サンスペには
投稿だけでなく、
オリジナルストーリーのコーナーもありました。
今回ご紹介する”真夜中の絵本”もそのひとつです。
かつてこの時間(am 2:30頃)にあった
ハードボイルド小説は、リスナーには好評でありましたが、クレームも少なからずあったようで、
メルヘンチックなラジオドラマに代わりました。
鶴光師匠の語りもさることながら、当時のアシスタントであった
榊みちこの演技もよかったです。
「小鹿のデイジー」
ナレーション(鶴光)
デ:小鹿のデイジー(榊みちこ)
狐:(鶴光)
熊:(鶴光)
むかしむかし、いつかどこかで誰もが聞いた、鶴光の真夜中の絵本
緑に囲まれた森の中に、デイジーというかわいい小鹿が済んでいました。
デイジーは、いつも森の中を走りまわって遊んでいました。
ある日のことです。デイジーは、森の中を走り回って、のどがかわいていたので、泉のところへ行きました。すると、そこに小さなくまがいたのです。
しかし、小熊はまったく動こうとしません。
デ:どうしたのかしら・・・ちょっと変だわ・・・。
そう思って、デイジーは小熊に近づきました。すると、小熊の足からは真っ赤な血が流れていたのです。
デ:まあ、ケガをしているのね・・・早くなおさなきゃあ・・・。
デイジーは、さっそく薬草をとってきてあげました。その薬草をつけると、小熊はみるみるうちに元気を取り戻しました。
デ:もう大丈夫でしょ・・・痛くない?
熊:ウン、ありがとう。俺、むこうの森に住んでるんだ。これからは友達になってくれるかい・・・
むこうには、あんまり仲間がいないんだよ。
デ:ええ、いいわよ・・・それより、もう一人で帰れるの?
小熊はうなずくと、足を少しひきずりながら、むこうの森へ帰っていきました。デイジーは、そのときのことを、さっそく仲間のみんなに話しました。
みんなはとてもうらやましがりました。しかし、ある日意地悪なキツネがやってきて、デイジーに言いました。
狐:デイジー、お前よ、最近みんなからちやほやされて生意気だぞ。
デ:なんで・・・私、何もしてないわ。
狐:なに言ってんだよ。むこうの森の小熊と友達になったって自慢してるそうじゃないか!!
デ:そんな・・・自慢だなんて、ただ、お友達になったって言っただけよ。
狐:フーン、だったら、そいつをつれてこいよ。むこうの森には、俺達は絶対に行けないんだぜ。なにしろ、むこうには恐いオオカミがたくさんいるんだからな。
デ:だって、本当のことなんですもの。
狐:だったら早くつれてこいよ。そしたら、信じてやるよ。
デ:でも、むこうの森に行ったら、お母さんに怒られるわ・・・。
狐:フン!!やっぱりウソなんだ!!
デイジーは、目にいっぱい涙をため、家に帰りました。
デ:なんで、信じてもらえないのかしら・・・本当のことなのに。
デイジーは、そのことを考えると、くやしくて眠れませんでした。そして、あとからあとから、涙があふれてくるのでした。
それからというもの、デイジーのことを仲間たちまでがウソつき呼ばわりするようになったのです。なかでも、あの意地悪なキツネは、ことあるごとに悪態をつきました。そして、とうとう、デイジーはむこうの森に行く決心をしたのです。
デ:みんながそんなにまで言うなら、私が行って、あの小熊を連れてくるわ!!
狐:それなら、俺もついていくぞ!!
デイジーとキツネは、むこうの森にでかけていきました。その森は、デイジーが住んでる所とちがって、うっそうとした木々が生い茂っているのです。二匹はゆっくりと歩きながら、森の中に入っていきました。
と、その時です。後ろから恐ろしいうなり声が聞こえ、大きなオオカミが襲いかかってきたのです。
デ:キャー、助けてェー!!
デイジーは大声をあげました。すると、オオカミはキツネに牙をむけて襲いかかっていきました。キツネが今にもやられようとした瞬間、なんと、あの小熊が勇敢にもオオカミにとびかかっていったのです。
デ:大丈夫かしら・・・あのオオカミ、すごい力で小熊にむかってる。
小熊は必死に戦って行きました。そして、身体中を傷つけながら、やっとのことでオオカミを退散させたのです。
しかし、その時にはもう、小熊にはまったく力が残っていませんでした。まるで死んだように横たわっていました。
デ:しっかりして!!あなたのおかげで助かったわ!!
デイジーは小熊の手をしっかりと握りました。そして、キツネも目にいっぱい涙をうかべながら近寄ってきました。
狐:ありがとう、助かったよ・・・それに、デイジー、今までいじわるばかりしてゴメンな!!
そう言うと、キツネは小熊の手をしっかりと握りしめました。そのとき小熊はニコッと笑うと、やっと口を開いたのです。
熊:これから、仲よくしてくれよネ!
空には、たくさんの星が輝いていました。それから、森の仲間たちは仲良く暮らしました。いつまでもいつまでも。
end