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「その28「マユ⑦」」からの続きです。
紆余曲折ありましたが、私の元へ戻ってきたマユ。
北海道に行っている間、メール以外の連絡手段をお預けされていた私は、日増しに彼女への想いを募らせていきました。この時期に元カレと会う事によって、私の心をも掌握する目的が補足的にあったのかも知れません。
まんまと私はマユの術中にはまってしまいました。体と心が彼女を切実に求めていました。
これまで何人もの女性と、コム友(電話友達の意味)として電話で話しました。
時経つうちに、電話だけでは飽き足らず、何人かの女性とは実際に会いましたし、キスや愛撫をした女性もいました。
しかし、セックスさえしなければ不倫では無い。と考えていた私は、中々一線を越えられずにいました。
私の中で、存在がどんどん大きくなっていくマユ。
彼女への募る想いは、もう理性で抑える事は出来なくなっていました。
「マユ、俺と付き合って下さい」
私がそう言うと、マユはにっこりと笑い、
「はい。よろしくお願いします」
と言いました。
前妻と結婚して16年。はじめて出来た彼女でした。
ある日私は、一つの決意を抱いて、彼女を自分の会社に呼びました。
社員が全て帰宅したのを見届けて、こっそり彼女を自室に迎え入れました。
「マユさ、実は今日生理なんだよね」
「あ、そうなんだ……」
「口でしてあげよっか?」
「いや、良い。俺マユと一つになりたいんだ」
「そうなの。分かった」
そう言って、パンツを脱いだ彼女の股からは、赤い血が溢れ出て来ました。
「私以外の女はみんな汚い」
これは前妻が、繰り返し私にかけた呪いです。
私は胸の悪くなるような気持を抑え、目をぎゅっとつぶり、彼女の中にゆっくりと挿入しました。
この日の事は今でも良く覚えています。
私はセックスがしたかったのでは無いのです。
一線を越えたかった。
今まで怖くて飛び越えられなかった崖を、勇気を出して飛び越えたかったのだと思います。
激しく腰を動かしながら、マユと一つになれた喜びと、そして前妻の呪いから逃れられた解放感、そして複雑な罪悪感を感じていました。
行為が終わって、いそいそと服を着るマユに、
「ゆっくり出来なくてごめんね」
と私は声をかけました。
「ううん。仕方ないよ」
「裏口から出る所を見られると逆に怪しいから、正面玄関から普通に出てよ」
と私は彼女に言いました。
彼女と親し気にしている所を、顧客に見られたら大変な事になるので、マユには仕事上の関係者を装ってもらいました。私は外へ出るマユに、普通の関係者にするように、軽く頭を下げてお見送りをしました。
自宅に帰ると、前妻はいつものようにヒステリックに騒ぎ立てました。
「こんな時間まで何やってたの!?」
「あんたが遅く帰ってきたおかげで、こっちの食事も遅くなんだよ!」
「明日も子供を早く送り出さないといけないのに、あんたのせいで寝る時間が遅くなった!」
「みんなあんたのせいだ!」
彼女へ抱いていた小さな罪悪感が吹き飛んでいきました。
(こんな女だから、俺は彼女を作ったんだ)
心の中で、私はそう呟きました。
私は浮気の痕跡を消す為に、騒ぎ立てる前妻を無視して、風呂に入りました。
不倫がバレたら離婚する。
私はこの言葉を胸に刻みました。
私が何をやっても何を言っても、ヒステリックに叫び続け、いつも私の自由を制限する前妻。もしも不倫をしている事がバレたら、私の残された少しの自由すらも奪われる事でしょう。ただ生きているだけの木偶人形と化すのです。
「まあ、今の操り人形から多少降格するだけか……」
私は自嘲気味にそう独り言ちながら、風呂場を後にしました。
※同じような批判コメントを付ける方が多いので、それに答えた各記事があります。
批判をする前に、まずそちらに目を通して下さい。→ 中傷、反論する者に答える。