お宝映画・番組私的見聞録 -131ページ目

河内ぞろシリーズ

ネタがつきたので、前回までとガラッと話題を変えてみたいと思う。
「日活ポスター集」という本を見ていると、シリーズものなのに、個人的には全く聞いたことのなかったものがあった。その名も「河内ぞろ」シリーズ(64~65年)といい、「どけち虫」「喧嘩軍鶏」「あばれ凧」の全3作ある。
大阪・河内を舞台にケンカっ早い三兄弟の活躍を描いた話で、原作は今東光。気付いた人もいるかもしれないが、この話を東映でリメイクしたのが「ゾロ目の三兄弟」(72年)である。
「河内ぞろ」で三兄弟を演じるのが宍戸錠(仁助)、川地民夫(多度吉)、山内賢(永三)である。ちなみに、東映のほうは小林旭、田中邦衛、渡瀬恒彦である。
三兄弟の母親が笠置シヅ子、仁助の妻が南田洋子、多度吉の恋人(後に結婚)が安田道代(現・大楠道代)である。他のレギュラーが小高雄二、谷村昌彦、山田吾一、武藤章生、神戸瓢介など。
ところで、安田道代ってデビューから大映じゃなかったけと思った人もいるかもしれないが、デビューは日活だったのである。大学在学中に日活にスカウトされ、吉永小百合主演の「風と樹と空と」(64年)に出演したのがデビューのように書かれているが、公開はこの「河内ぞろ どけち虫」のほうが先なので、本作がデビュー作といえるのではなかろうか。
で安田道代だが、この翌年には詳細は不明だが知人に勝新太郎を紹介され、勝が安田を気に入り、大映と正式契約を結ぶことになったという経緯のようだ。日活とは正式な契約は結んでいなかったということだろうか。いずれにしろ、日活では前述の4作だけのようなので、貴重な作品といえるかも。
「どけち虫」で主題歌を歌うのは河内音頭の鉄砲光三郎で、本作にも出演している。ちなみに「鉄砲」は本名だ。
三作目の「あばれ凧」には松原智恵子が出演。一人独身だった山内演じる永三と結ばれる役である。特別出演扱いになっているのは個人的には知らなかったのだが不二洋子という人で、女剣劇の草分け的存在である。本作でもそういった役で出演している。一瞬、ポスターに三兄弟とともに写っているセクシーな格好の女が不二洋子なのかと思ったが、当時50才を過ぎていたはずなので違うだろうと。どうやらストリッパー役で出演しているの弓恵子のようだ。いや彼女の顔は知っているが、パッと見わからなかったのである。東宝でデビューし、後に父親(潮万太郎)のいた大映に所属、64年頃にフリーになり、このシリーズが初の日活出演だったようである

源氏物語(日活版)

「源氏物語」の話題が出たところで映画版「源氏物語」について触れてみたい。51年に大映が看板二枚目スター長谷川一夫を光源氏に添えるというのは妥当なキャスティングだったかもしれない。「源氏物語 浮舟」(57年)も長谷川一夫(役は源氏の嫡子である薫の君)、「新源氏物語」(61年)は市川雷蔵というように大映でしか映画化していなかったのだが、66年に日活でも映画化している。
時代劇イメージのない日活で、誰が光源氏を演じたかといえば、花ノ本寿である。誰?という人も多いかもしれないが、日本舞踊花ノ本流の人である。58年に松竹の七人若衆の一人として松本錦四郎、林与一らと売り出された。当時16歳という触れ込みだったが、実は19歳だったと本人が後に語っている。未だにネット上では42年生まれとなっているが、本人のホームページでは昭和14年(39年)生まれになっている。
花ノ本は当時は日活の契約俳優だったらしく、65~67年にかけて「大空に乾杯」「恋のハイウェイ」といった吉永小百合主演映画など10数本の日活作品に出演しているが、花ノ本が主演なのは、この「源氏物語」だけのようである。
本作は花ノ本以外にも、日本舞踊花川流の花川蝶十郎(桐壺帝役)や、狂言師である茂山千之丞(藤原惟光役)、茂山七五三(明石入道役)といった人が出演している。茂山七五三はこの年に茂山千五郎(12世)を襲名し、後に千作(4世)となり、つい先日亡くなった。七五三と書いて「しめ」と読むが、これは本名だったらしい。
他のキャストだが、浅丘ルリ子(紫の上)、芦川いづみ(藤壺)、香月美奈子(葵の上)、八代真矢子(後に真智子、朧月夜)、松井康子(空蝉)、山本陽子(明石女御)、北条きく子(夕顔)といったところ。男優陣でお馴染みといえるのは和田浩治(頭の中将)くらいだろうか。あと、中村孝雄の名が見えるがあの悪役俳優であろうか。テレビでは現代劇、時代劇問わずよく見かけるが、映画への出演はほとんどない。なにより役柄の柏木は頭の中将の息子、当時和田は22歳、中村は29歳である。まあ、メイクとかでどうにでも成るかもしれんが。経緯は不明だが、珍しいキャスティングではある。
あと、当時5歳である西崎緑(みどり)の名も見える。歌手のイメージが強いが、3歳にして初舞台を踏むという、日舞西崎流の宗家である。西崎緑の名はこの5歳時に襲名したものだ。もう一人、本作で朝顔の君を演じた花ノ本以知子という人だが、どうやら現在の花ノ本寿夫人らしい。当時幾つかは不明だが、結婚するのは78年のこと。花ノ本寿は70年代半ばには、役者業を辞め現在は日本舞踊に専念しているようだ。

源氏物語(沢田研二版)

月も変わったし、話題も変えて行こうと思ったのだが、もう一つ沢田研二関連で、「源氏物語」(81年)を。
「悪魔のようなあいつ」で沢田を起用した久世光彦が、今回は光源氏役に沢田を抜擢したのである。シリーズものではなく、1回限りのスペシャルドラマだが、前回の「同棲時代」とは違い、DVDも発売されているようだ。
正直、「源氏物語」については、大ざっぱなことしか知らんし、何度も映画化、ドラマ化されているが、真面目に見たこともない。しかし、光源氏にジュリーというのは非常に良いキャスティングな気はする。
今回、彼と絡む(と思われる)女たちを演じるのは、八千草薫(藤壺)、十朱幸代(葵の上)、いしだあゆみ(夕顔)、藤真利子(女三宮)、風吹ジュン(末摘花)、叶和貴子(若紫)、倍賞美津子(朧月夜)、朝加真由美(空蝉)、渡辺美佐子(六条御息所)といった顔ぶれ。
TBSチャンネルの解説には、光源氏をめぐる8人の女とあったが9人いるので、誰か一人除外されているのだろうか。OPで主なキャストが表示されるが、叶と朝加の名はなかった。この顔ぶれでは仕方のないところだろうか。
それ以外のキャストには、竹脇無我(頭の中将)、植木等(右馬の守)、伴淳三郎(敦賀の翁)、芦田伸介(桐壺帝)、火野正平(藤原惟光)など。現実世界でのプレイボーイ火野正平は沢田の腹心的な役で登場する。
脚本を担当したのは向田邦子。今回のキャストで考えると、八千草、いしだ、風吹は向田原作脚本のNHKドラマ「阿修羅のごとく」(79年)で姉妹を演じていたので、彼女の意向もキャスティングに反映されているのかもしれない。
これ以前の「源氏物語」のテレビドラマはというと、16年ほど遡って65~66年にかけて放映された全26回のシリーズということになる。
詳しいことは不明なのだが、判明しているキャストと役柄を列記しておく。光源氏を演じたのは伊丹十三で、頭の中将に山本学。女性陣は小山明子(藤壺)、丘さとみ(葵の上)、藤村志保(夕顔)、加賀まりこ(女三宮)、冨士真奈美(若紫)、中村玉緒(空蝉)、岸田今日子(六条御息所)、吉村実子(明石の方)といった中々豪華なキャストだったようである。役柄ははっきりしないが、津川雅彦、田村正和、森次浩司、黒柳徹子、本間千代子、池内淳子なんかも出演していたようである

同棲時代(テレビ版)

沢田研二がテレビドラマで初の主役を演じたのは、先日取り上げた「悪魔のようなあいつ」ではなく、単発ドラマとして放送された「同棲時代」(73年)だったのである。「悪魔のようなあいつ」も劇画版の作画は上村一夫が担当していたが、「同棲時代」も上村の原作である。
これについて調べてみると、偶然にもまさについ先日CSのTBSチャンネル2で放送されていたことがわかった。しかも、そのマスターテープは存在しないと思われていたこともあり、今回丁度40年ぶりに陽の目を見ることなった「幻のドラマ」だったのである。当時、放送テープは保存という概念がなく、高価だったこともあり使い回されるのが普通だった。実際このドラマのテープもTBS局内には存在していなかったのである。「新十郎捕物帖 快刀乱麻」(73年)なんかもその顕著な例であろう。
TBSチャンネル2では、今回「幻のドラマ『同棲時代』発見秘話」なる番組まで放送する念の入れようで、その発見エピソードを披露している。要するに、原作マンガの「同棲時代」を出版していた双葉社の資料室に眠っていたのを発見したということのようだ。
同じ年に公開された仲雅美、由美かおるによる映画版に対して、こちらは沢田研二と梶芽衣子という若干アダルトな雰囲気のコンビ。しかも脚本はオリジナルドラマが多く原作付きは珍しいと思われる山田太一が担当している。
「発見秘話」では、梶芽衣子や山田太一、そして発見者である脚本家の中島かずきらのインタビューも紹介されているようだ。
他の出演者だが、仲谷昇、初井言栄、湯原昌幸、研ナオコ、山本コウタロー、市地洋子などで、そして萩原健一が友情出演している。
とまあ、見たような書き方をしているが、現時点ではこのチャンネルには未加入なので見ることはできない。6月にも放送されるようなので、これを機会に現在の標準画質パックからデジタル画質のパックに切り替えようか(TBSチャンネル2が含まれている)。

ザ・タイガースの映画

昔やったと思うのだが、ジュリーの話題になっているところでザ・タイガースの映画についても改めて取り上げてみたい。
「世界はボクらを待っている」「華やかなる招待」(68年)、「ハーイ!ロンドン」(69年)の全3作あるが、2作目から3作目の間にメンバーチェンジがあり、加橋かつみが脱退し、岸部修三(一徳)の弟、シローが加入している。加橋の脱退に際しては渡辺プロ主導による「加橋失踪」という茶番劇が行われ、後に事務所側が謝罪する事態となっている。
シローは歌は加橋に劣らずうまいが、アイドル性は兄貴以上に欠けてるよなあと、若い頃の姿を見ても失礼ながら思うわけである。ちなみに加橋の本名は頭に「た」をつけて、高橋克巳という。トリビアに送ったら面白そうなネタである(司会が高橋克実)。
3作すべてでヒロインを務めたのが久美かおり。映画のためのヒロイン公募で選ばれたように思われているようだが、そうではなくタイガースと同じ渡辺プロ所属の新人歌手である。この68年のレコード大賞で新人賞を受賞したりしている。
元々はスクールメイツの出身で、植木等主演の「日本一の男の中の男」(67年)では、メイツガールズの一人として、平山三紀や白鳥英美子とともに出演していた。
「ハーイ!ロンドン」の後、活動を休止し、結局そのまま引退してしまったので、ファンからの嫌がらせがひどかったのではと噂されたが、本人は引退理由を自分の考える活動の方向性と事務所の考えが違ったからと語り、嫌がらせなどについては一言も言及していなかったという。
久美かおりとともに三作全てに顔を出しているのは小松政夫だけである。
「世界はボクらを待っている」は、ストーリーはおいといてタイガース・オン・ステージ的な構成になっている。他の出演者は天本英世、松本めぐみ、浦島千歌子、高橋厚子、小橋玲子、小沢昭一、そして先代の三遊亭円楽など。
「華やかなる招待」は、五人が高校生という設定で役名もあるのだが、沢田研二は健二、森本太郎はそのまま太郎、岸部おさみは修でここまではわかるが、何故か加橋かつみは忠夫、瞳みのるは浩ということになっている。他の共演者は西村晃、春川ますみ、藤村有弘、牟田悌三、小山ルミなど。
「ハーイ!ロンドン」は、タイトルどおりロンドンへ。久美かおりが劇中で自分のシングル曲「髪がゆれている」を披露している。藤田まことが悪魔の化身、杉本エマが魔女の役で共演している。

炎の肖像

話は沢田研二に戻るのだが、彼がソロになってからの初主演映画をご存知だろうか。「悪魔のようなあいつ」の前年(74年)に公開された「炎の肖像」という作品である。
「太陽を盗んだ男」(79年)などと違い、意外と知られていないような気がするが、DVDとかも出ているし、私が知らなかっただけかもしれない。
「炎の肖像」だが、ドラマ部分と実際のライブシーンが入り混じった形で構成されている。沢田が演じるのは、鈴木一郎ならぬ鈴木二郎というロック歌手で、愛称はジュリー。劇中ではジュリーとしか呼ばれていないけれども(だったと思う)。
普通のアイドル映画とは異なり、ドラマ部分では中山麻里とのベットシーンなどもあったりする。彼女はその後何故か遺体で発見され、妹(原田美枝子)とその友人(秋吉久美子)が彼の元を訪れる。トラックの運転手(地井武男)やケンカ相手(大門正明)らがジュリーに絡み、断片的にドラマ部分は進行していく。
他にも樹木希林(当時・悠木千帆)や朝丘雪路、そしてジュリーの父親役でベテラン佐野周二が登場する。
ライブシーンでジュリーのバックを務めるのは井上堯之バンド。「傷だらけの天使」や「太陽にほえろ」など、萩原健一が出演したドラマの音楽担当というイメージが強いが、80年ごろまでは、沢田研二のバックとしても活動していた。
劇中、ジュリーが彼らを一人ひとり紹介する場面もある。当時のメンバーは井上堯之(ギター)、大野克夫(キーボード)、岸部一徳(当時おさみ、ベース)、速水清司(ギター)、田中清司(ドラムス)。スパイダース出身の井上、大野と他のメンバーの間には年齢の開きがある。速水は最年少で森本太郎とスーパースターの出身、田中はジャニーズのバックバンドだったという。彼らの演奏映像はかなり貴重なものようで、特に岸部は翌年には俳優に転向するため脱退してしまうので、見納め映像だったといえよう。ちなみに、一徳という名は樹木希林の発案だったという。なんで、似合とは思えないサリーという愛称だったのかというと、岸部が長身だったので「ロング・トール・サリー」という曲に引っ掛けてのものだったらしい。
終盤の「ヘイ!ジュリー、ロックンロール・サーカス」というライブの映像では内田裕也との共演を見ることもできる。

面白いかどうかは別として、貴重な映像が見られる作品という印象である。

スター誕生

まだ阿久悠の話は続くのだが、やはり彼が関わった最大の番組といえば、「スター誕生」(71~83年)ということになるだろうか。
あまり熱心に見ていたわけではないが、日曜の午前中だったし、見ることは多かったかもしれない。記憶にあるのは萩本欽一が司会を務めていた時代(71~80年)だけで、後の三年は毎年司会が代わっていたとは知らなかった。
2代目が岩谷隆広こと谷隼人とタモリだったのは、何となく知っていたが、3代目の坂本九と石野真子、4代目の横山やすし・西川きよし時代は全く見た記憶はない。まあこの辺は受験だの何だのがあったからなのだが。
この番組の決戦大会で、スカウトマンのプラカードが一番上がったのは桜田淳子の25社だったそうだが、最大のヒット歌手といえばピンク・レディーということになるだろうか。
阿久悠によれば、彼女らの評価は決して高かったわけではなく、決戦大会(第16回)での大本命は意外といっては何だが清水由貴子だったという。清水由貴子には14社の支持があったが、ピンク・レディー(この時はクッキー名義である)には、2社だけだったと阿久は語っている。ネット上では8社の支持があったことになっているが、どちらが正解なのだろうか。
この中の一人がビクターの元歌手でもある飯田久彦だったのだが、社命(清水)を無視したものだったらしい。
応募者は中学生が主流だったため、既に高3だった二人はかなり大人に見えたという。実はこれ以前に「君こそ、スターだ!」に出場し不合格になっており、その理由がプロッぽいとか初々しさに欠けるといったものだったため、アマチュアっぽく見える衣装(サロペット)にして、歌もフォークソングを選ぶという作戦をたてて挑んできたのであった。
デビュー曲はB面予定だった「乾杯!お嬢さん」をビクターサイドが押していたのを阿久と飯田が「ペッパー警部」でなければだめだと突っぱね、あの振り付けも審査員でもあった松田敏江らが怒ったというが、振付師だった土居甫が突っぱねという。ふたを開ければ大ヒットで、その後のピンク・レディー旋風は凄まじいものがあった。
その七ヵ月後にデビューすることになったのが清水由貴子であった。遅れをとったわけではなく、万全の準備を整えるため、新人賞レースに有利になるよう決まっていたことだったのである。しかし、ピンクレディーブームの中では地味な存在に見えたこともあり、デビュー曲「お元気ですか」はオリコン30位が最高であった。個人的にもこの人の歌はこれしか知らない。阿久は結果論ではあるが、ピンク・レディーよりも先にデビューしていれば、違った結果になっていたはずだと述べている。
その後もこれといったヒットに恵まれることはなかったが、失敗だったわけではない。徐々にタレント、女優へとシフトしていき、それなりに成功を収めたといえようか。しかし、09年に自殺、49歳であった。介護うつだったと言われている。

悪魔のようなあいつ その2

前回の続きである。「悪魔のようなあいつ」には、前項で挙げた以外にも俳優としての出演が珍しい面々がいる。
バーのマダム役である那智わたるは宝塚歌劇団出身の女優。当時30代後半だと思われるが、ドラマや映画への出演は少ない。時期は不明だが、引退して専業主婦になったとのこと。このドラマの翌年(76年)以降の出演記録がないので、この頃引退してしまったのかもしれない。
「また逢う日まで」の尾崎紀世彦もここではチンピラ役。ドラマ出演は初めてではないだろうか。中々の熱演を見せている。
やはり、チンピラヤクザ役の岸部修三。沢田研二とはタイガース、PYGと活動を共にし、当時はこのドラマの劇伴を担当する井上堯之バンドのベーシストでもあった。これをきっかけに役者へ転向し、岸部一徳と改名し今に至るのである。
バーのボーイ役が元ゴールデンカップスのデイブ平尾。彼もこれが初の本格的ドラマ出演だったかもしれない。
あと、元テンプターズ、PYGの大口広司も一回のみだが出演。これで、萩原健一を除くPYGのメンバー(沢田、井上、大野、岸部、大口)がこのドラマに関わっていたことになる。
デビューまもない長谷直美も登場。本格的に売れ出すのは翌年からでロングヘアーの彼女が見れるという意味で貴重である。
もちろん、若手ばかりではなくベテラン勢もいる。伊東四朗はヤクザ役で登場するが殺されてしまうんである。樹木希林(当時・悠木千帆)はシリアスなドラマの中で特に役名のないコミカルな看護婦を演じる。そして、若山富三郎。三億円犯人つまり沢田を執拗に追う刑事を演じる。
このドラマ全17回という半端な話数だが、視聴率は期待されたほどではなく、予定より短縮されたのである。現実の三億円事件の時効に合わせてカウントダウンされていたが、後75日というまだ間がある時点で終了となってしまっている。
これ以降はネタバレになるが、14話あたりから急展開というか、レギュラーがどんどん死に始めるのである。谷口世津の代役だった関根世津子の死を皮切りに、細川俊之(藤竜也に殺られる)、篠ヒロコ(自殺)、尾崎紀世彦は死には至らなかったが沢田に刺されて退場という状態で最終回を迎える。
荒木一郎が安田道代のお腹の中の子が沢田の子と聞いて、思わず彼女を殺害。沢田も大した理由もなく那智わたるとデイブ平尾を射殺、ダイナマイトを巻きつけて現れた荒木を爆殺(ほとんど自殺だが)、札束に火をつけようとした藤を射殺と一気に殺しまくるんである。三木聖子が沢田に駆け寄ったタイミングで警官隊は発砲し彼女は死亡。そして、沢田も最後は若山に射殺されるのである。
というように、若山を除いてメインキャストはほぼ全員死亡というすごい結果が待っているのだ。打ち切りが決まり、急遽物語に決着をつけたという感いなめないが、予定通りでも結果はあまり変わらなかったような気がする。

悪魔のようなあいつ

阿久悠が原作のドラマといえば「悪魔のようなあいつ」(75年)が知られている。
沢田研二と仕事がしてみたいと、阿久は密かに思っていたところ、TBSの大物プロデューサーである久世光彦が、沢田主演のドラマを作りたいのでストーリーを考えてくれと依頼され、当然のごとく快諾した。企画を考えるにあたり、二人は箱根湯本の旅館で三日間にわたり話し合ったという。
そこで、彼が三億円事件の犯人だったらという設定が考えられ、まずは阿久が上村一夫と組んで「ヤングレディ」に劇画の連載を開始した。
ドラマの主題歌となる「時の過ぎ行くままに」も作詞は当然のごとく阿久が担当したが、作曲について久世は、都倉俊一、元ブルーコメッツの井上忠夫(大輔)、ワイルドワンズの加瀬邦彦、元スパイダースの大野克夫と井上堯之、そして荒木一郎という名だたる6人に依頼したのである。その中から久世が選択したのは大野克夫の曲であった。以降、阿久と大野のコンビで沢田の数々のヒット曲を生み出すことになっていく。
沢田とはPYGで一緒に活動した大野と井上堯之はドラマの音楽も担当、荒木は役者として出演する。
ドラマの方は、劇画とさほど間をおかずスタートしたため、7話あたりで追い越してしまい、ドラマと原作の展開は違ったものになっている。ドラマの脚本は後に沢田主演の映画「太陽を盗んだ男」を監督することになる長谷川和彦が担当した。
血なま臭く暴力的な描写も多く、70年代だからできたドラマだといえるのではないだろうか。
出演者も藤竜也、細川俊之、安田道代(大楠道代)、篠ヒロコ(ひろ子)、荒木一郎という当時は暗いイメージの強かった俳優が並んでいる。沢田や荒木は暴力事件を起こしたり(沢田は放送終了直後だが)、藤と篠は「時間ですよ」、細川と安田は「時間ですよ昭和元年」という明るいドラマの中で、それぞれ暗い影のあるカップルを演じていた。篠ひろ子は後に明るいイメージに変わっていくが、70年代は暗い役が多かったんである。
沢田の妹役はアイドル歌手の三木聖子。後に石川ひとみでヒットする「まちぶせ」を最初に歌った人として知られる。二年あまりで引退してしまったが、印象に残る仕事をしている。
もう一人のアイドルが「時間ですよ昭和元年」でデビューした谷口世津。浅田美代子以上にヘタな歌が印象に残っているが、このドラマでは裸になるシーンがあるということがわかると、それを拒否して降板してしまったのである。年頃の娘(当時17歳)としては仕方のないことだったが、それをきっかけに消えていったという感がある。正確には細々と活動はしていたようで、82年には降板の原因となったヌードを「スコラ」で披露しているのである。87年のドラマまでは出演記録がある。
谷口の代役となったのが関根世津子。同じ「世津」という字を使うが谷口が改名したわけではない。結構、いろんなドラマに顔をだしていた美人女優だったと記憶している。

ズー・ニー・ヴーとザ・キャラクターズ

阿久悠の話が続くのだが、今回は当ブログのテーマである映画やテレビとは、ほぼ関係ない話である。
ザ・モップスの「朝まで待てない」から、約2年くらい阿久には作詞家としてのヒット曲はなかったのだが、69年久々のヒットとなったのがズー・ニー・ヴーの「白いサンゴ礁」とザ・キャラクターズの「港町シャンソン」であった。
「白いサンゴ礁」は非常に有名な歌であると思うが、当初は「涙のオルガン」のB面だったのである。作曲は「朝まで待てない」と同じ村井邦彦。ズー・ニー・ヴーは成城大、明大、立大ばどの大学生6人組で、ボーカルの町田義人は後にソロ歌手として有名になっていく。
彼らの4枚目のシングル「ひとりの悲しみ」がどんな曲だったか知っている人は少ないと思われるが、聞けば誰もが知っている曲なのだ。この詞を全部書きかえて、尾崎紀世彦に歌わせて大ヒットしたのが「また逢う日まで」なのである。「ひとりの悲しみ」は捨てがたいという関係者が阿久に再度、作詞を依頼してきたのであった。筒美京平の曲はアレンジも含めてほぼ一緒で、町田のボーカルも素晴らしいのに、片や大ヒット、片や埋もれた曲になっているのは不思議である。
映画「野良猫ロック・マシンアニマル」(70年)で、ズー・ニー・ヴーがこの「ひとりの悲しみ」を演奏し歌うシーンがある。ちなみに、筒美京平の曲は「ひとりの悲しみ」の前にCMソングとして書かれ、ボツになったものだそうである。
「港町シャンソン」は探して聞いてみたが、聞き覚えのない歌で、サ・キャラクターズのことも知らなかった。男五人、女一人の6人組で紅一点の仲純子(という人らしい)とリーダー原田信夫がリードボーカルを務めるコーラスグループということになるのだろうか。仲純子は宝塚出身で、那賀みつるという名だったそうである。元々は原田信夫とファイブ・キャラクターズという名の歌って踊れるグループということだったそうだが、レコードデビューに際してザ・キャラクターズとなったらしい。
彼らには「白い羽根の勇士」というシングルがあるのだが、これはピンクレディーの「UFO」の元歌として一部に知られている。作曲は都倉俊一で微妙に違ってはいるが基本はほぼ一緒である。「UFO」の作詞は阿久だが、こちらの作詞はなかにし礼だ。この曲では、メンバー構成が女二人、男四人に変わっている。
もう一つ、「いろは恋歌」というシングルのB面に「好き好き好き」という曲が収録されているが、この作曲者は当時15歳だったという谷山浩子である。この曲では、メンバー構成が女一人、男四人となっている。