お宝映画・番組私的見聞録 -122ページ目

まぼろし探偵 恐怖の宇宙人/幽霊塔の大魔術団

さて新東宝の映画版「まぼろし探偵」は三作存在するので、残りの二作についても触れておきたいと思う。もっとも、五年程前に一度取り上げており、ネタかぶりになってしまうのだが流れ上勘弁していただきたい。
映画版2作目である「恐怖の宇宙人」は前作から9ヶ月たった60年11月に、3作目である「幽霊塔の大魔術団」は翌12月に公開されている。この12月に大蔵貢は新東宝社長を退陣しており、製作(富士映画)は長男の大蔵満彦の名になっている。
テレビシリーズは既に放送を終了し、吉永小百合も日活の人となっており、キャストは総入れ替えとなり主演は中岡慎太郎となっている。幕末の志士と同じ名前だが、本名なのか肖った芸名なのかは不明であり、当時いくつだったのかも不明である。見た目だと二十歳は越えていたような気がする。
富士警部役は沼田曜一、その妻に宮田文子、黒星十郎役は鮎川浩、山部デスク役は宇津井健(特別出演扱い)となっている。沼田曜一は悪党にしか見えない顔立ちで、新東宝では主演格だったのが不思議に感じる。進少年の父という設定上、宇津井健では若すぎるし仕方ないところか。鮎川浩はピッタリの役だが、この人は知名度は低い気がする。宮田文子は宇津井と俳優座の同期生である。
「恐怖の宇宙人」の他の出演者は星輝美、三田泰子、御木本伸介、林寛など。
「幽霊塔の大魔術団」の他の出演者は三条魔子、沢井三郎、ユセフ・トルコ、西朱実などで、実写版「鉄腕アトム」の瀬川雅人も出演している。ポスターに写っている少女は宇津井の娘役である梶山純子。「シークレットフェイス」としてデビューした(させられた)三条魔子だが、本作では三条麗子となっている資料も多数ある。これはポスターの字が小さいとバックの色のせいか「麗子」に見えるからではないだろうか(よく見ると「魔子」である)。
さて、主演の中岡慎太郎だが、新東宝解散後に発足したNAC(後の国際放映)の第1回作品である「影の地帯」に出演している。他の出演者は根上淳、西村晃、小山明子、細川俊夫など。他にも「若い炎」(62年)、「海の野郎ども」(63年)といった連続ドラマにも主役級で出演している。
「若い炎」の他の出演者は竹田公彦、上田美由紀、溝口幸二など。
「海の野郎ども」の他の出演者は名和宏、上杉高也、新宮寺寛、そして「天馬天兵」を演じた富士八郎(倉木麻衣の父・山前五十洋)などである。
60年代後半になると「昔三九郎」「無用ノ介」「女殺し屋花笠お竜」といった時代劇のゲストでその名を見かけるが、確認できるのは「花笠お竜」までである。

まぼろし探偵 地底人襲来

新東宝作品に吉永小百合が出演していると言ったら、驚く人がいるかもしれないが、実はあるのだ。それも大蔵貢時代に。
その作品とは「まぼろし探偵・地底人襲来」(60年)である。吉永小百合が出演していたテレビシリーズ「まぼろし探偵」を新東宝(製作は三東映画・竜映)で映画化したものである。
彼女や藤田弓子が子役時代に「まぼろし探偵」に出演していたことは有名だが、その映画版にも出演していたのである。しかもテレビ版そのままなのは、主演の富士進少年役の加藤弘のほかは、吉永小百合(吉野さくら)、藤田弓子(給仕みち子)、花咲一平(黒星十郎)だけである。他は映画版オリジナルキャストであり、富士警部役の大平透(10話までは天草四郎)は二本柳寛に変更されており、他にも船山裕二、汐見洋、三田泰子、水原久美子などが出演している。ちなみにスタッフは、監督の近藤竜太郎、脚本の柳川創造などはテレビ版と一緒である。
映画版での吉永小百合の扱いは大きくはない。目立つ美少女ではあるが当時は中学3年生。やはり彼女の人気が沸騰するのは、日活映画で活躍してからであろう。その登場は本作の3ヵ月後からである。彼女の映画デビュー作は松竹の「朝を呼ぶ口笛」(59年)という新聞少年を描いた作品だが、その新聞少年を演じたのが、やはり映画初出演だった加藤弘である。
長らくその行方は不明だったが、「60年代蘇る昭和特撮ヒーロー」というムック本でその元気な姿を見せている。本人談では、当時は国学院久我山高に通う高校生だったが、芝居好きの父親に強引に劇団こまどり入れられたという。その当日に大船に行かされ、オーディションを受け、映画への出演が決まったのだという。「まぼろし探偵」のオーディションを受けたのは、吉永の母の薦めだったという。吉永の母は加藤のことを気に入り、「まぼろし」終了後も東映映画を紹介してくれたというが、進学を考え、役者で食べていくことに不安を感じていた加藤はその話を断ったという。
加藤は「まぼろし探偵」のみで姿を消してしまった印象が強いが、完全引退はしておらず、ラジオドラマなどには出演していた。以前ここでも紹介したが手塚治虫の「魔神ガロン」実写版のパイロット版にも出演していたが、本放送には至らなかった。彼が完全に引退した65年のことだったという。
本作は60年2月の公開だが、テレビ版の放送は60年3月までであり、人気のピークは過ぎていたのかもしれない。もっともラジオドラマ版というのもあり、こちらは10月まで放送されていた。大平透はこちらにも出演していた。ちなみに当時は30歳なったばかりであり、貫禄はあったが、加藤のような大きな子供のいる年齢ではなかったのである。

新東宝倒産

大蔵貢が新東宝社長の職を辞したのが、60年の12月1日。退陣の決め手は以前の脱税容疑が、起訴猶予として再調査もありうるという東京地検の意向を組合幹部が大蔵に告げたからだとされている。
新しく社長に就任したのは専務だった山梨稔である。しかし、翌61年3月には白旗を揚げ退社。ちなみに、64年から東映動画の社長に就任している。その後を継いだのが安倍晋三ならぬ安部鹿蔵という人物だったが、最早焼け石に水で5月には映画制作を打ち切り8月をもって倒産ということになる。
ここから先は本ブログでも書いたことがあるし有名な話でもあるが、配給会社の大宝、製作会社としてNAC、そして清算会社として新東宝という三つの組織となったのである。しかし大宝は6つの作品を配給したのみで、62年1月には業務を停止している。
6つの中の1つに「黒い傷あとのブルース」という作品があるが、これは日活との競作となっている。つまり、同じタイトルの映画が2本同時期に公開されたのである。
日活側の主演が小林旭、吉永小百合、共演が大坂志郎、そして神山繁、稲葉義男の「ザ・ガードマン」コンビ。タイトル同名の主題歌を旭が歌う。
大宝側の主演が牧真史、島崎雪子。牧真史は日活ニューフェース1期生の牧真介と同一人物である。1期生の中では宍戸錠よりもずっと順調でありながら、59年頃には日活を退社している。翌62年正月公開の大宝配給「波止場で悪魔が笑うとき」の主演も牧であるが、それを最後に俳優を引退したと思われる。
あと、新東宝で制作されながら、他社で公開された作品もある。公開が間に合わなかったのかお蔵入り状態だったのかは不明だが、日活で公開されたのが「俺が裁くんだ」(62年)。出演は松原緑郎(光二)、星輝美、天知茂、三原葉子、細川俊夫など。
東宝で公開されたのが「大笑い次郎長一家 三ン下二挺拳銃」(62年)。主演は平凡太郎、谷村昌彦、小桜京子に加え、トニー谷、泉和助、柳家金後楼、林家珍平などが出演。新東宝の俳優としては伊達正三郎、菅原文太、西朱実らの名がある。
大映で公開されたのが「嫉妬」(62年)。新東宝では「疑惑の断崖」というタイトルで制作されていた。大映に移籍した宇津井健が主演だが、新東宝時代の作品である。他に大空真弓、万里昌代、高宮敬二、沼田曜一など。同じく大映で公開されたのが「悲しみはいつも母に」(62年)。本作は「愚連隊」のタイトルで制作途中であったが、企画した柴田万三のしばたプロで完成された。主演は望月優子、大空真弓、山田幸男、西朱実など。

まぼろしの新東映

宇津井健から新東宝の話題が出てきたところで、今回も新東宝関連の話題を継続させたいと思う。
最近「新東宝・大蔵 怪奇とエロスの映画史」という本が出たのだが、そこからのネタである。
新東宝の経営悪化は60年になると、より顕著になり、毎月平均3000万円の赤字で負債は膨らむ一方だったという。この年の新東宝の配収合計は日活の石原裕次郎が一人で(主演作9本)稼いだ15億円にも及ばないという状況であった。
この頃の新東宝の得意技が旧作を改題して再映するという方式。たとえば、前項でも話題に出た宇津井健の映画デビュー作である「思春の泉」は「女体の泉」になったりする。ポスターもヒロイン役の左幸子の胸の谷間が大きく覗いているものになったりしている。また、香川京子、池内淳子が出演した「何故彼女等はそうなったか」は「転落の十代娘」に改題。しかも、キャッチコピーに「泥沼に悶える白い肢体」などと付け加え、観客を期待させてしまうものになっているが、実際にはエロ要素などない作品である。
話は戻るが、切羽詰まった新東宝は他社との合併を画策し、脈があったのが東映であった。この60年にスタートさせた第二東映(ニュー東映)の強化を目指していたからである。実際に「新東宝、東映の翼下へ、今月中に実現の見通し」という見出しが新聞に載ったりもしている。
新東宝は現代劇を、第二東映は時代劇を各々年間50本製作、二本立てで配給するという、具体的な話も進み、遅くとも61年の1月には「新東映」の誕生が見込まれていた。しかし、この話は御破算になってしまう。
その原因だが、東映が大蔵貢(新東宝社長)に用意していたポストは会長であった。大蔵はそれが不満で社長の肩書きに固執したのである。両者の話がまとまりかけても調印に至らなかったのは大蔵がポスト問題を何度も蒸し返したからだと言われている。
大蔵は日活の堀久作に仲介役を依頼するが、これが露見し、東映サイドは第三者を巻き込むとは何事かと交渉打ち切りを発表したのである。こうして新東映は幻に終わったのである。
大蔵は「どうして破談になったか、さっぱり見当がつかない」などというコメントを残しているという。
結局、61年に新東宝は倒産、第二東映(ニュー東映)もこの年限りで廃止されるに至ったのである。

前回の補足と俳優座養成所の話

前回で書き忘れたが、第8部より日本人名として「大賀一平」を名乗るようになっている。それまでは、スーパージャイアンツのおじさんであった。月光仮面もそうだが、当時は演じている人間(宇津井健、大瀬康一)が二十代でも「おじさん」と呼ばれてしまうのである。
この第8部「悪魔の化身」(59年)で、スーパージャイアンツと戦う「魔女」を演じているのは宮田文子。宇津井健と同じ俳優座養成所の4期生だそうである。
この4期生には以前も書いたとおり、仲代達矢、中谷一郎、佐藤允、佐藤慶などがいたが、他にも東宝の脇役として活躍した桐野洋雄もその一人である。
俳優座養成所1期生である阿部寿美子が、インタビューでその2期生、3期生の名をずらりと挙げている。2期生には、高橋昌也、井上昭文、菅原謙二、佐藤英夫、城所英夫、和田孝、佐竹明夫、土屋嘉男、国方伝、島崎雪子、宮崎恭子、小林トシ子などを挙げているが、それ以外にも滝田裕介、小林昭二、武内亨、横森久などもいる。これで気づいたのは、菅原、佐藤、城所と「七人の刑事」のうちの三人が揃っていること。ほぼ同年齢なのは知っていたが、菅原は大映のスターになり、佐藤はテレビでの人気者になったりと経緯が違うので気がつかなかった。あと阿部寿美子は、国方伝のことは本名(道三重道)でも覚えていた。ただ読み方だが阿部は道三(ミチサン)までが苗字と言っているが、「日本映画人改名・別称事典」では道(ミチ)が苗字で三重道(ミエミチ)を名前としている。どちらが正しいのだろうか。ちなみに道も道三も珍しいがちゃんと存在する苗字である。
3期生では愛川欽也、安井昌二、渥美国泰、穂積隆信、江幡高志、黒沢良、小田切みき、渡辺美佐子、楠侑子などを挙げている。
話は変わるが、宇津井健のデビュー映画は「思春の泉」(53年)だが、彼が抜擢された理由は大学で馬術部だったのが決め手になったという。本作は俳優座ユニット出演作品だが、主人公は馬に乗れることが条件だったため、彼に白羽の矢がたち、スターダムへと昇っていくきっかけとなったのである。

鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)

宇津井健といえば、やはり「スーパージャイアンツ」だ、という人も多いかもしれないので、昔やったはずなのだが、改めて取り上げてみたい。
「鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)」シリーズ(57~59年)は全9作あり、新東宝では最長のシリーズだったりする。しかも「日本初の特撮スーパーヒーローもの映画」という称号を持っていたりもするのだ。
そもそもスーパージャイアンツとは、地球の核実験をやめさせるためにエメラルド遊星から送られた平和の使者なのである。途中からその設定はどうでもよくなったかのようにシリーズは進んでいく。
主演の宇津井健はこれが2作目の主演作ということで、このシリーズで彼はスターの仲間入りをしたといえる。1~6作目までの監督は石井輝男だが、後のことを考えると宇津井と石井というのはかなりミスマッチな取り合わせといえる気がする。
第1作「鋼鉄の巨人」、第2作「続鋼鉄の巨人」(57年)の前後編は、共演に池内淳子、中山昭二、御木本伸介、鮎川浩、高田稔と、それなりに気合の入ったメンバーである。
第3作「怪星人の魔城」、第4作「地球滅亡寸前」(57年)の前後編はカビア星人なる宇宙人が登場。共演に後に日活で杉江弘として活躍する杉山弘太郎、後に伊達正三郎となる館正三郎など。
第5作「人工衛星と人類の破滅」(57年)、第6作「宇宙艇と人工衛星の激突」(58年)は年を跨いだ前後偏。ヒロインとして三ツ矢歌子が登場。他に浅見比呂志、当時の作品でその名をよく見かけるジャック・アルテンバイ、エンベル・アルテンバイなど。
第7作「宇宙怪人出現」(59年)、監督は三輪彰にチェンジ。ヒロイン役の田原知佐子は後に原知佐子として活躍するが、新東宝時代は目だっていない。
第8作は前作から1年近く開いて「続スーパージャイアンツ 悪魔の化身」(59年)となり、頭に「続」がつき、制作も富士映画、監督も赤坂長義となっている。ヒロイン役は普段は脇役の瀬戸麗子。
最終作はその翌月の「続スーパージャイアンツ 毒蛾王国」(59年)。ヒロイン役は星輝美で、他に御木本伸介、プロレスラーのユセフ・トルコなどが出演している。
脚本は全作・宮川一郎。あの「水戸黄門」の第1部1話を担当したりしている由緒ある脚本家だが、本シリーズではつっこみどころ満載、かなり破天荒なものになっている。

シークレット部隊 その2

前回に引き続き「シークレット部隊」(72年)である。今回はゲストに目を向けてみたい。
まず、宇津井健との俳優座同期共演だが、「ザ・ガードマン」には出演していなかった(と思われる)佐藤允が11話にゲスト出演している。ちなみに佐藤は宇津井の映画デビュー作である「思春の泉」(53年)では、村の若い衆の一人として出演していた。
続いて2回ほど前に紹介した「検事」(61~63年)共演だが、16話に小山明子、23話に佐竹明夫、25話に園井啓介がそれぞれ顔を出している。脱税事件で芸能界を去った園井だが、ほぼラストに近いテレビ出演である。
「ザ・ガードマン」が終了した理由に1つには、大映の倒産というのがあるが、日活も同じ71年に一般向け映画製作を停止し、ロマンポルノ路線へと転向している。その影響もあってか、かつての日活俳優が本作には多く顔を出している。
「ガードマン」にも出演した宍戸錠をはじめ、弟の郷鍈治や 、中尾彬、岡田真澄、浜田光夫、藤竜也、川地民夫といった面々である。東宝で活躍していた黒沢年男も第6話にゲスト出演している。
そして大映映画の末期に活躍した峰岸徹(当時は隆之介)、夏純子、関根恵子、渥美マリらの名も見える。渥美は大映等産後は3つの芸名を使い分けていたというが、本作の7話では渥美まり恵、17話では渥美マリの名でそれぞれゲスト出演したようである。
「シークレット部隊」は「ガードマン」のように長寿番組になることはなく、半年で幕を閉じている。
レギュラー人では、中条が94年に亡くなった後、北村和夫が07年に、そして08年にはもっとも若手だった川口厚が57歳の若さで亡くなっている。
川口厚は俳優として活動した期間は短く、78年には表舞台を退いている。同学年でもあった三浦友和とは仲がよく、同じ事務所に所属し、川口が三浦のマネージャーを勤めた時期もあったようである。その葬儀に三浦友和は妻の三浦(山口)百恵を伴って現れた。ちなみに川口は百恵とも「赤い疑惑」での共演があった。彼女が公の場に姿を現したのは久しぶりのことだったが、すっかり普通のおばさんになってしまった、ということが話題になったりしていた。

シークレット部隊

今回もだいぶ以前に取り上げたネタだが、「ザ・ガードマン」の後番組といえば「シークレット部隊」(72年)である。いや正確にいえば、ガードマン終了から3ヶ月後であり、緒方拳が主演の「24時間の男」が間に挟まれている。
本作では、警備会社から保険調査機関ブレーンリサーチが舞台となる。同時期にやっていた「プレイガール」も、その身分はやはり保険調査員なのだが。
主演にはもちろん宇津井健(当時41歳=キャプテン大和)で、藤巻潤(当時36歳=関チェックマン)、津川雅彦(当時32歳=赤城チェックマン)、目黒祐樹(当時25歳=秋田チェックマン)、大門正明(当時23歳=東チェックマン)、川口厚(当時20歳=三吉チェックマン)、三浦友和(当時20歳=見習いチェックマン念蔵)、中条静夫(当時46歳=経理マン飛田)、北村和夫(当時45歳=社長)までがレギュラーメンバーであり、他に神山繁(新聞記者黛)、稲葉義男(藤井部長刑事)、倉石功(叶刑事)がセミレギュラー(いずれも登場回数は少ない)として登場、つまり川津祐介以外のガードマンレギュラーは全員出演しているのである。中条演じる飛田は経理担当だが、たまに他のチェックマンと同様に調査活動をすることもある。川口演じる三吉は「みよし」と読み、通称が「さんきち」である。三浦演じる念蔵は苗字は不明だが、次番組である「燃える兄弟」では、宇津井の役名が大和孝、三浦の役名は実相寺念蔵だったので、「実相寺」が設定上の苗字だったのかもしれない。
新レギュラーメンバーだが、津川雅彦はデビィ夫人との不倫騒動で仕事が激減し、「必殺シリーズ」で悪役を演じるようになっていた転換期のころである。「ザ・ガードマン」でも終盤にはよくゲスト出演していた。目黒祐樹は子役を一度引退し、70年ころから活動を再開していたころで、クレジット順では津川より上の扱いになっている。大門正明は前年に映画デビューしたばかりの注目株で、川口厚も前年にデビューしたばかりで川口4兄弟の末弟として注目されていた。三浦はこの番組がデビュー作であり、旧ガードマンのメンバー以外はかなりフレッシュな顔ぶれだったといえる。
割合有名な話かもしれないが、第1話では萩本欽一が芸能生活唯一という悪役でゲスト出演。セリフは多くはないが保険金詐欺犯の役で、三浦友和を襲撃したりする。このシーンは萩本がレギュラー、三浦がゲスト回の「ぴったしカンカン」でも放送された。この回のゲストは他にも有島一郎、岡田真澄、ジュディ・オング、中尾彬、岸部シロー、井上孝雄、厚の兄である川口恒など気合の入ったものであった。

検事

宇津井健、初の連続テレビドラマレギュラー作品は「検事」(61~63年)である。弁護士が主人公のドラマというのは、今でもよく見かけるが、検事ものは意外と少ないような気がする。
「検事」については、自分も見たことがなく、資料もほとんどなくネット上での情報をつなぎ合わせるしかなかったのだが、簡単にいえば五人の若き検事が主役のドラマで、宇津井健(石丸)、小山明子(海野)、佐竹明夫(柳沢)、園井啓介(西河原)、高津住男(山梨)がそれぞれを演じている。彼らの上に河村弘二演じる検事正がいたようである。宇津井の役名はフルネームでは石丸謙二郎というらしいのだが、現在「世界の車窓から」のナレーターなどでも知られる役者と同姓同名である。石丸は53年生まれで、しかも本名らしいので、この番組から付けられた芸名、本名ではないのである。資料が間違っていなければ、偶然の一致ということになる。
番組スタートは61年5月。これは宇津井が所属していた新東宝が映画製作を停止した時期と一致する。大映の俳優としてスクリーンに登場するのは、同年の11月からである。
小山明子はこの前年に大島渚と結婚し、松竹を退社。フリーになっていた時期である。「ザ・ガードマン」にも一度ゲスト出演している。
五人の中では最年長だった佐竹明夫。映画監督の谷口千吉にスカウトされて俳優生活をスタート。その後に俳優座養成所に入所している。2期生なので、宇津井の2期先輩ということになる。同期は小林昭二、土屋嘉男、滝田裕介など。「ザ・ガードマン」にも数回ゲスト出演している。09年に83歳で亡くなっている。
園井啓介は当時「事件記者」や「七人の刑事」の前身である「刑事物語」にも出演する傍ら映画にも出演しており、とにかく売れっ子であった。脱税事件で芸能界から姿を消したのは有名である。
高津住男は当時デビューしたばかりの新人であった。妻は真屋順子で、脳出血で倒れた彼女を介護していたが、自らの方が10年に74歳で先に亡くなっている。
人気のあった「検事」であったが、主役の宇津井が63年1月に降板。これは所属していた大映(というより社長である永田雅一)の圧力だったという。その月に大映作品「黒の報告書」が公開され、宇津井が主人公である検事を演じている。ちなみに本作には神山繁、中条静夫も出演している。宇津井はその後も「検事霧島三郎」(64年)でも、主人公の霧島検事を演じるなど大映側がテレビでの人気に肖ろうとしていたといえる。
宇津井が抜けた後の「検事」には、杉浦直樹が新加入したようだが、それから半年足らずで番組は終了している。

ザ・ガードマン その2

昨夜のうちに更新する予定が寝てしまったので、1日遅れてしまった。今回も改めて「ザ・ガードマン」を振り返ってみたい。
宇津井健は俳優座養成所の4期生だが、ゲストに目を向けて見ると、その同期だった中谷一郎が第3話に、佐藤慶が第5話とかなり早い段階で出演している。ちなみに、やはり同期だった仲代達矢や佐藤允は出演していないようである。
あと宇津井健といえば、新東宝の出身だが本作にも、新東宝時代の同僚だった沼田曜一、御木本伸介、江見俊太郎、細川俊之、浅見比呂志、万里雅代、原知佐子、吉田輝雄、天知茂といった面々も出演している。
さて、もっとも多くゲスト出演した役者は誰か?正解は…と言いたいところだが、正確な資料もないので正直わからないのである。ただ、かなりの頻度で出演しているなと感じられるのは、今井健二、南原宏治、成田三樹夫、上野山功一、田口計、戸浦六宏、藤木孝、西沢利明、大辻伺郎、北原義郎、長谷川哲夫、ジェリー藤尾、加藤和夫といった面々である。他のアクション番組や時代劇でもお馴染みといえる顔ぶれだ。名古屋章は榊(神山繁)がガードマンに転職した後を継ぐ形で刑事役として数回登場した。番組末期では津川雅彦の出演が目立っており、後番組である「シークレット部隊」への出演につながったのかもしれない。女優陣では中原早苗、緑魔子、赤座美代子、稲野和子、真山知子、山東昭子、夏圭子といったところではないだろうか。中原早苗の夫といえば深作欣二だが、第326話「年上妻の華やかな犯罪」の監督は深作で、東映に籍があったこともあり本作ではこれ1本と思われる。
逆にガードマンには出演したことがあるというイメージはないのが、山崎努、田村高広、宍戸錠、田中邦衛、中村敦夫、山口崇、千秋実といったところではないだろうか。山崎努はカサブランカ、アムステルダム、モロッコといった海外編に登場。田村高広もパリ→スイスという海外前後編に登場している。千秋実とレギュラーの稲葉義男といえば、「七人の侍」の平八と五郎兵衛だ。宇津井健も町を歩く浪人として仲代達矢とともに出演していた。
70年には、285話に美空ひばり、287話に江利チエミ、289話にミヤコ蝶々が相次いで出演。サブタイにはそれぞれ「ひばりの…」「チエミの…」「蝶々の…」とついていた。
ちなみに、349~350の最終2話のゲストは池部良、関根(高橋)恵子に加え、今井健二、長谷川哲夫の常連そして川口恒、入川保則らであった。