宇宙(42) 医学(4)
あるとき診て欲しいという電話がかかってきた。 往診に行くと、 私を必要としている人と直感した。 医学者或いは医学研究者は、 「治癒責任を持たされていない。」 前述したような例えば「免疫力」等の説明をつづけておれば、 本を出版することもできれば、 医学者としての人生を送ることができる。 しかし、 我々治療家の場合は、 理論だけ唱えていても、 何の意味も持たない。 「治癒がなければ、 患者から『治療』を断られ、 治療家としての人生はない。」 しかし、 そのような厳しさの中で、 「本物の治療方法が生まれる。」 その一端をご紹介し、 「治癒に到る道筋」をご説明しよう。 私が往診に行った患者の主訴、 病歴等は次のようであった。
・主訴: 背部痛
・現病歴: 頚椎狭窄症(20数年前階段から落下)
白内障(10年前)緑内障(6年前)顔面麻痺(5年前)
高血圧
・望診: 身長 153cm、 体重 48.5kg
前額部・尺部の色共に色白、 舌体は紅色で舌苔は薄い。
・聞診: 話し方は自然、 声質は中位で濁り少なく五声は優しく
滑らかで歌、 五香は香
・問診: 便通は1日1回で硬さは普通、 尿は1日4~5回、
睡眠は7時間(就寝は午後11時頃)。 三食は定期的。
間食無し。 血圧は高く、 薬常用
・切診: 切経 - 全体的に肌は滑らか。
・腹診: 腎の診所に圧痛あり、 大腹と小腹を比較すると、
大腹部(胃の上)に膨らみがあり、 実。
・脉診: 脉状診は、 平実。 比較脉診は右手寸口沈めて肺最も虚、
浮かせて大腸平。 右手関上沈めて脾虚。
左手関上沈めて肝実。 その他は平位。
・舌診: 紅色で健康色
・病症の経絡的弁別: 下肢の冷えは腎水経の変動、 大腹部の膨らみは
脾土経の変動。 左肩部の膨らみは小腸経・
膀胱経の変動。
・証決定: 四診法の情報を総合判断し、 肺虚肝実証とした。
・適応側の判定: 女性故、 右側とした。
・予後の判定: 頚椎狭窄症が根本にあるが、 身体全体のバランスを
見て、 予後は良とした。
以上が、 概略であるが、 これに「良導絡」も加え、 テスターにより、 五臓六腑の変動も数値(μA)で捉える。 更に、 必要な場合、 「足心道療法(足の健康法)」、 「中国秘伝刮痧(コアサー)治療」、 薬膳指導も行っていく。 ここで注目すべきは、 腸(小腸・大腸)の微生物を死滅させる化学薬品は一切使っておらず、 患者自身の持つ免疫力を向上させることにより、 各疾病を治癒の方向に持っていく「東洋医学の施術法」である。 この患者は、 施術3回目にして、 「治療が効いているなと思ったのは、 ヘアー・ サロンに行ったとき。 いつもは、 頸が痛くなるのだが、 暫くは痛くなかった。」と実感し、 施術10回目で主訴の「背部痛」はほぼ解消。 現在も、 健康増進のために定期的に施術している。 今では患者と施術者の信頼関係は堅固である。
― - - つづく
宇宙(41) 医学(3)
治療方法に入る前に、 人間の体の真の姿をご説明しよう。 人間がオギャっとこの世に誕生したときの有り様を正確に捉えることが基本であり、 極めて重要である。 誕生時、 人間として100%完全である。 非の打ち所がないと言ってもいいだろう。 しかし、 誕生後、 環境との戦いが始まる。 色々な病気を体験し、 外邪に対する抵抗力をつけていく。 一般には、 小児科でお世話になる。 小学校中学年位になると、 結構バランスが取れてきて、 運動等により自ら鍛錬できるようにもなる。 今年は、 新型イフルエンザという強敵がやって来た。 一般にはこれにも打ち勝つ力を備えている。 外邪との戦いの際、 重要なものは「免疫力」である。 宇宙(40) 医学(2)に於いて 説明したように「腸(小腸・大腸)」を健全に保つことにより、 「免疫力」を維持・強化できる。 逆に「腸(小腸・大腸)」の機能が不完全であると、 「免疫力」が低下し、 病気に打ち勝つことが出来ない。 「免疫力」低下の最大の原因は、 化学薬品の服用である。 宇宙(40)で述べた如く、 腸では数多くの神経細胞や、 免疫細胞が機能しており、 腸管内には100種類以上もの微生物が棲んでおり、 数にして100兆個・量にして1kgの微生物が我々人間と共生している。 その重要な微生物を化学薬品が殺してしまうからだ。
では、 どのような治療方法を取ったらいいかという話になる。 ある意味では、 簡単である。 一般には取っていない治療方法である。 「人間誕生時、 人間として100%完全である。 非の打ち所がないと言ってもいいだろう。」と上述した如く、 100%完全な人体に人為的に製造した化学薬品がうまく融合するはずはない。 数値で説明してみよう。 100%完全な人体に50%或いは70%、 最悪は30%(更に低い数値も考えられる)の完成度しかない化学薬品を投入したとしよう。 50%、 30%、 70%の差を人体が補う能力を持つはずがない。 この差は、 副作用を意味すると言えば、 わかりやすいであろう。 しかも、 「免疫力」と深いつながりを持つ腸内の微生物を殺してしまう。 この方法ではなく、 生まれながらに持っている100%完全な人体に戻す治療方法を取るべきである。 それは、 薬膳であり、 鍼灸であり、 東洋医学である。 次回は、 実際の臨床例を示し、 説明することとする。
― - - つづく
宇宙(40) 医学(2)
宇宙(39) 医学(1)では、 「がん」を治すにはというテーマで物語った。 この「治すには」にポイントがある。 一般には、 「がん」と聞くと、 癌センター等がイメージとしてつながるのではないだろうか。 しかし、 その癌センターに於いて治癒につながるどれだけのことが為されているだろうか。 莫大な費用をかけた薬の研究、 癌を除去する設備、 ものものしい建物、 頭脳明晰な医師陣等等、 圧倒される医療軍団がそのセンターの中には存在している。 今までの叡智を結集したものがそこにはある。 それは間違いないだろう。 しかし、 その事実と、 「治癒につながることが行われているかどうか。」とは別次元の問題である。 ここでは批判めいたことは差し控える。 そこで必ず拒絶反応が起こり、 重要なメッセージが遮断されるからだ。
皆さんは、 免疫力という言葉を耳にされたことがあるだろう。 それでは、 その免疫力が体のどこで作られているかをご存知だろうか。 それは、 全長7m(面積にして、 テニスコート一面)にも及ぶ小腸と大腸で行われている。 ここで、 腸(小腸・大腸)の機能を説明しよう。 まず、 「腸は脳の指令を受けて働いておりません。 腸は原則として、 自分で考えて機能しています。」 また、 腸にある神経細胞(ニューロン)の数は1億以上で、 この数は脊髄全体に存在する神経細胞の数より勝っている。 つまり、 腸は立派な神経器官と言ってもいい存在。 更に、 「腸は自立して、 つまり、 脳の指令を受けないで機能している。」というところに大きな意味がある。 何故なら、 「外界から侵入してくる全ての物質を体内に取り入れるべきか、 排除すべきか瞬時に判断して機能している。 我々の生命は、 外界から物質を取り入れて維持されている訳であるから、 何を取り入れ、 何を排除するかという判断、 すなわちトリアージ(命の選別・症度判定)は生命の根幹に関わる極めて重要な問題である。 このトリアージ(命の選別・症度判定)を間違えれば、 生命にも関わってくる。 このトリアージ(命の選別・症度判定)の役割を一手に引き受けて機能しているのが『腸』ということになる。」 従い、 「腸こそが最大の免疫器官ということになる。」
また、 「全身のリンパ球の約60%は腸で働いている。 ※リンパ球(Lymphocyte)は、末梢血の白血球のうち20~40%ほどを占める、比較的小さく(6~15μm)、細胞質の少ない白血球。 抗体を使ってあらゆる異物に対して攻撃するほか、ウイルスなどの小さな異物や腫瘍細胞に対しては、顆粒球ではなくリンパ球が中心となって対応する。 NK細胞、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)などの種類がある。 体液性免疫、抗体産生に携わるのはB細胞とヘルパーT細胞で、 腫瘍細胞やウイルス感染細胞の破壊など細胞性免疫に携わるのはキラーT細胞やNK細胞である。 寿命は数日から数ヶ月、時には年単位である。 骨髄で未熟な状態で産出された後、胸腺(Tリンパ)や脾臓(Bリンパ)などで成熟し、さらにはリンパ節に移動しそこでも増生・成熟が行われるなど複雑な経過をたどる。 そして、 抗体の60%は腸で作られている。」 更に、 腸では数多くの神経細胞や、 免疫細胞が機能しており、 腸管内には100種類以上もの微生物が棲んでおり、 数にして100兆個・量にして1kgの微生物が我々人間と共生している。
ここまで、 長々と腸の重要性を述べる背後には大きな理由がある。 つまり、 これ程重要な役目を担っている腸内細菌(微生物)は、 化学薬品(抗生物質)によってほとんど死滅してしまうのである。 その死滅が我々の心身に与える悪影響は計り知れないこと、 容易に想像できるであろう。 また、 癌センターで何が起こっているか、 少しは想像できるであろう。 次回は、 それでは如何に治癒に当ればいいかご説明することとする。
― - - つづく