製作関西テレビ 創映社(現株式会社サンライズ)
アニメーション制作サンライズスタジオ 監督高橋良輔
第40話より、「ゼロテスター 地球を守れ!」に題名変更。
プレ・ロボット作品の評論の後編。
まずは、本作の「主役」のメカのゼロテスターのメカ群から。
テスター1号・・・フブキ、アラシ、リサの三人の乗る文字通り本作の「主役」メカ。「ウルトラセブン」のウルトラホーク1号や「ミラーマン」のジャンボフェニックス同様に、マーク1、2、3の小型メカ(戦開戦)が合体して、誕生する合体戦闘機。無論、合体→分離→合体等をする事が可能。オメガゼロビーム、シグマゼロビーム、シグマカッタービームを武器に戦う。パワーアップ劇もあるが、中でも「ジャンピングゼロフライト」と言う飛行法による武器ではない強化パワーアップがこの作品らしいパワーアップ劇である。ちなみに、三機合体であるが、二人でも、操縦可能。戦闘の他にも、救助の要請で出撃する時がある。他にも、テスター2号、テスター3号、ゼロロボットに収納可能だったりする。主役メカが「戦闘機」と言うのも、同じプレ・ロボット作品の先行作品「科学忍者隊ガッチャマン」の主役メカのゴッドフェニックスに対する「ゼロテスター」スタッフの対抗心が生み出したのかも知れません。テスター1号のアーマノイドの決め手(必殺技)がビームなのも、「科学忍者隊ガッチャマン」のゴッドフェニックスの必殺技の科学忍法火の鳥の対抗心が生み出したのかも。何処なく、上記の事を決めたのは、富野喜幸(現由悠季)監督なのかも、富野監督の作品作りの原動力の一つが、先行作品に対する対抗心なので・・・(これに関しては、私の想像です、あしからず)。
テスター2号・・・主に剣持隊長が搭乗して、指揮を取る指令艦的メカ。「サンダーバード」のサンダーバード1号と言えば分かりやすいかも。テスター1号等のゼロテスターのメカも搭載可能。特筆すべきは、要塞艦(戦艦形態)に変形可能な部分である。
テスター3号・・・潜水艦(潜水母艦)。ゼロテスターのメカ搭載や飛行も可能。また、宇宙も航行できる万能潜水艦(オープニングより)。そして、自動航行可能。
テスター4号・・・コンテナ機。アーマノイドの戦闘に巻き込まれた民間人を救出、収容する。また、戦闘の際は、コンテナ部分を外して戦う時がある。また、アーマノイドの強敵を倒す為、テスター2号と強引に合体した時がある(合体して、出力が強化されたビームを撃てるようになる)。今なら、(玩具等の商品展開も視野に入れて)他のゼロテスターのメカと合体できるように、共通の合体機構を持ったり、全ゼロテスターのメカと合体して、最強形態のメカになったりと色々と書けたりしますが・・・。「サンダーバード」における(メカを収容せずに民間人を収容する)サンダーバード2号のような存在。
ゼロロボット・・・作品中盤に登場する四足のケンタウロス形態の作業用ロボット。ケンタウロス形態のロボットと言うと「ヤットデタマン」の大馬神、「機甲界ガリアン」の人馬兵プロマキス、「伝説の勇者ダ・ガーン」のペガサスセイバー、「百獣戦隊ガオレンジャー」のガオケンタウロス(ガオイカロスの上半身とパワーアップしたガオライオンが合体した形態)と多いが、70年代でケンタウロス形態のロボットを登場させると言う先見性を感じつつも、異色性を感じる。作業用ロボットなので、作業中にアーマノイドに襲撃されて、ピンチに陥る時がある。ちなみに、最終回も、戦闘ではなく、まさかの場所で作業をしている。しかし、「機動警察パトレイパー」より以前に、作業用ロボットを登場させた「ゼロテスター」スタッフの先見性の高さは、もっと評価されて良いのかも・・・。ゼロロボット登場の背景には、「マジンガーZ」の大ヒットによるブームから、スポンサー等からの劇中にロボットの登場の要請があったのかと思います。そこで、ゼロロボットの登場となりましたが、メインに持ってこなせない辺り、「ゼロテスター」のスタッフの意地を感じさせます。
地底戦車シールド・・・掘削機(シールドマシーン)とドリル戦車が合体した地底戦車。敢えて、シールドマシーンを持っできて、リアリティーを持たせた事に、「ゼロテスター」スタッフを先見の明を感じる。ちなみに、「ゼロテスター」と同じく「始めに防衛チーム(防衛組織)ありき」の特撮ヒーロー作品の「ファイヤーマン」のドリルメカの地底探検車モグリアンも、リアリティーを出す為、ドリルが四基(!!)ある。※参考文献「ドリル大全」
人工島指令基地・スーパーファイブ基地・・・ゼロテスターの移動基地。移動できる人工島なので、世界各地に行けます。アーマノイドが地球全域で侵略を開始している以上、防衛組織であるゼロテスターも、世界レベルで活動しなくてはなりません(ちなみに、ゼロテスターは世界各国に支部はありません、大変だなゼロテスター)。後に、激化するアーマノイドの戦闘に対して、複合型基地(巨弾、深海、出撃、情報基地)のスーパーファイブ基地に強化されます。ちなみに、基地の指令本部に、隠し武器に特製グローブ(確か鋼鉄製)が隠されています。アーマノイドにスーパーファイブ基地が占拠されたエピソードがあり、フブキ達が特製グローブを使って、基地を奪回するのですが、恐らくこのエピソードを視聴した多くの人が「いや、普通は銃を隠すだろ」と突っこみそうですが、「グレートマジンガー」では、剣鉄也の愛用バイクにパンチ(!!)が取り付けてあるのを見て、「バイクのパンチいつ使うんだ!?」と突っこんでしまう自分がいるわけで、それを有無とは言わせないのが、1970年代なのかもしれません・・・。話が脱線しました「ゼロテスター」の話に戻します。スーパーファイブ基地の巨弾基地には、対アーマノイド用の切り札の大型ミサイル「巨弾ミサイル」がありますが、このミサイルの決定権はタチバナ博士や剣持隊長等の司令官クラスの人物しか発射出来ない設定です。「科学忍者隊ガッチャマン」のバードミサイルみたいな存在だと思えば分かると思います。「ガッチャマン」がバードミサイルの決定権が(現場の)科学忍者隊の健とジョーにあるのに対して、「ゼロテスター」の巨弾ミサイルの決定権は司令官クラスの人物が決定権を持つ。これは、「ゼロテスター」のスタッフの「科学忍者隊ガッチャマン」の返答的なアプローチかもしれません。ですが、「ガッチャマン」の場合、バードミサイルの発射をめぐって、健とジョーや他の仲間が対立したり、討論するのが、見せ場であり、面白かったりします。ちなみに、健がバードミサイルを撃った責任から、科学忍者隊を辞めようとするエピソードがあります。「ゼロテスター」の場合、アーマノイドに巨弾ミサイルを撃ちますが、フブキ達が救助活動(ゼロテスターはアーマノイドの戦闘の他に救助活動を行っている)している為、「合身戦隊メカンダーロボ」のオメガミサイル同様ミサイル到達迄のスリリングな展開な見せ場なのですが、「ゼロテスター」の巨弾ミサイルの場合、遠隔操作で「ミサイルの活動停止」ができる、この点に関してはゼロテスターが「防衛組織」であるけれど「防衛軍」ではない部分が大きく影響していると思います。ミサイル発射の命令をするのが科学者であるタチバナ博士でありますし。ゼロテスターは、「戦闘」も大事だけど、「人命救助」も大事なんです(後述)。
話は変わりますが、「ゼロテスター」の声優陣について、フブキ、リサ、剣持隊長の3人は、神谷明氏、麻上洋子(現一龍斎春水)氏、広川一朗太氏が担当。この三人とくれば、「宇宙戦艦ヤマト」の加藤三郎(と四朗兄弟)、森雪、古代守だったりするわけですが、何だかんだで、「ゼロテスター」の作品に同じプレ・ロボット作品の「宇宙戦艦ヤマト」の声優陣が参加しているのは、不思議な「縁」を感じます。神谷明氏は、「オメガゼェロビィィィームゥゥゥ!!」等、あの神谷明氏のシャウトが「ゼロテスター」で炸裂します(いろんな意味で)。ちなみに、「戦闘機に乗って、技(武器)の名前を叫ぶ」作品は、「ウルトラマンメビウス」でも、見られます。この作品に関しても、プレ・ロボット作品的な要素が多い作品でもあります。
アラシ役は中尾隆聖氏(当時の芸名は、竹尾智春)。現在のコミカルな役や悪役とは対称的なパワフルなアラシ役好演されています。
ヤン役の八代駿氏は「くまのプーさん」や70年代の東映の特撮番組の怪人役が有名ですが、90年代は、日中のラジオの(5~10分間の)帯番組のパーソナリティーをされていました。
アーマノイド・ボス役は、雨森雅司が担当されており、雨森氏といえば、「天才バカボン」と「元祖天才バカボン」のバカボンのパパ(!!)役が有名であり、バカボンのパパ役の雨森氏が演じられているアーマノイド・ボスは、かなりのインパクトがありました。
ゼロテスターの敵であるアーマノイドは、機械化生命体と言う設定。アーマノイドの本星から、アーマノイド・ボスの命令を受けて、幹部のメビウス、バルギス、ガロス7人衆が地球侵略(とゼロテスターを攻撃)していきます。
前編にて、言及した通り、「ゼロテスター」は、プレ・ロボット作品であり、1970年代のロボットアニメ、特撮ヒーロー番組と同じフォーマットである為、少なからずも、アーマノイドの描写を見ていると、ここら辺は頷けます。アーマノイド・ボスの姿が特撮ヒーロー番組における首領(例「仮面ライダー」のショッカー首領)を彷彿とさせます(未見の方に説明すると、アーマノイド・ボスは、アーマノイド本星で三つの顔で指令を出している)。そのアーマノイド・ボスがメビウスやバルギスに指令を出す所は、特撮番組における首領と大幹部(幹部)の関係を彷彿させる物だったりでもあったりします。そして、中盤~後半に東上するガロス7人衆とガロス鉄甲獣団。7人衆と鉄甲獣団は、全員幹部(大幹部)クラスのアーマノイドで、1話につき一人登場して作戦を展開していきます。前任のメビウスとバルギスは人間型の体型なのに対して、7人衆と鉄甲獣団は、ほとんどが怪獣や動物体型だったりします(そして、強い!!)。特に、凄いのは地球侵略を展開しながら、ターゲットをゼロテスターと人口島指令基地に定めて(!!)、攻撃が次々と来ます。これを、毎回ゼロテスターが迎えに撃つ訳でありますが、この部分は「バトルアクション性」が強められた「ゼロテスター」中盤~後半の特色だったりします。これと似たような作品は、「仮面ライダーストロンガー」の後半で、「大幹部クラス強さを持つ怪人の軍団(改造魔人)」のデルザー軍団が仮面ライダーストロンガーをターゲットにして(ストロンガーが倒した怪人がデルザー軍団のリーダーになれるルール)、毎回デルザー軍団の攻撃がストロンガーめがけて来るのが、 半機械魔人のマシーン大元帥が登場するまで続きます。対するストロンガーも智略による攻撃(デルザー軍団には必殺技の電キックが通用しない!!)やチャージアップにパワーアップ、そして、先輩ライダーとの共闘で反撃していきます。何だかんだ言いながらも、大幹部クラスの強敵を、毎回迎え撃っていたゼロテスターや仮面ライダーストロンガーの強さ(と苦労)は計り知れない物があります。
そして、アーマノイドの戦いが激化する為、世界中から、アーマノイドの侵略行為を発見と同時に「000」のコールサインを受けて、ゼロテスター(と人工島指令基地)が 何処へでも出撃出来るようになり、また、戦闘と同時に人命救助も行わなければならない為、テスター4号のような民間人の救出、収用メカの必要性が出てくる訳である。また、高い確率で、アーマノイドの近くに民間人(ゲストキャラ)がいる為、テスター1号のフブキ達の中の一人もしくは全員で救助活動をしたければならない展開があり(その救助活動中でもアーマノイドの攻撃は来る!!)、その救助活動のスリリングな展開も、「ゼロテスター」の中盤の魅力のひとつだったりします。
そして、迎えた最終回。地球を舞台にした文字通り地球人対アーマノイドの最終決戦。アーマノイド・ボスが直接指揮をとり戦闘を展開し、幹部クラスのアーマノイドが登場しない異様な展開が作品を盛り上げます(と言いながらもアーマノイド・ボスの戦闘形態が見たかった・・・)。「(最終回で)二つの勢力が直接対決による最終決戦を迎える」と言う意味では、「ブロッカー軍団Ⅳマシーンブラスター」の最終回の人類対モグールがあります(この作品の最終回でも、敵巨大戦闘メカカイブッターは登場しない)。そして、地球人、ゼロテスターは、逆転勝利の為、まさかの場所で作戦を展開する。そして、作戦が決行!! そして、最終決戦の行方は・・・。
1970年代に現れたメカアクション作品であり、プレ・ロボット作品の「ゼロテスター」ですが、また、このような作品が登場するのを待ちながら、このブログの記事を締めたいと思います。
そして、記事の完成が遅くなって、すいませんでした。