程度は把握できます。
ビジネスを続けていく上で、企業が求める付加価値を高めていくことは当然ですが、ユーザーからみた付加価値とのバランスをとっていかなければ、長期的に製品を売ることは難しくなっていきます。
これはSCEがPS3のビジネスを続けていくには、PS3の付加価値を、Wii並に高めるためには、ユーザーに対してWiiの何倍も満足度の高い製品を売らなければならない、ということを意味します。Wiiよりも多くのラインナップを揃え、Wiiよりも面白くて多くの人に魅力あるソフトを作っていかなくてはならないというわけです。
みんなで投票チャンネルに隠された狙い
これから作る製品の方向性を決める重要なもの。
バブルが崩壊以後から現在まで、技術者のマスターベーション的な製品を作る時代は
ゆっくりと終焉を迎えた野ではないかと思います。
消費者は価値があるもの、ないものをさまざまな情報から選り分けて
手を伸ばす時代です。そんな今、どういった製品を作ればいいのでしょうか?
結婚しない団塊ジュニア、少子化、収入格差などの影響で
既存の年齢で区切るマーケティングの基礎概念が崩れはじめています。
初代プレイステーションを市場に投入する際、SCEは彼女がいないくて暇をもてあましている
20代前半の男性(当時団塊ジュニア)は人口も多く、その層をメインターゲットにしたという話は有名ですが
現在ではそれも通用しません。
任天堂はまず、ゲーマーとノンゲーマーに市場を分け
圧倒的マジョリティのノンゲーマーにどうやって製品を売っていくかを考えました。
ノンゲーマーがゲームを手に取らない理由は
ゲームに対するアレルギー的な拒否反応があると仮定し、
さらにそれを二つに分けました
「ゲームばかりしていると、バカになる」と思っている人
「ゲームばかりしているのは、不健康だ」と思っている人。
前者をターゲットにした製品としてニンテンドーDSを投入し、
後者にはWiiを投入して、一定の成功を収めているようにも見えますが
おそらく任天堂は、まだ通過点であると考えているはずです。
ゲーム業界で生き残るためのポイントは、ゲーム機ではなくコンテンツにあります。
それぞれのターゲットに対し、いかに飽きられず
コンテンツを投入し続けるか
先日開始されたみんなで投票チャンネルですが、
これはWiiを購入したユーザーの消費者像を知るための重要な手がかりだと言えます。
ユーザーが何に興味を示すのか、どういった生活を送っているかを知る手がかりとなるからです。
また、クラブニンテンドーでのアンケートも、ユーザーの声を知るために必要。
ニンテンドーDSではじめてゲームを手に取ったという層に
今どういったソフトを作れば売れるのかが分からないサードパーティへ
方向性を示すきっかけにもなるはずです(業界を盛り上げていくためには
開発ツールの充実だけでなく、こういったマーケットデータをサードパーティーに提供する
サービスも必要です。詳しくは以前のエントリ に書いています。)
ニンテンドーDSで、レイトン教授のような一風変わったサードパーティー製タイトルのヒット作が
産まれ始めてきたのは、こういったマーケットデータが活かされ始めたからだとも思えます。
ここまで来るのに、長い時間がかかりましたが、今年末以降は任天堂以外のヒット作も次々と
生まれると、私は予想しています。
方やWiiですが、こちらはみんなで投票チャンネルのデータが蓄積した後。
もうすこし時間がかかりそうですが、確実に波はやってきます。
売れているのはWiiスポーツだけで、突破口が見えないとささやかれているWiiですが
ここを乗り切れば先は明るいのではないでしょうか。
脳トレ系ゲーム地獄からの脱出
同年に発売されたニンテンドーDSソフト全体の約15パーセントを占めており、これまででは考えられなかった事態です。
きっかけとなったのは「大人のDS脳トレーニング」のヒットですが、これに続けとばかりに似たようなコンセプトのゲームが多発するのは、
バブル時代の膿が、まだゲーム業界に残っているのでは? と私は考えています。
従来にはないタイプのヒット作が出ると、他社はそれに続けとばかりに似たゲームを作るという現象。これは1980年代、ファミコンの時代からよくありました。
ファミスタのヒットが多数の野球ゲームを生み、ドラクエのヒットが多数のRPGを生んでいます。中にはFFシリーズなど、次の世代に残っていくことになるゲームも生まれましたが、多くは忘れられた存在になっています。
それでもバブル時代は、出せば売れる時代。模倣的なゲームでもそれなりに儲けたし、今のソフトメーカーの多くはその旨みを経験しています。
「脳トレはブームだから、この波に乗っかりたい」そう考えたい気持ちは分かりますが、実情はそれに続くゲームが「漢字検定DS」「レイトン教授と不思議な町」以外に登場していません。多くのメーカーにとって、結果的に開発リソースの無駄遣いをしたのと同意です。
せっかく新規顧客がついた市場に対し、従来と同じ感覚でタイトルを投入していても、長期的にみればまた同じことの繰り返し。市場は少しずつ小さくなっていくでしょう。
そうならないためには、メーカーは「ブームに乗る」という目的は捨て、新しい需要を掘り起こすには、どういうゲーム作りが必要とされているのか、今一度考えていただければ。と考えています。
Second Lifeを駄目にした「100万ドル稼いだユーザー」
面白いのは、すでに土地を買い商売を始めている(コンテンツを生み出せる)ユーザーの多くは、Second Lifeを高く評価しているのに対し、コンテンツを生み出せない、いわゆる消費オンリーのユーザーは「何が面白いのか理解できない」と評価している点です。
現在、Second Lifeを覗いてみると、どこもかしこも商売だらけ。1アイテムあたり50~100L$(L$はゲーム内通貨のリンデンドル)の料金をとるショップが急増しています。1ヶ月前にはまだ無料のアイテムが多く置かれていたのに……。
さらに、売られている商品のほとんどが、需要よりも作り手の好みを強く意識したものばかりで(まるで「原宿」と書かれた土産Tシャツのような)、これでは経済が成り立たないというのも頷けます。それも「100万ドル稼いだユーザー」の登場が、さまざまなメディアで話題になったおかげで、売り手や企業の参加が急増し、消費オンリーのユーザーにインセンティブがない世界を招いてしまったのではないでしょうか。
中には第二のインターネットだと表現する人もいるようですが、Second Lifeとインターネットのインフラ構造はまったく違います。なぜインターネットが普及したか? それは商業の中心を司るものが存在しなかったから。誰でも自由に風呂敷を広げられたから。そもそもTCP/IPには課金レコードがありません。しかしSecond LifeはL$が流通することを前提に作られています。既存ビジネスの過去の遺産(仕組み)を再現しただけのSecond Lifeに、未来はない。私はそう思います。
ゲームソフトの価格は適正か?
当時はROMが主流なこともあり、部材コストがそれなりの金額を割いていたそうですが
今は低コストな光学メディアが主流。
代わりに複雑なシステムと広大なボリューム、高品質な映像にかける
開発費が高騰しているのは、ご存知のとおりでしょう。
一方で、そういった複雑なゲームを求めるユーザーが少なくなっているのはPS3や360の売れ行きを見れば分かります。
少ないゲーマー相手に、どうやってゲームソフトを売っていけばいいのでしょうか?
1つはソフトの価格を3万円にする。
7800円のソフトが1万本売れても、7800万円の売り上げにしかなりません。かつてのNEO GEOのように、価格が高くても、その金額を出さなければプレイできないとなれば、確実に買うユーザーは存在します。薄利多売のモデルを捨てようという考え方です。
2つはソフト単体以外の収入源を作る。
すでに大方のMMORPGやバンダイナムコのアイドルマスターで取り入れられている方法ですが、ゲーム内アイテムをネット販売することで収益を上げる。
他にも色々な方法があると思います。
PS2時代、貪欲にゲームをしていたはずの人たちの多くは、まだ次世代ゲーム機を買っていないことでしょう。
しかし、これらの人たちに次世代機の市場拡大を期待するより、
今を生き抜くためには少ないゲーマーを相手に、商売をしなければなりません。
そもそも、かつてのコアゲーマーは今後も継続してゲーマーであり続ける可能性は低いんです。
ゲームに多くの時間を割ける学生も、恋人ができたり、仕事を始めることで
自由な時間が減ります。
少ない時間を堪能する、さまざまなエンターテイメントを天秤にかけたとき、ゲームが優位に立てるほどの完成度を持ったゲームは少なく、
それを見つけるための情報量も、音楽や映画に比べて圧倒的に少ないのです。
ライトゲーマーは存在しない
もともとライトゲーマーは、SCEがPlaystationを市場に投入する頃
スーパーファミコンやセガサターンユーザーなどの
従来からゲームを楽しんでいたと区別して、
これまでゲームに触れてこなかった人々を
取り込む目的で作った戦略的な言葉。
当時こそ「パラッパラッパー」や「どこでもいっしょ」に惹かれて
ゲームを始めてみる人はいたが、それが今ではどうでしょう。
ゲームが好きな人と、ゲームが好きではない人、
市場にいるのはこれだけ。
ゲーム好きが唸るようなゲーム作りを実践するマイクロソフトや
ゲームが好きでない人の取り込みに挑戦する任天堂。
ソニーというと「ライトゲーマー」というよくわからない層に対して
映像美や高性能の重要性を訴えています。
ライトゲーマーとは、
ゲームを年に1本しか買わない現在のPS3ユーザーなのかもしれません。
GBA版ファイナルファンタジー5は10月12日発売(ファミ通)
新オープニング(ムービーではなくフィールド画面ベース)や漢字が多様されていて
メッセージが読みやすくなったなど新要素が追加された以外は、
基本的にスーパーファミコン版と同じ模様。
ちなみにファイナルファンタジー6は年内に発売予定だそうです。
クロスレビューではDS版のファイナルファンタジー3がゴールド殿堂入りを達成。
今年いっぱいはFF漬けになりそうな予感です。
- スクウェア・エニックス
- ファイナルファンタジーIII
ニンテンドーDSの販売数が1000万台を突破
コンシューマゲーム歴代最速の勢いで普及を続けるDSですが、
好調である反面、悩みもあるようです。
もともとニンテンドーDSは、テレビゲーム産業の活性化という命題を背負っていました。
昨年末から今年にかけて、市場は拡大し、一見その狙いは成功したかのようにも思えます。
しかし、国内に限って言えば、コンシューマゲーム全体におけるソフトウェア市場をみると
約過半数が任天堂を占めています。
勢力としては、任天堂vsほかゲームメーカー全部といったところでしょうか。
ランキング上位は携帯ゲーム機が占めており
コンシューマゲームのスタンダード機がPS2からニンテンドーDSに移り変わったと言って良い今
ゲームメーカー各社はメインの開発ラインを任天堂ハードへ向けてくることも容易に想像できます。
ところが、ゲーム機の開発と同時にソフトウェア製作を行ってきた任天堂に対し
サードパーティーは開発のスタートラインがあまりにも違いすぎます。
ニンテンドーDSは、従来のゲーマー層よりも、主婦、OL、サラリーマンといった非ゲーマー層を
多く取り込んでいることから、これまでどおりのマーケティングで企画を練ることはできません。
任天堂はゲーム産業活性化に向けて、サードパーティーへの開発機材やハードウェア仕様のいちはやい公開に加えて
マーケティングノウハウの伝授は責務です。
今春以降、サードパーティーは意欲的にシリアスゲームを発表していますが、
それは任天堂の二の足を踏んでいるに過ぎません。
各々のメーカーが自分の持ち味を生かしながら、新しい分野を開拓できるよう
水先案内をしてあげる必要があります。
それぞれが任天堂とは違う方法で、新たな市場を開拓してはじめて
ゲーム産業が再び活性化するのではないでしょうか?
思えば先日からクラブニンテンドーの購入後アンケートが始まりました。
サードパーティーにとって強力なマーケティングツールになるかもしれません。
この取り組みが、活性化にうまく働くかどうかはまだわかりませんが
任天堂が市場を好転させようとする意気込みが、ようやく見えてきました。
こういった、開発以外のサポートにも継続して力を入れてほしいものです。
そうすればきっと、ゲーム産業は大いに盛り上がることでしょう。
ニンテンドーDS、国内販売が1000万台突破
