お宝映画・番組私的見聞録 -61ページ目

非情のライセンス(第2シリーズ)

前作終了から半年後にスタートしたのが「非情のライセンス(第2シリーズ)」(74~77年)である。殉職率の高いシリーズである。第1シリーズではレギュラー刑事は死ななかったものの、第6話の内田勝正(北村刑事)や第11話の黒木憲(黒木刑事)など1話限りの登場で殉職してしまったメンバーはいた。しかし今回はレギュラー刑事が犠牲になっていく。
本シリーズの特捜部のメンバーは天知茂(会田刑事)、山村聰(矢部警視)はもちろんのこと、葉山良二(四方刑事)、宮口二郎(坂井刑事)、岩城力也(岩田刑事)は引き続き登場。そこに早い段階で、江波杏子(江沢刑事)、左とん平(右田刑事)、望月太郎(南刑事)が加わっていく。江波杏子は第2話から登場、当時32歳だったが、貫禄と落ち着きあった。前作の最終話で死んだ左とん平が今回は刑事役で復活。スルーせず「死んだ太郎さんに瓜二つだ」という坂井刑事のセリフもあったりする。望月太郎は当時27歳と、シリーズ初の20代刑事である。当初は出番も多かったが、半年程度でいつの間にか姿を消した。さらに13話からは高城丈二(大門刑事)が参加する。天知とは60年代から共演することが多かった。前シリーズでも刑事役で一度ゲスト出演しているが、その時とは違う役である。レギュラーといっても1クールだけで賞味5回ほどの登場であった。26話にて結婚するが、新婚旅行先で暴力団に拉致され、拷問の末殺害されるという高城っぽくない最後であった。
葉山、江波、高城といったスター俳優は登場回数は少ないので、全員が揃うことはほとんどないが、8人まで揃ったことがあったと思う。
他のセミレギュラーだが、多々良純(吉田)は警察を定年退職し居酒屋を営んでいたが、23話にてリウマチのため閉店。その娘役は「キイハンター」の大川栄子が演じた。ちなみに、多々良純より岩城力也や山村聰の方が年長である。捜査一課の渡辺文雄(橘警部)は相変わらず特捜部と対立する。その部下として北浦昭義(横山刑事)、伊吹徹(北刑事)、北町嘉朗(佐々木刑事)、梶健司(森谷刑事)らが登場する。他にも北島三郎が弾三郎刑事として数回登場。会田刑事に勝るとも劣らないはみ出し刑事を演じた。弾という苗字は存在しないかなと思っていたが、25世帯ほど存在するようだ。
大門刑事亡きあとは、しばらくメンバー変更はなかったが、前述のとおり南刑事が登場しなくなったからか、52話で若手の新倉博(谷刑事)が登場する。といっても、登場エピソードなどはなくいつの間にかいたという感じ。セリフや活躍場面もほとんどなく、結局2~3回の登場で姿を消している。従って、新倉博という人のプロフィールなどは不明である。
ところで、大門刑事、南刑事、谷刑事と聞いて思い浮かべるドラマといえば、そう「西部警察」(79~84年)である。大門は言わずとしれた渡哲也、南、谷は若手ではなく逆にベテラン小林昭二、藤岡重慶が演じた役名である。同じテレビ朝日系だし、かぶっている役名は偶然ではない気がする。
次回に続く。

 

非情のライセンス(第1シリーズ)

「太陽にほえろ」「大空港」以外にも、殉職率の高い刑事ドラマとしては「非情のライセンス」が挙げられる。ただし、それは第2シリーズ(74~77年)においてであり、今回取り上げる第1シリーズ(73~74年)では、レギュラー刑事の殉職者はない。
一応原作があり生島治郎の「凶悪」シリーズがそれであある。各話サブタイトルに「凶悪」がつくのはそのためでもある。あくまでも天知茂演じる会田刑事が単独主役であり、彼一人しか登場しないというエピソードも数回ある。
第1話からして単独出演に近いが、顔見せ的に特捜部メンバー全員が顔を出している。全員が揃っているエピソードはほとんどない。
天知以外の特捜部メンバーだが、まず葉山良二(四方刑事)、会田と同世代で階級も同じ警部補、ヨモではなくシカタと読む。梅津栄(鈴木刑事)、会田や四方と同姓代の中年刑事で、妻と四人の子持ち。43話では大学生の娘が事件に巻き込まれ人質となる。宮口二朗(坂井刑事)、特捜部では一番の若手刑事。射撃の名手でもある。多々良純(吉田刑事)、ベテランの老刑事だが、階級は巡査部長以下のようだ。岩城力也(岩田刑事)、この人もベテランの老刑事だが情報分析・資料担当で現場に出ることは少ない。「お茶くみ刑事」と自称するようにメンバーにお茶を出したりしている。そして山村聰(矢部警視)、特捜部長であり、メンバーも彼が集めたと思われる。
何といっても演じている役者の年齢が高いの特徴である。30代以下は宮口二朗(当時33歳)のみで、主演の天知は42歳、葉山は40歳で、梅津は44歳であった。大正生まれの多々良は56歳、岩城は58歳だった。山村に至っては明治生まれであり(当時63歳)、通常なら定年退職しているはずである。ピンで名前がクレジットされる葉山や多々良の出演回数は少ないので、天知が連れ歩くのは宮口、梅津というパターンがほとんどだ。特に宮口は天知の付き人出身ということもあり、天知の主演番組にはほぼ顔を出している。
他のレギュラーは渡辺文雄(橘警部)、捜査一課の係長で会田ら特捜部と反目しあう。東大卒のエリートという設定は渡辺自身のプロフィールから来ていると思われる。左とん平(竜巻太郎)、会田と親しいクリーニング屋の店主だが、事件に首を突っ込みたがる。最終話で会田の自室にワイシャツを届けに来た際に、会田を待ち伏せしていた暴力団に間違われて射殺される。ちなみに、竜巻という苗字は実在しないようである。

 

大空港 その2

前回の続きである。55話までに3人の刑事が殉職。その後は平穏?に回数を重ねていたがラスト3話となった76話にて海外へ移動となっていた神坂刑事(片平なぎさ)が死亡したという一報が入る。車に仕掛けられた爆弾により爆死したととのことだった。走行中かドアを開けた瞬間なのかは忘れたが、降板したとはいえあっけない最後である。片平本人は回想シーンのみの登場で新たなシーンが撮られたわけではない。本人も知らないうちに死んだことにされてしまったのかもしれない。ちなみに、海外の女ゲリラ部隊という聞くからに物騒な所が彼女の移動先であった。
車に仕掛けられた爆弾で爆死といえば「刑事貴族」の布川敏和を思い出す。初回からのレギュラーだったにもかかわらず、物語序盤で郷ひろみの身代わりという形で殉職するという不憫すぎるものだった。
そして最終の2話は前後編。最終78話で、まず黒沢年男演じる菊地刑事が犠牲となる。そして潜入捜査を行っていた岡本富士太演じる立野刑事も面がわれて射殺される。ラスト近く、鶴田浩二、田中邦衛、石川さゆりとそれぞれが負傷するのだが、死ぬことはなかった。悪を倒し、支え合って歩く三人の元に、無傷だった高岡健二と三浦浩一が走り寄っていく、というのがラストシーンであった。片平なぎさも含めれば、1年半で六人が殉職したことになる。まあ最終話で全員が殉職する「警視庁殺人課」(81年)というドラマもあったりするが、それは異例中の異例だろう。
他にもセミレギュラー的に登場するのが池部良(沢井空港長)、神山繁(浅原警視正)、石浜朗(高木警部)、溝口舜亮(杉枝刑事)などがいる。鶴田浩二の上司に池部良がいるという構図は、当時NHKで年1回(3話づつ)放送されていた「男たちの旅路」(76~82年)と同じである。確かに池部くらいじゃないと鶴田の上司という感じがしなiい。本作での加賀のキャラ設定は「男たちの旅路」で鶴田の演じた吉岡と酷似している。
溝口舜亮は「Gメン75」で原田大二郎(関屋警部補)と相討ちとなる凶悪犯を演じるなど当時は悪役が多かった役者だが、以前ここでも書いたが「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」(70年)では、その明智を演じた役者でもある(当時の芸名は滝俊介)。ここでは空港署の刑事役だ(空港特捜部とは別に存在するらしい)。
音楽を担当していたのは菅野光亮。当時の売れっ子の作曲家でジャズピアニストだったが、83年に44歳の若さで急逝している。過労による体調急変だったという。

 

大空港

「俺たちの勲章」に引き続き中村雅俊が出演した刑事ドラマといえば「大空港」(78~80年)である。主演には鶴田浩二を迎え当時としては豪華な出演者が並んでいたと思う。鶴田演じる加賀警視をリーダーに、中村雅俊(鯉沼刑事)、片平なぎさ(神坂刑事)、岡本富士太(立野刑事)、高岡健二(海原刑事)そして緒形拳(梶警部)が当初のメンバーである。若手男優三人は中村は「俺たちの勲章」、岡本は「Gメン75」、高岡は「二人の事件簿」でそれぞれ刑事役を経験していた。ドラマ内での三人の上下関係はどうだったか覚えていないが(タメ口関係だった気がするが)、実年齢でいえば岡本32歳、高岡29歳、中村27歳と意外と差がある。片平なぎさは2時間ドラマの女王になる前の時期であり、当時まだ19歳である。まだアイドル歌手としてのイメージが強かった頃だ。そして何と言っても緒形拳。鶴田との共演はほとんどなかったのではないだろうか。しかし14話で殉職という形で早々と降板してしまった。おそらくだが、予定通りの降板だったと思われる。これを皮切りに全78話で六人が殉職することになるのだ。刑事ドラマで殉職といえば「太陽にほえろ」のイメージが強いと思うが、実はこの「大空港」も刑事の殉職率が高いドラマでなのである
空港特捜部という特殊なセクションだが、無論空港内だけでドラマが展開するわけではない。国際犯罪組織が絡んだりとかその関係で海外まで捜査に飛んだりとか大掛かりな事件も多い。空港がきっかけというだけで、おそらく管轄外であろう捜査もよくやっていたようなイメージである。
15話より田中邦衛(薮下警部)が登場するが、この人も「華麗なる刑事」に出演しており刑事ドラマ経験者である(古くは「刑事(でか)」にも出演していた)。鶴田との相性は緒形よりは良かったのだろうと勝手に思っていたりする。
36話にて中村演じる鯉沼刑事が殉職。翌37話から黒沢年男(菊地刑事)と永島敏行(西條刑事)が着任する。黒沢は当時35歳で実年齢どおりナッバー3的なポジションとなる。永島敏行は22歳で当時はクリクリな坊主頭であった。77年に「ドカベン」でデビューし、翌78年の「サード」で注目されるようになったところだ。坊主がトレードマークみたいな所があり、野球少年感が満載であった。そんな永島は55話で殉職するのだが、登場から5カ月弱という短期間での降板であった。前後するが51話で片平演じる神坂刑事が転属という形で降板。翌52話より登場するのが石川さゆり(水島刑事)である。片平より2歳上の21歳で歌手デビューも石川が2年早い。ちなみに、共に堀越高校を卒業している。
永島の後任として登場したのが三浦浩一(紺野刑事)である。当時26歳だが、東京キッドブラザーズとして話題となりテレビに出始めたのは78年からである。三浦といい永島といい後に長く活躍することとなる役者を早い段階で起用していたドラマだったと言える。次回に続く。

 

俺たちの勲章

今回もコンビ刑事ドラマで「俺たちの勲章」(75年)である。ちょっと前までは、日テレ(地上波)の夜8時代といえば巨人戦の中継が定番であった。「俺たちの勲章」も水曜夜8時という放送枠なので、半年の放送期間であったが、全19話に留まっている。俗にいう雨傘番組扱いでありながら、松田優作、中村雅俊という強力なコンビのインパクトもあって、一般的にも強い印象を残しているドラマである。
舞台は横浜の相模警察(架空)。その捜査一係所属の刑事・中野祐二(松田)と仙台から転属してきた五十嵐貴久(中村)の活躍を描く。中野は見るからに暴力的でワイルドなはみだし刑事、一方の五十嵐も優しすぎて犯人に同情してしまうような面がある。通常のドラマでは、そんなはみだし刑事でも、その上司や同僚はどこか温かい目で見ているのが普通だったが、本作は違っている。野上係長(北村和夫)も先輩の山下刑事(早川保)も心底彼ら(特に中野)を嫌っている。そこで野上は何かと理由をつけては二人を地方に出張させてしまう。そんなわけで、横浜が舞台となる回は非常にすくなく、ほとんどが地方ロケ(関東近辺が多い)である。
他のレギュラーは彼らの理解者だが登場場面は短いことがほとんど。宮本室長(柳生博)、その部下・上野原(山西道広)、一係事務員である雪子(坂口良子)、小料理屋の女将(結城美栄子)、その従業員・健次(佐藤蛾次郎)、中野の恋人(鹿間マリ)といった面々だ。鹿間マリはモデルで、本作では松田と二人でいる場面がBGMに乗って流れるのみで、一言もセリフはない。山西道広と松田は文学座の同期である。
柳生博は中村とは「われら青春」(74年)でも共演していたが、新人だった中村の面倒を一番見ていたのが柳生だったという。ちなみに「われら青春」の主役に当初内定していたのは松田だったらしいが「太陽にほえろ」への出演によりその座が空席となり、文学座の一年後輩である中村に決まったという経緯がある。中村のテレビ初出演は「太陽にほえろ」(ジーパン刑事時代)へのゲスト出演である。
あと本作は中村と五十嵐淳子が出会った番組としても知られている。彼女は14話「雨に消えた…」にゲスト出演。77年に二人は結婚している。中村の役名が五十嵐だったというのも運命的である。ちなみに、彼女は芸名を五十嵐じゅんから本名に改名したばかりであった。
松田はこの番組での鹿児島ロケの際に暴行事件を起こし、翌76年に逮捕されている。執行猶予判決を受けたが、テレビドラマへのレギュラー出演は約1年間自粛していた。本格的復帰は「大都会PARTⅡ」(77年)からである。

 

二人の刑事

時代は70年代に戻る。「七人の刑事」(61~69年)の終了後にほぼ同じスタッフによる後継の刑事ドラマが「二人の刑事」(70年)である。大幅に人数が減ったが、基本二人いればドラマとしては成立する。集団刑事ドラマも主役は持ち回り制なので、結局は同じことである。
主演は芦田伸介(勝俣部長刑事)と中尾彬(田宮刑事)というベテランと若手のコンビである。芦田伸介といえば「七人の刑事」では沢田部長刑事を長年に渡って演じており、当時としては刑事といえば、ハンチング帽によれよれのコート姿である芦田のイメージが強かったと思われる。もっとも今回はハンチング帽は被っていなかったらしい。中尾彬は当時28歳。62年合格の第5期日活ニューフェイスのはずだが、当時の日活雑誌にニューフェイス合格者として中尾の姿がなかったため、話がややこしくなっている。しかし、同期である高橋英樹が中尾と二人で劇団民藝へ(研修に)通っていたと証言しているので5期ニューフェイスと考えていいのだろう。翌年絵画の勉強のためフランスへ留学し64年に帰国すると民藝に入団したりしているので、日活での活躍イメージは薄い。
一方の芦田も民藝には49年に入団しており、日活映画にもよく顔を出していた。つまり二人とも元民藝・日活というコンビなのである。元と書いたのは共にこの70年に民藝を離れてフリーになっていたからである。中尾はこの70年には結婚もしている。相手は池波志乃ではなく、茅島成美である。名前だけだと分からないかもしれないが、金八先生に登場する国井先生役の人である。池波とは不倫関係となり、75年に茅島と離婚し、78年に池波と再婚したのである。これが、不倫には恐ろしく厳しい現在であったら、俳優生命の危機にさえなっていたであろう。
さて内容についてだが正直、一度も見たことのない番組なので『「」七人の刑事」と幻の刑事ドラマ』という本を参考にさせてもらった。他のレギュラーだが、加藤武(1~12話)と織本順吉(13~16話)の名が挙がっている。まあ恐らくだが、二人の上司役であろうと思われる。登場話数が資料どおりならスケジュールか何かの都合で交代したということだろう。ちなみに全16話という回数だが、打ち切りだったわけではなく元々の予定だったようである。
ゲストに目を向けると第1話の小川真由美に始まり、大原麗子、池部良、平幹二朗、辰巳鉚太郎、中山仁、加賀まりこ、水野久美、川地民夫、黒柳徹子など豪華である。第4話に田村高廣、第5話に田村正和と田村兄弟が連続出演。沢たまき
、桑原幸子の「プレイガール」勢も登場する。各話あらすじを見ると中尾を田宮刑事は13話で倍賞美津子、16話で太地喜和子演じる女生とそれぞれ恋に落ちているらしい。
一度見てみたい気がするドラマだが、VTR収録だったとしたら当時の慣習からテープ上書きにより映像が残っていない可能性が高い。ゆえに再放送もなく忘れられたドラマになってしまったのかもしれない。

 

ダイヤル110番

「刑事物語」よりもさらに古い刑事ドラマといえば「ダイヤル110番」(57~64年)である。実はこのドラマはここで一度も取り上げたことがなかった。まあ古すぎることもあり、個人的にも馴染みがなかったということもある。
57年といえば、テレビ放送がスタートしてまだ4年くらいの時期である。生ドラマがほとんどだった時代だが、本作はフィルム撮影(VTRもあり)である。足かけ8年、全364回が放送されており「七人の刑事」(61~69年)の全385回に近い。07年に発売された『「ダイヤル110番」元祖刑事ドラマ』という本では365回となっているが、これは恐らく同じと思われる99話と103話「海のある町」を敢えて共にカウントしているからである。再放送なのか放送が急遽番組が中止になり延期になったとか事情は不明である。
放送曜日と時間帯は火曜22時15分から45分でスタートしたが日曜、土曜など10回に渡って変更されている。放送時間も30分から62年10月の264話からは45分番組へと変更された。
さて出演者だが、決まったレギュラーというのはなく、同じ役者でも毎回違う役名で登場するのである。とはいえ刑事や警官役で登場することの多い役者はいる。本作で一番印象に強いのはやはり玉川伊佐男であろう。テレビなどで流れる映像が234話「すれっからし」という回であることが多く、そこで刑事を演じているのが玉川なのである。実際、玉川の登場回数はかなり多く、ほぼ刑事役のようである。後、資料などで見ていくと、笠間雪雄、白井正明、舟橋元、河野秋武、加藤武、館敬介、松村達雄、野々村潔、井川比佐志、川辺久造、鈴木瑞穂、中谷一郎、稲葉義男、椎原邦彦などがその話の主役刑事を演じることが多かったようだ。
ゲストに目を向けると初期の頃は丹波哲郎、木村功、佐野周二、山村聡、宍戸錠そして石原裕次郎の名もある。中でも日活スターだった裕次郎のドラマゲスト出演はかなり珍しかったのではないだろうか。後期になると石坂浩二、加賀まりこなどの名も見える。
45分番組になってからはシリーズものが目立つようになっている。「麻薬追放キャンペーン」や「非行少年シリーズ」「科学捜査シリーズ」「九州シリーズ」「もしもあなただったらシリーズ」等、それぞれ第1弾~第5弾という形で連続放送されている。この中では非行少年シリーズ第4弾とされる307話「三つの軌跡」は3つのオムニバスドラマで構成されているらしい。つまり15分ドラマが三本ということだ。かと思えば350~352話「追跡930キロ」は3話に渡って続いたようである。
こうして改めて調べると、思っていたより面白そうな印象である。しかし、フィルム撮影もありとはいえ映像はほとんど残っていないと思われる。
64年9月に番組が終了したが、翌週からは東京オリンピックの中継が行われている。それに伴って番組が終了したともいえる。その東京オリンピックが数か月後に迫っているが、特に感慨があるわけではない。

 

刑事物語

続けて60年代刑事ドラマである。その名も「刑事物語」(60~61年)だ。ここでも紹介した「刑事物語・星空に撃て」や「刑事物語85」、また武田鉄矢主演の映画にも「刑事物語」シリーズがあったりするが、本作はそれらよりずっと前の「刑事物語」である。
出演者は堀雄二(小松捜査主任)、芦田伸介(足立部長刑事)、美川陽一郎(池山刑事)、佐藤英夫(所刑事)、天田俊明(小川刑事=小山刑事かもしれない)、園井啓介(大西刑事)である。メンバーを見て、賢明な人なら園井啓介以外は「七人の刑事」のメンバーであることに気づくと思う。そう、この番組は「七人の刑事」の前身といえる番組で、終わった翌週から園井に代わって、菅原謙次と城所英夫を加えて「七人の刑事」がスタートすることになったのである。
さて「刑事物語」だが、基本は30分前後編の構成となっており、犯罪のトリックや謎解きが主体のドラマだったようだ。まあ前編で事件が起こり、後編で犯人が分かり事件は解決というパターンであろう。「グリコサスペンス」という枠だったようで、無論提供は江崎グリコである。番組タイトルと同名の主題歌を西田佐知子が歌っていたそうだ。
園井啓介のみ降板したのは、単純に多忙だったからであろう。この時すでにNHKの「事件記者」(58~66年)にレギュラー出演していたし、売れっ子だったことは確かだ。実は57年にも「刑事物語」というタイトルのドラマ(全4回)がNHKであったらしく、それにも園井は出演していたようだ(刑事役かどうかは不明)。園井は73年に巨額の脱税が発覚したため引退に追い込まれ、以来消息不明状態であったが、17年に突如「映画論叢」という雑誌に寄稿していた。それほど長文ではなく、事件のことにも触れてはいないが、デビュー当時の想い出や現況を短く綴っていた。伊豆高原の方で静かに暮らしているようである(17年現在)。
「七人の刑事」から加わった菅原謙次は大映の主役スターだったが、この時期は徐々に主演から外れることも多くなっていたのである。当時はテレビなど映画の格下に見られていたが、菅原は思考が柔軟だったのかテレビに可能性を感じていたのか不明だが出演を受けたのである。番組は大人気となり結果的にはこの選択は成功だったといえよう。
約400回放送されている「七人の刑事」でさえ映像がほとんど現存していないようなので、「刑事物語」に関しては映像は残ってなさそうである(生ドラマの可能性もある)。

 

刑事(でか)

60年代の刑事ドラマといえば、「七人の刑事」と「特別機動捜査隊」が長く続き両巨頭という感じだが、あまり知られていないものもいくつかある。
タイトルはそのままズバリ「刑事(でか)」(65年)である。前述の両番組はどちらも警視庁が舞台となっているが、本作は架空の所轄である下田原署が舞台となっている。
全12回のモノクロ作品ということもあり、再放送などには恵まれなかったと思われる。確か10数年前だったと思うが、CSで放送されたことがあり、初めてこの番組の存在を知ったと記憶している。録画もしたはずだが、探し出すのが困難な状況にあるので、少ない資料と記憶から辿ってみる。
原作および監督は当時はフジテレビのディレクターだった五社英雄である。じつは五社は59~60年にも同タイトルのドラマを演出しており、彼が初めて手掛けた作品である。まだ生放送の時代であり、映像などは残っていないようだ。主演は高松英郎で、30分番組だが40回にわたり放送されたようだ。
話は戻るが、OPでは六人の刑事が紹介される。覚えているのは「仏の中(チュウ)さんこと、中条刑事」「ゴキブリの北さんこと、北島刑事」「鬼の東(トン)さんこと、東デカ長」で、後三人のキャッチフレーズ?は忘れてしまった。キャストは森川信(中条刑事)、田中邦衛(南原刑事)、青木義朗(白川刑事)、井川比佐志(西岡刑事)、今橋恒(北島刑事)、中谷一郎(東部長刑事)である。気づくと思うが、役名は東南西北白中となっており、発は?ということになるが佐藤京一(初島刑事)もたまに登場する。「発」で始まる苗字は「発知」とか「発田」とか数種類あるが馴染みが薄いこともあり「初」になったようだ。あと、永田靖が係長役。全員が毎回登場するわけではなく、2回くらいしか登場しないOP以外の刑事もいた気がする。
結構、ネームバリューのある役者が揃っており、森川信は50代だったが、中谷一郎、青木義朗、田中邦衛は30代で、井川比佐志と佐藤京一は29歳だった。当時から凶悪犯顔の佐藤京一の刑事役というのはかなり珍しい。井川は今とあまり印象が変わらず若手という感じがしない。青木義朗は当時36歳、刑事ながらチンピラ感があった。しかし、この5年後には「特別機動捜査隊」の三船主任役に抜擢され、15年続いた番組後期の顔となっていくのである。知らない人も多そうなのが今橋恒である。「ゴキブリの北さん」という通称は言いたいことはわかるが、普通人ならちょっと嫌だろうなと思ってしまう。自分もよく知らない役者で、見た感じは森川信と同じくらいのベテランで50代から40代後半と思っていた。しかし、改めて調べると35年生まれ、つまり当時30歳ということが判明した。役柄的にもベテラン刑事ポジションに思えたが、どうだったであろうか。「三匹の侍」にもシリーズごとにゲスト出演しており、五社のお気に入り役者ではあったようだ。「サンダーバード」でペネロープの執事パーカーの声優を務めていたのが今橋で、やはり老け役の似合う人だったと思われる。

 

新・二人の事件簿 暁に駆ける    

「TOKYO DETECTIVE 二人の事件簿」終了から約8カ月、その続編である「新・二人の事件簿 暁に駆ける」(76~77年)がスタートした。前作の人気のほどはわからないが、この番組に賭ける意気込みは大きく感じたものである。何と言ってもNET(テレビ朝日)以下、当時のANN系列8社による共同制作というスタイル、そして国内の地方ロケだけではなく海外ロケもスイス、香港、タイと行われたのである。番組予算が前作の5割増しだったと言われる。
出演者はあまり変わっていない。篠田三郎(宮坂刑事)、高岡健二(真樹刑事)はもちろん、植木等、近石真介、大石悟郎といった緑橋署の面々もそのままだが、新たに毒蝮三太夫(鬼塚刑事)が加わった。牧美智子(美杉婦警)は、今回も主題歌を担当。その名も番組タイトルと同じ「暁に駆ける」である。音楽は森田公一から菊池俊輔に変わったが、なかなかの名曲である。その美声に乗って流れるOPは日本だけでなく各国のパトカーの映像だ(ヘリや哨戒機の映像もある)。
宮坂の婚約者役である土田早苗(美矢子)は町医者から監察医に変更になったと記憶している。宮坂の友人である真夏竜や島村美輝は姿を消したが、真樹の友人である森大河や謎の渋い男・高橋悦史は引き続き登場。新キャラとして園佳也子と「あばれはっちゃく」こと吉田友紀演じる君島親子、役柄はわすれたが山岸映子、三橋久美らもレギュラー入り。正直この辺は居てもいなくてもいいキャラだったと思う。そしてアグネス・チャンが真樹刑事が憧れる人といった役柄で登場する。
ゲストでは14話にまだ放映中だった「特別機動捜査隊」の青木義朗(三船主任)と早川雄三(松木部長刑事)が出演、翌15話には亀石征一郎(矢崎主任)も出演している。22話には藤田まこと、菅井きん、白木万里という「必殺シリーズ」の中村家トリオが出演、28話では夏目雅子が小達雅子名義で出演している。32話では津川雅彦、加賀まりこに加えて、あの横井庄一が出演したという。
さて、主題歌担当で美杉婦警役でもあった牧美智子だが、71年に愛原洋子としてデビューし、74年から牧美智子に改名している。「街のともしび」「暁に駆ける」とヒットさせたが、番組終了直後にシングルを1枚出したところで引退してしまったようである。事情は不明だが結婚でもしたのだろうか。
森大河はこの後、レギュラーには恵まれなかったが凶悪犯役で登場することが多くなる。85年にJALのスチュワーデス(現CA)と入籍。しかし、その約2か月後に彼女は123便に乗務員として搭乗し…帰らぬ人となったのである。失意は大きく彼の俳優活動も鈍りだした。そして87年にはひっそりと引退したのである。高岡健二によると、高橋悦史が96年に亡くなった時は葬儀をとりまとめたりしていたが、約1年後に森も亡くなったという。だとすれば45~46歳で亡くなったということになる。合掌。