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考える道具を考える

The instrument which I think

毎年、秋の今頃になると、
来年の手帳に関する書籍が一気に書店に登場します。
同様に、日経、高橋書店、東洋経済などから、
「業界地図」というカラフルな書籍が書店にヒラヅミされます。

その時代の日本のビジネスの構図がひと目で分かるこの本を、
私は、時代の変化の絵図として眺めています。

今回の巻頭特集の特徴は、
環境エコ、食の安全、金融などですね。
そして、サブプライム問題に端を発した世界的な金融危機。
当然、業界地図にはこの問題は掲載されていません。

業界の企業格付けのコラムを見て、
アメリカのリーマン、AIUなどの巨大金融はほとんどがAAAクラスの格付けとなっているのが、
とても不思議な感じがします。

この書籍の原稿締め切りが半年前だとすると、
たったの数ヶ月で世界的トップ企業が突然消滅するという時代になったのだと、
つくづく世界の流れの速さに愕然とします。

そしてわが日本。
商い高17兆円を越すトヨタ自動車が、
日本を代表する世界的な企業として、様々に引用されています。
しかし、そのトヨタですら、圧倒的な規模でのリストラ実行を余儀なくされています。
この業界地図が半年ごとの更新だとすると、
既に、過去の業界絵図を見ることになりますね。

巨大企業の合併、統廃合などの変革の流れの背景に、
確かに‥経済のグローバル化の影響が色濃く感じられるのも事実です。
世界との関係抜きに、日本の企業活動は語れない。

今発行されている業界地図の書籍に、
日本の業界と世界との関連性が描かれているものはありません。
まだ国内経済を中心に、業界をみようとする癖が残っているようです。

そうした外部環境要因の影響力が、
内部の経営努力をはるかに追い越してしまう時、
事業は何を目標に進めていけばいいのか難しい局面に入ったといえるかもしれません。

またまた、我慢比べ‥‥なんでしょうね。

   ‥備えは、ありますか?


水曜日のTSUTAYAさんは、レンタル半額の特別の日。
夜遅くまで人がごった返している。

久々にTSUTAYAに行き、11月に公開される劇場版「Xファイル」に関連した映像はないか見ていた。
すると、NHKBSで放映されていたサスペンスドラマ「ダメージ」がレンタルされていた。


 血だらけになった半裸の女性が大都会の真ん中で保護される。彼女に何があったのか?

といったキャッチに惹かれたのも事実でしたが‥‥
このドラマは、カリスマ女性弁護士パティ・ヒューズ(グレン・クローズ)と新人弁護士エレン(ローズ・バーン)を軸に、巨額の賠償金がかかった訴訟事件を描くテレビ用ドラマ。全13話、CDで6巻ありました。全てを借りた。

最初の一巻を見て、次の展開が気になり始め、先週の土曜日、遂に全13話、約11時間近く連続して全ての映像を見通してしまった。謎解きは最後にならなければ分からない。殺人事件の現場から逃げ出したエレンが保護され、警察で取り調べを受ける場面と、それを遡る6ヶ月前からの時間の流れが、複雑に行ったり来たりする。少しずつ過去の流れを逆流することで、視聴者の興味を高めていくこの手法は、ありがちではあるが、引き込まれる。

そして特に興味深かったのが、冷徹で容赦のない弁護士パティ・ヒューズの姿。訴訟社会のアメリカの「問題解決」の方法と態度、そしてそれが莫大な賠償金という「お金」を生む世界であるということの絡み合いが、現実の自分のビジネスへの取組み方と対照されて、ある意味とても参考になるドラマでした。

  ‥‥あなたは、ビジネスの目的達成のために、ここまで冷徹になれますか?

といわれているようでした。訴訟相手弁護士との熾烈な駆け引き。身内の弁護士さえも策略のために平然と利用する。切り捨てる。状況が変われば、また受け入れる。策を巡らせた情報戦。まあ、現実にありそうな世界のリアルさに、

  ‥‥私は、甘いな!

と思わずにいられないのでした。ビジネスは合理の世界。徹底したロジックの計算された世界。非合理は敗北に繋がる。ここまで徹底しなければならないのか? と恩情大好き人間の自分を振り返ったのでした。


 ※緒形拳さんが突然逝ってしまった。名優をまた一人失った。合掌。




一つのプロジェクトをコラボレーションしている時に、
多忙につき、役割を果たせないという「言い訳」をする人がいると、
私はとても不愉快になって、沈黙することがある。

「多忙」であるかどうかは、その人の判断基準に基づいての評価であって、コラボレーションという仕事の進め方を選択した場合は、絶対に言ってはいけない言葉だと私は認識しています。

‥すいません、今週は忙しくて、とてもできません!

そんな時は、そんなに忙しいなら、このプロジェクトから外れたらどうですか?
ということにしている。

時間の概念は、自分の時間の使い方によって変化する。
多忙とは、その大半は、自分の意識の問題ですから、
多忙を理由にできないことを言う人間は信じてはいけないでしょうね。

私は、だからでしょうか?
「お忙しいんでしょ?」ときかれた時は、
「忙しければ、ここには居ない筈です。」
と答えるようにしています。

仕事の優先順位で大切にしていると思っていただけるかどうか、
それが大切だからです。

食の自給率が40%以下というデータが、日本の食の経済構造を良く現しているのは事実ですね。

その一方で、日本の地方の様々な農業、水産業などの生産物を見てみると、その高品質の生産物はその大半がJAを通して築地をはじめ東京の大消費圏に届けられ、地域でとれたものは、残されたものだけという構図もあります。

国際化の流れの中で、日本は食の大半を海外に依存しているのは確かですが、日本国内だけで自給率を上げるのは難しいことではないと、鳥取県で牧場を経営している方はいっています。しかし実際に和牛の流通構造を見てみると、沖縄で子供の牛を飼育し、神戸などで育成され、名古屋で取引され、東京で消費される。沖縄の方々の食する肉の大半は海外からの輸入肉であるという不思議な流通構造を見ると、自給率というのが何を示しているのかさえわからないのは確かですね。

こうした、様々なものの生産と流通と消費の構造を形作ってしまった日本に、食の安全の概念は本当にあるのかどうか疑問ですね。実際に、消費者の口に入るものが、何処をどのように通過して加工されているのかは不明。有毒物質が入っているかどうか、事故米なのか、ほとんど解明不能なのが実態なのでしょう。問題が起こらない限り‥。

そして、いつも思いますが、「安全」という概念は、誰かがそれを守っているという信頼性の中に存在するもので、それを誰が守っているのか分からなくなってしまえば、「危険」であることは確かです。

世界各国の食が集積する日本、特に東京。
そのお味も抜群のものがあります。

食の安全が保証されるには、まずは「人の安全性」をチェックする必要があるのですね。
自己管理、自分自身で情報を確認する能力が、もっと必要なのでしょう。


ジョブス
2007年に経済界から単行本として出版された「スティーブ・ジュブス 神の交渉力」(竹内一正氏著)が今年新書版となって登場した。

ジョブスといえば、アップルの創業者であり、追放から奇跡のカムバックを果たした後、iPod、iPhoneを生んだ天才でもある。そのプレゼンテーションは、プロ中のプロで、大衆を感動させ、酔わせ、虜にすることでつとに有名ですね。スタンフォード大学での伝説の講演は、今でも印象深い。


彼は、重く自由のきかないコンピュータを、誰でもが気軽に使える「オブジェクト指向」の道具として変換させましたね。その哲学は、現代のパソコンの基本思想になっているといえます。

本著は、この天才ジョブスの元で、日本のアップルにいたことのある竹内一正さんが、悪魔のような天才のビジネス交渉術をインサイドからレポートした一冊です。



そして、外から見たらとてつもない天才であるジョブスの、裏側が次々と描かれていく。

 ‥‥極端な自己中心的な人物であり、人の恩情をものともせずに裏切り、そういう自分を全面的に肯定し、全ての手柄を独り占めにする。気に入らなければ優秀な社員でも即刻クビにする独断と専制の社内体制‥‥。

こんなエピソードの記述が延々と続くのです‥‥この本は。


Macとそこに辿り着くまでの開発の裏側の悲惨な現実との乖離に、読んでいて愕然とすることばかりでした。天才的なビジネス交渉術とは、こんな滅茶苦茶なことなんだろうか? 恩人を裏切り、報酬と賞賛を独り占めする人間の何に、多くの人は共感するというのだろうか?

今、60歳を目前にした天才ジョブスは、何を成し遂げたかったのか?
スタンフォード大学の講演の最後にジョブスは学生にこう伝えたのでした。

   ‥‥ハングリーであり続けろ! 愚かであり続けろ!


一体、この本をどう読んだらいいのか、困った一冊でした。


とはいえ、私の中のMacは、憧れのデザインであることに変わりはないのですが‥。