遺伝子との対話(3)
今の時代で最も欠けているのは、 「優しさ」だと思う。 それを取り戻し、 或いは発展させていくためには一番どうしたらいいか、 それはまず己自身をよく知ることと思う。 宇宙誕生、 地球誕生の大きな流れの中で生まれた自らの生命、 その神秘の世界に謙虚に耳を傾け始めたとき、 「全存在」に対し「優しくなれる」と確信するのである。 掛け替えの無い生命の意味を正しく捉えられたとき、 他者の生命の尊さも分かるであろうし、 ましてや他者の生命にメスを入れることなど到底できないのではないかと思う。 己のエゴを満たすために、 他者の生命に傷つけているとしたら、 それは己の生命にも同じか或いはそれ以上の傷をつけていると認識する必要がある。 幼いときより「自分の遺伝子」と対話できていたら、 世の中はもっと平和に近い状況になっているのではないかと、 別荘の書斎に入り、 人間の営みに思いを馳せるとき氏はいつも思うのである。 沈思黙考しているとき、 携帯に電話が入った。 それは、 国作りレベルで動いている友からだった。 いよいよ重要な詰めの段階に入るので、 お互いの都合を勘案して会おうというものだった。 氏としては望むところである。 先祖につながる血が動き始めた。
遺伝子との対話(2)
それでは、 遺伝子が収まっている細胞の説明を加えることとする。 地球に暮らす生物は、 これまでに発見されたものだけでも約200万種。 実際には、 少なくとも1000万種を越えるとも言われている。 体長30メートルのシロナガスクジラから100分の1ミリにも満たない細菌まで、 生物の姿は千差万別である。 しかし、 そこには一つの共通点がある。 あらゆる生物の体は「細胞」からできているのである。 一つ一つのの細胞は、 「細(こまかい)」という字の通り、 非常に小さなものだ。 この細胞の中には、 生物が生きるうえで共通の基本原理が秘められている。 100分の1ミリにつめこまれた「生命のカラクリ」を探っていきたく思う。
細胞には、 大きさや形、 機能など、 様々なタイプのものが存在する。 しかし、 全ての細胞に共通するのは、膜(細胞膜)でおおわれた構造と、 その内部に「遺伝情報」を持っているということだ。 そしてこのような特徴を持った細胞が、 あらゆる生物の「基本単位」となっている。
遺伝情報が「核」の中につめこまれている細胞を「真核細胞」という。 これに対して明確な核を持たない細胞を「原核細胞」という。(但し、 これも遺伝情報は持っている。) また、 細菌のように一つの細胞が一つの個体として生きている生物を「単細胞生物」といい、 ヒトのように多数の細胞が集まって一つの個体をつくるものを「多細胞生物」という。 因みにヒトの細胞は、 その種類にもよるが、 大きさはおおむね0.01ミリメートル程度である。 ヒト1人の細胞の数はおよそ60兆個にもなり、 これらを1列に並べると、 60万キロメートルになる。 これは地球から月までの距離(約36万キロメートル)を遥かに越える長さだ。 尚、 世の中には非常に大きな細胞もある。 例えばダチョウの卵(但し未受精卵)の卵黄は直径約10センチメートルである。 ヒトの卵子は直径約0.14ミリメートルで、 ヒトの細胞の中では大きい。 また、 この世で最も小さな細胞は、 マイコプラズマという原始的な細菌で、 その直径はわずか0.00025ミリメートルである。
ここで、 細胞の説明は一服しよう。 だが、 自分自身を捉えるためには、 自分の体の中がどうなっているのか知ることが、 とても重要な気がする。 宇宙の誕生を知り、 地球の誕生を知り、 自らを取り巻く生物の誕生を知り、 自らの誕生を知ることによって、 他者全般に対し優しくなれるのではと考えるのである。
遺伝子との対話(1)
人は成人に達する頃には、 自分のID、 つまり、 「自己を証明できるもの」を確立し始める。 T氏の場合、 それは「実体」・「価値」・「実行」の弁証法哲学であった。 白紙の中に、 円を描き、 内方に向う弁証法を書き込んだ。 それは20歳のときであり、 24歳のときに出会う哲学漢方医学の大家との邂逅を暗示しているようであった。 というのは、 その哲学漢方医学の師も、 氏と同じ「弁証法哲学」を持ち、 20歳のときから「癌治療研究一筋の人生を送っていたのだ。」 そして、 今氏自身も「癌治療」に深い関心を持ちながら、 「他の難病も含む治療法研究・実践一筋の人生」を歩もうとしているのである。 これから、 「遺伝子との対話」の物語を始めるに当って、 氏の原点を明確に位置づけることとした。
さて、 遺伝子の歴史をまず遡ってみることとする。 親から子へと受け継がれていく遺伝子の「血筋」は下記先カンブリア時代(46億年前~5億4200万年前)に於ける38億年前に遡る。 太陽系が誕生したのが約50億年前、 地球が誕生したのが46億年前で、 その後しばらくして地球の表面に大気ができ、 海ができた。(44億年前) それから数億年と経たない時代の地層に細菌(遺伝子を持つ生物)の痕跡が記されている。 38億年前、 真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)が出現した。 具体的な細胞の説明の前に、 「遺伝子を持つ生物」という言葉の意味を明らかにする必要がある。 つまり、 生物である限り必ず遺伝子を持っていて、 「遺伝子を持たない生物」など存在しない。 遺伝子とは、 生物そのものと同義語に近いのである。
更に、 「生命の根本」の説明が必要となってくる。 「生命体の根本」とは、 「生命という有機的な結合物質」VS.「生命ではないただの物質」の根本的な違いのことである。 これは「化学反応(代謝)によって自己複製するか否か」というところにある。 生命は、 それ自身のプログラム(=遺伝子の遺伝情報)によって自ら代謝を重ねることで、 自身とまったく同じ(時には微妙に変化した)分身を作ることで自己増殖し、 同じ形質を次世代へと継承していく「モノ」のことである。 その観点から見た場合、 遺伝子の血筋は38億年よりももっと前(40億年前、 原始生命の誕生。)まで遡ることができる。
― 先カンブリア時代(46億年前~5億4200万年前)―
1) 46億年前、 地球誕生。 原始地球の形成。
2) 44億年前、 海の形成。
3) 40億年前、 原始生命の誕生。
4) 38億年前、 真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)の出現。
5) 32億年前、 光合成をする生物が現れる。 藍藻(シアノバクテリア)。
6) 27億年前、 藍藻(シアノバクテリア)が大量発生。
7) 21億年前、 真核生物出現。
8) 25億年前、 縞状鉄鉱層の形成。
9) 24億年前~22億年前、 最古の氷期。
10)20数億年前、 大気中の酸素の増加。
11)20億年前、 最古かつ最大の小惑星衝突。
12)20億年~19億年前、 最初の超大陸(ヌーナ大陸)出現。
13)9億年前~6億年前、 大規模な氷河時代であったとされる。
14)10億年~6億年前、 多細胞生物出現。
15)6億年前、 カンブリア爆発と呼ばれる生物の多様化が起こる。
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