原作は奥浩哉による漫画(『イブニング』連載)。漫画は未読だが、テレビアニメ(フジテレビ「ノイタミナ」)は相当面白かった。

 

漫画やアニメの実写化は、ごく一部の例外(例えば『ピンポン』『ヒミズ』『バクマン。』ほか)を除き失敗作とされるものが多い。その一番の原因は、キャラクターのイメージと違う配役がされること。そして漫画やアニメの場合、絵のタッチに自由度が高く、独自の世界観(雰囲気)を醸しだしやすいが、実写の場合にはそれが制限されてしまう。また、映画作品の尺に合わせるため、ストーリーがかなり端折られることで面白味が削がれるということもあろう。

 

この作品も典型的な失敗作。そしてその原因は、上に述べた最後の「ストーリー端折り過ぎ」によるもの。

 

宇宙人による地球生物との接触の事故隠蔽により、機械とされた犬屋敷壱郎(木梨憲武)と獅子神皓(佐藤健)。彼らが人間としてのアイデンティティを確認するため、片や人の命を救い、片や人の命を奪うという真逆の行動によって「人間として生きていることの証し」を求めるストーリー。その対比が重要なのに、実写版の本作品では獅子神がなぜ人を殺すのかの動機付けがあいまい(彼が電車の飛び込み自殺を目撃するシーンがない)。

 

また犬屋敷と娘・麻里との関係の変化がストーリーの重要なモチーフ。だからこそ、麻里が都庁で事故に遭った時に、電話で犬屋敷の助けを求めるという展開になる。ずっと親父のことを嫌っているという実写版のストーリーはいただけない。また機械であることが家族に分かっても、暖かく迎えられるという家族愛が原作では描かれているが、実写版にはそうした感動は割愛されている。

 

そして最大の「台無し」は、日本国民全員を敵視する獅子神にも命を守りたい大切な人(=渡辺しおん&彼女のおばあちゃん)がいるという理由で、自らを破壊して地球に衝突する隕石の軌道を変えて全人類を救うという壮大なエンディングがすっぽり抜けていること。それでは、「俺が悪役で、じじいがヒーローかよ」というセリフが全く生きてこない。

 

配役としては、一番のミスキャストは渡辺しおん役の二階堂ふみ。原作では重要な役柄だが、実写版ではエンディングを変えられているがゆえ、どうでもいい存在になっている。それでキャラ立ちしている二階堂ふみはないだろう。犬屋敷は、アニメでは小日向文世が声優をやっていて、犬屋敷のダメダメ感がよく出ていた。木梨憲武も頑張っているが、ダメダメ感が足りない感じ。

 

しかし、佐藤健演じる獅子神はとてもよかった。原作では犬屋敷がタイトル通り主人公なのだが、実写版の主人公は完全に獅子神。『バクマン。』『世界から猫が消えたなら』での演技もよかったが、この作品でのクールな殺人マシンの演技も特筆されるべき。

 

CGによるアクションシーンは迫力満点で、映像的な面白味はあるものの、原作と比してのストーリー改変が相当残念な作品。

 

★★★ (3/10)

 

『いぬやしき』予告編