※ネタバレなし
アベンジャーズのリーダー的存在として活躍するキャプテンアメリカ=スティーブ・ロジャース。正統派ヒーローのイメージとは裏腹に彼の本質は特殊なもの。スティーブは戦時下のアメリカの極秘実験で誕生したヒーロー。
「ただひたすら、可能な限り大勢を救う、そのために行動し続ける」という彼の信念は、手続きや承認が重視される現代において独自の輝きを放ちます。だからこそアベンジャーズの個性的なメンバーは彼についていくのです。
そして、やがて彼の信念と盾は戦友のサム・ウィルソンへ継承されます。新たなキャプテンアメリカとなったサムは、更に混迷を増した時代に直面し、自分なりの方法で人を救うための戦いを続けます。
「キャプテン・アメリカ」シリーズは時代を超える、信念の物語なのです。
【単独作品】

・キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー(2011)
スティーブ、そしてアベンジャーズシリーズ始まりを告げる第一作。アメリカ政府の極秘人体実験で強靭な肉体を得るというルーツが語られ、秘密結社ヒドラとの死闘が描かれます。
スティーブが国債の宣伝として利用される、政府の判断で兵士が切り捨てられる等、人間の闇を描く側面も。また、戦時下の表現は歴史映画のようでもあります。
しかし、物語を最も強く引っ張るのはバッキーとの友情、ペギーとのロマンスといった王道の人間ドラマ。切ないラストは、アベンジャーズ(2012)へダイレクトリンク。

・キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)
舞台を現代へ移した第二作。「人間のつながり」を重視するスティーブの古典的な正義と「感情なきシステム」による自動化された効率的な現代の正義の衝突。
内側に潜む「見えざる敵」との戦いはサスペンス映画並みのスリルを演出。終わりなき技術革新への警鐘という重厚なテーマが、更なる進化を遂げた壮絶な肉弾アクションで描かれます。

・シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)
トニーの「犠牲者遺族の『心』に寄り添う、協定への参加」。スティーブの「今後予測される犠牲者の『命』を一人でも多く救う行動」2つの信念の衝突を描く、第三作。
アベンジャーズの本流へ合流しつつも、現代のヒーロー達との対比を通じて、スティーブの信念の本質を浮き彫りにする構成により、堂々たるスティーブ・ロジャースの完結編として成立。

・キャプテン・アメリカ/ブレイブ・ニュー・ワールド(2025)
新たな物語を始動させる第四作。キャプテンアメリカとなったサムは、大統領となったロスを取り巻く陰謀に直面。人々に並び立ち、寄り添うという自分らしさを活かして、サムは難題に取り組みます。
シリーズを象徴する盾のアクションは、サムの得意とする空中戦と組み合わさり、新境地を開拓。レッドハルクを相手としたスリリングなバトルも必見。
【クロスオーバー作品】
・アベンジャーズ(2012)
現代に蘇る、スティーブの初陣。アイアンマン=トニー、ハルク=ブルース、ソー、ブラックウィドウ=ナターシャ、ホークアイ=クリント、フューリー等、今後の未来を共にする、新たな戦友との出会いが描かれます。明るい作風で、ヒーローのチームバトルを存分に楽しめます。
・アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015)
鋼鉄の脅威、ウルトロン襲来。ワンダの魔術により浮き彫りにされる、スティーブの切ない心残り。そして、ウルトロンによりトニーに刻まれる新たなトラウマは「シビル・ウォー」への重大な布石。意外な形で、ペギーも再登場。
・アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー(2018)
国を追われ逃亡者となったスティーブの物語。逃亡者の身でありながら、ナターシャ、サム、ワンダ、ヴィジョンといった仲間を結集。新たなる仲間、ブラックパンサー=ティ・チャラの助力も得て、宇宙の脅威へ対峙します。
・アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)
一度は手放した盾を手に取り、トニーと肩を並べ、最大の脅威を前に、再びスティーブは立ち上がる。すべての運命に決着をつける、最終決戦の行方は・・・
【スピンオフ作品】
・エージェント・オブ・シールド(2014)
シールドの「知られざる戦い」を描くドラマシリーズ。シーズン1は「見えざる敵」とシールド戦いが「ウィンター・ソルジャー」の物語と並行して描かれます。映画とドラマのリアルタイムの交錯は唯一無二の持ち味。
シーズン2では過去と繋がる事件が描写され、ペギーも登場。シーズン3においてはレッドスカル以前のヒドラの起源、ハイヴが降臨。シーズン4では電脳世界よりマダム・ヒドラの脅威が襲来。
・エージェント・カーター(2015)
「ファースト・アベンジャー」完結後、スティーブを失ったペギーの再起のドラマ。反逆の嫌疑をかけられた戦友、ハワードを救うため、ペギーはハワードの執事ジャーヴィスと共闘し事件の謎を追う。
ハウリング・コマンドーズの再登場、トニーの父である若き日のハワード、ヴィジョンのルーツであるジャーヴィス等、クロスオーバー要素も満載。
・ファルコン&ウィンター・ソルジャー(2021)
「エンドゲーム」完結後、スティーブのいない世界で、ファルコン=サム・ウィルソン、ウィンター・ソルジャー=バッキー・バーンズの物語が描かれる。
現実を風刺するかのようなリアリティあふれる混迷の世界において、継承と贖罪という二つの運命が交錯する。シャロン・カーター、バロン・ジモ等、シリーズにまつわるキャラクターも再登場。新たな側面を見せるとともに活躍。
【関連作品】
・アントマン(2015)
アントマン=スコット・ラングの活躍を描く、極小世界の一大活劇。序盤には数十年前のシールドが登場し、そこにはかつての現役時代のハワード、そしてペギーの姿も。中盤にはサムも参戦。ここで生まれたサムとスコットの繋がり、そしてポストクレジットシーンは「シビル・ウォー」へ直結。
・スパイダーマン:ホームカミング(2017)
「シビル・ウォー」直後から始まる、スパイダーマン=ピーター・パーカーの物語。ビデオの中の体育講師という思わぬ形でスティーブが登場。本編とは異なるユーモラスな姿を見せます。
・サンダーボルツ(2025)
バッキーが、マーベル世界のはぐれもの達を結集。世界の危機に対峙します。長きに渡る罪悪感を抱えてきたバッキーは、新たなる一歩を踏み出せるのか。
【見る順番】
「ファースト・アベンジャー」と「ウィンター・ソルジャー」の2作を視聴し、過去と現代の物語を対比することで、スティーブの本質は伝わると思います。「シビル・ウォー」はスティーブの完結編として文句なしの傑作ではありますが、必要な予備知識が多いのが難点。最低限「エイジ・オブ・ウルトロン」を合わせて視聴することが一番の近道でしょう。
「エンドゲーム」までのスティーブの物語を見届ければ、次はサムの時代。ドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」を経て、「ブレイブ・ニュー・ワールド」ではキャプテン・アメリカとして本格始動します。
「ブレイブ・ニュー・ワールド」から視聴し、今後公開が予定される「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」(2026)に備えるのも良いでしょう。
時系列的な繋がりは下記の通り。
「ファースト・アベンジャー」(2011)
「アベンジャーズ」(2012)
「ウィンター・ソルジャー」(2014)
「エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)
「シビル・ウォー」(2016)
「インフィニティ・ウォー」(2018)
「エンドゲーム」(2019)
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)
「ブレイブ・ニュー・ワールド」(2025)
現実的で硬派な世界観。壮絶な肉弾アクション。多くの社会問題を扱う、時代を超える信念のドラマ。多彩な魅力を持つキャプテンアメリカシリーズを是非ご覧ください。




