お宝映画・番組私的見聞録 -138ページ目

母子草/スピード狂時代 命を賭けて

前回の続きになるが、石川良昭は水木襄という芸名に変えて、まもなく大役を得る。逆に、大役を得たから名を変えたのかもしれんが。
東映の第4期ニューフェイスで言えば、山城新伍は時代劇でスターとなっていくが、現代劇組では室田日出男、曽根晴美はどうみても悪人顔だし、今回共演の北川恵一は二枚目だがワルっぽく見えるし、木川哲也は善人そうだが印象が薄い。主役に相応しい好青年といえば水木襄ということになる。
その第一弾が「母子草」(59年)という作品。大女優・田中絹代の息子という役である。姉役は同期のスター佐久間良子である。ポスターにも佐久間、水木、田中という具合に名が並んでいる。ニューフェイス組では、水木とは共演の多くなる春丘典子や前述の北川恵一の名もある。そして、佐久間の相手役となる木村功、今回は監督も務めるベテラン山村聰。
山村聰は、50年代に六本ほどの作品の監督を務めている。今回共演の田中絹代もほぼ同時期に監督として、やはり六本ほどの作品を世に出している。本作もそうだが、山村作品も田中作品も小難しそうで、個人的には見たいと思うタイプの作品ではない。
そして水木襄、初の主演作となるのが、「母子草」からガラッと一変した「スピード狂時代 命を賭けて」(59年)である。簡単にいえば、カミナリ族となった主人公(水木)がオートレースの世界に飛び込んでいくといった話だ。ちなみに役名はしゃれなのか野呂である。
当時のポスターでは、水木、前述の春丘典子、梅宮辰夫、今井俊二(健二)の順になっている。梅宮は水木の一期後の第5期ニューフェースで、当時はデビューしてまもない頃である。どうやら水木の兄という役柄のようだが、実は水木も梅宮も38年3月11日生まれだったりするのだ。
他にも同期の曽根晴美は水木に勝負を挑む曲乗りライダーの役で、想像しにくいが加藤嘉がベテランレーサーの役で登場する。水木の両親役には多々良純と木暮実千代。前回も書いたが、木暮は水木をニューフェイスに推薦した人物である。今回、親子として共演を果たしている。
以前、「台風息子」の項で主役トリオの1人である有光洋二は詳細不明と書いたが、本作にもロカビリー歌手の役で登場する。ひょっとしたらと調べると、やはり歌手で雪村いづみの弟であるらしいということがわかった。とはいっても歌手としての情報は全くなく、どんな歌を歌っていたかは結局不明なのだけれども。

デビュー当時の水木襄

月も変わったところで新しい話題をと思い、小野透からは離れるが引き続き東映関係である。
よく、ここで東映ニューフェースの話題を出すが、その4期生といえば山城新伍を中心に、室田日出男、曽根晴美、佐久間良子、花園ひろみ、作詞家となった山口洋子などが有名となったが、忘れちゃいけないのが水木襄である。
「忍者部隊月光」「緊急指令10-4・10-10」「魔人ハンターミツルギ」といった作品での主演としてお馴染みだが、何故か全て非東映作品なので(「月光」の映画版は東映)、東映のイメージは薄いかも。だが、60年代前半には約10本もの主演映画が東映(第二東映)で撮られているのだ。
デビューした58年は、水木襄ではなく本名の石川良昭名義で出演している。中村嘉津雄が主演の作品を中心に出ており、デビュー作も中村主演の「不敵なる反抗」(58年)という作品らしいが、出演者にその名を確認できなかった。
石川良昭で確認できたのは三本あり、まずは「裸の太陽」(58年)。これは主演は江原真二郎で、共演に丘さとみ、中原ひとみ、仲代達矢、岩崎加根子、高原駿雄、東野英治郎など。60年に結婚する江原、中原が共演しているが、江原の恋人役は丘さとみである。石川良昭こと水木は役柄はよくわからんが、同期の曽根晴美、北川恵一と共に出演している。
「夜霧の南京街」「母と拳銃」(いずれも58年)は、どちらも主演は中村嘉津雄、ヒロインは水木とは同期になる佐久間良子、そして大村文武が共演している。「夜霧の南京街」にはフランク永井が出演しているが、同名の主題歌も担当している。「母と拳銃」には、木暮実千代が出演しているが、水木は木暮の推薦でニューフェースを受けたらしい。その関係性は不明だけれども。
翌年、水木襄と改名し、後に木暮実千代とは親子役で共演し、デビュー当時は差をつけられていた佐久間良子ともその相手役として出演するまでになるのである。

銀座野郎/ネオンの海の暴れん坊

さて、小野透ネタもそろそろ最後にしようと思っているのだが、もう一つ小野透主演のシリーズもので。といっても二作だけなのだが、「銀座野郎」と「ネオンの海の暴れん坊」(ともに61年)である。
まあ、タイトルを聞いただけではこの二本がシリーズになっているとはわからないだろう。ネオンの海=銀座ということなのだろうが、「銀座の暴れん坊」だと日活の小林旭のシリーズみたいになってしまうからであろうか。同じ小野透主演作では「波止場野郎」とか「銀座の旅笠」とかあるので、そっちとつながっているのかと思ってしまう。
さて、この二作は銀座の流しである哲こと野上哲夫と六こと白梅六太郎のコンビが活躍する話なのだが、哲を演じるのはもちろん小野透で、六を演じるのは大辻三郎である。以前、ここでも触れたことがあるが、大辻伺郎とは別人(のはず)である。大辻司郎親子と何らかの関係がある可能性もあるが、そういう情報は一切見当たらず、大辻三郎自体が詳細不明の役者なのである。それなりに出演作もあるのに不思議な話だ。
三郎と入れ替わるように伺郎が台頭してきたので、改名説も考えたが、微妙にかぶっている時期もあり、何より改名していたらそれくらいの情報は残るはずなので、別人と考えるのが自然であろう。
渡辺篤と渡辺篤史、浜村淳と浜村純、大出俊(俳優)と大出俊(政治家)、早見優(歌手)と速水優(元日銀総裁)みたいに名前が偶然?似てしまったケースかもしれない。
話を戻して、他のレギュラー陣は女給トリオの春丘典子、浦野みどり、並木和子、それぞれ東映ニューフェイスの3期、5期、6期である。マダム役の三浦光子など。
「銀座野郎」のゲストは、森川信、北原しげみ、梶すみ子、植村謙二郎、曽根晴美など。梶すみ子はこの前年に事故死した波多伸二が出演した3作品すべてで共演した女優である。
「ネオンの海の暴れん坊」のゲストは、大村文武、増田順司、富田仲次郎、青木純子など。青木純子はヒロイン的な役柄だが、本作ともう一作しか出演作品が見つからなかった。あと、本作のポスターには大辻の前に北川恵一の名が載っているが、役柄はすし屋である。山城新伍や曽根晴美、室田日出男が同期のニューフェース4期生だが、脇役専門であった。この扱いは不思議な感じもする。

風の野郎と二人連れ/銀座の旅笠

小野透の話題が続くのだが、今まで単独で出演していた作品を紹介してきたが、当然姉である美空ひばりにくっついた形で出演している作品も多い。しかし、逆に小野が主演で、ひばりが特別出演という形の作品もある。それが「風の野郎と二人連れ」、その続編となる「銀座の旅笠」(いずれも61年)である。
ここで小野は飯倉一家の若親分という役で、ひばりはその実姉という役である。小野はこの後、本当にやくざになってしまうのでシャレにならない役だったかもしれない。
一作目の「風の野郎と二人連れ」だが、このタイトルは小野(風の野郎)とその連れという意味か、他二人という意味なのかよくわからない。あらすじを見る限りでは、おそらく後者で、この場合は子分である牧伸二と大前均のことを指すのだと思う。牧伸二はこれが映画初出演だが、すでにウクレレ漫談で人気があったようである。美空ひばりの地方巡業の前座を務めた際、ひばり母子に気に入られたという。そういう縁での出演かもしれない。
大前均はスキンヘッドの大男。スタートは東映で、本作にも出演している大村文武と同じ明大の出身である。高倉健、今井健二、山本麟一も明大出身で、東映は明大生が好きだったようである。
他の出演者だが、小野の父役で柳永二郎、ヒロイン役は宮園純子、その父に真弓田一夫、悪役で富田仲次郎、小野良、潮健児など。小野良は特に小野透とは関係はないようだ。ここの名前を挙げた人は、大前や潮も含めてポスターに名前が載っている。
しかし次作である「銀座の旅笠」には、引き続き出演しているのだが、大前や潮の名は省かれている。出演者はほぼ一緒なのだが、ヒロイン役となるのは新井茂子である。東映ニューフェースの6期生で、後に「キャプテン・ウルトラ」こと中田博久と結婚する。大村文武は前作とは違いその兄役で。富田仲次郎も悪のボス役ではあるが前作とは別役である。あと本作には佐原広二の名がある。「警視庁物語」シリーズでは高津刑事として活躍していたが、この61年に突如引退してしまったようなのである。公開順でいえば本作が最後の映画出演となったようである。
最後といえば、本作は最後のニュー東映配給作品でもある。東映が一つに戻り、それに伴い小野透も主演作を失ってしまうことになったのである。

続一丁目一番地

前項の続きである。前作から約半年後に「続一丁目一番地」が公開されている。同じ58年の作品にもかかわらず、キャスト、スタッフとも一部変更がされている。
「続」とまとめたが、正確には違う。その10月に公開されたのは「NHK連続放送劇・一丁目一番地 おじいちゃんは日本晴れ」が正しいタイトルである。
今回の山上家を演じるのは若水ヤエ子、富松孝治はそのままだが、柳沢真一は波島進に、中原ひとみは佐久間良子に変更となっている。
隣家の院長はトニー谷で変わらないが、子どもは七人は多いと思ったのか、今回は一郎から四郎の四人しか登場しない。子役はター坊役の富松孝治の兄(と思われる)富松千代志以外は全員変更となっている。しかし千代志も前作の二郎から三郎に変更されている。
その中で注目は、ポスターにも載っている一郎役の原国雄。「少年探偵団」シリーズや「月光仮面」シリーズにも出演していた当時活躍した子役だが、この名前を聞いたことがあるという人は福島県の人が多いのではないだろうか。子役としては59年に引退してしまうのだが、10年後の68年に福島テレビに入社しており、そこから約40年間アナウンサーとして活躍した人物である。早稲田大学アナウンス研究会の出身で、同期にはフジテレビに入社した逸見政孝、松倉悦郎がいたという。ちなみに父親は東映のプロデューサーだったといい、その縁での映画出演だったと思われる。
他の出演者だが、神田隆、須藤健、山東昭子、三條美紀、そしてタイトルの「おじいちゃん」を演じるのが杉狂児。東映の大部屋俳優である杉義一や杉幸彦はその息子である。
その1月後に公開されたのが「町内ニコニコ会議」である。出演者はほぼ一緒だが、ストーリー的には繋がりはなさそうで「おじいちゃんは日本晴れ」の後編というわけではなさそうである。そこに、メインキャストとして唯一加わるのが小野透だ。
隣家の院長の甥だが、チンピラという役柄。まあ最終的には改心、というか活躍する役のようである。山東昭子がその相手役のような感じになるようだ。
当時のポスターには波島進、三原浩、小野透、佐久間良子の順で名前が載っていた。
本家のラジオはこの先五年くらい続くのだが、映画はこの58年のみであった。

一丁目一番地

また小野透から辿っていくと「続一丁目一番地」というタイトルが目に付いた。当然「続」のつかない「一丁目一番地」という作品がまず存在する。
「二丁目三番地」は、石坂浩二と浅丘ルリ子を結びつけたドラマとして知られるが、「一丁目一番地」は57~64年にかけて放送された人気ラジオドラマである。まだ、テレビの普及率が一家に一台とはいかない時代、夕方のラジオに耳を傾ける子どもも多かった。
ラジオの方の出演者は名古屋章、岸旗江、黒柳徹子、浪花千栄子、花菱アチャコなどが出ていたらしい。
映画「一丁目一番地」は58年に二本、いや正確にはそれぞれ前後編に分かれているので四本が制作されているのだが、続編ではキャストもスタッフも多少変更されている。
第1作「NHK連続放送劇・一丁目一番地」では、主人公である山上一家を演じるのは一作目では柳沢真一、若水ヤエ子、中原ひとみ、富松孝治といった面々。富松孝治は当時活躍していた子役で、子ども目線での主人公ター坊を演じている。
隣家の動物病院院長にトニー谷。五男二女がいるという設定で、名前は一郎~五郎、A子、B子ととてもわかりやすい。その中の二郎を演じるのが富松千代志。先の富松孝治の兄と思われる。もう一人、富松アケミという女の子も出ており、他の作品でも共演しているようだし三人は兄弟とみていいだろう。話を戻すが七兄弟の中で三郎を演じるのは鹿野浩四郎。この二十年後に「600こちら情報部」でキャスターをすることになる人物である。その経歴に子役をしていたという項目はなく、実際少年時代の映画出演もこれ1作のようなので、経緯は不明だが活動を始める前の出演だったということだろうか。
第2作はその1月後に公開され、前述のタイトルに「第2部」がつく。他の出演者は堺駿二、益田喜頓、清川虹子、山手弘など。
ただ、当時の映画ポスターでは中原ひとみ、三原浩、柳沢真一の順で名が並んでいる。三原浩って誰だ、ということになるが、東映ニューフェース3期生のようである。中原の恋人役という感じであろうか。里見浩太郎、大村文武に続く期待の新人だったのかもしれないが、翌年には梅宮辰夫主演の「遊星王子」では「まぼろし大使の配下M10号」というように完全に脇役になっていたようである。出演記録もその59年までしか見当たらず、早々と姿を消してしまったと思われる。

台風息子 その2

前項の「台風息子」はシリーズ化されたが、翌59年公開された「花形三銃士」では、主演の照彦役は江原真二郎から小野透に変更となった。それに伴い、鉄雄役も石森武雄、一策役も有光洋二、妙子役も小林裕子にそれぞれ変更となった。前作の今井俊二(健二)や佐久間良子に比べると、誰?というキャストだと思う。前作は東映ニューフェースの4期生が大挙出演していたが、石森と小林はその5期生である。他にも妙子の友人である瑞枝役で同じく5期生の田中恵美子、頼子役で4期生の竹淵雅子が出ている。ちなみに、5期生には梅宮辰夫、八代真智子、応蘭芳、ここでは「特捜隊」でよく名を挙げている滝川潤、高島新太郎、小嶋一郎などがいた。
有光洋二に関してはよくわからない。活躍期間も59~60年の二年しか見つかっていない。南廣主演の「特ダネ三十時間」シリーズにも出演していた。ちなみに、「白い牙」で藤岡弘が演じた主人公の名は有光洋介である。石森武雄もよくわからんのだが、ドラマ検索をかけると10年に一度くらいの割合でその名がひっかかった。劇団民藝の舞台にたつ同名の人がいるようだが、同一人物だとすればずっと役者を続けていたということになる。
次作の「お化け退治」は、何故か二年後の61年、ニュー東映から公開された。主演の小野透以外はまたキャストが変更されている。
鉄雄役に亀石征一郎、一策役に岡本四郎、妙子役に宮園純子、その友人瑞枝役に北原しげみ、頼子役に春丘典子となっている。ちなみに亀石はニューフェースの6期生、宮園は7期生である。亀石、宮園はお馴染みだと思うが、その高校生役は想像しにくい。岡本四郎は60年代のみで消えてしまった印象だったが、70年代終盤までその活動記録が見られる。
他にも第1作で高倉健が演じた照彦の兄役を鉄雄訳だった今井俊二が、両親役を十朱久雄、沢村貞子が演じている。
最終作「冒険旅行」(61年)のキャストは「お化け退治」と一緒である。先生役で中山昭二が出演しているが、この中山と亀石、岡本、宮園は翌62年のドラマ「ヘッドライト(途中で青年弁護士に改題)」では、そっくりそのままレギュラーになっている。

台風息子

話題を小野透に戻すが、彼が主役のシリーズものに「台風息子」シリーズというのがあるが、その第1作のみメインキャストが違っており、主役の照彦を演じたのは江原真二郎であった。
正確に言えば、第1作「台風息子」(58年)は当時よくあったスタイルだが、前後編に分かれており、前編は「修学旅行の巻」、その1週間後に公開された後編は「最高殊勲の巻」というサブタイがついていた。
照彦の友人である鉄雄に今井俊二(健二)、一策に立花良文、ヒロイン妙子に佐久間良子。タイトルに修学旅行とあるとおり、みんな高校生の役だ。ちなみに、江原は当時22歳、今井に至っては26歳である。今井と佐久間はお馴染みだと思うが、立花良文は東映ニューフェースの3期生(同期に里見浩太郎、大村文武)だが、早々と引退してしまったようである。
佐久間良子は東映ニューフェースの4期生だが、この作品にはその4期生が大挙、生徒役で出演しているのである。山城新伍を筆頭に、室田日出男、北川恵一、木川哲也、金井孝子、内藤るみ子、竹淵雅子、乾貞子など。同期でも佐久間良子以外は名もなき生徒たちで、山城も男生徒B、室田も男生徒Cだったりする。実は、これが山城や室田のデニュー作だったのである。山城が「風小僧」や「白馬童子」で活躍するのは翌年からである。女生徒役には2期生の高橋京子、3期生の春丘典子などもいたが、この中では春丘が多少活躍したくらいで、後の面々は名前を聞いても「?」であろう。4期生はこれ以外にも曽根晴美、花園ひろみ、作詞家となった山口洋子などもいた。
これだけニューフェースが名を連ねていながら、主演の江原はニューフェースでもスカウトでもない。つてで東映に入り、最初は大部屋扱いだったようである。
他にも江原の兄役で高倉健、姉役で小宮光江、そして清川虹子、トニー谷、益田喜頓、花沢徳衛といったところが出演している。

ラグビー野郎

前回は岡田洋介について追ってみたのだが、その槙健太郎時代に東映映画に5本ほど出演していると書いた。折角なので、その中から「ラグビー野郎」(76年)を取り上げてみたいと思う。
内容は大学のラグビー部を舞台にした青春ものだが、あらすじを見た限りでは、びっくりするくらいフツーのスポ根ストーリーである。
主演は何故か千葉治郎こと矢吹二朗。何故かと書いたのは、デビューから結構たち、当時27歳だった彼が大学生役で、主役というのも不思議な感じがしたからである。ちなみに今回の役名が矢吹二朗。この名をもらって本作より千葉治郎は矢吹二朗と改名したのである。
おそらくそのラグビー部同級生なのが南條弘二や、元岡田洋介の槙健太郎である。この時代だと南條が主役の方がしっくりくる気がする。
副将役は伊吹吾郎ではなく伊吹新吾。大映のニューフェースでありながら役に恵まれず端役も多かった。しかし伊吹剛と改名するや「Gメン75」の中屋刑事など広く知られるようになる。彼は改名して成功した例であろう。
監督役はおなじみ谷隼人。彼もデビュー時は本名の岩谷肇で、一時期岩谷隆弘を名乗ったこともあるが、結局谷隼人である。プロフィールにはないが、「特別機動捜査隊」出演時に原佑介名義で出演したこともある。
ヒロイン役はいけだももこ。小林亜星との「リンゴがひとつ」を覚えている人もいるだろう。草刈正雄が新・若大将を演じる「がんばれ!若大将」でもヒロインに抜擢されたりして順調だったのだが、この「ラグビー野郎」を最後に結婚して引退してしまった。22歳であった。ちなみに、若大将での役名は岡本鮎子だったのだが、結婚した相手は岡本さんという人で、岡本百子になったのであった。
とまあ、ここまでは青春映画といえるキャストだが、ラグビー部OB役が山本麟一に福本清三で、他にも岩尾正隆、白井孝史、志茂山高也といったピラニア軍団の面々(山本や福本は加入していない)も出演している。
あと、忘れちゃいけない兄貴・千葉真一も顔を出している。
矢吹二朗は82年に引退。しかし、「仮面ライダー」など特撮関係のイベントに顔を出すこともあり、その時は千葉治郎として出演しているという。個人的にも千葉治郎の方がしっくりくるのである。

追跡!岡田洋介

話題は変わるのだが、歌舞伎役者や落語家は襲名という形で名を変えて行く。こぶ平→正蔵、いっ平→三平とか楽太郎→円楽とか、見ている方は違和感ありまくりなのだが、襲名したという事実は記録にも記憶にも残る。
しかし、あまり著名でない俳優が何度も芸名を変えるとそれをすべて把握するのは中々難しい。「日本映画人改名・別称事典」という本があったりするが、この本は結構ミスも多かったりして、正誤表がネット上に存在したりしているのである。
ここでも、よく取り上げる松原緑郎→松原浩二→松原光二は、その事典にも載っているが、高島新太郎→高島英志郎→高島弘行→高島新太郎は載っていなかったりする。松原も高島と同じように緑郎に戻したという記述が事典にあるが、確認はできていない。
かつて「スーパーロボットレットバロン」で主役を演じた岡田洋介という俳優がおり、直ぐに消えてしまったイメージを持っている人も多いかもしれないが、その後何度も改名を重ねて活動していたことはあまり知られていないかもしれない。彼も改名事典には載っていない。
実はこれコメント欄でやりとりしていた話題なのだが、せっかく調べたのでここにも書いている次第である。
岡田洋介が、正確にはいつデビューしたのか本名なのかは不明である。活動記録として出てくるのは「レッドバロン」(73年)だけなので、これがデビュー作だったのかもしれない。
しかし、この終了直後に芸名が『石太郎』という石から生まれたような名に変更される。同時代には岡田裕介(現東映社長)がいて、ややこしかったからかどうかは知らない。その名で「ウルトラマンレオ」や「白い牙」(74年)などにゲスト出演している。
そして翌75年、「少年探偵団(BD7)」にゲスト出演した時は、いつの間にか『槙健太郎』になっていた。かつて「レッドバロン」で共演した牧れいと同じ「まき」になったので、結婚したのではという噂もあったりしたようだ。この名では東映の「暴動島根刑務所」とか「強盗放火殺人囚」など映画5本ほど出演している。
ここまでは、知っている人も結構いるかもしれないが、まだこの先があったのである。「けっぱれ!大ちゃん」(79年)に『槇健吾』としてレギュラー出演していたのである。「ウルトラマン80」(80年)の30話にもゲスト出演しているらしかったので、ネット上で動画を探して確認してみると、旧・岡田洋介に違いないと確信を得た。槇健吾としては「必殺仕事人」「新・必殺仕事人」にもゲスト出演していたようなので、81年あたりまでは活動を確認できた。
ここで終了かもしれないが、この先も名前を改名しながら俳優活動を続けていた可能性もあると思う。