後日、設備会社社長の友人に久々に連絡を取り、代官山で女性を交えて食事会をする旨を伝えた。もちろん、彼は思いがけないセッティングに大いに乗り気になり、「二人とも美人なのか?」と聞いてくる。
「それは会ってからのお楽しみだね。」と僕は気を持たせるような返答をする。
「それにしても君は、以前のママ友合コンといい、よく女性を集められるね。」と感心するので、
「あのママ友合コンから10年近く経つけど、君はママ友グループの人妻の一人と不倫関係になり、会社に採用して、社内で身近においていたみたいだけど、その後、どうなった?」と興味本位で尋ねる。
「その事は色々あってさ、また、いずれ話すよ。」とかわされる。
僕は、当時は、社長という立場からして社内の女性とは男女関係にはならない、という信条があって、彼のように不倫相手の女性を会社に入社させるなんてもっての外だと考えていた。

食事会の当日になり、代官山の萬葉庭にあおいと僕は早めに来て、予約していた席についた。
中庭に広がる池に向かって解放された半個室で、植栽された花々がライトアップされ、幻想的な景観が演出されている。
「素敵、期待通りだわ。」とあおいは満足気だ。彼女もその場の雰囲気に合わせたかのように、ドレスアップして胸元が大きく開いた白いキャミソールワンピースにシースルーのロングカーデガンをコーディネートして、色気が零れ落ちるような装いだ。
しばらくして、待ち合わせ時間になり、あおいの友人のはるちゃん、ほぼ同時ぐらいに僕の友人も来る。
彼女は以前にはよく可愛げなカジュアルな服装をしていたが、今回は、薄いピンクのシャーリングのベアトップスにレースのボレロを着こなして、いつもの可愛らしさにも色っぽさを感じさせる。
初夏とはいえ、二人とも似たような肌を露出させた装いは、男性目線を充分に魅了させる。

4人が揃ってテーブルを囲み、笑顔を交わすと彼が開口一番に、
「店の入り口で、綺麗な女の子がいて、僕の前を歩いて行き、同じ部屋に案内されていくので、まさか、と思って驚いたよ。」と満面笑みで話す。
「それって、君が後をつけたんじゃないか? ストーカー並みだね。」と僕が茶化すと、
「いや、そんな偶然にラッキーと思ったよ。」とはるちゃんを見ながら応える。
「その視線がいやらしいんだよね。」とさらに突っ込みを入れると、
あおいが、「貴方、言い過ぎよ、人当たりのよさそうな面白い方じゃない。」と僕を諌める。
当のはるちゃんは微笑みながら、そんなやりとりを眺めている。

「ひろみちゃんに彼氏もできたことだし、気にすることもないよ。」と、
あおいの前では軽く受け流したが、内心は2年間余り、付き合った前カノだから、それなりにその彼氏が彼女の支えになってくれれば、とふと思ったりもした。

「そうよね、ひろみちゃんは貴方との関係もこれで完全に絶ったということね。」と笑みを浮かべ、そんな話で安堵したのか、
「ねえ、今度、連れて行って欲しい所があるの。代官山アドレスあたりにある萬葉庭というお店で食事したいわ。」と要求する。

あおいは以前にも、恵比寿のウェスティンホテルの中華飯店で白い担々麺を食べたいといって連れて行ったことがある。
「なにかその店に気に入ったメニューでもあるの?」と聞いてみた。
「3年ほど前に放映されたやまとなでしこというドラマのロケ地にある和食のお店で、店内の中央に池があって、その池を囲むように客室があって、すごく雰囲気が良かったって友達が言っていたの。」

代官山アドレスは同潤会アパートの跡地の再開発でオープンしたショッピングモールで、当時はデートスポットとしても人気があった。
このブログに前述した「不倫サイト2」で才媛美女の女社長との出会い系サイトで初対面した場所でもあり、その時も、松嶋菜々子が主演するこのドラマが話題になった。

「そうか、そのドラマの主人公気分でお洒落な代官山界隈の散策を兼ねて、その店に行ってみたいってことだね。」
「うん、それではるちゃんも行きたいようだから、一緒でもいい? 彼女もそのドラマを見ていたみたい。」
「はるちゃんって、あの仲良し3人組のアラサーの可愛い子だよね。」
「ええ、そうよ。だけど可愛い子だけは余分な言葉ね。」とあおいは語気を強める。
「ああ、ごめん、ちょっと口がすべった、それなら僕も友人を連れて行ってもいいかな。」


ちょうど、前述ブログの「ママ友8」で既婚者合コンをした経営クラブの仲間と久々に会うことになっていたので、女性同伴だと華やかな宴席になると思い、あおいに話したら、
「いいわよ、はるちゃんだったら、賑やかな方が好きだからOKだわ。どんな人なの?」
「設備機器会社を営んでいる友人で、信用できる人物だよ。まあ、見た目は普通かな?」と笑いながら返答する。
パブがカラオケタイムになり、あおいはステージに立って、そのドラマの思い入れもあってか、主題歌の「Everything」を絶唱する。

地下鉄の入口で、別れ際に、彼女は「来週はライブパブでゆっくり遊びたいわ。」と言ってホームへの階段を下りて行った。

前カノのひろみより、あおいは夜遊び好きで、僕と付き合う以前から、週2日ぐらいは夜遅く帰宅することを旦那は黙認している。
ひろみは専業主婦だったから、昼間の時間帯でのデートが主で、たまに旦那が出張の日などは夜のパブにも出向いていた。
あおいとは、付き合い始めてから四ヶ月あまりになるが、彼女がフルタイムの正職員だから、終業後の夕刻から遅くても帰宅する11時頃までの限られた時間帯で、夕食をとってラブホで過ごすラブホデートとライブパブやパブスナックでカラオケとダンスで楽しむ夜遊びデートをするのが習慣となっていた。


今回はライブパブからラブホに移動した為、夜遊び時間が短く、遊び足らなかったようだ。
僕とは、だいたいは週1ぐらいのペースで逢っていたが、それ以外に彼女一人や仲良しグループと学大の店に行った時など、酔っ払って「今から来て。」と呼び出されることもあった。

それから一週間ほど経って、ライブパブであおいと逢ったが、その間にあおいは学大のパブでひろみに居合わせたようだ。
あおいが言うには「ひろみちゃんの彼氏は、ある大手のエネルギー関連企業の社長秘書室勤務で、この店にはたまに来ていたそうよ。彼女のことを気に入っていたけど、いつも彼女には貴方が一緒にいるから、声かけなかったんだって。」
「それで、僕がひろみと別れたのを聞きつけて、早速、ナンパしたわけか。」
「でも、ひろみちゃんは最初、あまり乗り気じゃなかったと言っていたけど、結局、付き合うことになったみたいね。」
「彼女だったら、彼氏もすぐにできると思っていたよ。」
「あら、ひろみちゃんのこと、ずいぶん、買いかぶっているのね。」
「いや、前カノとして言っているだけで、今は当然、あおいちゃんが良いと思っているよ。」
相変わらず、あおいの嫉妬心には気を遣う。


「それで、その彼氏もやはり、既婚者なのかな?」
「ええ、既婚者同士のW不倫になるわね。」
「それは我々も同じだね。まあ、DV夫に悩んでいる彼女には、優しい彼氏が必要なんだな。」
「貴方、まだひろみちゃんの事、心配しているのね。もう、気にかけなくていいのじゃない?」