今日の35期生(10月入学)は多くの学生が撮影現場のインターンシップに行ってしまい、さすがに授業を進めるわけにはいかないので、みんなでドキュメンタリー鑑賞をしました。


こういうときは趣味に走るのですが、私がずっと憧れていた坂本龍一氏の関連作品を2つ。


一つ目は、亡くなった直後(2023年7月)にNHKで放映された『坂本龍一 芸術は長く、人生は短し』。
 

 

坂本龍一の人となりを、豊富な映像素材を元に構成された良作です。
 

 

40代50代にとっては、YMOや尖っていた若き日のイメージが強い人ですが、今の学生にとっては環境問題活動家としてのそれが強いとか。
 

 

このドキュメンタリーを観て、ぼんやり知っていたこととつながったようで、”世界のサカモト”の全貌が掴めたようでした。


二つ目は今年の4月に、やはりNHKで放映された『Last Days 坂本龍一 最期の日々』。
 

 

本当に見せたかったのはこちら。
 

 

ガン宣告を受けてからの、文字通り“最後の日々”を、家族が撮った動画、本人のブログや日記などを中心に淡々と紡いだとてもシンプルな作品。とはいえ、その裏に秘められたのは壮絶な闘病から死の覚悟、諦観に似た境地まであまりに深い。


見終わった直後は、みんな言葉を発することも出来なく、しばらくして、20代前半の学生が「いいものを見せてもらいました」と。
 

 

そうとしか言いようのないすさまじいドキュメンタリーだったと思います。
映像の持つ力ってすごい。


次の機会には、やはりNHKスペシャルの『ジャニー喜多川が築いた“アイドル帝国”の実像に迫る』を観ます。

 

ミュージックビデオを多数制作している「I was a Ballerina」のプロデューサー渡邊智博さんをお呼びして話を聞いたよ。

 

 

 

 

・ミュージックビデオと他の映像の違いってどんなとこ?


自由度があるところかな?

 

 

ミュージシャンが音楽を作るときも必ず画を思い描いているはず、だからそれを踏まえて、本人が想定しているアイデアを上回る要素を入れたいよね

 

 

結局は予算が無限ではないから難しいところはあるけど、予算から考えるとどんどんアイデアはしぼんじゃうから

 

 

ブレスト※の段階では「ヘリ3台使いましょう!」みたいなこともじゃんじゃん言ってくのがいいんだよ

 

 

※ブレインストーミング(自由闊達にアイデアを出し合う場)

 

 

 

・実現できなかったこともある?

 

予算が読めないときは「松・竹・梅」で3案だす人とかもいますね

 

 

本当はこのくらいのことをやりたいけどこのくらいのことしかできない、みたいなことはあるよ、でも「梅だと魂入ってないな」みたいに感じるし

 

 

規模を落としたときにも、ここだけは譲れないというのがあるはずだから、まず松から入って調整していきたいかな

 

 

「こんなのやれねーだろ!」から始めてね、ミニマムから入ったらそれより小さくはできないから

 

 

 

 

・アーティストとも話し合いながら作っていくの?

 

その音楽がどう世の中に羽ばたいていくのか、一緒に想像してあげるのが大事

 

 

それに聞くファンがいるのでその目線も必要、このアーティストがどう見えていけばいいのかって

 

 

作っている最中も「あれ、イマイチだな」と気づく時がある、そんなときも少しでも本人たちがカッコよく、かわいく見えるようになるか考えながら変えていくこともあります

 

・MVの中身もだいぶ変わってきてる?

MVにもトレンドみたいなものがあるんだよね、以前ボカロが流行った時に感じたことだけど、お金がなくても作れるMVの極端な例のような作風が出てきて

 

 
その後、曲のイメージを画として起こす人が出てきて、でも静止画が多かったからせっかくの動画サイトなのにさみしいなーと思ってたら
 
 
静止画が動画になりコラージュのような手法を使った作風が出てきたり、逆にカッコいいになっていった、今はもうそれが当たり前のようになっている
 
 
今後も変わっていくと思うけど、今流行っているものが「なぜいいと思われているのか」は気にしたほうがいいね
 
 
 
・どんなMVがカッコいいとされる?
 
MVだけがカッコいいと思われることって少ない、やっぱり曲ありきなんですね
 
 
「この曲が好きだからMV映像も好き」「この曲のMVが好き」ってなってるハズ
 
 
だからほとんどの場合は曲優位でアーティストから映像監督へオファーをするケースが多い
 
 
監督側からアーティストへ、曲が好きだからぜひMV作らせてほしいと逆オファーできるようになったりすると夢がありますよね
 
 
 
・撮影部に求めるものってある?
 
今どきは色を作れるカメラマンが必要とされている、特にMVでは必須に思う
 
 
照明やポスプロのことなども理解していて指示を出したりコミュニケーションを取れないとね
 
 
今売れてる監督さんは自分で撮っても上手い人が多い、だからこそカメラマンに注文も文句も言える(笑)
 
 
撮影部がいい、監督がいい、とか今はフィールドを限定しないで色々と取り組んでみるほうがいいかもしれないね

 

 

・学生のうちにしておいたほうがいいことは?

ディレクターになるにしてもカメラの知識は絶対あったほうがいいし、カメラマンだから演出に興味ありません」だと一体何がしたいの?って思う
 
 
今、学ぶうえでは全部の知識があったほうがいいし、カメラマンからディレクターになった人もいる、そういう人は売れてますよ
 

近い世代でいろんなセクションの仲間がいるTMSはとてもいい環境、すぐ相談できるカメラマン、照明マンがいるってものすごく財産になる
 
 
同じジェネレーションだと「いい」と思うものも近いと思うだろうし話も早い、もしかしたら一生の仲間になるかもね
 
 
作り手だけでなく広告代理店とかに進む人もいると思うけど、広告代理店に就職してミュージックビデオを作ることになる可能性だって当然あるんだよね
 
 
 
その他、渡邊さんがお仕事したMVを例に作り方や苦労したことなどウラ話をいろいろ聞きました。
 
就職相談などにも乗ってもらい、良い時間を過ごすことができました。
 
お忙しい中ありがとうございました!
 
 

sumika『Shake & Shake』

 

 

SUPER BEAVER『ひたむき』

 
 

 

 

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ドキュメンタリー制作の第2回のプレビューでした。


だいぶ合格点に近づいてきたグループあり、まだまだほど遠いグループあり。
 

 

ドキュメンタリー制作は本当に骨が折れます。
 

 

内容を考えるのは当然として、取材対象とのやりとりもずっと続きますし、常に何が起こるか分からない不安感がつきまといます。
 

 

心も折れます。いや、折れ続けます。


そんな中で、楽しくてたまらなくなるポイントがあります。
 

 

編集を重ねて合格点に近づいてきた瞬間です。
 

 

全体の構成が出来て、メッセージ性と観客に提示する視点が明確になってきたときです。
 

 

ここからは何もかもが楽しくなるものです。
 

 

手を加えれば加えるたびによくなるし、いろんなことを試す醍醐味も出てきます。


今日のプレビューでは、1グループだけ、その境地に達していたようです。

 

今月末の完成を目指しているので、プレビューは残り2回。
 

 

追加撮影もあるでしょうし、大胆な構成の変更も必要でしょう。
 

 

あのダイナミズムを是非味わってもらいたいと思っています。


あと半月、後悔がないようとことんやりましょう!

今日はドキュメンタリー制作の最初のプレビューでした。

 

 

プレビューとは「試写」のことですが、映像業界では、スタッフやクライアント向けの「内輪の試写」をいいます。


今日は第1回ということで、まだまだ半分ぐらいの出来でした。これは想定内なんですが、気になったのは、テーマのズレでした。


この課題のテーマは以下です。


「東京にある「ひとつの現場(店舗、会社など)」にカメラを据え、そこで起きる様々な人間模様を計24時間にわたり定点観測する。

その現場の「オーナー」と偶然出会った人たちの話に耳を傾け、“2024年”という時代を切り取る。」


課題が始まったのは8月下旬。
 

 

2ヶ月半の制作の中で、どうもテーマがずれていってるんですね。
 

 

オーナーに興味が集中していて、その経歴や思いを紹介するだけになる傾向が見られました。
 

 

「2024年という時代を切り取る」という俯瞰の視点が希薄になりつつあります。


学生からは「正解はなんですか?」と質問が出来ましたが、「それは自分で考えて!」と即座に答えました。
 

 

これがそのお店のプロモーション映像で、お店から発注を受けた「商品」ならば、いわゆる正解は存在します。
 

 

しかしながら、これはあくまでドキュメンタリー「作品」です。

 

 

作り手としてものの見方を作品に込める必要がありますし、そうでなければ苦労して作る意味がありません。
 

 

最近の学生、だけではなく、大人もそうですね……正解を自ら求めようとしない。

 

 

ただ、正解と思しきものを他人から設定してもらいたい、そんな「受け身」の姿勢が多いですね。
 

 

そこには徹底してダメ出しをします!



今や世界的なスターになった大谷翔平選手の所属するドジャースが世界チャンピオンになりました!

 

ご覧になった方も多いと思います。

 


そんな歴史的なワールドシリーズを記念して、野球映画について書いてみたいと思います。


野球と映画は相性がよく、名作が多くあります。
 

 

私の世代だと、『メジャーリーグ』(89)『フィード・オブ・ドリームス』(90)『プリティ・リーグ』(92)などが思い出されます。

 

 

 

 

 

 

 

 


数ある名作の中で、私がオススメしたいのは『ミスター・ベースボール』(92)です。
 


メジャーでリーグでお払い箱になった選手が、名古屋の中日ドラゴンズに入って活躍するというドタバタコメディです。

 


B級といえばそうかもしれませんが、ドラゴンズの監督を演じるのは、まさかの高倉健さん!
 

 

試合の場面は迫力満点で、しっかり作られた作品です。


面白いのは、公開された1992(平成4)年、日本のプロ野球は完全に格下なんですね。
 

 

だからメジャーリーガーはすべてを見下します。
 

 

当時としてはそんなのは当たり前で、だからこそ本作は面白いんです。


では、それから30年経って今はどうでしょうか?
 

 

全体としては格下かもしれませんが、ご承知の通り、大谷さんをはじめメジャーリーガーをしのぐ活躍する日本人選手がどんどん出てきていますよね。
 

 

この時代のギャップもまた面白いですね。


映画は時代をリアルに記録するものです。
 

 

野球一つとっても、文化の変遷を味わえますね!