3.パチンコ攻略編(6)
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やがて新しい店長がやってきた。愛知出身らしい。
前の店長がクールダンディだとすれば、今回はひょうきん親父だ。
新店長が夜のあおりタイムにいきなりマイクを握りパフォーマンスを始めた。
「ぃーらっちゃい!らっちゃい!らっちゃい!らっちゃい!らっちゃいーーーーっ!」
は?
らっちゃいって何だ。いらっしゃいませのアレンジなのか。
得意げにマイクを入れる新店長が突然我々の場を土足で荒らした気がした。
頭にきた私は仕事放棄して外に出る。あおりタイムの約30分を外の駐車場に座り込んでボイコットしていた。
思い返せば勝手に外出したのに叱られることはなかった。
新店長にとって従業員は眼中になかったのだろう。
パチンコ店の仕事に慣れ、このように比較的自由に立ち振舞っていた。
おふざけがすぎていたことといえば、ハネモノさめざんす(ニューギン)だ。
役物中央にさめの可動式役物があり、これが上下に動いてアクションするのだが
私はさめざんすの島の裏側に回り、さめざんすを背にしている位置の台を開ける。
そして、お客様が遊技しているさめざんすの裏パック側にあるスイッチを素早く連打。
するとさめ役物を勝手に動かせるのだ。
お客様が遊技していると、いきなりさめが高速で首を上下にガタガタガタッ!!
かすかに「おわっ!!」と聞こえるお客様の驚きを聞いて、私はうっしゃっしゃっしゃっと喜んでいた。
完全に小学生である。
本当に申し訳ない。
お客様が遊んでいる裏側にまわっていたずらを仕掛けるような不良従業員だった私でも、
そんなくだらない知恵が活躍することがあった。
ゴト師との対決だ。
3.パチンコ攻略編(5)
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朝稼働できる時はパチスロのモーニングを狙ってからの立ち回りがメインになった。
勤務しているパチンコ店でもモーニングは入れており、
コンチネンタルⅠは打込み機を台にセットして1G分の音が鳴り、なぜか一撃で仕込みが完了した。
数年前に騒動となった、コインセレクターCS-90による4枚掛けボーナスセット攻略法を活用した仕組みなのだろうか。
また貯金方式の裏モノは、外部の機械を台に接続すると、ボーナスの貯金数が分かるようで
ある日総責任者のZさんが閉店後に確認しながらつぶやいた。
「常連のアイツが閉店までハマった台。ほら見てみろ、8つも貯金している。アイツ明日朝から来ると言っていたから4つくらい抜いておくか」
うわ、悪魔かよ。この人悪魔だ。
新台フィーバーパワフルは設置前に壊すわ、常連のささやかな楽しみさえ壊してしまうのか。
余計なことをするNO.1大賞である。
ボーナスを貯金するパチスロは、お店にとってはただの貯金箱にすぎかなった。
そんなことをするから将来この店は無くなってしまったのではないかと思う。
また、ある日閉店後、見知らぬ人達がバニーXOに何かをしていたことがあった。
その後、我々社員に伝えられたのは、注射が消えるから電源は絶対に落とすなということであった。
おかげでホッパー(メダル払い出し部分)のメダル詰まり処理は、電源入れたままハーネスを抜き差しして
壊れてしまわないかドキドキしたものだ。
イケナイ注射により突然1G連を始めたバニーXOをアピールする為に、我々は過激なマイクパフォーマンスを行った。
「きたきたきたあああバニーXOからビックボーナス!なななんと!なんと1G!なぜか1G!なぜだか1げえむでビックボーナススタートおおお!」
「またまた1G!!!なぜだか1G!!!!1G連荘すたああっとおおおおおお!!」
叱られはしなかったが、正直やりすぎた感はある。
このようにパチスロはボーナスが連荘するタイプの裏モノが主流だった。
それから数ヶ月先、私は裏モノパチスロ攻略によって大きく稼ぐことになる。
3.パチンコ攻略編(4)
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今回は恋愛の話。
勤務していたパチンコ店の従業員は、ほとんどが社員で男性比率が高かった。
一癖も二癖もあるようなおじさん社員、私と同年代の若造が半々くらいで構成されている。
そんな中に1人だけ早番専門のアルバイトUちゃんがいた。パチンコの経験はなく、物腰柔らかで、ほっそりと小さく、可愛らしい子。
まるで荒野に唯一1輪だけ咲いた花。私のボルテージも一気に上昇するというものである。
勤務中にコミュニケーションを取りたいのだが、私より先に入社した同年代のkくんとやたら仲が良い。
ふざけるな。kくんは私と同じ21歳ながら夫婦者として内縁上の奥さんと勤務している。
にも関わらずUちゃんとベタベタ仲良くしやがって。
雪はないので雪だんごを投げつける訳にはいかない。
私は日々根気よくUちゃんとコミュニケーションを取り続け、ようやく彼女の満面の笑みがこぼれる程には仲良くなった。
Uちゃんがいることでパチンコ勤務は楽しく、勤務時間外のマイホ通いも充実していた。
前記事でそのマイホにセブン機の設置機種は麻雀物語(平和)と紹介したが、セブン機はそれしかなかった。
ゆえに従業員によるマイクパフォーマンのラッキースタートコールは、
「またまた来ましたまあーじゃん!」
「さー来ましたまあーじゃんコーナーからー!」
「続いてやってまいりました、まあーじゃんー!」
それを聞く我々は、そりゃ麻雀しかないからなと苦笑してしまう状況だった。
この初代麻雀は、パチンコの液晶カラーモニター第一号機であり
ほど良い保留玉連も搭載していて、本当に楽しく説明の必要のない名機であるのは周知の事実だ。
そして他社メーカーも液晶機を市場に投入してくることになる。
三共から出たのがフィーバーパワフル。そのパワフルが勤務先に新台で入ることになった。
2階の事務所で納品されたばかりのフィーバーパワフルを総責任者Zさん、Kくん、そして私で囲んだ。
パチンコにテレビが付いた歴史的革命に興奮を隠せないKくんと私は大騒ぎ!(※別にテレビ番組がみれる訳ではない)
「Zさんフィーバーパワフル導入なんてすごいですね!」
「マジすごいっす!ついにテレビ付きかあ!」
Zさんは顔をゆるませながら自慢げだ。
「どうだすごいだろ?ん?ほれ、電源入れてやるか」
Zさんがおもむろに遊技台の電源プラグをコンセントに差し込んだ。
バチッ!ジ、ジジュッ!!
基盤から小さな黒煙が上がった。
「あああーーーーっ!!!!」 慌てる我々3名。
そうか。100Vの家庭用コンセントにそのまま差し込んでいる。遊技台は24Vなのだ。
興奮のあまりそんな初歩的なことが抜け落ちていた。
歴史的革命機は一瞬にして基盤がおしゃかになった。
全部テレビが悪い。
それから冒頭の恋愛話だが、
ある日Uちゃんを食事に誘ったら断られた。
普通に振られた。
踏んだり蹴ったりだ。