宇宙(45) 医学(7)
今回で、 東洋医学の説明の結びとしたい。 専門的になり、 理解困難になる可能性があるからだ。 ただ、 西洋医学に負けない科学性があることを強調したい。 また、 科学性があるものでも、 ノーベル物理学賞を受賞することになった1973年発表の小林・益川理論のように、 「小林・益川理論のもう一つの重要な予言であるCP対称性の破れを調べるために、KEK(高エネルギー加速器研究機構)では非対称Bファクトリー加速器(KEKB)を建設してB中間子(ダウンクォークとボトム反クォークの束縛状態)の崩壊でCP対称性の破れの大きさを測定する実験を行ってきました。 その結果、CP対称性の破れは小林・益川理論が予言するものとぴったりと一致することがわかり、 2001年にその正しさが証明されたのです。 KEKでは、小林・益川理論の検証に成功した後も、さらなる精密検証と標準理論を越える物理現象の探索に向けて実験を続けています。」とあるように、 発表から35年もかかり、 科学性が認められ、 ノーベル物理学賞となったのである。 これは数千年を経過し、 臨床に臨床を重ね確立した「東洋医学理論」と相通じるところがあると考える。
一般に言われているツボ(経穴)というものが、 何種類あるか説明する。 まず、 正経十二経絡穴という基本的なツボ(経穴)につき、 流注という流れに沿って説明する。 まず、 便宜上、 手の太陰肺経から始める。 実際の人間の身体は最初も最後もなく丸くつながっている。 手の太陰肺経(11穴)→ 手の陽明大腸経(20穴)→ 足の陽明胃経(45穴)→ 足の太陰脾経(21穴)→ 手の少陰心経(9穴)→ 手の太陽小腸経(19穴)→ 足の太陽膀胱経(63穴)→ 足の少陰腎経(27穴)→ 手の厥陰心包経(9穴)→ 手の少陽三焦経(23穴) → 足の少陽胆経(43穴)→ 足の厥陰肝経(13穴)、 そして、 最初の手の太陰肺経に戻り、 同じように循環を繰り返す。 更に、 奇経八脈というツボ(経穴)も存在する。 督脈経(27穴)→ 任脈経(24穴)、 更に、 衝脈(※11穴) 帯脈(※5穴) 陽維脈(※14穴) 陰維脈(※8穴) 陽蹻脈(※12穴) 陰蹻脈(※3穴) (注)※穴は正経十二経絡穴と督脈・任脈経穴に含まれる。 他に、 奇穴と称するツボ(経穴)が数多く存在する。 これら総てのツボ(経穴)は臨床により、 その有効性が立証されたものである。
五臓六腑のバランス関係も記しておく。 木は木星であり、 肝臓と胆のう。 その子は火であり、 これは火星であり、 心臓と小腸。 その子は土であり、 これは土星であり、 脾臓と胃。 その子は金であり、 これは金星であり、 肺臓と大腸。 その子は水であり、 これは水星であり、 腎臓と膀胱。 つまり、 木→火は、 親子関係(生み生まれた仲の良い間柄)。 同じく、 火→土、 土→金、 金→水、 水→木はそれぞれ親子関係(相生関係)である。 一方、 木→土、 土→水、 水→火、 火→金、 金→木は、 それぞれ夫婦関係(互いに抑制し調整し合う間柄、 つまり、 相剋関係)である。 そして、 この相生相剋の関係が、 各々その特徴を表して、 常に五行が平らになるという自然療能作用を勝復関係と言う。 即ち、 まず、 火が亢(たか)ぶる時は金を抑え、 金、 剋を受くる時は木が亢(たか)ぶり、 木の亢(たか)ぶりは土を抑え、 土、 剋を受くる時は水旺気し、 水の旺気は遂に火の亢(たか)ぶりを抑えて(複(ふたた)び勝つ)、 五行は常に平らとなる。 東洋医学に於いては陰陽五行説が、 常に診察に於いても治療にも極めて具体的に応用され、 一見、 観念論のように見られるこの陰陽五行が、 臨床の現場に於いては、 極めて具体的かつ理路整然と実践されているのである。
以上、 東洋医学の一端をご説明してきた。 実際には、 具体的な疾病の治癒により、 その有効性が立証されることとなる。
→ 東洋医学の説明は終了。
― - - 「医学」の話題は、 つづく
宇宙(44) 医学(6)
「陰陽五行」は紀元前五百、 六百年頃に、 中国に於いて発達した支那哲学に於ける、 最も基本的な思考形式(物の見方、 考え方)である。 従って、 まず、 これをよく理解しなければ、 東洋文化を学ぶことは困難である。 即ち、 東洋民族の貴重な文化遺産である鍼灸術もこの陰陽五行を根幹として構成されている。
1)陰陽
宇宙の始めを太極といい、 清陽は、 昇って天の気となり、 濁陰は、 降って地の気となる。 この陰陽両儀が相交わって、 自然界を構成している。 即ち、 陰陽は、 互いに相対する間柄で、 これを自然界に見ると、 天と地、 昼と夜、 上と下、 東と西、 夏と冬、 火と水等である。 陽実すれば陰虚し、 虚実すれば陽虚するという拮抗関係になっており、 陽は動的、 熱性で、 能動的、 積極的であり、 陰は静的、 寒性で、 受動的、 消極的である。
天人合一を特色とするこの医学では、 人間を小天地と見做しており、 陰陽を人の身体にみるならば、 男は陽・女は陰、 頭は陽・足は陰、 背は陽・腹は陰、 外部は陽・内部は陰、 六腑は陽・五臓は陰、 気は陽・血は陰となる。 更に、 病でいうならば、 急性病は陽、 慢性病は陰、 腫れ痛みは陽、 痩せ痺れは陰、 発熱は陽、 寒冷は陰等と総て陰陽によって理解することができる。 しかし、 実際には、 陽極まれば陰を生じ、 陰極まれば陽を生ずるという循環理論になっており、 また、 陽中に陰陽あり、 陰中にも陰陽があって、 この二者は渾然一体をなすというのが自然な姿であり、 独陰、 独陽は脱落状態で死に通じるものである。
2)五行
この陰陽説は、 その後に発達した五行論と合体して陰陽五行説となる。 即ち、 五行とは木火土金水を言い、 宇宙の森羅万象は、 総てこれに含まれるとみるのが五行的な考え方である。 五行生成の順序を述べると、 一に「水」を生じ、 二に「火」を生じ、 三に「木」を生じ、 四に「金」を生ずとなっており、 水は「陰」を代表し、 火は「陽」を代表するので、 これによって自然界が始まる。 次に、 木は「形を成すもの」を代表し、 金は「人為的に作られたもの」を総称する。 五に「土」を生ずといって、 総ては、 この土の上に位置して自然界が構成されるとみる。
このように、 自然界は、 総て、 五行によって解釈されるのであるが、 これらは決して単純、 無関係に存在するのではなく、 相生・相剋および勝復という三つの関係によって、 緊密に連携し、 常に、 森羅万象が保たれ安定している。
以上が、 「陰陽五行」の概要であり、 数千年を経て完成した人間の深い知恵と言えるであろう。 次回は、 この五行に五臓六腑を当てはめて説明したい。 木(肝・胆のう)・火(心・小腸)・土(脾・胃)・金(肺・大腸)・水(腎・膀胱)の如く。
― - - つづく
宇宙(43) 医学(5)
宇宙(42) 医学(4)に於いて、 私の施術法について述べたが、 これは自己宣伝ではなく、 真実を伝えたいがための苦肉の策とご理解願いたい。 医学の話題からは逸れるが、 昨今のデフレ不況の中、 様々な宣伝物が出回っている。 例えば、 「あの鳩山首相に『東アジア共同体構想』などを提案するなど、 鳩山首相と深いパイプを持つ、 圧倒的な「人脈」と「知識」を持つ、ある1人の国際金融コンサルタントからのメッセージ - - - 」等と。 多分嘘ではないだろう。 でも時流に乗ったPRには一抹の抵抗を感じる。 私も過去、 新製品発表のため海外に出かけ、 記者発表を行い、 現地の新聞に載ったこともある。 海外ディーラー育成のためセミナーを定期的に開催したこともある。 世界は体で感じ取ってきた。 世界との交流のため、 ドイツ語、 中国語、 英語は操れるようになった。 また、 勉強した外国語は数多い。 フランス語、 ロシア語、 アラビア語、 マレー語、 タイ語等、 触れ合った人々の言語はほとんど全て勉強した。 何故なら、 言語を理解しないで、 交流はできないからだ。 このような体験の中から、 皆様に訴えたいメッセージが生まれた。 大きくは、 「国作り」と「医学」についてである。 それは、 我々がこの世に於いて幸せに生きていくため欠かすことのできない重要な環境であるからだ。
それでは、 「医学の話題」に戻ろう。 医学を考えるとき最も重要なことは、 人間の体の仕組みを知ることである。 我々の先達は、 西洋医学、 東洋医学の両面から人間の体を捉えてきた。 西洋医学では人間の皮膚から採取した細胞をもとにiPS(Induced Pluripotent Stem cells)細胞を樹立し、 各臓器の失われた細胞を再生する方法まで考え出して来ている。 勿論、 この手法はまだ完全ではなく、 人間の体の100%の完璧さに近づくことは出来ても、 到達し得ないというのが私の意見である。 この西洋医学のパワーを包み込むものとして、 「東洋医学」が存在している。 この差をわかりやすく説明すると、 西洋医学の言う「細胞」という概念には、 「人間の精神性或いは魂」という概念が入り込む余地がないのに対し、 東洋医学の言う「陰陽五行」という概念は宇宙と人間を一体として捉え、 「人間の体の100%の完璧さ」を基に、 治療方法を敷衍(ふえん)している。 次回は、 この東洋医学の基本についてご説明しよう。
― - - つづく