挽きたて・打ちたて・茹でたて 食は文化なり
「週末 公民館で新蕎麦 打つけど こねが~?
なぜか最近 70~80歳と年配の方からのお誘いが多くなりました。
(ちなみに私は30代前半)
こういったお誘いには 万障繰り合わせて参加するのが我家のルールです。
地域行事のお誘いは 進んで出かけます。
蕎麦をすすって「ワハハ」と笑い。
地酒を飲んでは「ゲラゲラ」笑う。
集まった皆さんは 80歳前後ですが とにかく「若い」。
リアルエイジとマインドエイジ(実年齢と心の年齢)でいえば、若者並に“青春”を
謳歌している感じです。(いや、最近の若者以上かも)
とにかく よく食べ ・ よくしゃべり ・ よく笑う。 そして物知り。
地域の歴史・食・生活に関わる知識や知恵がまるで図書館のように詰まっています。
こういった話しを聞きながら 「人生の先輩」に地酒を注すのも また 集まりの楽しみでもあります。
僕が好きな建築家・清家清氏は「親の家の設計を失敗した」と自署に綴っていました。
親(年配者)の人生観を無視した家づくりは拒絶され、まったく受け入られず、単なる
コミュニケーション不足で 自我の一方的な押し付けに過ぎなかったと・・・・・・。
それは”家具の提案”でも同じ事が当てはまると感じています。
子供や同年代に対しては自身の経験から提案できますが、年配になった経験がないので、
年配者の方とは十二分にコミュニケーションを取りながら、最良のイスを一脚づつ手探りで
たぐり寄せる事にしています。これは 最近よく聞く“エルゴノミクス(人間工学的)”では
到底説明が付かない まさにその方の「人生観」みたいなものを感じ取らないと解決できない
一番重要な部分だと思っています。
幅広い年齢層の方たちが集う 文化的行事や場というものは
僕にとって 最も優れた「勉強の場」の一つです。
地元の食文化と交流を通して 町の宝や 目指す場所が見えてきます。
年の暮れには 粋な落語でもどうでしょう。
「おまえさん、いつまでも酒ばかり飲んでないで 少しは商いに行っとくれよ。」
「なんだぁてんだ! いいから酒~ 買って来い!」
「いいかげんにしておくれ。 もう、ウチはね 釜のふたが開かないんだよ・・・・」
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先日 ご近所の「広重美術館」さんで行なわれた 寄席に出掛けて参りました。
酒に溺れた魚屋の亭主と 献身的な女房の 古典落語屈指の人情噺「芝浜」。
噺のヤマ場が大晦日なので 年の暮れにふさわしい、粋な演目です。
世の中には いろんなプロ・名人の方がいらっしゃいますが
落語家さんには本当に素晴らしい プロフェッショナルを感じます。
「かみ」「しも」の視線だけでもって 時間空間・心情心理・世情情勢を一瞬のうちに
“ぱッ”と切り替え お客をその情景に一気に引っ張り込んでしまう。
まるで自分がタイムスリップしたかの様な感覚にさせられる これぞまさしく本物の
「芸」だと感じました。
日本はまだまだ 粋な「名人」や「技術」が息づいている 素晴らしいと文化だと思います。
”素晴らしい” といえば もうひとつ・・・・・・。
こちらの座椅子 天童木工なんでございます・・・・。
おあとが よろしいようで・・・・・・。
本物志向の方へ”粋な座イス”がございます
。
議場家具のリペアからみえた建築の母体
工場で“年代モノ机”のリペア作業が行なわれておりました。
遠めに見ても特異なデザインに興味を惹かれ・・・・
聞けば お隣「寒河江市庁舎」の議場家具との事。
寒河江市庁舎といえば建築家・黒川記章氏(1934~2007)による設計で有名です。
黒川氏が20代後半に依頼を受け、竣工したのが33歳(昭和42年)の時。
氏にとってはまだ5番目の建築で、最初期の代表作と言えます。
当時の市庁舎としては大変奇抜な、鉄筋4階建て総ガラス張。
3~4階が吹抜で、ロビーには芸術家・岡本太郎氏から寄贈された「誕生」という名の
これまた奇抜なシャンデリアが訪れる市民を照らてしています。
なぜ 当時まだ青年だった氏に市庁舎設計という一大プロジェクトを依頼したのかは
定かではありませんが、竣工当時に掲げられた「市民生活の精神的つながりの場」という理念は、
今日まで受け継がれ、浸透し、市民によるコンサート・アートイベント・Bar・キャンドルナイトなど
多数のイベントに開放され賑わっています。
氏は従来の「お役所」のイメージを建築の力で払拭し、市民が集う精神的な「場」にしたいと
考えていようですが、今まさにその役割を果たしているようです。
庁舎「議場」といえば、通常、上層階に位置するのが一般的ですが、ここは大変珍しく1階に議場があり、
2階に市民ロビーがあります。また、市民ロビーの床の一部がガラスブロックになっており、1階議場を
照らしています。議会を市民が身近に感じられる構造になっており「議会は市民を支える」という
メッセージも込められています。
庁舎設計当初の直筆の“発想の系譜”には「胎内化」という文字が残されています。
建築を「母体」とするならば、3~4階の吹抜を「胎内」とし、市民が集う「中心部」2F市民ロビーより
爆発的に生命を「誕生」させるというストーリーが建築に込められていたと推測できます。
この40年以上も変わらぬ形で使い続けられている「寒河江市庁舎」は2005年に近代建築100選に
選ばれました。(DOCOMOMO日本支部:本部フランス)
この建築に我々の家具が採用された意味
建築家のアイデアを具現化できた技術
リペアという仕事は 工場に様々な事を伝えてくれる新鮮な風を吹かせてくれます。
J.Y
白い季節
一段と寒くなりました。
もう直ぐ 平地でも雪が降りそうな気配です。
日本には100近い雪の呼び名があるそうです。
初雪 粉雪 淡雪 玉雪 牡丹雪 綿帽子 ささめ雪 白雪 なごり雪・・・・
「風」や「雨」や「色」などには 日本人独特の風情を感じる表現が数多くあります。
一度 ちゃんと調べてみようと思います。忘れられた、素敵な呼び名が沢山あるはずです。
↓下の写真は本社屋上から眺める「月山」。
すでに美しい雪化粧をしております。
ここは雄大な「月山」が一望できるショールームスタッフのお気に入りの場所。
標高1984m。 名峰「月山」
そういえば 今年の夏(8月)に山頂付近まで登った事を思い出しました。
下界は“うだるような猛暑”だというのに 山頂付近にはまだ雪が残っており
アルペンチームがスキーの猛特訓をしておりました。
自然というのは不可思議なものです。
↓8月の猛暑なのに 山頂付近に残る雪。
「月山」は山形県の中央に位置し 他県にまたがらない山形のシンボル的な山です。
この雪解け水が 近隣の田畑を潤し 米や酒を美味しくするのだと昔から信じられております。
今日も雄大な月山の恵みに感謝。
私事ですが、今年から新しいウィンタースポーツを始める事にしました。
去年あたりから日本でも競技が行なわれるようになったスポーツだそうです。
詳しくはゲレンデから報告したいと思います。 ヒントは“ソリ“です。ソリ。
白い季節が待ち遠しいです。
ただ今 本社工場の木々は紅葉 真っ盛り。
社屋の屋上から覗き見た紅葉 眩い色彩です。
真上から見られる 隠れた名所。
第三工場西側 イチョウの並木
イチョウにたくさんの銀杏がなっています。
我家の「銀杏煎り」もそろそろ出番。
○○気になったイチョウの木○○
神社やお寺の境内には大抵「イチョウ」が植えられているのを気になっておりまして・・
なぜイチョウなのだろうと・・・。
以前、ご住職に「なぜ、イチョウなのですか?」と伺いましたら、
「イチョウは葉や幹に水分を多く含むので、万が一、火事になった場合でもイチョウが
火勢を弱めてくれます。昔から大事にしておりますよ。」とのお話し。 なるほど。
恥ずかしながら、知りませんでした。
確かに火事が「江戸の華」と呼ばれていた下町では、多くのイチョウが植えられ、今でも
震災や空襲を耐え抜いたイチョウが巨木となって点在しているようです。
東京都の木⇔「イチョウ」。
イチョウにどの程度の防火能力があるかは分かりません
もしかしたら、それ以上の存在(心的なよりどころ)なのかもしれません。
先人の知性や情緒みたいなものは大事にしたいと思っております。