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多逢聖因 PARTⅡ ― ひとは、 邂逅によりどこまで成長できるか (12)

外は爽やかな風が吹いていた。 氏の頭の中も「遺伝子レベルまで認識できる」深さに達し、 今までにない高揚感があった。 このような精神或いは魂の状態にあるとき、 必ず遭遇するものがあった。 日常性の中では生まれない先祖の方々との触れ合いである。 この話題は日常性の中では語れない。 何故ならば、 普通人には理解できない、 或いは誤解を生む物語であるからだ。 氏が自分自身の人生を思い、 高い志を確認するとき、 必ず回帰するところがあった。 それは、 先祖代々の古いお墓、 『和氣出雲守』(6万8千石の城主)なる武将の長子・『和氣権之助豊勝』のお墓であり、 和氣権之助豊勝は氏の三代前の曽祖父であった。 また、 これは日本の歴史上の人物『和氣清麻呂』につながる揺るがない物証でもあった。 氏は城主家につながる家で、門の脇塀には鉄砲を構える三角の窓(鉄砲狭間)もあり、 倉には、 槍、 薙刀等も所蔵されていた。

現在の氏の人生は、 このような先祖の方々の遺志で動かされているところが多々あった。 松下政経塾出身の面々とつながっていること。 実際に今日本は国作りの重要な局面に来ていること。 大きな時代のうねりの中にある。 医学に於いても何をいわんやである。 そのような中での氏の数々の出会い。 全ては祖先に支えられ、 導かれていた。 近々ヒマラヤ山の麓まで列車で行く計画もあり、 その後、 中国世界遺産「魯山」「黄山」にも登る予定である。 また、 氏が思いを強く持っている日本の倭姫命とイメージが通じる人物とも再会することになっている。 かように氏は独特の世界を持っており、 現実を超え、 また現実をつき動かすパワー(気)を備えていた。 一種のトランス状態のまま、 (トランス状態: 変性意識状態は「宇宙」との一体感、全知全能感、強い至福感などを伴い、この体験は時に人の世界観を一変させるほどの強烈なものと言われる。)以前天照大神、 倭姫命が降り立った遠方に海を望むことのできる広場に辿り着いた。 氏はいつものように抜長功→太極拳→太極宝球の順で森の気を全身に呼び込み始めた。 するとどうだろう。 静けさの中に小鳥の囀りが聞こえて来、 バンビ(小鹿)までもが飛び出して来た。 「太極宝球」の段になると、 遠方に浮かぶ雲も流れが速くなり、 太極宝球の中にある『龍』の舞いの如く、 森全体が風と共に動き始めた。 強い渦巻きの風に煽られて氏の身体が浮き始めたとき、 天照大神がその広場に降り立ち氏と対面した。 このような場面を何度となく体験しており、 いつものように魂の交流を始めた。 天照大神は常に温和で、 氏に労いの言葉をかけられた。 今回のメッセージは、 「良き日本を作る」ことと、 「良き医療を育てる」ことであった。 氏は天照大神の微笑みに応えて、 男らしく大きくうなづいた。 すると、 もうそこには天照大神の姿はなかった。 風も収まり、 その広場の中央に3000年を超え、 生きつづけている、 いや成長しつづけている大きな楠の梢にピンク色の帯紐が引っかかり、 そよ風にたなびいていた。 それが夢であったのか、 幻想であったのか知る由もない。 只、 氏のみぞ知るである。

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多逢聖因 PARTⅡ ― ひとは、 邂逅によりどこまで成長できるか (11)

更に、 遺伝子の話はつづく。 「遺伝子を傷つける活性酸素の存在。 私たちは病気や不調、 あるいは早すぎる老化ということを、 とても表面的な『症状』としてとらえる癖がある。 しかし、 病気や不調の始まりの根底は、 遺伝子の『異常・故障』からくるものである。 今までわかっているだけでも癌や呆け、 筋ジストロフィー、 骨粗しょう症、 高血圧、 老化や肥満、 糖尿病、 緑内障などがある。」「長生きできないのは遺伝子のせいではない。 実は、 私たちは活性酸素を過剰に作り出してしまう原因となるものに囲まれて生活しているといってもいい。 喫煙や紫外線、 排気ガス、 悪い食べ物、 バランスの悪い食事、 発がん性物質、 ストレス等等。 私たち自身が生み出した文明の発達が地球環境を悪化させ、 それがまた自分達の遺伝子も損傷させる大きな原因となっている。」 遺伝子の話はまだまだつづく。 だが、 今までの情報だけでも遺伝子というものの大きな存在が理解できるのではないかと思う。 もうひとつ、 エピソードを追記して、 気晴らしの散歩に出かけることとした。 「イギリスにCancer Help Center=癌救助センターという施設がある。 ロンドンの西方200キロ弱にある港町・プリストルの静かな環境にあり、 チャールズ皇太子が資金的援助をしていることでも知られる。 ここでは、 西洋医学の手法を主とする現代医学的な癌治療法の限界を超えるために、 実に多様な努力をしている。 ここには『癌と戦う』とか『癌をたたく』といった発想はなく、 むしろ『癌と共存することで、 できるなら癌腫瘍を小さくしよう』という思想に基づいた治療が行われている。 むろん手術や抗ガン剤といった旧来の治療法とも無縁で、 食事療法を基本とし、 瞑想や適度な運動によって、 『人の体に本来備わっているホメオスターシス(=自然治癒力・恒常性維持機能)を高めることで健康を回復する』ことを目指している。」 ここで一服するため、 天照大神と倭姫命が降り立ったことのある場所へと別荘の門をくぐり向った。

多逢聖因 PARTⅡ ― ひとは、 邂逅によりどこまで成長できるか (10)

氏が創生水のことで思いを巡らしていたとき、 書斎の電話が鳴った。 ここは伊勢神宮近くの別荘である。 一ヶ月近くここを離れ、 温泉地巡り等をやっていたが、 一段落したので戻り、 今朝も通常の散歩に出、 いつものライフスタイルに戻りつつあった。 その電話は、 中国の医療留学を終え、 日本でいよいよ東洋医学をベースに医療の仕事を開始しようとしている20代半ばの青年であった。 肝心なときは必ず氏にメール或いは電話で連絡を取ってくる。 ベスト医療パートナーの関係にあった。 氏の施術力に絶大な信頼を置いており、 中国中医薬大学留学終了という肩書きを持ちながら、 氏には一目を置いていた。 氏は氏で自分に相当な自信を持っていた。 ある患者から、 「この病は治る可能性があるでしょうか。」と、 質問を受けたとき、 「今までの経験からは、 治らないとは言えませんね。」と言う程の自分の施術力に対する自信である。 患者の脈を取り、 身体を診ていると治療のポイントが次々と見えてくるのである。 今読んでいる「ヒトは遺伝子を傷つけて病気になる」という本からも、 大きな指標を学び取っていた。 つまり、 「高血圧の長寿村の話をしたが、 異常がありながら八十歳、 九十歳まで生きる人は存在する。 そのことが、 その人が持つ遺伝子によるものなのか、 生活環境等の環境因子によるものなのかはまだ解明されていない。 しかし、 その背景に何らかの“生き残る素質”があることは確かだ。 家系的になりやすい病気がありながら、 そうならない人もいる。 これもまた、 環境因子とは別に生き残る素質が見え隠れしているように思えてならない。」「すでに生活習慣病が遺伝子によって起きることは解明されてきているのだから、 これからの健康管理も、 最初に『遺伝子ありき』からはじめていく時期にきているのではないだろうか。 検査に比重を置く現行の健診も、 最初に遺伝子における体質(素因)をつかみ、 その素因が影響を受ける生活習慣の問診と改善のアドバイスだけで、 遺伝子損傷を防ぐことが可能になるかもしれない。」等等、 最近の氏は病気の核心に近づいていた。