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Thousand Days

さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※前回の記事『チェスについて語るときに将棋指しの語ること』


楽しようとしたり欲張りになる優勢側より
若干不利な側の方がより注意深く創造的で
より大胆なプレイができることはよくある
こうして僅かな不利はしばしばそれ自体が
しっかりとした利点になり得る

Emanuel Lasker ラスカーのチェス手引書




白番初手e4に対して位負けせずフィアンケットしたければ、
黒番初手c5の Sicilian Defense でd4地点を守るのが急務。



【Modern, Averbakh Variation】
→【King's Indian Defense】
1. e4
g6 2. d4 Bg7
3. c4 d6 4. Nc3 Nf6 ∞

g6~Bg7を優先すると、c4で King's Indian に合流される。
(Nf6のところe5やNc6で変化はできるが、大体白不満なし)

KID は破壊力が高く格上に一発入れるには優れた戦法だが、
一局一局が重く事前準備も重く、安定した運用は望み難い。



【Pirc, Austrian Attack】
1. e4
d6 2. d4 Nf6
3. Nc3 g6 4. f4 Bg7
5. Nf3 0-0 6. Bd3 Nc6 ∞

d6~Nf6が先ならNc3を強要できるがこれもまた白の理想形。
中央が手厚く、角行Bishopの利きが弱まる。d5も突き難い。

~~~~~~~~~~~~

一方 Sicilian なら中央の風通しが良く、Bg7が常に好形だ。
Sicilian 対策は下記の三群あるが、現実にはAnti-が多い。

Open Sicilian: Nf3~d4で手順に白駒を捌いて、定跡で勝負
Bb5 Sicilian: 黒のPawnを乱しながら早く囲う。大局観重視
Anti-Sicilians: その他。己の得意分野で戦う。コスパ重視

本稿ではBb5を封じてAnti-対策もしやすく名前も恰好良い、
(Hyper)Accelerated Dragon の採用を想定して調べていく。
(※定跡のより強固な Najdorf / Pelikán はBg7型にならない)




【Nxd4~c4: Maróczy Bind】
1. e4 c5 2. Nf3 g6
3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nc6
5. c4 Nf6 6. Nc3 d6
∞

対Bg7型最強の対策は Open Sicilian でd筋を換えc4を突く
Maróczy Bind という恰好良い名前の超難しい戦法である。

黒はd5突きを封じられるため高度な大局観を要求されるが、
ちゃんと勉強すれば対抗できる。(本稿では深くは述べない)

4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 Nc6の順だと 6. Nxc6 bxc6 7. e5...
或いはdxc6と取ってもQ交換から不利な終盤になって困る。




【Dragon, Yugoslav Attack】
1. e4 c5 2. Nf3
d6
3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6
5. Nc3 g6 6. Be3 Bg7
7. f3 0-0 8. Qd2 Nc6 ∞

d6~Nf6優先の Dragon(無印)なら Maróczy を防げるが、
(正確には 3. Bb5† Bd7...から類形になり得るが条件は良い)

本筋本命の玉頭決戦 Yugoslav Attack 相手に手損となる。
(大体すぐ詰むや詰まざるやの攻め合いになってまるで将棋)

直感に反する引き分け定跡も多いが将棋勢は楽しめるかも。
…本稿ではまず簡明な超加速龍から習得することを勧める。


目次
❶Nc3系統
【Nc3~d4: Accelerated Dragon】
【Nc3~Bb5: Bb5 Sicilian】
【Nc3~f4: Grand Prix Attack 1】
【Nc3~Bg2: Closed Sicilian 1,2】

❷他のPawnを突く系 Anti-Sicilians
【g3/d3: Closed Sicilian 3】
【f4: Grand Prix Attack 2】
【d4: Morra Gambit】
【c3: Alapin Variation】
【c4~g3: Botvinnik System】
【b3: Queen's Fianchetto】
【b4: Wing Gambit】

❸Nf6系統(含 Maróczy Bind)
【Bc4~c3: Pseudo-Alapin】
【Qxd4】
【Nxd4~c4: Maróczy Bind】



・駒がぶつかるまでの手順前後:
※損せず取れるPawnは基本取る
d4には Nf6
c4/Nf3には g6~Bg7
(d4の後の)Nc3には d5
e4/(d4前の)Nc3には c5~Nc6


~~~~~~~~~~~~


❶Nc3にはNc6(〜Bg7〜Nf6)が美しい
1. e4 c5 2. Nc3 Nc6


Nc3は黒のd5早突きを封じつつ駒を使う大きな一手だが、
白d4の準備や黒Nd4を逐うc3が消える(ので黒Nc6が形)。

※白Bb5型を徹底的に避ける意味でNc3にもg6はあるが、
以下 d4 cxd4 Qxd4 Nf6 Be3 Nc6 Qd2...の対策が必要。



【Nc3~d4: Accelerated Dragon】
3. Nf3 g6 4. d4 cxd4
5. Nxd4 Bg7 6. Be3 Nf6
…●

Nc3が入っていればc4突きを恐れることなく囲っていける。
d6を省いて組み合えるのが Dragon(無印)との最大の違い。

7. Nxc6 bxc6 8. e5 Ng8 9. f4 f6 10. e6 d5...は黒問題ない。
(5. Nxd4 Nf6 6. Nxc6 bxc6 7. e5 Nh5 8. Bc4...は黒だめ)


●…
7. Be2 0-0 8. 0-0 d5
9. exd5 Nb4 10. d6 Qxd6
11. Ncb5 Qd7 12. c4 e5
13. Nb3 a6 14. Nd6 Qc7
=

白が普通に囲う所謂 Classical Dragon でもこの差が活き、
黒d5から即捌けば(単にNxd5でも本譜でも)互角となる。

※黒d5を封じる 8. f4 d6 9. 0-0 Qb6 10. Qd3 Ng4...や、
8. Nb3 d6 9. 0-0 a6(〜b5〜Bb7)...などもあり要注意。


●…
7. Qd2 0-0 8. f3 d5
9. 0-0-0 dxe4 10. Nxc6 Qxd2†
11. Bxd2 bxc6 12. Nxe4 Nxe4
=

Dragon(無印)同様、白は玉頭から攻めたくなるのだが…
本来の Yugoslav Attack と違ってQd2やf3が緩手になる。

白f3を省けばNg4だし、指せば黒d5が一手早くかつ厳しい。
10. fxe4や、Nxc6を挟んでの0-0-0にはQc7かQa5が良い。


●…
7. Bc4 0-0 8. f3 Qb6
9. Bb3 Nxe4 10. Nd5 Qa5†
11. c3 Nc5 12. Nxc6 dxc6
13. Nxe7† Kh8 14. Nxc8 Raxc8
=

Bc4〜Bb3以外なら派手に立ち回り、互角以上の岐れになる。
f3のところ0-0でも、Nxe5 Nxe5 d5で先手の利は消え去る。

8. Bb3には d6 f3 Qa5 Qd2 Nxd4 Bxd4 Be6 0-0-0 b5...
(10. 0-0 Bd7)と変化を絞って Dragon(無印)にも戻せるが…



【Nc3~d4~Bb3: Yugoslav Formation】
●…
7. Bc4 0-0 8. Bb3 a5 …◯

本譜はa5突き。a4 Nxa4 Nxe4の捌きを用意し待ってみる。
(Na5はe5~Bxf7~Ne6で崩壊。8...Re8や 7...Qa5は有力)

a3やa4なら Ng4 Qxg4 Nxd4 Qd1 Nxb3で白陣を乱せる。
白としてはf3と防ぐか、0-0で前者の筋を受けて立つか。


◯…
9. f3 d5 10. exd5 Nb4
11. Nde2 a4 12. Nxa4 Nfxd5 =

f3で薄くなるのを待ってd5と突くのが、a5の真意だった。
a5とf3の交換をフルに活かした本譜は形勢互角といえる。

d5にNxd5なら Nxd5 exd5 a4 Bc4 Nb4で白は収拾困難。
d5にBxd5はあるが、Nxd5 Nxd5 f5で黒がよく捌けそう。


◯…
9. 0-0 a4 10. Nxa4 Nxe4
11. Nb5 Ra6 12. Qe2 d6
13. c4 +/=

0-0にa4からの決戦は、薄いb筋をNb5~Qe2で狙われる。
0-0にd6と収めようにもNdb5で、a4以上の手は難しい。

本譜も指せば難しいのだが、抑え込まれて黒自信なし。
Nb5にd5も、Bb6 Qd7 Qe2で、本譜と同じくやや白持ち。


◯…
9. 0-0 Nxd4 10. Bxd4 d6
11. a4 Bd7 12. f4 Bc6 ∞

よってそろそろkNight交換でNb5を消してからd6が相場。
以降はNd7~Nc5の活用を見て、これなら一局の将棋か。


【Nc3~Bb5: Bb5 Sicilian】
3. Bb5 Nd4 4. Bc4 g6
5. Nge2 a6 6. Nxd4 cxd4
7. Qf3 e6 8. Ne2 b5
9. Bb3 Bg7 10. d3 Bb7
11. h4 f5 12. h5 fxe4
=

Bb5 Sicilian は手強いが、白Nc3型ならNd4が逐われない。
(e5~d6と中央を厚くする受け方もあるが、Nge2~f4が厭)

e6〜Nge7〜d5と組む前に、a6でb5を見せつつNb5を消す。
本譜の端攻めは怖いが、中央反攻の準備が整っており互角。



【Nc3~f4: Grand Prix / Closed】
3. f4 g6 4. Nf3 Bg7
…▲


【Nc3~f4: Grand Prix Attack 1】
▲…
5. Bb5 Nd4 6. Nxd4 cxd4
7. Ne2 Nh6 8. 0-0 0-0
=/+

Pawn形を乱しにくるBb5は脅威だが、ここでもNd4が強い。
(cxd4がkNight取りの逆先手)以下d5時々b5がこの形の常道。


▲…
5. Bb5 Nd4 6. 0-0 Nxb5
7. Nxb5 d5 8. exd5 a6
9. Nc3 Nf6 10. d4 Nxd5
=

白放置には色々あるが、中央から先に戦いを起こすのが上策。
8. e5なら d4 c3 a6 Na3 Nh6...でNc3と素直に帰させない。


▲…
5. Bc4 e6 6. f5 gxf5
7. exf5 d5 8. Bb3 Nge7
9. fxe6 Bxe6 10. 0-0 c4
-/+

f筋を攻めるBc4には、e6〜Nge2~d5で遮断を狙うのが形。
f5のところe5でも d5 exd6 Qxd6で良い。(Qxf4は我慢する)


【Nc3~Bg2: Closed Sicilian 1】
▲…
5. g3 d6 6. Bg2 e5
7. d3 Nge7 8. 0-0 0-0
9. f5 gxf5 10. Nh4 Nd4
11. Qh5 +/=

Closed Sicilian はf5からの玉頭戦が最大の持ち味であり、
最速で組まれると黒e5の受けでは本譜の如き猛攻を喰らう。

故に上記の順になる可能性があるうちはd6・e6型で受ける。
(白がBe3などで一手寄り道してくれれば、e5型でも受かる)


▲…
5. g3 d6 6. Bg2 e6
7. 0-0 Nge7 8. d3 0-0
9. Be3 Nd4 10. Qd2 Rb8
=/+

e6~Nge7でf5突きを封じ、g4ならその瞬間逆にf5と突く。
白はd4から中央に転進したいが、Nd4の馬柱で封じられる…

本譜に限らず、Rb8〜b5が素直に通れば黒に不満はない。



【Nc3~Bg2: Closed Sicilian 2】
3. g3 g6 4. Bg2 Bg7
5. d3 d6 6. Be3 e5
…△

Be3はf4やNf3を決めず柔軟な手だが遅く、e5が間に合う。
(Nf3の瞬間 exf4 Bxf4を入れればBishopの動きで手得する)


△…
7. f4 Nge7 8. Nf3 exf4
9. Bxf4 0-0 10. Qd2 Bg4
11. 0-0 Qd7 12. Bh6 Rae8
=

早いBe3はQd2~Bh6を含みにしているが、換えさせて良い。
Bg4かNd4でkNightさえ消してしまえば、案外攻めは細い。


△…
7. Nge2 Nge7 8. Qd2 Nd4
9. 0-0 0-0 10. f4 Be6
=/+

Nge2型なら黒に狙われ難い代わりに、白の玉頭攻めも遅い。
Be6(~Qd7~Rae8)と構えて、f5やb5時々d5から打開できる。


△…
7. Qd2 Nge7 8. Bh6 0-0
9. h4 Bxh6 10. Qxh6 f6
=/+

Bh6の前のh4はh5で問題ない。本譜はQueenが迫り怖いが、
h5にg5~Kh8~Ng8で女王様を食べる狙いがあって受かる。


~~~~~~~~~~~~

❷他のPawnを突く系


【g3/d3: Closed Sicilian 3】
1. e4 c5 2. d3 Nc6
3. g3
g6 4. Bg2 Bg7
5. f4 e6 6. Nf3 Nge7
7. 0-0 0-0 8. c3 b6
9. Be3 +/=

Nc3を省くとBe3は指せないが、c3型に変える余地がある。
d6~e5はf5突きを狙われ、d5突きもe5と躱され自信なし。

よって黒は通常形と同じe6~Nge7型に組むのが自然だが、
c3~Be3~Na3~Nc2...と陣形を整える順が黒にとって強敵。



1. e4 c5 2. g3 d5
3. exd5 Qxd5 4. Nf3 Nc6
5. d3 Nd4 6. Bg2 Bh3
7. Bxh3 Nf3† 8. Kf1 Nd2†
=

黒はg3の瞬間d5突きでNc3省略を咎めたい。(d3にはNc6)
Nc6にNc3やBg2ならQe6†で充分。本譜も引き分け模様。

d5にNd2から白黒逆の King's Indian を狙う余地はあり、
その場合黒も互角以上だが調子に乗り過ぎないよう注意。


【f4: Grand Prix Attack 2】
1. e4 c5 2. f4
g6
3. Nf3 Bg7 4. a4 Nc6
5. Bb5 Nd4 6. Nxd4 cxd4
7. 0-0 Nf6 8. e5 Nd5
9. c3 +/=

Nc3が入った形と同様に指すと、Bb5にNd4と躱し難くなる。
(cxd4がkNight当たりにならず、白も堂々とNxd4と取れる)

a4にa6かBa5にNh6で本譜さえ避ければ互角だろうが、
f4の瞬間、やはりd5突きがこの形の筋のような気がする。



1. e4 c5 2. f4 d5…◆


◆…
3. e5 Nc6 4. Nf3 Bg4 =/+

Caro-Kann の定跡より丸々一手得で悪かろうはずはない。


◆…
3. exd5 Nf6 4. c4 e6
5. dxe6 Bxe6 6. Nf3 Nc6
7. Be2 Bd6 8. d3 Qc7
=/+

c4で支えられるとPawn損にはなるが、e6で手順に捌ける。
白は陣形が乱れBishopも使い難く、Pawn得でも指し難い。


◆…
3. exd5 Nf6 4. Bb5† Bd7
5. Bxd7† Qxd7 6. c4 e6
7. dxe6 Qxe6† 8. Qe2 Qxe2†
9. Nxe2 Nc6 10. 0-0 0-0-0
=/+

白としてはc4の前にBishopを外へ避難させた方が良いが、
それでもe6からQueenを換えた後、d3やc2の弱点が残る。



【d4: Morra Gambit】
1. e4 c5 2. d4 cxd4
3. c3 dxc3 4. Nxc3 Nc6
5. Nf3 g6 6. Bc4 Bg7


Nf3とg6の交換が入れば結局、Gambitを受ける羽目になる。
(2. Nf3 g6 3. d4 cxd4 4. c3 d5 5. Qa4† Bd7 6. Qxd4 +/=)

Nc6は 7. Qb3 Na5 8. Bxf7† Kf8 9. Qd5 Nf6...のため必要。
※g6がなければNc6〜e6〜Bb4〜Nge7〜Ng6がおすすめ。


7. e5 Nh6 8. Bf4 0-0
9. 0-0 d6 10. exd6 exd6
11. Bxd6 Re8 12. h3 Nf5
=

7. 0-0 d6 8. Qe2 Nf6 9. Rd1 Bg4...はe5を突かせず黒良し。
黒はNf5〜Ne5が無理なら、h6〜Bd7〜Rc8などで待つ。

早いe5突きを取るとBf7†〜Qd5†の筋があり命懸けだが、
取らずにNh6から囲ってPawnも返してしまえば問題ない。



【c3: Alapin Variation】
1. e4 c5 2. c3 d5
…◇

c3と先に力を溜めると、Qxd5にNc3で先手を取れなくなる。
Nf6も普通だが、本稿では元気のよいd5を本線としておく。


◇…
3. exd5 Qxd5 4. Nf3 g6
5. d4 Bg7 6. Nbd2 cxd4
7. Bc4 Qc5 8. Nxd4 Nf6
9. 0-0 0-0 10. Re1 a6
=

黒は角を構えて待ち、kNightが動いてからcxd4を決める。
以下Bf1ならゆっくり指し、Bb3ならBg4で決戦も辞さない。


◇…
3. exd5 Qxd5 4. d4 g6
5. Na3 cxd4 6. Nf3 Bg7
7. Bc4 Qe4† 8. Be3 Nh6
=

Nc3が消えればcxd4とでき、Bxf7~Ng5の筋はNh6で防ぐ。
以下、Nb5〜Nc7にはRookを見捨てて大捌きに出る。


◇…
3. e5 Nc6 4. d4 Bf5
5. Bd3 Bxd3 6. Qxd3 e6
=

e5突き越しには、非角Bishop排出済のc5/d5/e6型に組む。
この好形に組めればフィアンケットするまでもなく満足だ。



【c4~g3: Botvinnik System】
1. e4 c5 2. c4 Nc6
3. Nc3 g6 4. g3 Bg7
5. Bg2 d6 6. d3 e5
=

恐らく白は Maróczy の専門家なので、Nc6~e5で全力妨害。
以下、Nge7~0-0~Be6と組めば容易に潰れることはない。

黒が主張を作りにいくなら途中a6〜Rb8でb5突きを見せ、
a4と受けてくればb4地点が薄くなって将来の弱点になる。



【b3: Queen's Fianchetto】
1. e4 c5 2. b3 g6
3. Bb2 Nf6 4. Qf3 d6
5. Bb5† Nbd7 6. Bxf6 exf6
=/+

Bb2先着にはNf6~d6(e5突きの防ぎ)で、0-0まで耐える。
Bb5†にNc6はe5~Bxc6†〜Qxc6†で困る。本譜が正解。



【b4: Wing Gambit】
1. e4 c5 2. b4 cxb4
3. a3 d5 4. exd5 Qxd5
5. Nf3 e5 6. axb4 Bxb4
=/+

駒を捌くための連続Pawn捨てだが、a3を取らずにd5が強い。
Qxd5がNc3で追われずに済む上に、次のQe5†を見て幸便だ。


~~~~~~~~~~~~


❸Nf3系統(含 Maróczy Bind)
1. e4 c5 2. Nf3 g6




【Bc4~c3: Pseudo-Alapin】
3. Bc4 Bg7 4. c3 e6
5. d4 d5 6. exd5 exd5
7. Bb5† Bd7 8. Qe2† Qe7
=

g6と形を決めたのを見てからの Alapin には注意を要する。
ただBc4型には例によって、e6~d5を狙う方針で問題ない。



【c3〜e5: Alapin Advanced】
3. c3 d5 4. e5 Bg4
5. Bb5† Nc6 6. 0-0 Nh6


最も手強いのは、単に白e5と突き越してBg7を弱める形。
d4が先だとQb6~Qb5で0-0を邪魔されるため本譜が自然。


7. d4 Bxf3 8. Qxf3 cxd4
9. cxd4 Nf5 10. Qd3 e6
11. Nd2 Be7 12. Nf3 h5
13. Bd2 Rc8 14. Rac1 Kf8
=

狭い非角Bishopは即廃棄しつつ、Nf5で弱いd4地点を狙う。
Nb3型にもh5〜Kf8〜Qb6で、Ba5さえ浴びなければ互角。



【Qxd4】
3. d4 cxd4 4. Qxd4 Nf6
…★

Nc6を後回しにしたので Bb5(Rossolimo)を回避できるが、
代わりにQxd4対策は必要。とにかくNc6でQueenを追う。

Nc6を防ぐ 5. Bb5 は a6 e5 axb5 exf6 Nc6で黒問題ない。


★…
5. e5 Nc6 6. Qa4 Nd5
7. Qe4 Nb6 8. Nc3 Bg7
9. Bf4 d5 10. exd6e.p. Bf5
11. dxe7 Qd7 12. Qe3 Nb4
13. Rc1 Nxc2† 14. Rxc2 Bxc2
=

Qe4に対する逃げ方は色々あるが、基本Nb6が安定した好形。
次は(8. Nc3以外なら即座に)d5突きを通して抑え込みを破る。

dxe7省略には0-0〜exd6だし、本譜の決戦も互角だろう。
(進行例は Bb5 Bxc3† Qxc3 Qxb5 Qxh8† Kxe7 Qc3 Be4...)


★…
5. Nc3 Nc6 6. Qa4 d6
7. e5 dxe5 8. Nxe5 Bd7
9. Nxd7 Nxd7 10. Bb5 Bg7
11. 0-0 0-0 12. Rd1 Qc8
=

先にNc3と構えてNd5を封じられる方が、黒にとって手強い。
Bd7にNxc6は取らずにQb6が良く、白は何を指しても手損。

途中Bxc6からのPawn損も、Rc8から手順に捌けて問題ない。



【Nxd4~c4: Maróczy Bind】
3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nc6
5. c4 Nf6 6. Nc3 d6
…☆

対 Maróczy Bind の黒陣は狭く、NかBを約2組換えたい。
黒の強いkNightと白のダサいBishopを残すのが理想である。

Bg7よりNf6を急ぐのは、Ng4を見せてBe3を牽制する意味。
これでBe3の前に白Be2かf3かh3を指させる。(多いのはBe2)

※Nxd4に Nf6 Nc3 Nc6は即同桂が厭。bxc6はe5で逐われ、
dxc6もQxd8†から損な終盤になる(が指せないことはない)。


☆…
7. Nc2 Bg7 8. Be2 Nd7 =

黒はNd7~Nc5と角道を通し、黒枡を支配して戦うのが基本。
Nc2はkNight交換を避けた控え目な変化で、後のb4が狙い。

以下はBe3と自然に展開しようとした瞬間Bxc3と切り崩す。
Bd2で備えられたら、0-0 0-0 Nc5でBxc3~Nxe4を見せる。


☆…
7. Be2 Bg7 8. Be3 0-0
9. 0-0 Nxd4 10. Bxd4 Bd7
11. Qd2 Bc6 12. f3 a5 +/=

白としてはNc2と引かず、Be3で前線を支えにいく方が自然。
黒はBd7と組むならまず、Nxd4でNc2と引く順を消したい。

shin先生推奨のBc6型に組む予定ならBe3は上がらせて良く、
Bxd4にNd7で角交換を見せて、再びBe3と引かせれば良い。

Nd7~Nc5~e6(Nd5の防ぎ)~Be5(d-Pawnの守り)以降は、
Qe7~Rfd8と組むかQh4やf5で仕掛けて一局の将棋となる。


☆…
7. f3 Nxd4 8. Qxd4 Bg7
9. Be3 0-0 10. Qd2 Be6
11. Rc1 Qa5 12. Nd5 Qxa2
13. Nxe7† Kh8 14. Be2 Ng8
=

Be2かf3の直後、Be3の寸前にNd4で好形のBxd4を防ぎ、
Qd2と戻らせて一手得するのが Gurgenidze System だ。

黒はBe6〜Qa5〜Rfc3〜a6〜b5を通せば大体互角なので、
白はNd5やNa4とブツケるが、Qxd2(時々Qxa2)で難しい。

Qd3型にはNc5を当て、Qe3型にもQb6とブツケて戦える。
(Qd2にa5は b3! a4 b4 Be6 Rc1 Nd7 Be2...の評価次第)


☆…
7. f3 Nxd4 8. Qxd4 Bg7
9. Be3 0-0 10. Qd2 Be6
11. Rc1 Qa5 12. b3 Rfc8
13. Be2 a6 14. Na4 Qxd2†
15. Kxd2 Nd7 16. g4 f5
…〆

7. f3で黒a5に備え、本譜やRfc1/Rab1型が白の最強手段。
(1/2-1/2 Nisipeanu L - Khalifman A, Las Vegas 1999)

Be3をBg5に代えても、f6〜f5の二段突きで本譜に戻る。
(途中 16. Bxe7 b5 17. Nc3 bxc4...はBh6†が強く良し)

以下 exf5 gxf5 h3 Rf8 f4に b5 cxb5 axb5 Bxb5 Nf6...
や gxf5 gxf5(Rhg8 Kh8)Nc3 fxe4 fxe4 Nf6...で難解。



※参考資料
『Play the Accelerated Dragon』2014 Peter Lalić
『Starting Out: The Accelerated Dragon』2008 Andrew Greet
『Anti-Sicilians: A Guide for Black』2003 Dorian Rogozenko
『Shin Uesugi's Page』
『Chess.com』(解析)
『Pigeon Log』(図面作成)


※※次回『King's i-Fianchetto d4 d5』
※大昔の前回『KK4の今日この頃』

†本記事は 将棋 Advent Calendar 12/24枠


将棋の初形は角を除けば完璧な配置なので、
最序盤はお互いの角の処分処置から始まる。
その時生じた僅かな歪みを咎めにいくのが、
先手居飛車の義務であり醍醐味ともいえる。

相手が一般に奇襲とされる戦法でも同様で、
むしろ定跡形以上に礼を尽くす必要がある。
今回は後手が角交換向い飛車を志向した際、
どのようにその歪みを衝くべきかを考える。

(制作にあたり、ukamuse氏に協力を仰いだ)


なお 26歩 34歩 25歩のオープニングは有効。
角頭歩や通常の後手筋違い角を封じており、
33角成を遅らせれば阪田流の牽制にもなる。
対居飛車も角換わりと相懸かりだけで済む。



26歩 34歩 76歩 24歩 25歩 同歩
同飛 88角成 同銀 33桂…(k)



21飛成 22飛 11龍 29飛成 46香 62王
43香成 65桂…(k1)
24飛 22飛 同龍 同銀 28飛 25歩
65角 32金 83角成 74角…(k2)
23飛成 22飛 33龍 29飛成 55桂 32銀
63桂不成 62王 71桂成 同王…(k3)
23飛成 22飛 24歩 32金 22龍 同銀
23角 31金 34角成 45角 同馬 同桂…(k4)

28飛 22飛 23角 32銀 同角成 同金
22飛成 同金 31飛 62王 11飛成 23飛…(k5)
28飛 22飛 23歩 21飛 65角 32金
83角成 27歩 48飛 23飛…(k6)
28飛 22飛 24歩 32銀 23角 27歩
同飛 45角 28飛 67角成…(k7)



角頭歩戦法(稀に角豆腐とも表記される)は、
24歩型の角交換向い飛車を見せ敵を焦らせ?
飛車先を換えてきたところを叩くのが狙い。
…もっと評価されて然るべき戦法だと思う。

かつて66歩が対策の決定版とされたものの、
44角から銀冠や向い飛車に組まれて難しい。
先手は78金や68玉と一手溜めるのが本手で、
後手も42飛や54歩で65角問題に備えておく。

45角や45桂がことごとく先手で刺さるため、
すぐに25歩と動くのも実際少々無理っぽい。
ただし…(k4)は限りなく互角に近い戦いだ。


※96歩と94歩を入れてから飛車交換すれば、
95歩~92歩~91飛の筋が生じ事情が変わる。
これを利用し95歩と位を取る作戦もあるが、
右辺で速攻を喰らう虞もあり微妙なところ。



26歩 34歩 76歩 24歩 78金 54歩
25歩 同歩 同飛 88角成 同銀…(K')



33桂 23飛成 22飛 33龍 29飛成 53桂…(K1)
22飛 23角 24歩 同飛 35角 41角成
同王 22飛成 同銀 28飛 44角 24歩…(K2)
22飛 23角 14角 同角成 同歩 23角
24歩 同飛 13角 28飛 57角成 24歩
26歩 同飛 35馬 28飛 52金左 48銀…(K3)
22飛 23角 14角 同角成 同歩 23角
24歩 同飛 13角 28飛 32金 24歩
同角 34角成 57角成 24歩 25歩 同馬…(K4)


26歩 34歩 76歩 24歩 78金 42飛
25歩 同歩 同飛 88角成 同銀…(K")

33桂 28飛 22飛 24歩 32銀 23角
25角 同飛 同桂 34角成 62王 45角…(K5)
22飛 23角 32銀 24歩 23銀 同歩成
14角 22と 25角 38銀打 14角打 68金…(K6)
22飛 23角 32金 34角成 25飛 同馬
27角 26馬 54角成 24飛 22飛 54飛…(K7)
22飛 23角 14角 同角成 同歩 23角
32金 34角成 25飛 同馬 27角 46歩
54角成 47馬 27飛 28飛 同飛成 同銀…(K8)



後手の人を戦法ごと焼き尽くすつもりなら、
部分的に最強の手である78金から考えたい。
手損しない54歩と隙のない42飛の二択だが、
いずれにせよ飛先交換に33桂は成立しない。

銀に紐をつけ33角の攻防手を消したお陰で、
先手は22飛に23角からの馬作りを目指せる。
以下32銀には24歩で、32金なら角を逃がす。
(23角以降の33桂は飛角を切って21飛で潰れ)

(K3)は41角成と34角成を防ぐ自然な流れで、
難解だが先手の角は生還するか花と散れる。
(K4)も33金には 48銀 24馬 同馬 同金 56角、
33桂~25歩には58飛でいずれも先手持ち。

(K7)はとにかく後手の馬を消すのが急所だ。
(54角成のところ45角成なら、85飛がある)
(K8)は15角を消して54飛に26飛を見た順。
歩得ながら馬を作り合う力戦で相当難しい。



26歩 34歩 76歩 24歩 68玉…(L)



42飛 25歩 同歩 同飛 88角成 同銀
22飛 23歩 42飛 48銀 62王 78玉
72王 36歩…(La1)
54歩 25歩 同歩 同飛 88角成 同銀
22飛 23歩 52飛 77角 33角 48銀…(La2)
54歩 25歩 同歩 同飛 88角成 同銀
22飛 23歩 52飛 77角 55歩 同飛
同飛 同角 27飛 11角成 23飛成 22歩
同銀 21馬 31金 53桂…(La3)

42飛 78玉 88角成 同玉 22銀 78銀…(Lb1)
54歩 78玉 88角成 同玉 22飛 77角
33角 66歩…(Lb2)
54歩 78玉 88角成 同玉 33桂 23角
45角 78玉 42金 46歩 22銀 45歩
23銀 31角…(Lb3)



68玉は22飛ブツケに23歩でしか反撥できず、
(23角は24歩~33角が先手で入るため微妙)
姿は大変良いものの漠然とした展開になる。

飛車先を換えた後に23歩と打ち直す流れは、
普通の角交換四間より手得だが形勢は不明。
22角は同銀~24歩~33角があって成立せず、
結局左右の桂を捌いて空中戦にする他ない。

78玉で88同玉と取れることに満足するのも、
居飛車党過激派らしくはないが自然な対応。
24歩型を相手し慣れているならアリだろう。


※実は 26歩 34歩 76歩 42飛 68玉 24歩なら、
KK4模様から68玉を見て角頭歩にできる。
(先手がわざわざ避ける順とも思えないが…)
もしこれを厭うなら25歩を早く決めるべき。



26歩 34歩 76歩 33角 同角成 同桂
25歩 22飛 65角 45桂 48銀 55角
98香 99角成 78銀…(O)



42飛 83角成 98馬 56馬 84香 45馬
87香成 同銀 同馬 84歩 88歩 39銀
89歩成 83歩成 82銀 75桂 54銀 56馬…(O1)
42飛 83角成 98馬 56馬 44歩 46歩
84香 45歩 87香成 同銀 同馬 66馬
88歩 77桂 89歩成 47銀 45歩 44香…(O2)
42飛 83角成 98馬 56馬 44歩 46歩
54香 66馬 57桂成 同銀 同香成 同馬
88歩 77桂 89歩成 84香 88と 81香成…(O3)

42銀 83角成 98馬 56馬 57桂成 同銀
88歩 77桂 89歩成 66馬 32金 65桂
88馬 77銀 87馬 54歩 同歩 22馬…(O4)
42金 83角成 98馬 56馬 57桂成 同銀
88歩 79金 89歩成 同金 97馬 92歩
44桂 66馬 92香 46歩…(O5)
98馬 43角成 84香 53馬 87香成 同銀
同馬 63馬 62飛 45馬 65飛 43桂
42王 31桂成…(O6)

98馬 43角成 88馬 46歩…(O')


鬼殺し向い飛車戦法(窪田流四手目33角)は、
手損をせずスマートな向い飛車に組む狙い。
無論、こんなずるい戦法は潰すより他ない。
…当ブログは基本的に常時このノリである。

島ノートで無理とされた65角を堂々と打ち、
98香で馬筋を逸らして敵の桂を取りに行く。
銀杏交換後は66歩でなく84歩~39銀が本線。
(42飛が54歩に代わっても同じ対応で良い)

42銀や42金なら82飛の逆襲が消えて一安心。
57桂成~88歩には77桂と79金を使い分ける。
(44歩と66馬の交換はこの場合先手の得か)
単に98馬~84香なら53馬~63馬で問題ない。


※99角成のところ35歩なら83角成が自然だ。
以下 99角成 78銀 36歩 同歩 55馬 26飛 19馬
56馬 57桂成 同銀 54香 66馬 57香成 同馬…
は先手が厚く、他に35歩を活かす順もない。



26歩 34歩 76歩 33角 同角成 同桂
25歩 22飛 65角 45桂 48銀 55角
98香 99角成 78銀 98馬 43角成 88馬
46歩…(O')



42飛 34馬 37桂成 同桂 32香 56馬
36歩 45桂 37歩成 29飛 48と 同金…(O7)
42飛 34馬 37桂成 同桂 47歩 同銀
32香 35歩 34香 同歩 62王 68玉…(O8)
52金左 34馬 37桂成 同銀 32香 56馬
37成香 同桂 36歩 27飛…(O9)



ぶっちゃけ角はどちらに成ろうが大差なく、
98馬~88馬を優先された方が個人的には厭。
対して34馬は55馬と引かれて困るので46歩…
しかしここで32香を絡めた小鬢攻めが怖い。

機械は例によって先手の味方をしてくるが、
人間的には後手の攻め筋も多彩で、難しい。
(O8)のように歩切れを咎める順も多数あり、
絶対大丈夫だよという信仰のもと私は戦う。


※ちなみに後手番の元祖鬼殺し(可章馬)は、
26歩 34歩 76歩 33桂 25歩 45桂 48銀 35歩
46歩 88角成 同銀 55角 77角 46角 26飛
57角成に58金右ぐらいで普通に駄目である。

※※99角成をさぼって先に42飛と廻ると、
星田研究の 78金 99角成 88金で即死する。
88馬をさぼるのも33馬~馬引きが手厚い。



26歩 34歩 76歩 33角 同角成 同桂
25歩 42飛 68玉 62王 48銀 72王
58金右 22飛 77角 42銀 36歩 54歩
37銀 32金 46銀…(Q)



44角 66歩…(Q1)
21飛 35歩 同歩 同銀 53角 38飛
64角 46歩…(Q2)
21飛 35歩 同歩 同銀 55角 同角
同歩 34歩 45桂 18角 54角 46銀…(Q3)



…ただ残念ながら33角自体はまだ滅びない。
42飛(或いは32金)と深く反省されてみると、
先手もこの手を更に咎めに行くのが難しい。
(44角に66角で受けやすくなった意味はある)

仕方がないので先手も68玉と通常形に戻り、
一手損で向い飛車に振り直す順を警戒する。
具体的には、22飛の瞬間の77角~早繰り銀。
58金右で中央に備えておくのが肝要である。

今は有名な構想なので詳しくは述べないが…
念願叶って44角と打たせて角道を閉じても、
自玉の厚みを勝ちに結びつけるまでは長い。


※居飛車党過激派的には(Q)の時点で温く、
78玉~24歩~23角の筋で咎めに出るべき。
12角~同飛~32金/銀は 34角成 22飛 88銀。
25角や25桂も馬が残って模様は良さそう。



26歩 34歩 76歩 33角 同角成 同桂
25歩 42飛 68玉 32金 48銀 62王
58金右 72王 78銀 44歩 56歩…(T)




(↑78銀が78玉に代わっても大差はない)

45歩 57銀 44飛 36歩 64角 37角
同角成 同桂…(T1)
45歩 57銀 35歩 77角 22銀 79玉
82王 96歩 94歩 88玉 72銀 86歩…(T2)
45歩 57銀 35歩 77角 62銀 79玉
51金 26飛 43金 36歩 同歩 同飛
34歩 26飛 32銀 96歩 94歩 88玉…(T3)
41飛 79玉 42銀 66歩 21飛 88玉
43銀 65歩 25桂 16歩 24歩 15歩
82王 96歩 94歩 67銀 72銀 78金…(T4)
41飛 79玉 42銀 66歩 43銀 65歩
35歩 88玉 52金 77桂 21飛 66角
54歩 57銀 62銀 67金 53銀 46銀
34銀 55歩…(T5)



立石流は組まれると面倒なので、断固拒否。
(45歩に57銀、44飛には36歩、35歩は77角)
左金で34金型まで実現されると大変ながら、
43金の瞬間に飛車先を換えれば大抵は通る。

早い向い飛車25桂ポンには同飛~85飛が形。
低い陣形では65角や36角~25飛を防げない。
43銀・32金+下段飛車を崩すのは難しいが、
雁木に盛り上がって将来の玉頭戦に懸ける。


※44銀・43銀・32金型は34銀の瞬間を狙う。
(62王型には17角、72王型には54角が含み)
(T2)の77角に41飛なら24歩~36歩と動き、
角を手放した状態での43銀型自体許さない。



26歩 34歩 76歩 32金 25歩 33角
同角成 同金 68玉 22飛 48銀…(S)



24歩 同歩 同金 46歩 25金 45角…(S1)
62王 46歩 55角 77桂 46角 47銀
64角 56銀 35歩 66歩 36歩 65歩…(S2)
62王 46歩 72王 47銀 65角 56銀
76角 78銀 44歩 77角 42銀 45歩
同歩 36歩…(S3)
42銀 46歩 24歩 同歩 同金 47銀
25金 38金 26歩 36歩 35歩 23歩
同飛 37桂 36金 45角…(S4)
62王 46歩 24歩 同歩 同金 36歩
25金 77角 44角 同角 同歩 37銀
54角 45歩 26歩 44歩 42銀 66角…(S5)

42銀 46歩 62王 47銀 72王 36歩…(S')


阪田流向い飛車は相当手強い戦法だと思う。
(決定版が存在するか自体正直全く判らない)
ただ後手から急戦を成立させるのも難しく、
38銀と備える方が手堅いが48銀でも受かる。

以降はとにかく無心に47銀36歩型を目指し、
仕掛けられたら38金~37桂で金を追い返す。
後手は筋違い角も筋違わない角も打てるが…
腰掛け銀に中原を逐われ戦果は挙がらない。

(S4)の手順中、35歩に代えて54角なら45歩、
14角も 37金 35歩 同歩 同金 77角で大丈夫。
25歩~三筋交換も38飛や56角で迎撃できる。
(S5)は33角で受けても角交換~35歩がある。


※やねうら王の愛用する33金型の居飛車も、
もっと評価されて然るべき戦法だとは思う。
ただ、45桂早仕掛けへの対策が必須となる。



26歩 34歩 76歩 32金 25歩 33角
同角成 同金 68玉 22飛 48銀 42銀
46歩 62王 47銀 72王 36歩…(S')



44金 78銀 35歩 77角 33桂 35歩…(S6)
24歩 同歩 同金 37桂 25歩 38金
35歩 78玉 33桂 77角 21飛 68金
82王 45桂 同桂 同歩 72銀 23歩…(S7)
24歩 同歩 同金 37桂 25歩 38金
33桂 78玉 62銀 68銀 51金 96歩
94歩 77銀 64歩 68金 63銀 29飛…(S8)
82王 37桂 72銀 78銀 44歩 96歩
94歩 77銀 43銀 78金 32金 38金
54銀 86銀 33桂 77桂 21飛 95歩…(S9)



44金や24歩や32金など後手金の動きを見て
金の配置を決めるのが私好みの呼吸である。
先手としては三枚で堅く囲う順も有力だが、
持久戦では縦から攻める方が打開しやすい。

金が上ずると小鬢狙いの77角~45桂があり、
いつでも動けるはずなのに動きが取り難い。
かといって仕掛けなければ43銀・32金型の
「意識低い系振り飛車」に帰着してしまう。

意外とよく遭う(S8)の中国製美濃相手には、
いかにも脆い玉頭を地下鉄飛車で狙いたい。
美濃で端を突く(S9)は矢倉~86銀が炸裂し、
端を突かないと今度は銀冠~96銀が生じる。


※33角成を保留し 48銀 94歩 96歩と待てば、
後手が自然な阪田流に持ち込みにくくなる。
(ただし先手も25歩型角換わりの知識が必須)



26歩 34歩 76歩 32金 25歩 33角
同角成 同金 68玉 65角 48銀 76角
77玉 54角 78銀 22飛 56歩…(§)




(↑78金型の方が囲いとして数段堅く、優る)

44金 57銀 24歩 55歩 同金 24歩
27歩 58飛…(§1)
44歩 55歩 43角 36歩 42銀 57銀
62王 56銀 72王 46歩…(§2)
64歩 38金 42銀 57銀 24歩 同歩
同金 66銀 27歩 同金 35金 26歩…(§3)



筋違い角は大抵の角交換振り飛車で打てる。
ただ局面が煮詰まりかけてきた頃でないと、
自由奔放な駒組みで角を目標にされて困る。

筋違い角との相性が良い阪田流向い飛車も、
この法則から逃れることはできないらしい。
先手は角を追いつつ中央を制する味が良い。

44歩なら歩で角を追い、歩で角頭を攻める。
64歩なら金で飛頭を守り、銀で角頭を叩く…
実際の形勢は謎だが、気分良く戦えそうだ。



p.s. (2018/11/11-)

26歩 34歩 76歩 88角成 同銀 65角
38銀 76角 78金…(ß)



22飛 77銀 54角 66銀 24歩 55角…(ß1)
22銀 77銀 54角 66銀 33銀 55銀
65角 77桂 76角 25歩 44歩 26飛
32角 36歩 74歩 35歩 同歩 46銀…(ß2)
44歩 77銀 32角 25歩 22銀 24歩
同歩 同飛 33銀 28飛 54角 36歩
22飛 23歩 42飛 66銀 24歩 55銀…(ß3)
44歩 77銀 43角 46歩 22銀 47銀
33銀 56銀 22飛 68玉 62王 79玉
72王 58金 35歩 47金 24歩 36歩…(ß4)



対正調筋違い角では飛先を換えたくなるが、
衝動を抑えて銀を中央に使う方がより自然。
(ß2)では45桂や66角、46飛などの筋もあり、
角を追いつつ攻めれば先番の利も出やすい。

先後逆ならもう少し緩やかな将棋になるが、
セオリー通り54銀~45歩と位を張れば良い。



26歩 34歩 76歩 32金 25歩 33角
同角成 同桂 78銀…(〒)




42飛 68玉 41飛 48銀 42銀 79玉
62王 58金右 72王 66歩 44歩 56歩…(T0)
44歩 58金右 42飛 68玉 45歩 48銀
46歩 同歩 同飛 77銀 62王 78玉
72王 24歩 同歩 同飛 23歩 28飛
41飛 56角 45歩 36歩 44飛 66銀
54歩 37桂…(〒1)
44歩 58金右 42銀 24歩 同歩 同飛
23歩 34飛 43銀 36飛…(〒')



27角 46歩 84歩 56角 36角成 同歩
54銀 38角…(〒2)
27角 46歩 36角成 同歩 27飛 47角
24飛成 96歩 94歩 35角 34龍 37桂
54銀 95歩…(〒3)
42飛 26飛 41飛 77銀 62王 68玉
72王 36歩 21飛 25歩 34銀 37桂…(〒4)



居玉で43銀・32金型を目指すのは有力策。
対振りなら手数を六筋の位に変換できるが、
相居飛車で通されると先番の利をほぼ失う。
故に、飛車を振る前の42銀には横歩を取る。

早い78銀は態度を聞く44角を封じている。
39銀・58金型で28角を消し、27角を打たせ、
56角覗きや端攻め〜83角成の筋に期待する。
(向い飛車も36歩~37桂が間に合って受かる)

この組み方だと早い四筋交換を防げないが、
(〒1)のように56角で桂頭攻めを見せれば、
次に 45桂 同桂 46歩の圧迫もあり不満ない。



26歩 34歩 76歩 32金 25歩 44角
24歩 同歩 同飛…(N)



23歩 44角 同歩 34飛 45角 15角
52王 42角成 同王 44飛 51王 45飛
33桂 65飛…(N1)
88角成 同銀 33角 21飛成 88角成 77角
同馬 同桂 22角 66角 同角 同歩
22角 65桂 52飛 24桂 23銀 55角…(N2)



菜々河流44角には最速で飛車先を換えて、
33金〜22飛を許さない。(N1)の15角が肝。
44同角と先に決めるか否かは先手が選べる。


~~~~~~~~~~~~

…学生時代からの宿題が、ひとつ片付いた。
こういった戦型は漠然として精査が難しい。
今回は割愛した33桂型や33金型の居飛車も、
今後きっとまた増えてくるので検討課題だ。

十分な品質を得ないまま上げてしまったが、
加筆修正を加えつつもう少し考えてみたい。



開始日時:2018/04/10 棋戦:竜王戦
先手:斎藤慎太郎 後手:西川和宏
※本来の表紙『さうざんでいず』


二、三百年後の地上の生活は
想像も及ばぬほど素晴らしい
驚くべきものになるでしょう
人間にはそんな生活が必要で
よしんば今それがないにせよ
人間はそれを予感し待ち望み
夢み、準備せねばなりません
そのために父や祖父より多く
見聞きし知らねばなりません
(笑)
だのに貴女は、余計なことを
どっさり知ってるなどと仰る

А.П.Чехов 三人姉妹 1




以下は主に日本語の復習と自分用のメモ。
適宜追加予定。


【将棋生活】

父相手に26歩27飛25歩26飛と可愛い居飛車?で仕掛け,
すぐ飽きて引き分けとしたのが記憶にある最古の将棋。
後に私は風車戦法を会得しその守備力を究極の域にまで高め…
58玉59飛27金37桂47銀57角67銀77桂87金型の「センターマン」を武器に小学校を制覇したのであった。


図書館に何故か置いてあった「将棋戦法大事典」を読破することで,私は将棋の序盤を学んだ。
中二の頃だ。
三人の共著者からはそれぞれ,
三間飛車の美学,弱い者が強い者を倒す方法,
何にでも自ら命名してみる習慣を主に受け取った。
そうして十年後…気付けば自分も将棋戦法事典を作っていた。


書店で初めて「島ノート」を見たとき,手持ちのなかった私は人生で初めて他人からお金を借りた。
しかしいきなり現れた鬼殺し向い飛車なる謎戦法と65角からの大決戦に辟易して,暫く投げ出した。
製本が崩壊する程度には読んだはずなのだが…この順が物凄く重要だと気付くまでに十数年掛かった。


我らが母校の校則には
「囲碁将棋は人生を浪費する悪い遊びなので禁止」
的な一文がしっかりと記されており極めて遺憾であったが棋道部自体はしっかりと存続していた。
(※同部活は後に私が半壊させた)
実際のところ冒頭の文言は誤りで,囲碁将棋は脳をそのゲーム用に改築する超悪い遊びである。


近所の将棋部にお邪魔したことも数度あるが,他大に入り浸るにはコミュ力・棋力不足。
それにしても団体戦の振り駒直後,毎回ひとりひとりが順々に手を挙げて
「ぼくせんてー」
「ぼくごてー」
「ぼくせんてー」
と流麗なcombinationを決めている某大学。
あれは一体何の儀式なのか…


今迄に道場で出会った強者の中でも,
読み筋のまるで合ったことがない相手はK御門五段であった。
矢倉29飛や手損角換わりや銀冠を好む手厚い居飛車党で,感想戦も強い。
そんなK御門氏から全面的賛同を得たことが一度だけある。
「今一瞬の快楽が全て!」と叫びながら相手の駒を取ったときだ。


Q:「当機立断」を読み下せ。
某I葉八段の昇給祝賀会で,このように揮毫された扇子が配られたそうな。
当県アマ棋界はR命館大の学生に散々痛め付けられており,
司会のN村五段は機に当たって立ちどころに正解を断じた。
A:「まさに きは りつを たつべし」
…なお某八段の兄も立である。


居飛車急戦党:
「急戦は一手間違えるとすぐ自玉が寄るから正解を見つけやすい」
「味方の駒の利きが重複したらその時点で間違いなのでそれ以上読む必要がない」
「そして本筋をひたすら掘り下げる」
「三間飛車"党"には棒銀が最も有効」
穴熊党(私):
「なるほど(生きてる世界が違う…)」


この前久々に対三間飛車の急戦を指そうとしたが…
時既に遅く生理的に船囲いを組めない身体となってしまっており,反射的に59金右と寄っていた。
見た目からして若干orzな感じながら,実際指してみると意外に堅い。
この68銀69金59金型の右銀急戦も相手の形次第ではアリかもしれない。


加藤一二三九段が久々に勝ったので,埃を被った布盤を四ヶ月ぶりに広げて棋譜を並べてみた。
(※ちなみにマグネット盤は消失した)
布盤に残った折り目は極めて強固で,五段目に置いた駒が流れ落ちてゆく。
…中座飛車が不安定な悪形であり,加藤先生愛用の84飛型がより優ることを再認識できた。


【分類不能】

玉方:2二玉,3二金,1四歩
攻方:1二銀,3四龍
持駒:角,桂,香
某プロが解くのに一時間掛かり「一時間以内に解けたら私より強い」と言ったとか言わないとか。
H山道場の皆で暫くつついて正解っぽい筋は判明したが,二十一手詰の本手順(金金飛)を今ようやく見つけて独り感動している。


答え:
▲4四角△3一玉▲5三角成△4二金打
▲3二龍△同玉▲3九香△3三金打
▲同香成△同金▲3一金△2二玉
▲2一金△1三玉▲3五馬△2四飛合
▲2三銀成△同金▲2五桂△1二玉
▲1一金打まで二十一手
…恐ろしい合駒問題だ。(なお▲4四角に合駒なら▲2四龍と寄る手がぴったり)


玉方:3九玉,6七歩
攻方:5七飛,5九歩
持駒:金、銀四
さうざんでいずの表題。(=表紙に置いてある問題)
結局これが私の人生で最初にして最後のまともな自作詰将棋となる見込みである。
玉方8八角を加えたバージョンでは読む量が増え手数も四手伸びるが,個人的には簡素なこの図が好き。


答え:
▲2八銀△同玉▲1七銀△2九玉
▲2七飛△3八玉▲4七銀△4九玉
▲2九飛△3九銀合▲同飛△4八玉
▲5八金△3九玉▲2八銀打△2九玉
▲3八銀打△1八玉▲2七銀左△2九玉
▲3八銀左まで二十一手
…角合いでも同手数にはなる。(私は最後のスーパー尻銀プレスがやりたかった)


将棋があまりに弱過ぎて,書けることが何もない。
HNの由来は当時意図的に書き忘れていた事柄のひとつだが,
「十一ノ山山一人朝げ」→「一人朝げ」→「あさげ」の順でこうなった。
(これ以上は個人情報に配慮して割愛)
良くも悪くもbreakがfastな棋風は,昔から全く変わらない。


CassiopeiaがWを描く方向から見ると,
左上には北極星,
右上には夫(Cepheus),
右下には娘(Andromeda),
そして左下には娘婿(Perseus)がいる。
明日の夜には例年通り,Perseus氏の腋の下から全天に向けて無数の塵芥が放射される見込みである。


無作為に選んだ二個の自然数が互いに素である確率は,6/π^2 となることを示せ。
(「割りきれない話」)


5×5×5の箱に,
1×1×1の積み木五個,
1×2×4の積み木六個,
2×2×3の積み木六個を詰め込め。
(「寄木細工っぽい何か」)
…美しかった駄問。
紙とペンだけで30分以内に解ければ晴れて變態の仲間入りである。
実物を作って気になる人にあげれば晴れて我が心の友入りである。


3.1と5.9を足すと四捨五入がふたつ重なるので,
9.0(8.95以上9.05未満)ではなく
9(8.90以上9.10未満)と表記しましょうね…
というお話とばかり思っていて,みんな誠実で素敵だなあと感心していたら全然違った。
関係ないがうちの業界,検査値は割とファジーである。


「3-5+10-19+20+22+23-56-79…」
と突然問われたとき,
五秒以上返答に詰まったり数字で答えたりしたら不合格。
「a+」と続きを言うか,
「cyclin D1はどうでしたか」と質問に質問で返せば合格。
(+ならMCLだ。-なら…CLL/SLLかDLBCLかも)


【大学ノート】

さうざんでいずの最も役立った記事(※私自身の場合):
三位「生きとし生けてないもの」
…ウイルスの種類を覚えるのに有効。
二位「こんがらがった午後」
…学生時代,物凄く苦手だった結紮の話。
一位「敵を知れども己を知るな」
…これを読めば誰でも何となく血球目視分類ができるように!?


「カフェインを摂取することで計算速度が増すか」
について学年全体でRCTを施行し,
結果は「有意に然り」であった。
あの実習以来,私にとって珈琲は単なるドーピング薬物となった。
将棋大会があれば必ず持ち込み,酷いときには1㍑ほど摂取しているのだが…
未だに注意されたことはない。


モリブデン99はβ+壊変でテクネシウム99mになる。
("m"は核が余分なenergyを有するという意)
99mTcは140keVのγ線を1個出して,半減期6時間で普通の99Tcになる。
この値が実に良い感じなので,RI検査では99mTc(の化合物)を用いることが圧倒的に多い。


テクネシウムは原子番号43と若い癖に,
宇宙で長時間生存できる同位体がない。
だから人工的に作られて「発見」され,
人工即ちテクネーからその名が付いた。


弗素18は半減期110分で酸素18と陽電子とνeになり,陽電子は近所の電子と対消滅して511keVの光子を2個出す。
PETで使われる18F-FDGはブドウ糖のふりをして細胞内に侵入し,解糖されずに居座って大食らいな癌細胞を特に明るく照らす。
壊変後はブドウ糖に戻る…といいな…


私の叔父は心臓が元々の専門だったが,
逸早くPETを大量に導入・活用して多くの早期癌(或いは偽陽性)を発見し…
一億総PETの魁となった。
そうしてPETを自分自身に活用することもなく心臓病でさっと世を去った。
親より先に死んだという点を除けば,私も斯くありたいと思わなくもない。


ロシア国旗を見るたび,
寒冷の地において手指が白→紫→赤と移ろいゆくRaynaud現象を簡潔かつ美しく表現した素晴らしいデザインであるなあと常々思っていたのだが,
どうも違うらしい。


「ぺるおきしだぜ」は男の子(M系)白血球に特有で,女の子(L系)にはない。
思春期にはニキビ(azur顆粒)として現れ,
増えて頬の切り傷(Auer小体)になれば悪い男の子AMLとすぐ判る。
切り傷だらけのfaggot細胞はM3だ。
なお不良ショタM0のそれは電顕でしか見えない。


かつてAML-M3は最も凶悪な白血病のひとつだった。
しかし中国の研究者達が
「ビタミンAの凄いやつ(ATRA)でM3がなおるよ!」
「漢方薬に入ってる亜砒酸もめっちゃ効くよ!!」
などと意味不明なことを言い出し,
実際その通りであったので以来M3はAMLの中で最も予後が良い。


この逸話のことを思い出すたび,私は深い感動を禁じ得ない。
同時に,平凡な日々の中で忘れがちな幾つかの真実を何とか再発見し…そうして仕事に戻る。
険しい道こそ切り開く価値がある。
古きものに敬意を払う必要がある。
天才は世界を自分色に塗り替える。
真に美しい新手は一生輝き続ける。


【東洋医学】

さうざんでいずを書き足し,フェルソンを読み直し,傷寒論を書き下し終わったら一日が終わっていた。
約1800年前に記された傷寒論は,今も漢方を学ぶにあたって必ず最初に開かれる古典である。
著者の天才により,読み進めるだけで生薬各々の効用と加減の妙が自然と学び取れる仕様になっている。


「ひよわ」を漢字で書くと「脾弱」。
東洋医学の「脾」は,脾臓ではなく主に消化機能を意味しており…
これを補うことが病邪を攻めることと同じくらい重視されている。
脾弱な子の体質改善には小建中湯が頻用され,私もこれで育った。
西洋医学では同様の効能を持つ薬はまだ現れていないと思う。


「利水」も漢方特有の概念だと思う。
利水剤の代表選手は五苓散で,胃腸炎から二日酔い乗り物酔い,
雨の日の頭痛に果ては高山病予防とその適用範囲は茫漠である。
(小児でも坐薬にすればナウゼリンより明らかによく効いている)
旅行中など手許に置いておきたい,マイベスト漢方薬といえる。


「風邪に葛根湯」とよくいうが私自身は効果を実感できたことが殆どない。
中国漢方では日本が鎖国している間に普通の風邪即ち温病の研究が進歩し,
銀翹散などの新しい漢方薬を用いると聞くが日本の保険診療では使えない。
風邪が病の形をなす前に,補中益気湯や桂枝湯で予防したいものである。


031 太陽病,項背強ばること几几,汗無く悪風する者,葛根湯之を主る。
032 太陽と陽明の合病たる者,必ず自下利す。葛根湯之を主る。
…週末から馬肉か何かの影響で下痢中。因果応報である。
実は葛根湯証は傷寒論に二回しか登場しないレアケースで,
満量服したが今回も効果は謎だった。


例えば「腸管上皮は四日で再生する」という比較的どうでも良さそうな知識が,
時には人に今暫く頑張って生きようという希望を与え予後を変えることもある。
…最早寝床ですら平穏は得られない。便座の上にしか安息の地はない。


銀杏の 中毒量は 40個。
(歳の数より多く食べるな,ともいう)


大黄,地黄,麻黄…
これらの生薬はいずれも太刀筋鮮やかで常に主役を張り得る逸材ながら,
胃腸にとっても優しくないので私はイエローカードと呼び警戒している。
(ダイチマオで覚えても多分大丈夫)
大黄は瀉下,麻黄は発汗を通じて病邪を除く。地黄は血や腎気を補い,あらゆる老化現象に抗う。


最古の薬学書にして今も輝きを失わない「神農本草経」の冒頭には,命を養う上薬として
玉泉(?),丹沙(HgS),水銀,空青/扁青(藍銅鉱),曽青(孔雀石),雲母消石滑石石英…
と錚錚たる顔ぶれが並ぶ。
植物アルカロイドすら抗がん剤として操る現代でも,これらの活用方法は想像を絶する。


アスピリンは,私の中では漢方薬。
2400年の歴史をもつ解熱鎮痛薬ヤナギの正統な後継者でありながら,
微量で用いれば抗血小板薬となる。
ついでに抗炎症作用でがんまで抑えているっぽい。
…何ともshadeのある薬だ。
証を無視して濫用するアメリカ人を大量殺戮している辺りも趣がある。


【西洋将棋】

突然ですが,チェスについて書きます。
1.d4にはKing's Indian Defense(以下KID),
1.e4にはModern Defense(別名Robatsch)かSicilian Dragonを愛用してます。
白番なら,1.Nf3からBarcza Systemです。


調べてみれば一目瞭然ですが…
これらの戦法はいずれもKing's bishopを将棋の角と同じラインに置き,王様を素早く固く囲って適当に捌くのが特徴です。
現在の流行形ではありませんが,将棋指しがチェスをささっと覚えるには効率的な組み合わせのひとつだと思いますし実際有効でした。


d4 Nf6 c4 g6 Nc3 d5と黒から積極的に駒をぶつけていくGrünfeld Defenseは,
KIDよりも簡明?かつCatalanとも感覚が近く?勉強し甲斐があります。
ただ白にc4-Nc3-e4-d4の順で組まれるとd5を突けず,別の作戦が必要になる点には要注意。


白なら基本的にKing's Indian Attack(以下KIA)を目指しますが,
Nc6などで次にe5を狙われたら即d4を突いてCatalanに遷移します。
Nf3 d5 g3 c5 Bg2 Nc6なら逆KIを避けてd4の逆Grünfeldが楽しいです。(先手の利は消えます)


同じKIAでも囲いを先に作るBarcza式だと,後手はBf5やBg4と排泄した後でc6, d5, e6型の堅い魚鱗の陣を敷けます。
ただb筋が薄かったりQe1-Ne5-f4の不思議活用ができたりで個人的にはそこまで不自由を感じません。まあもっと上のレベルではしんどいのでしょうね。


Nf3 Nf6 g3 b6 Bg2 Bb7 O-O e6 d3 d5 Nbd2 Nbd7は課題。7.e4と突き難い。
(Kasparov-Habu戦では6…Be7としたため7.e4 dxe4 8.dxe4 Nxe4にNe5-Bxb7-Qf3を生じ7.e4が成立,白ペースになった)


チェスでは普通,とりあえず全ての駒を活用しておかないと強力なコンボや大技は出せない仕様になっている。
ただし駒毒に溺れたり,駒の働かせ方が不十分だと大技が簡単に決まって潰される。
c筋のポーンは二筋三筋の歩と同じで気持ち早目にポンポン捨てた方が駒の捌きも良いし,大抵取り返せる。


ナイトはなるべく敵陣深く,敵ポーンの死角に潜り込むのが良い形。
ビショップは角と同様,安全な場所から敵の駒を遠く睨むのが最上。
強者が最下段の駒を急いで捌くのは両端のルークを活用するためで,
ルークは自陣のポーンが消えた筋に据えるだけで十分に働いている。
クイーンは…交換しとく。


金将のいないチェスでは接近戦でのキングの強さが際立つ。
敵ビショップと色違いの位置,敵ナイトの縦横or二間トビorハザマ?の位置をキープしつつ,
敵陣最弱のポーンに向けて突進すれば大体は何とかなる。
まあ結局,相手より一手早くポーンが成れると読み切りさえすれば何でもアリなのだが…


ネットチェスで勝つコツ:
欧州(含む旧ソ連諸国)の人達が活発に動く時間帯を避ける。


【将棋研究】

角換腰銀同形(全端不突)の少し手前,78銀69金84歩81桂型から45歩と仕掛けていく『角換わり左美濃(みるふぃ流)』を時折試しています。
気になる受けは45歩の直後に85歩。77銀と受けるのはそこで45歩と取り返されると困ります(先手陣が脆弱)から,44歩と取り込むのでしょう。


…次に継ぎ歩を喰らうと辛いので44同銀。そこから飛車先の換えあいは後手に利がある感じですが,77銀にも42金右とかでバッチ来いされてみると指し手が難しい。45歩~46角も73角で効果薄そう。
素直に78金でしょうか。以降は後手に選択肢が多く,より間違えやすい分先手満足ですね(?)


最近ponanza先生の「対振りなんて全部銀冠→銀冠穴熊でいいんだよ」説が真実味を増しつつある。
(対四間飛車でも組めているのが個人的には衝撃的)
さうざんでいずの中でも『振り飛車対策』は比較的存在価値を保てているジャンルだと思っていたが,最早この子も要らない子なのかもしれない。


最近の私の対振り飛車:
1. とりあえず銀冠か穴熊に組む。
2. とりあえず銀冠穴熊を目指す。
3. 抑え込まれて少し悪い。粘る。
4. 粘るのは好きなので実質勝利!
銀冠穴熊が得意なponanzaと一見似ているようでいて何かが違う気もするというか…
全然別物になっている不思議。


四間飛車+飛車落ち上手の陣形(32金43銀53銀62金72王型)から,
45歩44銀右と盛り上がる的な謎戦法をO西さんによく指される。
…よく判らないので銀立ち矢倉か六筋位取り左美濃に組み玉頭から撲殺している。
四筋を逆棒銀で突破されても陣形が薄いので大抵カウンターの方がきつい。


2016/9/12王位戦第六局は愛腰銀先手46角型。対して後手が普通に囲うと三筋の歩交換~36金~15歩~24歩という升田流の猛攻などがあって危なかった。
角を打たせてから右玉に組むこの呼吸は角交換型全般で現れる高等戦術で,
将棋戦法大事典では「ジョギング玉」と命名されていた。


2016/9/25叡王戦 広瀬-千田の愛腰銀81飛62金42王型は真実に相当迫っている感じがする(迫真)
31王と47金の交換は多分後手の損。
65同銀~63歩~64桂なら後々中央に先手の成駒が二枚並ぶがそれでも後手悪くない。
成駒に追われて玉を囲う手の効率が実に良い(?)のだ。


2016/10/6順位戦 豊島-久保は近藤流中飛車対藤井流58金右の,66香~13龍と引いて使う旧型。
(私自身の勝率も33香より大分良い)
42銀には懐かしのGPS新手44角があるし,本譜も先手やれていそう。
逆にこの戦型,72王や82王が一旦入ると多少の駒得では追い付かない。


本来強いであろう棋士が序盤から謎の原理によって残念な感じに仕上がり,為す術もなく敗れ去っていく将棋はたまによくある。
一見残念なこれらの棋譜こそ将棋序盤学における最上の教科書であり,私のような序盤好きにとってはトッププロの惨めな敗北こそ最高のデザートなのである。
(※悪意はない)


後手番の研究方法:
将棋を破壊するぞという強い気持ちを持って先手番の研究を深める。
(→結局どの順も高度に個別化・最適化された受けで形勢不明になる)


【人間生活】

今の下宿は昭和生まれの五階建て(の五階)。職場からはとても近い。
今朝も物を忘れたが四階で気付いたのでとても良い日である。
平成の法律から逃げおおせたこの建物には階段しかない。
蛇口を捻ると五秒後もれなく水が鉄錆色に染まる。
ただ,ベランダからの景色は実に良い。それでここにいる。


わが職場において最も見目麗しいといえる正面玄関は,同時に近辺で最も臭い場所のひとつである。
…地下のごみ捨て場の薫りが自然とここに滲み出てくるのだ。


「村の鍛冶屋」という,s/o workaholicな野鍛冶の生活を描いた美しい唱歌がある。
(※四番まである初期ver.のことである)
勤労意欲を一時的に惹起する必要に迫られた場合…即ち毎日なのだが,割と重宝している。


しばしもやまずに つちうつひびき
とびちるひのはな はーしるゆだま
…当直である。
先週の三連休も中日が当直だった。
そういえば来週末にも当直がある。


お仕事終了し,喜びのうちにラーメン屋へと向かうのであった。


こってり/がっつり系のラーメン屋やD町柳王将でBill Evansの音楽が流れていることは意外と多いのだが,いつ聴いてもシュールなものである。
かくいう私自身もBill Evansは好きで(と言うよりは他の音楽を全然知らない),比較的こってり系の人間であるから何も言えはしない。


最近,私の生活が一部ロシアに浸潤されつつある。危うい傾向である。
紅茶はロシアン。
家でのむ酒はウォッカ。
肴はオイルサーディン(ラトビア産)。
最上の作家はアントン・チェーホフ。
ピッチの着信音は「一週間」。


明日は早朝に墓参りをして満員電車で4時間掛けて帰って将棋道場に寄って頭の痛くなる戦いを何局か繰り広げて下宿でウォッカを少しあおって死んだように眠って,
月曜からは心技体とも万全の状態で労働を再開する見込み。
将棋はお金こそ掛からないが,趣味としてどうなのかとふと思う瞬間も多い。


勤め始めて半年ちょっとの職場で私の真後ろに机を有するちょっと大柄な後輩が実はちょっとどころではない将棋好きらしいと判明し,
まだ一局も指してないけれどもしかしたら自分より強いんじゃないかという可能性に思い至った時の私のちょっとした驚きとちょっと半端ないワクワク感を御想像頂きたい。


鹿は怖い。
昨年度いた田舎でも乗せて貰った先輩の車が鹿に轢かれて?壊された。
鹿はふらふらと去っていった。
帰り道は徒歩で,星が綺麗だった。
私は冬の星なら大体判るので,順に解説した。
…牡牛の背のあれがM45プレアデス星団,すばるです。
「すばる綺麗やな。俺のすばる壊れたけど」


【それから】

「好きな」数を思い浮かべろと言われたら,(2を除けば)全て合成数になる。
…数学の才などあろうはずもない。
私のブログにはカテゴリーが16個あって,
それぞれの記事数は150,80,30,20…総記事数は640(になる予定)。
誰がどうみても十進法と合成数を超リスペクトしている。


Erik Verlindeのエントロピック重力は久々に王道を感じさせる重力理論であり,今後が実に楽しみ。
あと個人的に素粒子は世界の果てとして扱われるべき対象だと思っているので,
今年こそリッチフローをちゃんと勉強して多様体もオペできるようになりたい…
けど時間も狂気も足りない。


Aperyは本当に好き放題攻めていく幼女感がある。
姉妹分のS.M.はやや落ち着きがあり読み筋はふわふわな不思議系十代。
Gikouは京女。YaneuraOuは變態。
ponanzaは名前こそあれだが棋理を体現するよく判らない何か。
…結論としては二歩千金さんの擬人化能力が抜群。


数学や物理や将棋に一生を捧げよう一生捧げればきっと何とかなるよという強い気持ち,強い思い込み(※狂気ともいう)が私自身に無かったことは少々残念に思う。
その代わり,医療の世界で最も格好良い(と思い込んでいる)分野の一員にもうすぐなる。
恐らく才は無いが一生捧げた後でまた反省する。


来年度は,前任者が平日セブンイレブン・休日も休まず働くLeukoでLeukämieな職場に遣わされる。
この業種に勤める者はもとより人間ではないから労働基準法も当然適応外で全くSchwarzではない。
(私が故障すれば部門が崩壊の危機に晒されるので)
生きる価値は目下絶賛高騰中。


ウサギから競走を持ちかけられたカメは,
当然トライアスロンなど水泳を盛り込んだ種目での勝負を提案すべき。
(仮に試合に負けても濡れたまま走り回った敵は高確率で風邪をひく)
自らをカメであると知りながらレギュレーションに細心の注意を払わないのは,
やる気がないか傲り昂っている証拠。


(実際にはカメから競走を持ちかけていたという説が濃厚であり)正直,お話にならない。
こんなの相手にも好勝負を演出し最後は勝ちも譲ってあげたウサギは,
結局カメさん一派に後世まで馬鹿にされ続ける羽目になったわけだが…
将棋を広めんとする者にはこの犠牲心が要求される。厳しい世の中だ。


小学生にとって走るのが速い子は常にヒーローであるように,
私の中で数学屋さんと将棋指しはいつだってヒーローなのだ。
いつしか義足が誰よりも速く走ろうとそれは単なる美談だし,
その話を聞くや否や自らの駿足をさっと伐り落とすZEN-SPIRITに満ちた選手がひとりぐらいいたって良い。


個人や団体が不幸にして人の道を踏み外してしまい,(少々挙動不審ながらも)懸命に生きている一個人の尊厳を擂り潰すことはよくある。
もし名誉回復が不十分なら加害者は被害者に決闘を挑まれたり辻斬られたりするのも当然もとい已む無しと私なら思うが危険思想らしい。
現代日本は加害者に優しい。


私は人の顔色なんて正直よく判らない。(顔色を窺うプロとしてどうなのか)
ただ人として根本的な部分を突然問われた時の反応は,人相とある程度相関するような印象を受ける。
…盤上ではそんな生まれもったものと一切関係なしに,誰もが仁義礼智忠信孝悌を自分の思うまま体現できる。
これが良い。


私がいつもまるで居飛車党本格派かのような序盤を指すよう心掛けているのは,
振り飛車党の振り飛車愛や
角換わり党の角換わり愛や
序盤研究好きの序盤研究や
変態戦法使いの変態戦法を
なるべく純粋な形で喰らって楽しみたいから,というところが大きい。
自分の色は中終盤に嫌でも出てしまう…