太陽の恋人
もう一つ、東映制作の青春ドラマから。桜木健一、吉沢京子のコンビといえば「柔道一直線」(69~71年)が思い浮かぶ人がほとんどだろうが、その終了から三カ月して、同コンビでスタートしたのが「太陽の恋人」(71年)である。
原作はあの梶原一騎。少年チャンピオンに70年から連載していたマンガ「朝日の恋人」がそれである(画・かざま鋭二)。少年チャンピオンの創刊は69年なので、チャンピオン創成期の作品なのである。そこに登場するヒロインの名こそ「天地真理」なのである。梶原のもとに渡辺プロダクションから今度デビューする齋藤眞理の芸名としてその名を使わせて欲しいと申し出があったそうである。
アイドル・天地真理が「時間ですよ」に初登場したのが71年7月21日。「太陽の恋人」がスタートしたのは7月22日だったのである。番組タイトルが「朝日」ではなく「太陽」になったのは簡単な理由だ。関東で同番組が放送されたのはNET(現・テレビ朝日)なのだが、当時関西での系列は毎日放送だったのである。「朝日」だとライバル局になってしまうため、変えたとのこと。キー局の変更は75年のことで、「必殺シリーズ」はTBSからNETに移り、「仮面ライダー」シリーズがNETからTBSに移ったりしたのである。
原作の連載もテレビ放送に合わせてタイトルを「太陽の恋人」に変更し、翌年には「夕日の恋人」に変更となっている。マンガのタイトルが変更になる例はたまにあるが、二度変更された例は少ないと思われる。
さて番組に話を戻すと、ヒロイン天地真理を演じるのは吉沢京子で、主人公の坂本征二が桜木健一である。主題歌も「柔道一直線」同様に桜木が歌っている。中々の名曲だと思うが、「柔道一直線」や「コンクリートジャングル(刑事くん主題歌)」のように耳にする機会は少ないと思う。
ところで、登場人物の名前だが坂本征二というのもそうだが、馬場修平(北村晃一)、芳村道雄(竹尾智晴)というようにプロレスラーの名前から来ているのが梶原一騎っぽい。竹尾智晴はフリーザ様などの声でお馴染みの声優・中尾隆聖のことである。
他の出演者だが、小畠絹子、西恵子、小山田宗徳、林寛子、三島史郎、中村竹弥などである。桜木、吉沢の人気コンビを起用した本作であったが、視聴率は低迷し、1クール13回での終了となっている。アイドルの天地真理は10月に歌手デビューし、一気に人気者となっていくが、ドラマの方はひっそりと終了した。天地真理がブレイクした後のドラマ化だったら、もう少し話題になっていたのかもしれない。その場合は、天地真理が天地真理役を演じるという流れになったかもしれない。ちなみに自分は当時、特に天地真理のファンではなかった。
青い太陽
東映制作の青春ドラマということで、もう一つ挙げておくのが「青い太陽」(68年)である。正直、そのOPしか見たことがないのだが、主演があの小林幸子ということで興味ある番組ではあった。CSの東映チャンネルでも未放送だと思うので、映像が残っていない可能性もある。しかし、OPが現存するということは東映お得意の1話のみ現存するというパターンの可能性もある。
小林幸子といえば、64年に天才少女歌手としてデビューしたが、当初より平行して女優業も行っていたのである。ドラマでの主演はこの「青い太陽」で初主演に抜擢されている。高校の水泳部が舞台だが、小林は当時14歳であり、当時の青春ドラマとしては珍しく実年齢よりも上の役をやることになったわけである。背が割合高く、大人びた雰囲気があったからであろう。
小林と中学での水泳部の同級生役が岡田由紀子、関みどり、伊藤高で、岡田は小林と同じ高校に進むが、関と伊藤は他の高校へ進む。関は伊藤を慕っていたという。岡田は持病により水泳選手を断念し、マネージャとして活動していく。
伊藤高は当時19歳で、あの伊藤雄之助の息子。本作がデビュー作であったようだ。当時より悪役顔で、実際これ以降は悪役がほとんどである。関みどりは47年生まれで本名・緑川節子。本名で子役活動をしていたが「少年ケニヤ」(61年)のケイト役から関みどりに改名。70年初頭まで活躍していたが、それ以降は不明である。岡田由紀子はもちろん、あの岡田有希子ではない。出演作も結構あるのだが、そのプロフィールはほぼ不明である。検索するとどうしても岡田有希子が出てくるのだ。
小林の1年上の水泳部員が渡辺篤史、北島マヤである。実はこの三人が三角関係のような状態になるらしい。渡辺のモデ役というのも中々ないと思われる。北島はちょっと前に書いたが「ガラスの仮面」のヒロインと同名の女優である。こちらの方が先である。本作では小林とは水泳でも恋でもライバルとなり、自殺未遂をしたりと中々活躍するようなのである。他にも大川栄子が部員の一人として出演。彼女はこの68年にスタートする「キイハンター」でブレイクする。渡辺、大川は当時20歳で、北島は19歳。小林以外はみんな19~20歳なのである。
他の出演者だが、小林演じる和世の父が根上淳、母が七尾怜子、兄が守屋浩、渡辺演じる光の父が佐野周二、水泳部監督が三上真一郎などである。
主題歌はGSのザ・クーガーズで番組と同タイトルの「青い太陽」。小林幸子も同タイトルの違う曲を歌っているようだ。ザ・クーガーズはこの曲を最後に解散。ベースの島田宏昌は後にビジーフォーのリーダーとなっている(四人の中では一番目立たないが)。
打ち込め!青春
つい先日「泣くな青春」を取り上げたと思ったら、その主役だった中山仁が亡くなったという。ひとまず合掌。
そこで、もう一つ中山が主演の青春ドラマから「打ち込め!青春」(71年)である。青春とタイトルにつくドラマは大抵の場合、松竹か東宝の制作であることが多いが、本作は東映の制作である。なので、松竹や東宝のさわやか系なドラマとは若干違うようである。
タイトルから想像できると思うが、主軸となるスポーツは剣道である。青春ドラマというよりはスポ根の要素の方が強そうである。剣道で青春ドラマといえば森田健作の「おれは男だ!」等を思い出すが、柔道ドラマに比べれば非常に少ない気がする。面をかぶると顔が見えないとか、剣を持つなら時代劇にしてしまった方がよいとか事情はあるかもしれない。
さて、中山仁以外の出演者だが、范文雀、石橋正次、千葉治郎(矢吹二朗)などだが、中山と范文雀は教師役で石橋と千葉は高校生役である。ちなみに、范文雀、石橋、千葉の三人は同い年であり、当時23歳である。
中山仁が演じるのは「強すぎるがゆえに自ら剣をしてた教師」である谷。范文雀が演じるのは「死んだ父の復讐に全てを賭ける女教師」の百合。石橋は「愛する母を奪われて怒り狂う孤児」である剛。というような設定があり、とてもドロドロしたものを感じるのだ。中山は普段は「昼行燈」などと呼ばれているが、実は強いという設定は中村主水にそっくりではないか。本作の方が「必殺仕置人」(73年)より先の制作なので、参考にしたとしたら「必殺」の方なのだが、まあ考え付きやすい設定ではあるのでたまたまであろう。
千葉治郎演じる忠雄はライバル校の生徒で剛の好敵手。その義母(三田登喜子)を剛は自分の実母ではないかと疑っている。ライバル高の部長が睦五朗で、百合の父の敵の弟子という存在。直接の敵ではないが、敵は既に亡くなっているため百合は彼を敵とみなしている。厄介な話である。剛の高校のマドンナが江夏夕子。後に目黒祐樹のカミさんとなる。范文雀よりさらに年上の24歳だったが、女生徒役なのである。剛ではなく忠雄と付き合うことになる。
「スペクトルマン」で知られる成川哲夫(当時26歳)も部員役で出演していたが、そのスペクトルマン役が決まったために途中降板している。
これらの設定だけでも普通の青春ドラマでもスポ根ドラマでもないことがわかると思う。愛憎劇といった方が正解かもしれない。ところで、千葉治郎のデビュー作は中山仁(と内田良平)が主演のアクションドラマ「ブラックチェンバー」(69年)である。中山とはデビュー時から縁があったわけである。82年には引退したらしいので、俳優活動は12~13年くらいと意外に短かったりする。その半分は矢吹二朗名義だったのだが、個人的にはピンと来ない。映画「ラグビー野郎」(76年)で演じた主人公の役名をとったものだという。しかし、近年「仮面ライダー」等のイベントには顔を出すこともあり、その際は千葉治郎名義だという。
ワンパク番外地
「ハレンチ学園」と来たら、次はその後番組だった「ワンパク番外地」(71年)である。出演者はもちろんスタッフも「ハレンチ学園」からのスライド組が多いのだが、前者がメジャーな存在なのに対して後者はあまり知っている人もいないであろうマイナーな存在である。
10年くらい前だったか「ハレンチ学園」に続いてCSで放送されたのだが、それで初めて見たような気がする。気がすると書いたのは、見たことがあるような気もしたからである。まあ「ワンパク番外地」というタイトルは全く覚えていなかったのだけれども。
ドラマの内容だが、15人の少年少女が子供たちだけで洋館に住み着くことになるのだが、そこに悪い大人たちや地元の不良などが攻め込んでくる?のを知恵と勇気で撃退するというようなパターンの話が多い。タイトルの良く似ている「わんぱく砦」と似ているのかもしれない(見たことないけれども)。
主演は児島美ゆきと小林文彦という十兵衛&山岸コンビが文字通りの主演である。クレジットも今回は二人がトップである(ハレンチ学園は大辻伺郎)。「ハレンチ学園」からのスライド組は倉園朱実、星野みどり、石渡英典、上地宝、上条明、たかこの香、篭島良江、尾花絹代で、新顔が上村竜一、渡辺史郎、安岡清貴、柳沢陽子で、最初の時点ではこの14人。第4話からチビと呼ばれる少年・梶正昭が加わって15人となる。
この時代らしく全員があだ名で呼ばれている。児島はそのまんま「みゆき」だが、小林は「番長」、倉園は「山猫」、星野は「ハカセ」、石渡はデブなので「肉まん」とこの辺りは「ハレンチ」でも目だっていたのでわかるのだが、他の連中はスライド組でもよくわからない。「サスケ」「石松」「五右衛門」など恐らく本名ではないであろうあだ名や「機械屋」とか「コンピュータ」などというのもいる。コンピュータ役は渡辺らしい。どう見ても中学生(小学生)という子もいるので「学校はどうした」とツッコミたくなるのだが、その辺は考えてはいけないのだろう。、
少年少女たちが集うこの洋館はみゆきの祖父のものという設定。しかもみゆきの亡き兄が幽霊として現れる。その兄役が石立鉄男である。当然、クレジットはトリ(最後)だし、この番組のメインキャストだったといえるかもしれない。
OP、EDはハレンチ学園同様にアニメーションでありOP、EDとも同じ歌が使われている。しかし、何故かキャラがネコ化されている(敵役はゴリラとかキツネ)。山猫というキャラはいるがメインヒロインではないので、意味不明である。主題歌を歌うのはヒロインの児島美ゆき。「ヤングフレッシュ」にも選ばれ歌唱力は高いはずだが、歌いづらそうだなという印象。キーが高く転調もあったりする難しい歌である。このOPからドラマの中身を判断するのは困難である。
企画・原案は「ハレンチ学園」では監督やプロデューサーを務めた丹野雄二。しかし、本作にハレンチな要素はほとんどない。これ以上「ハレンチ学園」のような番組を続けるのは難しかっただろうが、ソレ目当てな視聴者は当然離れ予定通りか打ち切りかは不明だが、番組は1クールでひっそりと終了している。以降、話題になることはほとんどなかったのである。
ハレンチ学園 その2
前回の続きである。「ハレンチ学園」(70年)はテレビ東京(東京12チャンネル)のドラマでは史上最高視聴率を記録しているのある。50年経っても破られていないとは、いかに当時の少年たち(一部大人も含む)が飢えて?いたかがわかる。実は当初、フジテレビがジャンプ連載開始直後からそのドラマ化を狙っていたという。脚本家の久保田圭司の元を訪れたフジのプロデューサーは視聴率30%は超すだろうと自信満々だったというが、フジの上役たちはクレーム等を恐れて企画はポシャってしまったのである。
そこで東京12チャンネルの出番となったわけだが、当時は科学教育番組専門局の肩書を持つお堅い局だったのである。しかし、視聴率低迷やコンテンツ不足もあり路線変更に踏み切ったようである。これをきっかけに何でもありな局に代わっていったと言えそうである。実際、フジテレビPの予想は的中し視聴率はすぐに30%を突破、反面クレームも嵐のようにあったという。
OP、ED共にアニメーションで歌は河崎いち子とヤング・フレッシュの「ハレンチ学園ソング」であった。つまり同じである。河崎いち子は本編にも学園のOG役として何度か登場した。ヤング・フレッシュは東映児童研修所の子役たちによって結成されたコーラスグループであり、児島美ゆきも在籍していた。彼女は「仮面の忍者赤影」や「ひょっこりひょうたん島」に参加していたという。ちなみに、山内賢や和田浩治など日活俳優で組まれていたバンドはヤング&フレッシュである。ややこしいが、ヤング&フレッシュの方が先に誕生したと思われる。ヤング・フレッシュの命名は山田吾一らしいが、山田は60年代には日活作品にも出演しており、知っていて名付けた可能性は高い。
次回予告はカバゴンの愛称で知られた教育評論家の阿部進が担当。阿部は番組監修も担当していたが、「批判を受けたら僕が全部説明します。気にせず制作してください」と教育上あまりよろしいとは言えない番組であったが、何故か番組の強い味方であり、一貫して擁護していた。脚本は前述の久保田の他、鴨井達比古らが担当。鴨井は映画版も手掛けており、数回前に取り上げた「高校教師」(74年)のメインライターでもあった。
PTAなどの批判の声は現場に届いていたかという質問に児島は、「何となく知ってはいたが無視していました。委縮することもなかった」と答えている。ちなみに、下着は自前だったそうで他の女生徒もみんなそうだったという。話はそれるが女生徒役のに山田桂子は、後に丘野かおりと名を変えて「ウルトラマンレオ」などに出演している。
個人的なイメージでは番組後半は若干大人しくなったような気がするのだが、脚本の久保田は批判で怯むようなことはなかったと供述している。
児島美ゆきは本名だが、先んじて製作された映画版では「児島みゆき」とクレジットされたのは、単純に間違いだという。新人だったので訂正できずにいると、映画では三本とも「みゆき」になってしまったという。
ハレンチ学園
突然だが「ハレンチ学園」(70年~71年)である。実は「泣くな青春」の続きをやろうと思っていたのだが、内容をほとんど覚えていないため、あまり書くことがない。「泣くな青春」のゲスト出演者を見てみると児島美ゆきと小林文彦の名があった。そしてレギュラーに福崎和宏と「ハレンチ学園」の主要キャストが三人がいるではないか、というわけで今回のチョイスとなった次第である。
スタートは関東ローカル(東京12チャンネル)だったらしいが、初回から視聴率25%を記録するなど、とにかく視聴率が高かったのでネット局も増えていったという。関東では木曜の19時半からの放送だったようだが、わが地元(北海道)では確か土曜の夕方(17時台)だったという記憶がある。当時は12チャン(現テレ東)系列の局はなかったはずなので、テレ朝系のHTBあたりで放送していたような気がする。
この時から一度も見る機会はなかったのだが、今世紀に入ってCSで放送され30数年ぶりの再会を果たしたのである。細かいストーリーなどは全く覚えていなかったが、キャストについてはほぼ記憶にあった。名前がトップにクレジットされているのがヒゲゴジラ役の大辻伺郎であった。映画版では高松しげおや藤村俊二、牧伸二などが演じているが、個人的には大辻が一番合っていたような気がする。マルゴシは井上昭文、パラソルが桂小かん、牧師(の恰好をしている先生)が弘松三郎、そして登場回数は少ないがマカロニは郷鍈治である。ちなみに映画版では同役を実兄の宍戸錠が演じた。日活製作だけあって、当然日活所属の役者が多い。大辻は大映出身だが、弘松や桂は日活の脇役である。
生徒役に目を向けると、前述のように児島美ゆき(十兵衛)、小林文彦(山岸)、福崎和宏(イキドマリ)に加えて、倉園朱美、増田ひろ子、星野みどり、アタック一郎辺りが目だっていただろうか。忘れてはいけないのが用務員役の左卜全。OPの「ハレンチ学園、こーのマンガは面白いよ」というナレーション?も卜全である。本作では元気な姿を見せていた卜全であったが、番組終了から二カ月足らずで亡くなっている。
ところで、本作の番組導入部はいつも児童憲章から始まっている。児童とは通常は小学生のことを指す(広義では18歳未満を指す)。つまり、ここに出てくる生徒たちは設定上は小学生なわけである。実際、原作もそうなのだけれども。しかし、児島美ゆきは当時18歳。子どもっぽさはあったが、小学生というのは無理な話だ。他では小林文彦と福崎和宏は共に14歳で、星野みどりは13歳と中学生年齢の子は結構いたようだ。
毎回のようにクレジットされていたので、生徒役の一人だと思うが「松川勉」という名が気になった。主に松竹映画で活躍していた慶応ボーイの松川勉は当時27歳である。どう見てもその姿は見当たらなかったので、まあ同名異人ということだろう。
泣くな青春
70年代の学園青春ドラマで、一番ヒットしたのはおそらく「飛び出せ青春」(72年)ではないかと思うのだが、それと同時期にやっていた学園青春ドラマが「泣くな青春」(72年)だ。しかも制作はどちらも東宝である。日テレの「飛び出せ青春」が人気だったので、フジテレビでもやりたいということになったのであろうか。
しかし、「泣くな青春」はシリアス色が強かったせいか、あまりヒットせず早々に終了してしまった感がある。あと、放送日時というのは大きいかもしれない。「飛び出せ青春」等の日テレ青春ドラマ枠は日曜20時というゴールデンタイムであったが、「泣くな青春」は月曜の20時からというものだった。ここでの裏番組にはナショナル劇場があった。つまり「水戸黄門」と「大岡越前」が交互に放送されていた枠で当時は「大岡越前・第3部」が放送されていたのである。
日テレ枠では基本的には主演には「飛び出せ」の村野武範含め、中村雅俊、東山敬司などほぼ新人を使っていたが、「泣くな」の主演は中山仁である。中山は当時30歳で、既に主演作も数本ありお茶の間には知れている存在であった。「サインはV」「決めろ!フィニッシュ」とコーチ役が続いていたので、当時のイメージは鬼コーチだったのではないだろうか。東映の作品を中心に活動していたが、「決めろ!フィニッシュ」で東宝作品にも出演するようになっている。
この「決めろ!フィニッシュ」と「泣くな青春」は、枠も局も違うが、プロデューサーは同じ(香取雍史)で、「きめろ!」が終了した翌日から「泣くな」がスタートしているのである。
中山の演じる大和田英一は元不良という過去を持つ新任教師で3年D組の担任となる。生徒役には水谷豊(守屋親造)がおり、バイクを乗り回す不良番長的な存在である。その仲間が福崎和宏(浅岡鶴吉)、小原秀明(島三郎)で、女生徒には四方正美(新谷邦子)、木村由貴子(新城文子)などがいる。彼らとは対照的な存在(つまり優等生)として3年A組の関根恵子(生徒会長・高木明子)や三ツ木清隆(宮崎洋介)らが登場する。この中では、三ツ木、四方、木村は「決めろ!フィニッシュ」から引き続いての出演である。名前からわかると思うが四方正美は四方晴美の姉である。福崎和宏は「ハレンチ学園」での生徒(イキドマリ)役で知られ、小原秀明は「われら青春」(74年)でも生徒役を演じることになる。
関根恵子(現・高橋惠子)は当時17歳なので、高校生役はおかしくないのだが、平行して「太陽にほえろ」にも出演していた。17~18歳で女刑事を演じていたことが驚きだが、大人びていた風貌もあり違和感は感じなかった。少なくとも20歳は超えていたような感覚で見ていたと思う。
他のレギュラーだが、校長役は二谷英明。「決めろ!フィニッシュ」には妻の白川由美が出演しており、その縁での出演かもしれない。その娘であり同僚教師でもあるヒロイン的な存在に武原英子。教頭役は渥美国泰で、他の同僚教師には石山克己、岩本多代、柴田侊彦などで、柴田は中山の高校の同級生という設定である。柴田の妻役が北島マヤ。「ガラスの仮面」の主人公と同じ名前だが、作者の美内すずえがその同名女優の存在を知らずに命名してしまったものらしい。
高校教師(加山雄三) その2
前回の続きである。ゲストに目を向けてみると、第1話には桃井かおりが登場。その名もスペードのエリ、元スケ番連合の会長である。彼女は第4話にも登場する。第7話には山口いづみ、第9話には奈良富士子、第13話の牧れい、第22話の竹下景子などいずれも女生徒で登場。牧れい登場の13話は「恐るべき不良少女」というサブタイトル。彼女の役名は大森銀子(だったと思う)。学校で暴れ回るわけではなく、紀子(山内えみこ)とピアノ演奏対決をしたりするのである。第22話は「転落・ある少女の場合」は真面目で内気だった竹下景子が不幸へと転落していくのだ。
男性ゲストでは第12話の水谷豊、第17話の高岡健二はいずれも紀子とのラブストーリーだ。「ガッツジュン」こと藤間文彦は和美(須藤リカ)の幼馴染みという役柄で三度も登場する。その父親(織本順吉)も三度登場するわけである。
後、やはり東宝の青春ドラマということもあり「飛び出せ青春」の生徒役レギュラーだった面々も結構顔を見せている。第1話には青木英美がカミソリ節子というスケ番連合の会長として登場。松原麻里もその仲間として登場する。役柄はよく覚えていないが谷岡行二、頭師佳孝、森川正太(当時は沖正夫)らも登場。頭師と森川は同じ回での登場である。書き忘れていたが剛達人が5人組みの知り合いであるマモルという自動車修理工の役でレギュラー出演していた。
五人組のうち三人が東映で活躍していたと書いたが他にも東映の「特別機動捜査隊」でレギュラー出演していた面々も本作には顔を出す。まずは前回も型が高尾教頭役の岩上瑛(荒牧刑事)はレギュラーだったが、ゲストでは12話に二代目係長だった山田禅二と鑑識課員役の田川恒夫が、第18話には初代係長役の鈴木志郎と桃井刑事役の轟謙二が出演し、東映っぽさを醸し出していた。
深刻な回もあるが、基本的には暗くはないトーンの番組だったが最終二話で様子は一変する。映像を見直したいが探すのが面倒んあので記憶で書く。25話「青春の傷痕」は秋子(愛田純)が主役。彼女の家庭は貧乏で、母親が女手一つで秋子と小学生の弟を育てていた。その母親が倒れた。知らせを受けた秋子は急ごうとしてマモルに車を借り車を走らせた(もちろん無免許)。そこで事故を起こし中年男性を死なせてしまう。病床の母には黙っていたが、被害者の息子にバラされショックで母は死んでしまう。秋子も逃亡し姿を消す。他の4人は懸命に秋子を探すが見つからない。数日後の朝、北山(加山雄三)が生徒たちに告げる「昨夜、浅野秋子は弟の様子を見に来たところを逮捕された」と。
そして最終話「蛍の光が歌えない」。白雪女子校では能力別クラス編成テストを行うことが発表された。それに反対する紀子、和美、三千代(四方晴美)たちはテストの妨害を計画していた。弘子(春日まち子)は家が忙しいので参加できないという。最終回のなのに弘子の出番は以降ないのである。なんやかやでテスト用紙を奪った和美が屋上まで駆け上がる。そこで賛成派の女生徒たちと揉み合いになる。屋上のフェンスがはずれ和美は転落死する。
事件の首謀者として紀子が退学処分に。教諭陣もテスト推進の責任者だった松岡(勝部演之)が辞職、北山も責任を問われたわけではないがを辞職の道を選んだ。雨の中、学校を去る北山だが和美の死んだ現場に一人たたずむ紀子に会う。「これからどうするの?」「さあな」というような会話を交わして別れる二人。
五人のうち、一人は逮捕、一人は退学、一人は死亡という予想もしなかった悲しい結末であった。残る二人(三千代、弘子)はどうなったかはわからない。救いようのないドラマだが、面白さは満点だ。
高校教師(加山雄三)
ドラマで「高校教師」と言えば、多くの人は93年の真田広之と桜井幸子が主演のやつ、または03年の藤木直人と上戸彩が主演のやつを思い浮かべるかもしれないが、我が世代で「高校教師」といえば、74年制作で主演が加山雄三のやつのことなのである。
真田版と藤木版は共に脚本が野島伸司で関連性もあるのだが、加山版はタイトルが同じなだけで関連性は全くない。
74年くらいだと加山もまだまだ若大将のイメージが強く明るいイメージの作品を想像するかもしれない。野島の書いた二作は終始暗いトーンで、衝撃のラストで幕を閉じるというイメージだが、実は加山版もそれに負けないくらいの衝撃のラストを迎えるのである。
加山雄三は74年初頭にスキーで大けがをして「雪舞い」というドラマを降板していた。実生活での借金などの問題もあり「これ以上休んでいられない」と退院してすぐに本作の撮影に臨んだという。しかし怪我は治りきっておらず、立ち回りのシーンなどでは激痛が走り、うずくまって声もでなかったという。
さて、ドラマの内容だが加山演じる北山浩一郎は会社の倒産をきっかけに、教師経験ゼロの身でありながら名門の白雪女子高校に教師として勤務することになった。しかも3年A組の担任をすることに。そこには問題児である5人組がいた。主演ポジションは加山だが、実質的な主役はその5人組の女生徒なのである。
その5人組でリーダー的存在が山内えみこ(坂本紀子)で以下、須藤リカ(加藤和美)、四方晴美(亀山三千代)、愛田純(浅野秋子)、春日まち子(小倉弘子)である。加山雄三と言えば東宝のスターであり、本作も制作は東宝なのだが、この5人組の中でで山内、須藤、愛田は東映のスケ番ものに出演していた面々である。かといって、本作にセクシーシーンなどはあまりないが、制服のスカートはミニである。現代では普通の光景になっているが、当時としてはかなりの短さに思える。
山内えみこは「ネオンくらげ」(73年)で主演デビュー。ひときわ目立つ美女だったがそこまでビックスターにはなれなかった。須藤リカはアニメ「海のトリトン」でかぐや姫とEDを歌っていたりしていた。本作の後、立原和美、すどうかづみと芸名を変えているが「和美」は本作の役名から来ていると思われる。「ウィークエンダー」のレポーターが有名。愛田純は本作でボーイッシュ以上の男という感じでスカートを穿いているのに違和感を感じるくらいだった。映画ではセクシー系なのが本作を見ていると想像もできない。四方晴美は「チャコちゃんケンちゃん」のチャコが成長した姿。当時17歳でかなり太っていた。翌75年に一度引退している。春日まち子は最も地味な存在で、本作での活躍も少なかった。本人のプロフィールもほぼ不明だが「やくそく」というシングルを出しており、本作でも流れたことがある。
教師たちの顔ぶれは、イケメンの荒谷公之(友田信彦)、ベテランの村松英子(小松原貴子)、途中から登場し北山たちと対立する勝部演之(松岡徹)、教頭先生は「特別機動捜査隊」の荒牧刑事こと岩上瑛である。
北山が下宿するスナックのママに藤江リカ、その妹が沢田亜矢子と、この辺がレギュラーである。レギュラー紹介だけで字数が多くなったので、以下は次回へ続く。
加山雄三のブラック・ジャック
恐怖とかホラーとかのドラマをいくつか取り上げて行こうと思ったのだが、意外と思いつかない。映画とか単発ドラマは結構多い気がするのだが、連続ドラマとなると90年代以降なら「ずっとあなたが好きだった」(92年)とか「ストーカー・誘う女」(97年)とかあったりするのだが、出来れば70年代より前にしたい。と言いながらも思いついたのが、81年の「加山雄三のブラック・ジャック」である。
いやいやジャンルが違うだろうと、一斉にツッコミが入りそうだが、手塚治虫の原作マンガに注目してみよう。単行本はいくつかのバージョンがあるのだが、一番オーソドックスなのは自分も所有している少年チャンピオンコミックス版(全25巻)ではないだろうか。その表紙には「SFコミックス」とか「野球コミックス」とかジャンルが記載されているのだが、「ブラック・ジャック」は当初「恐怖コミックス」に分類されていたのである(9巻以降はヒューマンコミックスとなっている)。つまり、そういった要素も含んでいるというわけだ。
さて、ブラック・ジャック(BJ)はあの容姿だし、わざわざ実写化しなくてもよさそうなものだが、今までに何度か実写化されている。その第1号が映画「瞳の中の訪問者」(77年)でBJ役は宍戸錠である。顔半分の青い皮膚等あまりにも原作に似せようとしたため、逆に手塚は「こんな人間がどこにいる」と怒ったという。
そして第2号が加山雄三なのである。番組タイトルにも加山雄三の名がついている。こちらも原作同様のメイクだ。しかし、本作で違うのは普段は容姿も普通の若大将で画廊の社長として過ごしている点である。名前も原作の間黒男ではなく坂東次郎つまりBJとなっている。そして、いざという時、つまり手術の時はブラックジャックに変身するのである。つまり変身ヒーローなのだ。あくまでも、ブラックジャックの姿が真の正体のはずだが、逆の方が説明は付けやすい。はっきりとは語られていないようだが、平素は普通の顔のマスクで変装しているということだろうか。
それに伴い原作にないキャラクターがレギュラーとなっている。まずは秋吉久美子だが、もちろんピノコ役ではなく画廊の秘書役である。BJの執事に松村達雄、BJの正体を暴こうとする警部に藤岡琢也、そしてピノコ役は今井里恵という子役が演じている。
OPは、妙なメイクをしたダンサーたちが踊っているというもの。そこに聞き覚えぼある声でナレーション。田中邦衛である。青大将の友情ナレといったところだろうか。正直、イメージほどクセがないのでパッと聞いたけではわからなかったけれども。
脚本はジェームス三木がほぼ一人で書いている。ほぼと書いたのは7話のみ山下六合雄との共作となっているからである。ちなみに77年の映画版もジェームス三木の脚本で、加山版の第2話「春一番」が映画版と同じ原作である。09年になってDVD-BOXが出ているが第8話「血が止まらない」は欠番となっている。血友病を扱った話だが同患者団体から「事実と反する部分がある」と抗議を受けたためである。その後、隆大介、本木雅弘、岡田将生などがBJを演じているが1クールのテレビシリーズは加山版のみである。