酒好きのあおいは、店内の活気でテンションがあがって、少し飲み過ぎているようだ。二時間ほどパブにいて、渋谷の円山町のラブホに向かう。

入室すると、酔っている彼女はすぐにベッドに横たわる。
彼女をリラックスさせるため、仕事帰りのままの窮屈そうな衣服を脱がし、下着だけの姿にしてしばらく休ませようとしたが、そのエロティックな肢体に欲情がそそる。思わず彼女に覆いかぶさり、キスをして、ブラに手をかけると、
「ちょっと、待って、シャワーを浴びさせて。」と言って、彼女は僕をかわして、バスルームに入るので、「一緒でもいい?」と声をかけ、後を追って入る。
ボディソープをつけてお互いに抱き合い、ヌメリ感のある心地良い肌の触れ合いを満喫しながらシャワーを浴びる。

そして僕は先にあがり、程よいクッションのベッドに寝転び、彼女を待つ。
しばらくしてバスタオルを巻いた彼女が、僕に添い寝をするように身を寄せる。
バスタオルを剥ぐと、しなやかな全裸の彼女がまとわりつくように僕の胸に顔をうずめる。
そして濃厚な愛撫を施しながら情交して、互いに満たされる。
伊豆の温泉で混浴美女と刺激的な情交をした後だけに、あおいとのセックスも、なんとなく、いつもとは違う高揚感がした。

ホテルを出て、12時までには帰宅するという彼女を道玄坂の地下鉄の入口まで送る。
途中、ネオン煌びやかな円山町のラブホ街を抜けながら、若者男女、年配男性と若い女性、熟年男女など幾組ものカップルと行き交う。

あおいが「熟年同士なら私達と同じ不倫関係なのかもね。」と笑いながら話す。
「年配男性と若い女性となら、会社の上司と部下のOLみたいな職場不倫もあるけどね。」と僕も笑って応えたが、これがやぶへび的な失言になった。
「そういえば貴方は会社の女子社員とは、何も無いの?」と聞いてきたのだ。
仮面妻のひろみにも勘繰られたことがあったのを思い起こし、あおいにもあらぬ疑いをかけられないように、
「ありえないよ、そんなことがあったら、社内の雰囲気が悪くなるからね。」と即座に否定する。
「ふ~ん、そうなんだ、今度、ひろみちゃんにあったら、聞いてみようかな?」と悪戯っぽい目つきで言う。


あおいとひろみは僕を挟んでのバトルの一件があったが、もともとは親友同士で、ひろみにも彼氏ができたことでもあり、とくにわだかまりなく話ができる仲になっているようだ。

「だけど、あおいちゃんの旦那は、普段は町工場と自宅の往復以外に、夜遊びもしないし金遣いも荒くないから、はた目からみると実直な夫だと思われているんじゃないかな。
もっとも、ひろみちゃんの旦那も会社での評価が高く、外面は人柄も良く理想の夫にみえるけど、内面はとんでもないDV野郎だけどね。」

「夫婦って当事者同士じゃないと実態は分からないものね。だから私もひろみちゃんも貴方みたいな男性に、夫に欠けているものを求めて癒されたいのよ。」
「夫婦関係でメンタルの不満を抱えた人妻に乗じて、不倫をしている僕にも問題はあるけどね。」
「確かに貴方が夫なら、妻としては嫉妬心で気が気じゃないわね。だけど、ひろみちゃんも同じだと思うけど、私は今の夫には、もう愛情のかけらも残ってなくて、愛憎も感じなくなっているから、貴方とは不倫であっても何ら罪悪感も無くて付き合えるのよ。」
「う~ん、テレビ番組の不倫ドラマが高い視聴率なのも、そんな妻たちの心境をあらわしているからかもしれないなあ。」

「そうそう、ひろみちゃん、さっちゃんの話によれば、新しい彼氏がいるそうよ。学大のパブで居合わせたみたい。」
「へえ~、そうなんだ、まあ、彼女だったら、その気になれば、言い寄る男性は多いと思うよ。」
「あら、もしかして、貴方、ひろみちゃんにまだ愛情のかけらが残っているんじゃないでしょうね。」
「いや、それは全く無いよ、元カノだけに、DV亭主の仮面妻を続けながら、ちゃんとした彼氏に精神面では支えてもらえばいいと思うぐらいだね。」と応えながらも、ひろみがどんな相手を見つけたのか、気になるところだ。

「じゃあ、貴方も私をしっかりと支えてね。今夜は12時までに帰れば大丈夫だから、お酒飲んで騒ぎたいわ。」と彼女のテンションも上がる。
「旅行では、君はすぐ寝てしまって夜の部は無かったから、その続きをしようか。」とあおいの腰に手をまわし抱き寄せると、彼女の微香に欲情がそそる。

バンド演奏が始まると、店内が暗くなり、彼女は踊りだす。
スタイリッシュな肢体が、ミラーボールの放つビームの点滅でコマ送りのように揺らぐ。
旅行の夜の部は、僕は混浴美人との情交があったが、それは封印して、あおいとは座布団セックスで済んでしまった。
今夜はラブホで、ベッドの中で彼女と愛情の交わりをゆっくり楽しみたい気分だ。

「旦那とはセックスレスになればいいけど、相手もレスじゃなければそうもいかないか。」
「夫とはもともと体の相性が良くないうえに、彼の性癖にも耐えられないわ。」
「君が僕と関係する前に、若い男性と浮気していたのもそのことに起因していたのだね。僕との相性はどうなのかな?」
「貴方は、男の性欲をせっかちに優先させることなく、前戯も余裕をもちながら
ソフトなタッチで女性をリラックスさせ、快感を得られやすくして、性的興奮を絶頂感にまで高めるようにできるから、充分に満たされているわ。」
あおいの言うように、僕の今までの女性遍歴からして身についた性技なのだろう。

さらに「貴方は私の他にも、ひろみちゃんも含めて関係した女性が多そうだから、その経験が生かされているのだわ。イケオジの年の功ね。」と笑顔で言うので、
「まあ、君とは一回り近く年齢差がある分、セックスにも年季が入っているからさ。」と僕も笑いながら応える。

あおいには年齢のサバをよんでいたことはすでに白状している。
彼女は驚いていたが、特にそれを咎めることは無かった。
その時に話したことは、「貴方はずいぶん若く見えるのね、まさか50代後半なんてね。すっかり騙されてしまったわ。最初から正直に言ってくれればよかったのに。」
「最初、会った時はあおいちゃんは年下男性オンリーって聞いていたので、実年令が分かったら、引かれると思ったからさ。」
「私にとっては、私と同年齢以上は皆、年上で同じよ。貴方と付き合うようになって、年下男性との付き合いは卒業したの。イケオジなら、まあ、いいかなと思うようになったから。ひろみちゃんは知っていたの?」
「そうだよ、ひろみちゃんに聞けばすぐにわかることだったけどね。」
「彼女はどちらかと言えば、落ち着いた年配男性が好みだったから。今は私も同じ気持ちよ。」と、事無きを得たのだった。

話を戻して、「旦那とのセックスを敬遠しているなら、風俗に行かせるのもありかな。ひろみちゃんは、夫のDVもあって愛情が無くなった分、夫の浮気も黙認していたようだよ。」と伝えると、
「貴方に前にも話したけど、うちの夫は、社交性が無いから浮気なんてとても無理ね。性欲が強いくせに引き篭もりだから風俗にも行かないわよ。
自宅でエロサイトを見て、興奮したら私を求めてくるし、拒否れば、激昂するし大変なのね。」とあきらめたように応える。