宇宙(14) その2
伊邪那岐命と伊邪那美命のニ神が、 力を合わせて生んだ島の数は十四、
神の数は三十五になる。 この計算は、 伊邪那美命がこの世を去る以前に生んだ
ものの数である。 ただしおのごろ島は生んだものではない。 また、 蛭子
(ひるご)と淡島(あわしま)とも、 御子のうちにははいらない。
女神の死にあたって、 伊邪那岐命は悲しみのあまり、 声をあげて叫んだ。
「いとしい我が妻よ。 たかが一人の子供のために、 二人とないお前を失って
しまったとは!」
その時に伊邪那岐命の涙から生まれた神は、
①泣沢女神(なきさはめのかみ):大和の香具山の山裾にある木の下にいる。
女神の亡骸を出雲の国との境である比婆之山に埋葬した。
しかし伊邪那岐命は、 妻に先立たれた痛恨のあまりに、 腰に帯びた、 長さ
十握(とつかみ)もある十拳剣をすらりと引き抜くと、 不幸の原因となった
御子の火の神、 火之野芸速男神の頸を切り放った。 その時、 手にした剣の
切先についた血は、 累々と横たわる石また石の上にほとばしり流れ、 そこに
神々が生まれた。
①石拆神(いはさくのかみ)
②根拆神(ねさくのかみ)
③石筒之男神(いはつつのをのかみ)
④甕速日神(みかはやびのかみ)
⑤樋速日神(ひはやびのかみ)
⑥建御雷之男神(たけみかずちのをのかみ)=建布都神(たけふつのかみ)
=豊布都神(とよふつのかみ)
⑦闇淤美神(くらおかみのかみ)
⑧闇御津羽神(くらみつはのかみ)
石拆神から闇御津羽神まで、 合わせて八柱の神は、 伊邪那岐命の手にした
剣から生まれた神々である。
父の神によって切り殺された火之野芸速男神の、 その切られた頭から生まれた
神の名は、
①正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ)
次に、 その胸から生まれた神の名は、
②淤縢山津見神(おどやまつみのかみ)
次に、 その腹から生まれた神の名は、
③奥山津見神(おくやまつみのかみ)
次に、 その陰処(ほと)から生まれた神の名は、
④闇山津見神(くらやまつみのかみ)
次に、 その左手から生まれた神の名は、
⑤志芸山津見神(しぎやまつみのかみ)
次に、 その右手から生まれた神の名は、
⑥羽山津見神(はやまつみのかみ)
次に、 その左足から生まれた神の名は、
⑦原山津見神(はらやまつみのかみ)
次に、 その右足から生まれた神の名は、
⑧戸山津見神(とやまつみのかみ)
正鹿山津見神から戸山津見神まで合わせて、 八柱の神となる。
一方、 伊邪那岐命が手にした剣は、 その名を天之尾羽張(あめのおわばり)
と言う。 その別名は伊都之尾羽張(いつのおわばり)で、 いずれも鋭利な
名刀の意味である。
四 三貴子(みはしらのうずのみこ)
①天照大御神(あまてらすおおみかみ)
伊邪那岐命が左の目を洗ったとき生まれた。
②月読命(つくよみのみこと)
伊邪那岐命が右の目を洗ったとき生まれた。
③須佐之男命(すさのをのみこと)
伊邪那岐命が鼻を洗ったとき生まれた。
五 天之忍穂耳命 (あめのおしほみみのみこと): 稲穂の神、農業神として信仰。
大国主命(おおくにぬしのみこと): 天の象徴である天照大神に対し、
大地を象徴する神格。
邇邇芸命 (ににぎのみこと): 天照大神の子である天之忍穂耳命と、
高木神の娘である栲幡千千姫命(萬幡豊秋津師比売命)の子。
火遠理命 (ほおりのみこと): 神武天皇の祖父。
鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと): ほおり(山幸彦)と、
海神の娘であるとよたまびめ(豊玉毘売)の子。
六 中巻(なかつまき)
初代神武天皇から十五代応神天皇までを記す。神武東征に始まり、ヤマトタケルや神功皇后の話など神話的な説話が多く、神の世と人の世の間の時代であることを示している。ニ代から九代までは欠史八代と呼ばれ、系譜などの記述にとどまり、説話などは記載されていない。そのため、この八代は後世に追加された架空の存在であると説かれているが、実在説も存在する。なお、「神武天皇」といった各天皇の漢風諡号は、『古事記』編纂の時点では定められていないため、国風諡号のみで記されている。
①第一代神武天皇
②第二代綏靖天皇
③第三代安寧天皇
④第四代懿徳天皇
⑤第五代孝昭天皇
⑥第六代孝安天皇
⑦第七代孝霊天皇
⑧第八代孝元天皇
⑨第九代開化天皇
⑩第十代崇神天皇
⑪第十一代垂仁天皇
⑫第十二代景行天皇
⑬第十三代成務天皇
⑭第十四代仲哀天皇
⑮第十五代応神天皇
七 下巻(しもつまき)
仁賢天皇から推古天皇までは欠史十代ともいわれ、欠史八代と同じく系譜などの記述にとどまり具体的な著述が少ない。これは、書かれた当時においては、時代が近く自明のことなので書かれなかったなどと言われている。
⑯第十六代仁徳天皇
⑰第十七代履中天皇
⑱第十八代反正天皇
⑲第十九代允恭天皇
⑳第二十代安康天皇
21 第二十一代雄略天皇
22 第二十二代清寧天皇
23 第二十三代顕宗天皇
24 第二十四代仁賢天皇
25 第二十五代武烈天皇
26 第二十六代継体天皇
27 第二十七代安閑天皇
28 第二十八代宣化天皇
29 第二十九代欽明天皇
30 第三十代敏達天皇
31 第三十一代用明天皇
32 第三十二代崇峻天皇
33 第三十三代推古天皇
以上が、 古事記に出て来る天皇である。
宇宙(14) その1
ここで物語るには限界がある。 でも伝えたい。 勇気を持って。 愛しい皆のために。 確かに皆夫々素晴らしい可能性を秘めている。 まずは与えられた環境から人生はスタートする。 しかし、 人は成長するに従って自ら環境に影響を与えるようにもなる。 私も日本の神話について詳しいほうではなかった。 あるきっかけで、 一挙に興味を持ち始めた。 それは古事記との出合いである。 そこに登場する神々を紹介したい。
第四十代天武天皇が稗田阿礼に命じて、 帝皇日継(帝紀)と先代旧辞(本辞)を誦み習わせられたことに始まり、 後に第四十三代元明天皇(第三十八代天智天皇の第四皇女)の勅命を受けて、 正五位上勲五等・太朝臣安萬侶(おおのあそんやすまろ)が和銅五年(712)正月二十八日に、 稗田阿礼の誦習する『帝紀』『旧辞』を筆録・編纂して史書を献上した。 古事記はこうして八世紀の初頭に成立したわが国最古の典籍である。
○ 古事記 上巻
一 宇宙の初め
=別天(ことあま)つ神五柱(いつはしら)独神(ひとりがみ)=
①天之御中主神(あめのみなかぬし)独神、天原の中心の神
②高御産巣日神(たかむすび)独神、生成力の神格化
③神産巣日神(かみむすび)独神、生成力の神格化
④宇摩志阿斯詞備比古遲神(うましあしかびひこぢ)独神
⑤天之常立神(あめのとこたち)独神
以上にあげた五柱の神は、 地上に成った神とは別であって、 これらは天神(あまつかみ)である。
二 神代七代
①国之常立神(くにのとこたち)独神、国土の根源神
②豐雲野神(とよくもの)独神
③男神・宇比地邇神(うひぢに)と女神・須比智邇神(すひぢに)
④男神・角杙神(つのぐひ)と女神・活杙神(いくぐひ)
⑤男神・意富斗能地神(おほとのぢ)と女神・大斗乃辨神(おほとのべ)
⑥男神・於母蛇流神(おもだる)と女神・阿夜詞志古泥神(あやかしこね)
⑦伊邪那岐神と伊邪那美神男女の神、夫婦
以上に述べたところの国之常立神から伊邪那美神に至るまでを、
「神代七代(かみよななよ)」と言う。 これは最初の二柱の神はそれぞれ
一代、 男神女神双(なら)んで現れた十柱は、 それぞれニ神を合わせて
一代とする計算である。
三 伊邪那岐命と伊邪那美命
伊邪那岐命と伊邪那美命は次々に国を生んだ。
①淡道之穂之三別島(あわじのほのさわけしま):淡路島
②伊予の二名島(ふたなしま):四国
一 愛比売(うるわしい乙女の意味): 愛媛県(伊予の国)
二 飯依比古(いひよりひこ): 香川県(讃岐の国)
三 大宜都比売(おおけつひめ): 徳島県(粟の国)
四 建依別(たてよりわけ): 高知県(土佐の国)
③隠岐之三子島(おきのみつごのしま)=天之忍許呂別(あまのおしころわけ)
④筑紫島(つくししま): 九州
一 白日別(しらびわけ): 筑前筑後・福岡県(筑紫の国)
二 豊日別(とよびわけ): 豊前豊後・大分県(豊国)
三 建日向日豊久土比沼別(たけひむかひとよくづひぬわけ):
肥前肥後・佐賀県と、対馬と壱岐を除く長崎県(肥の国)
四 建日別(たてびわけ): 鹿児島県(熊曾の国)
⑤伊伎島(いきしま)= 天比登都柱(あめのひとつはしら) : 壱岐
⑥津島(つしま): 対馬
⑦佐渡島(さとしま): 佐渡
⑧大倭秋津島(おおやまとあきつしま)= 天津御空豊秋津根別
(あまつみそらとよあきつねわけ): 本州
以上にあげた八つの島は、 伊邪那岐命と伊邪那美命が初めに生んだ島々
なので、 これらを総称して特に大八島国(おおやしまくに)と呼ぶ。
更に、 伊邪那岐命と伊邪那美命は次々に国を生んだ。
(これらは瀬戸内海及び北九州沿岸の島々である。)
⑨吉備之児島(きびのこしま)= 建日方別(たてひかたわけ)
⑩小豆島(あづきしま)= 大野手比売(おおぬてひめ)
⑪大島(おおしま)= 大多麻流別(おおたまるわけ)
⑫女島(ひめしま)= 天一根(あめひとつね)
⑬知詞島(ちかのしま)= 天忍男(あみのおしを)
⑭両児島(ふたこしま)= 天両屋(あめふたや)
徳島県の最初の水蛭子(ひるこ)、淡島(あわしま)を合わせると、
計十六島を生んだことになる。
以上のような国を生む仕事が終わって、 今度は神を生むことになった。
①大事忍男神(おほことおしをのかみ)
②石土毘古神(いはつちびこのかみ)
③石巣比売神(いはすびめのかみ)
④大戸日別神(おほとびわけのかみ)
⑤天之吹男神(あめのふきをのかみ)
⑥大屋毘古神(おほやびこのかみ)
⑦風木津別之忍男神(かざけつわけのおしをのかみ)
石土毘古神から風木津別之忍男神までの六神は家屋を守護するところの
神々である。
次に生んだのは海を統(す)べる神で、
①大綿津見神(おほわたつみのかみ)
次は、 河口を統(す)べる神で、
①連秋津日子神(はやあきずひこのかみ)
②その女神である連秋津比売神(はやあきずひめのかみ)
を生んだ。
大事忍男神から連秋津比売神まで合わせて、 十柱の神となる。
最後に生まれた連秋津日子神と連秋津比売神のニ柱の神は、
河から海に入る水戸(みなと)を統(す)べる神であるから、
互いに河と海との片方ずつを分担し合って、 次のような神々を生んだ。
①沫那芸神(あわなぎのかみ)
②沫那美神(あわなみのかみ)
③頬那芸神(つらなぎのかみ)
④頬那美神(つらなみのかみ)
⑤天之水分神(あめのみくまりのかみ)
⑥国之水分神(くにのみくまりのかみ)
⑦天之久比箸母智神(あめのくひざもちのかみ)
⑧国之久比箸母智神(くにのくひざもちのかみ)
沫那芸神から国之久比箸母智神まで合わせて、 八柱の神となる。
伊邪那岐命と伊邪那美命のニ神は更につづけて次の神々を生んだ。
①風の神: 志那都比古神(しなつひこのかみ)
②木の神: 久久能智神(くくのちのかみ)
③山の神: 大山津見神(おほやまつみのかみ)
④野の神: 鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)=野椎神(のづちのかみ)
志那都比古神から鹿屋野比売神まで合わせて、 四柱の神となる。
最後に生まれた志那都比古神と鹿屋野比売神のニ柱の神は、
山野を統(す)べる神であるから、 互いに山と野との片方ずつを分担し
合って、 次のような神々を生んだ。
①天之狭土神(あめのさずちのかみ)
②国之狭土神(くにのさずちのかみ)
③天之狭霧神(あめのさぎりのかみ)
④国之狭霧神(くにのさぎりのかみ)
⑤天之闇戸神(あめのくらどのかみ)
⑥国之闇戸神(くにのくらどのかみ)
⑦大戸惑子神(おほとまとひこのかみ)
⑧大戸惑女神(おほとまとひめのかみ)
天之狭土神から大戸惑女神まで合わせて、 八柱の神となる。
伊邪那岐命と伊邪那美命のニ神は更につづけて次の神々を生んだ。
①鳥之石楠船神(とりのいはくすぶねのかみ)=天鳥船(あめのとりふね)
②大宜都比売神(おほげつひめのかみ)
③火之野芸速男神(ひのやぎはやをのかみ)=火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)
=火之迦具神(ひのかぐつちのかみ)
④金山毘古神(かなやまびこのかみ)
⑤金山毘売神(かなやまびめのかみ)
⑥波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)
⑦波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)
⑧弥都波能売神(みつはのめのかみ)
⑨和久産巣日神(わくむすびのかみ)
⑩豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)
伊邪那美の女神は、 火の神(火之野芸速男神)を生む時に受けた傷が重くなって、
ついにこの世を去って黄泉国(よもつくに)へ旅立った。
鳥之石楠船神から豊宇気毘売神まで合わせて、 十柱の神となる。
ーーー つづく
宇宙(13)
昨日、 世界遺産「武夷山(複合遺産。上海から飛行機で約1時間、毎日3便。福建省北部に36峰を連ねる名山。峰を縫ってくねくねと流れる谷川は九曲溪とよばれ、いかだ下りが楽しめる。茶所としても有名である。)」のテレビ番組を見ていて、 「これだ、 と。」強烈に思ったことがある。 つまり、 国作りの視点が決まったら、 日本は勿論のこと、 世界各国の世界遺産を巡り、 地球上の自然は如何なるものか、 また、 そこで展開されてきた人間の人生は如何なるものか、 じっくり考えることである。 現地に行くことはベストであるが、 今の時代はDVD等でその一面を見ることはできる。 その中で特定の世界遺産を選び、 視察に出かける。 それでは、 中国世界遺産・武夷山から何を感じ取ったのか説明することとする。 景色は無論絶景であるが、 私が注目したのは、 そこに住む人々から生まれた「烏龍茶」の製法である。 それは、 日本に於ける「刀剣」作りに通じるものを感じた。 一人の茶師が「烏龍茶」作りの全工程をチェックし、 最後に「お茶の色が金色になった。」とき、 銘茶と認定するのである。 また、 感動はその茶師だけに留まらない。 この茶を生むには、 武夷山という自然(岩)から滲み出るミネラル水がその「烏龍茶」の木の栄養分となることによって初めて、 銘茶の素となる茶葉が育つのである。 この自然と人とのコラボレーション、 ここに我々が地球の、 人類の歴史から学ぶ大きなものが確実に存在すると感じたのである。 そう思うと、 何だか身体全体が軽くなり、 日本の国作りの全貌が見えてきた。
― - - つづく