「ひろみちゃんに彼氏もできたことだし、気にすることもないよ。」と、
あおいの前では軽く受け流したが、内心は2年間余り、付き合った前カノだから、それなりにその彼氏が彼女の支えになってくれれば、とふと思ったりもした。

「そうよね、ひろみちゃんは貴方との関係もこれで完全に絶ったということね。」と笑みを浮かべ、そんな話で安堵したのか、
「ねえ、今度、連れて行って欲しい所があるの。代官山アドレスあたりにある萬葉庭というお店で食事したいわ。」と要求する。

あおいは以前にも、恵比寿のウェスティンホテルの中華飯店で白い担々麺を食べたいといって連れて行ったことがある。
「なにかその店に気に入ったメニューでもあるの?」と聞いてみた。
「3年ほど前に放映されたやまとなでしこというドラマのロケ地にある和食のお店で、店内の中央に池があって、その池を囲むように客室があって、すごく雰囲気が良かったって友達が言っていたの。」

代官山アドレスは同潤会アパートの跡地の再開発でオープンしたショッピングモールで、当時はデートスポットとしても人気があった。
このブログに前述した「不倫サイト2」で才媛美女の女社長との出会い系サイトで初対面した場所でもあり、その時も、松嶋菜々子が主演するこのドラマが話題になった。

「そうか、そのドラマの主人公気分でお洒落な代官山界隈の散策を兼ねて、その店に行ってみたいってことだね。」
「うん、それではるちゃんも行きたいようだから、一緒でもいい? 彼女もそのドラマを見ていたみたい。」
「はるちゃんって、あの仲良し3人組のアラサーの可愛い子だよね。」
「ええ、そうよ。だけど可愛い子だけは余分な言葉ね。」とあおいは語気を強める。
「ああ、ごめん、ちょっと口がすべった、それなら僕も友人を連れて行ってもいいかな。」


ちょうど、前述ブログの「ママ友8」で既婚者合コンをした経営クラブの仲間と久々に会うことになっていたので、女性同伴だと華やかな宴席になると思い、あおいに話したら、
「いいわよ、はるちゃんだったら、賑やかな方が好きだからOKだわ。どんな人なの?」
「設備機器会社を営んでいる友人で、信用できる人物だよ。まあ、見た目は普通かな?」と笑いながら返答する。
パブがカラオケタイムになり、あおいはステージに立って、そのドラマの思い入れもあってか、主題歌の「Everything」を絶唱する。