地下鉄の入口で、別れ際に、彼女は「来週はライブパブでゆっくり遊びたいわ。」と言ってホームへの階段を下りて行った。
前カノのひろみより、あおいは夜遊び好きで、僕と付き合う以前から、週2日ぐらいは夜遅く帰宅することを旦那は黙認している。
ひろみは専業主婦だったから、昼間の時間帯でのデートが主で、たまに旦那が出張の日などは夜のパブにも出向いていた。
あおいとは、付き合い始めてから四ヶ月あまりになるが、彼女がフルタイムの正職員だから、終業後の夕刻から遅くても帰宅する11時頃までの限られた時間帯で、夕食をとってラブホで過ごすラブホデートとライブパブやパブスナックでカラオケとダンスで楽しむ夜遊びデートをするのが習慣となっていた。
今回はライブパブからラブホに移動した為、夜遊び時間が短く、遊び足らなかったようだ。
僕とは、だいたいは週1ぐらいのペースで逢っていたが、それ以外に彼女一人や仲良しグループと学大の店に行った時など、酔っ払って「今から来て。」と呼び出されることもあった。
それから一週間ほど経って、ライブパブであおいと逢ったが、その間にあおいは学大のパブでひろみに居合わせたようだ。
あおいが言うには「ひろみちゃんの彼氏は、ある大手のエネルギー関連企業の社長秘書室勤務で、この店にはたまに来ていたそうよ。彼女のことを気に入っていたけど、いつも彼女には貴方が一緒にいるから、声かけなかったんだって。」
「それで、僕がひろみと別れたのを聞きつけて、早速、ナンパしたわけか。」
「でも、ひろみちゃんは最初、あまり乗り気じゃなかったと言っていたけど、結局、付き合うことになったみたいね。」
「彼女だったら、彼氏もすぐにできると思っていたよ。」
「あら、ひろみちゃんのこと、ずいぶん、買いかぶっているのね。」
「いや、前カノとして言っているだけで、今は当然、あおいちゃんが良いと思っているよ。」
相変わらず、あおいの嫉妬心には気を遣う。
「それで、その彼氏もやはり、既婚者なのかな?」
「ええ、既婚者同士のW不倫になるわね。」
「それは我々も同じだね。まあ、DV夫に悩んでいる彼女には、優しい彼氏が必要なんだな。」
「貴方、まだひろみちゃんの事、心配しているのね。もう、気にかけなくていいのじゃない?」