日々研鑽を積む優秀な将棋ソフト諸兄は遂に、
人類の築いてきた定跡群をも書き換え始めた。
(千田先生とAperyの共同研究?が絶賛漏洩中)
角換わり腰掛け銀の後手を救う無数の新手も、
相矢倉自体を消滅させかねない新種の急戦も…
彼らにより掘り出された世界の新たな一面だ。
特に63銀型居角左美濃での急戦は出来が良く、
矢倉が嫌いな居飛車党への福音となっている。
(角換わりと割と近い感覚で指せるのも高得点)
ただ現状では駒組みの手順が定まっておらず、
プロもソフトも未だ手探り感が拭えていない。
そこで初手からの手順の叩き台をここに記す。

76歩 84歩 56歩 62銀 68銀 34歩
…(0)
矢倉/中飛車含みの上記オープニングでは、
四手目62銀が現時点で最も美しく感じられる。
五手目68銀は最も自然かつ手広い応手ながら、
その瞬間に34歩が利く。(55歩に54歩と突ける)
先手が矢倉に組むなら66歩か77銀の二択だが、
いずれも悪形なので、後手は急戦を狙いたい。
前者に対しては63銀型左美濃が有力と思われ、
後者には矢倉中飛車などで薄い中央を攻める。
スマートな角交換向い飛車を目指す57銀なら、
北浜-糸谷戦に倣って85歩33銀64銀型に組み…
77桂を待って筋違い角からの桂頭攻めを狙う。
ご機嫌な五手目55歩には85歩~74歩~73銀。
後手でありながら超速(超早繰り銀)に組める。
銀対抗なら二枚銀急戦でも持久戦でも良いし、
66歩型には山田定跡風に仕掛けても互角以上。

76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 63銀
…(0')
先手が66歩から矢倉模様に進めてきたなら、
54歩を保留して左美濃急戦の含みを持たせる。
(まだ先手三間飛車の可能性も残っているため、
或いは八手目42玉の方が自然かもしれない)
48銀で美濃/穴熊系ノーマル振り飛車が消え、
それを確認してから64歩~63銀と形を決める。
右辺はこれで一段落とし、次に左美濃に囲う。
矢倉右四間は今回、単なる見せ球に過ぎない。
82飛73桂63銀型のままどこかで85歩を決め、
米長流急戦矢倉(速攻型)に似た仕掛けを狙う。
85歩の前に77銀と来れば右四間にシフトする。
※実際は六~八手目に85歩を決める人が多く、
77銀型に決めて貰う意味ではその方が良さげ。
(77角型を急戦で破ることは諦めた方が良さげ)

76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 63銀
26歩 32銀 25歩 85歩 77銀 42玉
…(0'')
85歩のタイミングは難しく定説がないものの、
25歩の直後に突けば先手の反応を見て動ける。
飛車先の切り合いはこの場合後手に利が多い。
角を引き難くなる77角には、33角から持久戦。
となると77銀が最も普通の応手と思われるが…
それなら飛車先を受けず42玉(~31玉)で良い。
36歩~37銀には54銀と出て、46銀には44歩、
26銀も45銀から中央を制して後手有利となる。
…横歩を取る34飛は恐れる必要がないらしい。
(24飛に銀冠狙いの33角~24歩もなくはない)
銀交換から23飛成の突破も恐れてはならない。
自玉に寄り筋はなく、従って何の不安もない。

76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 63銀
26歩 32銀 25歩 85歩 77銀 42玉
58金 31玉 67金右 74歩 69王 73桂
…(0''')
46角型で安定されると流石に攻略困難なので…
(83飛型で桂馬を支えながら攻めるのは大変だ)
74歩を後回しにして79角には54銀と上がり、
46角に63金や右四間飛車で対抗するのが良い。
57銀の瞬間、65歩と突っ掛けるのもポイント。
ただし六筋の位を押さえても銀桂交換しても、
それ単体では後手有利とならないため要注意。
(必要に応じて63金~64金の増援も考慮する)
仕掛けにあたって最も条件が良いのは69王型。
…左桂が浮き駒だし、49角のスペースもある。
先手が居玉の間は仕掛けを焦らない方が良い。
早い79王には14歩で後の13角を用意したい。
※77角型でも対雁木なら同じ構えで構わない。
54銀と44角だけ溜めてすぐ65歩と突く要領で…
66同歩は75歩。手抜きは 66歩 同角 33銀だ。
66歩に同銀右なら、86歩~85歩が筋となる。
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76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 74歩
58金 85歩 77銀 42玉 26歩 32銀
25歩 31玉 67金右 63銀 24歩 同歩
同飛 23歩 28飛 73桂 69玉 65歩
同歩 75歩…(1)
上図は森内-光瑠の叡王戦で現れた仕掛けで、
恐ろしいことに上図の時点で先手不利らしい。
実際、守備に定評のある某十八世名人ですら…
何もさせて貰えないままフルボッコにされた。
後手はこの局面を想定し駒組みを進めている。
33角や44歩や54銀や62飛などの余分?な手は、
先手が上図から逸脱した時に考慮すれば良い。

同歩 65桂 66銀 86歩 同歩 同飛
87歩 66飛 同角 同角 同金 77歩
同桂 同桂成 同金 88角…(1a)
75同歩には65桂から素直に十字飛車を決め、
あとは適当に殴っていれば大体何とかなる。
…先手陣の配置が見た目以上に悪いのである。
最初の66飛を別の駒で取ると、77歩を喰らう。
途中の77歩に金を逃げても状況は改善せず、
49角(~27銀)の筋や七筋の拠点が厳しく残る。
※66銀には64銀と力を溜めておく手も自然。
(銀の応援が米長流より早いとかヤバくない?)

66銀 86歩 同歩 76歩 55歩 74銀
…(1b)
66銀には86歩~76歩~74銀と自然に銀を進め…
65銀や継ぎ歩を用意しあとは流れに身を任す。
76金なら 75歩 同銀 同銀 同金 86飛 87歩 56飛、
或いは 75歩 77金引 54歩 同歩 63金で良い。
実戦の順は 57銀上 85歩 同歩 65銀 46銀 86歩。
これも垂れ歩の価値が莫大で後手優勢である。
結局、先手の飛車先交換が疑問だったようだ。

76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 63銀
26歩 32銀 25歩 85歩 77銀 42玉
58金 31玉 36歩 74歩 79角 54銀
24歩 同歩 同角 23歩 46角 63金
37桂 44歩 67金右 73桂 69玉 65歩
…(2)
46角とこちらから睨んだ方が後手も攻め難い。
62飛と廻ると攻め筋が限定されてしまうので、
63金からの45歩で敵角をどかし、角道を通す。
金が離れても、後手陣はまだそれなりに堅い。
以下 79玉 86歩 同歩 66歩 同銀 45歩 68角に、
85歩や65銀を急がず14歩と溜めるのが本手。
代えて 65同歩 45歩 68角 65桂 66銀 75歩も、
75同歩に66角~77歩があって相当うるさい。
途中37桂に代えて67金右なら45銀とぶつけ、
55角に54銀と千日手を見せて角の進退を問う。
…角を換えればバランスを保ち難いのは先手。
後手は44角と打てば仕掛けに困ることもない。
※84飛~75歩~54銀~45銀~65歩~54飛と、
52金型のまま軽く捌くスマートな手法もある。
(読売新聞で連載されていたとの情報提供あり)
他には桂馬に紐をつけておく62金型も有力だ。

76歩 84歩 68銀 34歩 66歩 62銀
56歩 52金右 48銀 64歩 78金 63銀
58金 32銀 67金右 42玉 69王 31玉
36歩 74歩 57銀右 54銀…(3)
飛車先を突いていっても響きが薄いとなれば、
その手数を三筋方面に回す方が賢明といえる。
上図から単に46銀なら44歩で問題ないのだが、
先に35歩と突き捨てからの46銀が気になる順。
44歩から持久戦への移行も悪くはないものの…
袖飛車にされてみると後手は角の扱いに困る。
(銀矢倉+三手角まで組めればそこそこ指せる)
この場合は85歩を決めず、右四間で戦いたい。
辿り着く先は『矢倉右四間飛車 #3』の類形だ。
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私が研究記事を書くのは、将棋を忘れるため。
自分の課題局面に仮の回答を作っていないと、
仕事中でもふと思いを馳せてしまう時がある。
気になる戦型は色々あるが、今回はここまで。
p.s.
・この戦型はここやらそこやらあそこやらで、
異常にハイレベルな研究が乱発されており…
私はただ眺めているだけの人となっている。
(もちろん眺めているだけでも充分に面白い)
・五手目77銀相手に左美濃はリスキーだが、
駒組みの手順など色々工夫はできそうだ。
例えば限界まで早く繰り出す早繰り銀や、
65桂を見せて66歩を突かせる作戦もある。
初手から 76歩 84歩 68銀 34歩 77銀 62銀
56歩 74歩 48銀 85歩 78金 64歩と組み…
64歩が間に合えば26歩・25歩・79角にも、
32銀・42玉・31玉の三手一組で対応可能。
なお85歩に26歩は 86歩 同歩 同飛で潰れ。
79角なら64歩とし、75歩~77角成を狙う。
先手は48銀のところ 78金 85歩 79角 32銀
26歩 42玉 25歩…と左辺を優先すべき。
※次回『先手矢倉対中飛車53銀型』
開始日時:2015/12/23 棋戦:順位戦
先手:北浜健介 後手:糸谷哲郎
開始日時:2015/10/26 棋戦:叡王戦
先手:森内俊之 後手:阿部光瑠
開始日時:2016/06/01 棋戦:順位戦
先手:中田宏樹 後手:斎藤慎太郎


