夙に将棋に丹念にして | Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※本来の表紙『さうざんでいず』


夙ニ将棋ニ
丹念ニシテ
研鑚ヲ積ミ
練達ニ長ケ
タルヲ認メ
茲ニ四段ヲ
允許ス


将棋指しであることが周囲にばれてしまった場合、
何手先まで読む?」「棋力は何段ぐらい?」と気を利かせて訊かれる機会が多いものの…
前者に関しては「場合による」としか言えません。

序盤なら、一手も考えずに16手目までは指せます。
中盤では、三手先まで正しく読めれば絶好調です。
最終盤は、37手先に王様が詰むかどうか悩みます。
(今は五手詰も無理…健康上の理由から控えてます)

ちなみに、プロを目指すような人は読むまでもなく「匂い」で詰みの有無が判るそうです。
あと、人類史上最強候補とも謳われるO山Y晴さんは高らかに「一手!」と答えています。

…一言でまとめるなら「愚問」ということですね。


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後者の問いは、段位自体の曖昧さもあり複雑です。
かつては名人級=八段であとは駒落ちの手合いから全人類の棋力を逆算できていたはずが、
今はアマとプロとで別の体系が使われている模様。

基本的には全国大会で優勝すれば六段、
全国ベスト4かアマ竜王戦県代表で五段、
その他の大きな大会で県代表になれば四段
です。
(もちろん学生大会とかではなく無差別級でのお話)

三段以下は私の知る限り特に基準もありませんが…
社会人で週末を将棋に充てるほどの狂気があれば、
その時点で初段を名乗るに何ら不足はないのです。
(お子さんや学生さんは15級から頑張りましょう☆)

私は最高でも県大会3位止まりなので、無段です。
道場基準だと場所により二段だったり五段だったり出鱈目ながら、今は零~初段程度かと。
ただ師匠が13級を名乗るので正式には14級です(笑)



段位はこのように棋力の指標としては不安定です。(第一、弱くなっても下がりませんし…)
どちらかというと、段位とは将棋に呪われたその人の業(karma)の深さを示す刺青なのです。

この表現、道場や部活やネットで日々鎬を削る将棋指しならしっくりくるかもしれません。
(伝わらないならそれはそれで全く幸せなことです)

強い人は普通「将棋倶楽部24」のレーティングを用いて己が棋力を誇示するものですが、
あれはとても怖いインターネットなので一般人を大分離れてから始めるべきな気もします。



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最後にひとつ、四段になれなかったという余談を。

仕事のストレスが指し手に籠って強くなり日本六十余州のうち二国は手中に収めたものの、
六段が相手だと若干相性が悪かった…というお話。
(ちなみにその六段も別の六段に討ち取られていた)





76歩 94歩 26歩 34歩 25歩 88角成
同銀 22銀 48銀 33銀 46歩 95歩


横歩がわかんなくなってこの方、後手番で指す戦法が本格的に何もない。(※冗談抜きに)
仕方ないので、リスクを負ってでも主張点を作る。

9手目24歩には 同歩 同飛 35角 28飛 57角成 15角 33桂 22飛成 同飛 33角成 42飛 で後手有利
…と自己暗示を掛けて臨むのが肝で、そうすれば敵は気迫的な何かを察知して避けてくれる。

46歩で速攻が消えたのを見た後手は振らずに戦う。
三手遅れのため手順に神経を使うが、相腰掛け銀に組みきれば後手は千日手に持ち込める(?)






ここから手得を活かして66銀~55銀とブツケる仕掛けもあり、無駄に時間を使ってしまった。
強い人ほどこの銀ブツケを指さなくなっていく傾向はあるものの、理由は未だに謎のままだ。

(※ちなみに対局中は角銀を持ったら棋畜羽生流の63角~35歩~18銀で反撃する予定だった)

端歩の突き合いも短期的には損であり、悩ましい。
長考の末に結局受けたが…右玉相手に序盤から持ち時間を使うのは限りなく自殺行為に近い。






…… 98香 85歩 99飛 86歩 同歩
同飛 87歩 82飛 89飛


本譜は後手番としてこれ以上ない展開と思われる。

少なくとも85歩と打てば千日手の可能性濃厚(※同桂捨てには6筋から反撃可能)であった。
…だが現実には千日手は先後入れ換えての指し直し。時間と棋力で劣る私は戦い抜けない。

74歩として86歩には3筋7筋9筋を絡めた攻めを見るのも、いかにも本筋めいた趣がある。
…ただ実際にはそれで本当に手になるか自信がなく、待機された場合の手も判らずで断念。

そうして結局は愛する角行を筋違いに打ち、香交換からの安易な打開に走る羽目になる。
それでも一瞬は良くなった(?)ものの一手30秒で薄い攻めを支えきる地力などもとよりない。



将棋指しは斯くの如く…四季折々の不毛な戦いに向い何度でも身を投じては、負けていく。

ある者は名誉を、ある者は刹那の快楽を、またある者は一枚の免状と新たな刺青を求めて。