FLICKS FREAK -4ページ目

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

全米大ヒット中のホラー映画。制作費わずか75万ドルのこの作品が、制作費200倍超(制作費1億6500万ドル)の『スターウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の北米興行収入を上回ったのだからその熱狂ぶりが分かるというもの。

 

監督はカリー・バーカー。この作品が初の長編監督作品だが、この作品が注目されているのはカリー・バーカーがユーチューバーであることもあるだろう。彼は、この作品のイアン役として出演しているクーパー・トムリンソンと共に『that's a bad idea』というスケッチ・コメディのチャンネルを主宰している。そして、これまでにホラーを中心にショート・ムービーをYouTube上で無料公開し、62分のファウンド・フッテージ・ホラーである『Milk & Serial』が話題となっていたこともこの作品の注目度を上げただろう。彼は、この作品では「One Wish Willow」のカスタマーサービスの電話の声としてカメオ出演している。

 

主人公はベアとニッキー。彼らは同じ楽器店に勤務する同僚だが、作家を目指すニッキーへの片想いをベアが「One Wish Willow」を使ったおまじないで成就させるというストーリー。日本で言えば、さながら絵馬に願い事を書いた恋人の物語ということになるだろう。ニッキーは自分が書く作品を「ラブ・ロマンスではなくラブ・ストーリーなの」と評するところから、恋愛に関してかなり思い入れが強い内容であり、その「恋愛要素強めのホラー」という内容がティーンエージャーを中心に爆発的に受けている理由だろう。

 

ホラーの要素として盛り込まれているのが、恋愛の対象に対する異常なまでの執着や束縛という「極度のヤンデレ」。オカルトではないリアルの延長が「むっちゃこわっ!」という反応になる。

 

観客にとって恐怖の対象となるのがニッキーだが、彼女の描写では「暗い背景に溶け込んで表情がはっきりしない」とか「ピントが合ってない遠景に彼女の視線を感じる」とか「姿を見せずに声だけ」とか、不気味さや恐怖感を醸し出す映像的演出のセンスがよかった。

ジャンプスケアの使い方は個人的には抑制的だと感じ、ただ一度強烈なジャンプスケアは効果的だった。
 

ニッキーはおまじないにより彼女以外の何物かが乗り移っているかのような設定もあり、その何物かが寝ている間にニッキーが自分を殺してと言うシーンでは、ホラーの名作『エクソシスト』でリーガンの腹に「HELP ME」と浮き出るシーンを思い出した。

 

リアルの延長とはいえ、あまりの度の甚だしさに笑いさえ起こるというのは、ダーク・コメディ要素の強さから大ヒットした『WEAPONS/ウェポンズ』と同じ構図。

 

エンディングの「これで同じレベルの相思相愛か」というのが数十秒というひねりは効いていた。

 

ただ題材が題材だけに、メンヘラやヤンデレに耐性のない人にはトラウマレベルの作品であり、もしパートナーにその要素が少しでもあれば一緒には観ない方がお互いの精神衛生上よいと思われる。

 

そして最大の被害者はニッキーであり、彼女が受けた理不尽な行為を考えると正直気分はよくなかった。彼女の心の痛みに思いを至らせずに、笑い飛ばすことができればいいだろう。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『オブセッション 災愛』予告編