□律令税制(男女・貴賤別の班給面積) ◇B
[ゴロ]3分の2から/3分の1/が私婢でした
(3分の2)(×3分の1)(家人の女・私婢(しひ))
[句意](その集落の)3分の2から3分の1の農民がが私婢でした、という句。婢は女の奴隷。一方、男の奴隷は奴。
[ポイント]
1.口分田は、良賤の別なく女は男の3分の2、かつ5種の賤民(五色の賤)のうち私有の賤民である家人と私奴婢は、良民男女の各々3分の1を班給される。
[解説]
1.どんな身分でも男女の別なく6歳以上が口分田をもらえる。しかしもらえる量(つまり面積)には、男女・良賤で差がある。
2.良民男子は2段(1段=360歩=約12a)の班給。
3.女子は同身分男子の3分の2。
4.私有の奴婢(家人・私奴婢)は良民男女のそれぞれ3分の1とされた。よって最低の立場の「家人の女」および「私婢」のもらえる口分田は以下の計算となる。
2段(良民男子)×2/3(女なので)×1/3(私有奴隷なので)=160歩
5.ただしその土地の広狭に応じて、実際には班給面積には差があった。
6.令には「凡そ口分田(くぶんでん)を給(たま)はむことは、男に二段、女は三分が一を減ぜよ。五年以下には給はざれ」とあり「三分が二」「六年」という数字が出てこないことにも注意。
〈2012早大・文化構想:「下線e水田を基盤とする国造りが政策の中心に据えられたについて。この時期の国家政策は律令によって集大成されるが、この律令における住居や水田に関わる説明として正しいものはどれか。2つ選び、マーク解答用紙の該当する記号をマークしなさい。
ア 6歳以上の男女に等しく2段の口分田が与えられた。(×女子は同身分男子の3分の2)
イ 家屋やその周囲の土地については、私有が認められた。(〇)
ウ 口分田を与えられた者は収穫から3%程度の稲を租税として納めた。(〇)
エ 口分田は里長の許可があれば売買することができた。(×)
オ 死者の口分田については直ちに収公された。(×収公は6年ごとに行われる)」〉
〈2012文教大・全学部:「凡そ口分田(くぶんでん)を給(たま)はむことは、男に二段、女は[ ア ]減せよ。五年以下には給はず。其(そ)の地に寛狭有らば、郷土の法に従へよ。凡そ田は、[ イ ]年に一たび班(たま)へ。神田・寺田は、此(こ)の限に在らず。若(も)し身死にたるを以て田退(かえ)すべくんば、班年に至らむ毎(ごと)に、即ち収授に従へよ」問 空欄[ア~イ]に入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
①ア-三分が二、イ-四 ②ア-三分が二 イ-六
③ア-三分が一、イ-四 ④ア-三分が一、イ-六」(答:④)〉
〈2014立大・文:「口分田に関する説明として正しいのはどれか。次のa~dから1つ選び、その記号をマークせよ。
a.家人や私奴婢の口分田は良民の10分の1とされた(×:良民の3分の1)
b.死者の口分田は6年ごとの斑年をまって返還されるきまりであった(〇)
c.男性にも女性にも2段の口分田があたえられるきまりであった(×:女性は同身分男性の3分の2)
d.班田収授を円滑に行うため、条坊制によって口分田などを含む土地の区画を行った(×条里制の誤り。条坊制は宮都の区画)」〉