アイアンマン3(2013)

 

※ネタバレあり

【最強アーマーと人の肉体】


アイアンマン=トニー・スタークは複雑なヒーローです。アーマーを装着する際には、アベンジャーズ最強格の戦闘力を発揮する一方で、アーマーの中身は生身の人間、常人並みの耐久力です。ですから彼の戦いは優勢と劣勢が目まぐるしく転換するのが特徴。

本作ではアイアンマンマーク42という、パーツごとの着脱可能なスーツがメインとなり、彼の特徴的な戦闘スタイルはさらに顕著に描写されます。一部のパーツを装着し、アーマーの強さと、人間的な耐久の弱さが混在した本作のアイアンマンの戦闘は、スリルとアイデアに溢れ目が離せないものとなっています。

(強さと弱さの混在した戦闘スタイルはハルク=ブルース・バーナーに近いものを感じます。)

【豪快なイメージと繊細な内面】


本作が素晴らしいのは、そのような戦闘描写が、しっかりとトニーの内面の描写に結びついている点。トニーには「豪快な大富豪」という表の顔と、自らの生む被害に敏感な「繊細な内面」という二面性があります。この二面性は、アイアンマンの鋼鉄のアーマーと人間の肉体の二面性と重なります。本作のトニーは大富豪として世界平和に貢献する使命と「アベンジャーズ」(2012)の戦いで直面した宇宙の恐怖の板挟みとなり、不眠症となってしまいます。

その上、敵の襲撃により、家も、アイアンマンスーツも失い、頼れるのは破損したマーク42と自分の発明力のみ。ロードムービー的な旅路の中、発明家を夢見る少年ハーレーとの交流で再起するトニーのドラマは見ごたえあるものです。

(「シビル・ウォー」(2016)、「ホームカミング」(2017)等のピーター・パーカーとの繋がりもあり、子供と関わることでトニーの良い面が強調されるように思います。)

そして、そのようにしっかりとしたドラマの土台があるからこそ、迷いを振り切ったクライマックスの大量のアーマーを駆使したバトルは圧巻!

戦闘描写、ドラマ双方について高い密度で重厚に描写した本作。満足感は随一の傑作です。