ドクターヘリで飛行中に外の山を見ると雪が積もっているではありませんか!ハチ北の北壁にも冠雪が.冬がやってきてるのですね.実感・・・
初療,ICUと日々バタバタしております.寒くなったので血管系の患者さんが増えそうです.皆様,ご自愛ください.
本日のドクターヘリ(小林,番匠谷先生,濱看護師)
1件目 交通外傷
覚知同時要請.「乗用車の横転.閉じ込めあり」との情報です.離陸後3分.「軽症にてキャンセル.救急車でTECCMC搬送します.」 命に別状なく良かったです.
2件目 心肺停止
回診中に要請です.「意識障害.」にて救急隊現着後要請です.離陸から6分でランデブーポイント到着,ちょうど到着した救急車に乗り込みます.「先ほど心肺停止になりました!」 救急隊は胸骨圧迫,番匠谷先生は気管挿管,小生はBIGにて骨髄輸液路確保と薬剤投与,濱看護師はそれぞれのサポートと各々が役割をはたします.1クールのCPRにて心拍再開!これならヘリ搬送可能.TECCMCへ.
救急覚知同時要請なら10分は医療介入が早期に可能になったかもしれません.是非是非早期のヘリ要請(覚知要請,司令室要請)をお願いします.
3件目 意識障害
2件目の初療搬入・対応中に要請がかかります.カルテ記載は後で,ダッシュでヘリポートへ向かいます.「急に倒れ意識なし.」との情報.冠雪の山々を越えランデブーポイントへ.救急覚知から19分で医療開始.医療介入短縮は40~50分.ヘリ要請が早ければ山間部でもこんなタイミングで救急医療が提供されます.
番匠谷先生は患者さんの診察,小生は家族に情報を聞きます.患者さんは幸い意識も回復.しかし冷汗があります.「あれ,左橈骨動脈が触れない・・・解離?」 家族情報では高血圧の既往あり.様々な状況を加味し直近の救命救急センターへヘリ搬送です.
いつも応需していただき感謝申し上げます.
4件目 脳梗塞疑い
3件目の初療搬入中に要請です.「ろれつが回らず,様子がおかしい.」 救急隊現着後にその観察結果からヘリ要請です.しっかりとした観察能力が患者さんの予後を決定します.ヘリの到着に時間を少々要するため,救急車は現場から病院へ近いランデブーポイントへ移動です.いつものヘリポートで救急車とドッキング,診療開始です.
番匠谷先生は診察を行います.確かに呂律が回りません.また舌根も沈下しています.麻痺は?はっきりとしたものはなさそうです.脳卒中?であればTECCMCへの搬送ですが.小生は輸液路を確保し,血糖を測定します.「血糖値20!」と濱看護師.どうやら低血糖のようです.50%ブドウ糖を投与すると,直後から意識レベルは改善し口調もしっかりしてきました.これならばTECCMCではなく,直近の病院で受け入れていただきましょう.快く応需してくださった病院へ救急隊のみで搬送です.
医学的な観点からのフィールドトリアージも,重要な我々の仕事です.限られた救急医療の資源を地域で有効活用する.この一端をドクターヘリが担っています.
5件目 意識障害
救急覚知同時要請です.「庭で倒れて意識なし.」との情報.救急車の到着までも時間を要する地域からです.ヘリは10分で現場上空へ.ランデブーポイントがまだ使用出来ません.ランデブーポイントを待っていては医療介入が遅れそうです.幸い現場直近に着陸可能な農道があります.消防に許可をもらって,上空から安全を確認,農道に着陸です(写真).そしていつも通り資機材を担いで現場までダッシュ!今回は元陸上部の番匠谷先生が一番乗り.本厄の濱看護師もまだまだ元気です.
覚知から24分で医療加入となりました.しかし,患者さんの状況は厳しく,目撃なしの心肺停止です.BIGによる骨髄路を確保,ALSを施行しつつ農道に着陸したヘリまで救急車で移動,ヘリへ搬入です.そしてヘリで5分の直近の病院へ搬送とします.
要請のタイミングはこれ以上ないものでした.ドクターヘリに対する消防の理解が深まり,ヘリ要請までの時間が日に日に短縮されている実感があります.これからもよろしくお願い申し上げます.
今宵は岡先生と24時間勤務です.お互いに今週の学会スライドが完成しておらず,非常に焦っております・・・こんな時に限ってICUで吐下血!?これから緊急内視鏡です・・・合間をぬって呼吸器のweaningをすすめたり,緊急入院を受けたりと座っている暇はありません.