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1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

湿し水を使うオフセット印刷の中で最も印刷障害が起きやすいのは、そのメンテ、

調整、清掃等を含め、やっぱり、湿し水と関係する部分なんですよ。油性ならば、

乾燥不良、裏移り、油性もUVも含めれば、密着不良、地汚れ、過剰ドットゲイン

による色調不良等々、様々なトラブルの原因が湿し水と密接に関係しています。

 

・・・だからと言って、汚れやすいからと言う問題だけで、エッチ液濃度を上げたり、

ダバダバに水を上げたりって言うのは、こりゃ基本に反する、一番やっちゃアカン

事なのだと認識して下さい。いつも言うように、インキ量が多過ぎるって言うのも

大きな問題なんですよ。最小限のインキと最小限の水で刷るってのが基本です。

 

ここまでの基本的な技術力が有ると言う事を前提として考えた場合、湿し水の

ローラー構成の中で、どのローラーが、より重要なのかを、チョッと考えてみて

下さい。そりゃまぁ、どのローラーも大切な事に変わりはないのですが・・・。

 

湿しシステムの構造って言うのは、各印刷機メーカーで違いが有りますが、

ローラーを構成しているのは、ゴムまたは樹脂ローラーと、クロムローラーです。

ゴムローラーが水舟に浸かっているタイプと、クロムローラーが水舟に浸かって

いるタイプで構造的には大きく分かれるのですが、ゴムローラーの方は印刷後

とか、印刷開始前などに、毎日、必ず手入れをされている事と思います。

 

まぁねぇ、手入れと言っても、多くの輪転屋さんのように、真っ黒なレンタルの

ウエスに洗い油付けて洗浄する!なんて言うのでは全く話に成りませんわね。

湿しのゴムローラーってのは、水を運ぶ為のローラーですから、そんな大切な

ゴムローラーを、水と反発する油で洗浄してはアカンですよね。ここはやはり、

湿し水ゴムローラー専用の洗浄剤を、白いウエスや、洗浄パット等に着けて、

キレイに洗浄してやるってのが、当たり前の、やり方だと考えて下さい。

 

そしてね、実は、とても重要なのが、クロムローラーの手入れなんですわ~。

クロムローラーってのは、もともと、水と仲良し(親水性)のローラーですから、

常に水舟に浸かってる方は、あまり汚れも付かないですよね。それに対して

ゴムローラーの間にあるクロムローラー、つまり移しローラーの役目をしてる

クロムローラーの方の手入れってのが、スゴく大切なんですよ。

 

この「移し」の部分のクロムローラーは、多くの場合、調量ローラーとの間で、

水膜を薄く絞られる部分ですから、非常に薄い水膜を、常に良好に運んで

行かなければ成らないワケです。この部分のクロムローラーが汚れていたり、

親水性が損なわれていると、部分的に水上げが悪くなり、汚れが出ます。

 

調量の、ゴムローラーの手入れは、当然のように大切なのですが、それと

同じくらいに大切なのが、この部分の、水移しクロムローラーの手入れなん

ですわ。狭いスペースに配置されている場合が多いので、手入れするのも

チョッと大変かと思うんですが、親水保護処理用の洗浄剤で毎日キレイに

してやると、それだけで湿し水の安定性がググッと良く成り、印刷がメッチャ

安定して凄く楽に成りますから、やっていない方は、是非やってみて下さい。

今年の秋、自分自身の体調が悪く成り、長く病院の世話に成ってしまいました。

この時、自分の体調が、どう悪いのかを医師に伝える事がメチャ難しかったん

ですよ~。身体中の何もかもが悪いので、何をどう伝えたら良いのか・・・。

 

そんな時に、2週間前に受けた健康診断の結果が出て来ました。それを見た

医師が「こりゃ、いろいろ悪いから順番に検査して行こう」と言う事に成りました。

何よりも悪いのが貧血だったんですが、男性で貧血が有ると、胃や腸からの

出血を疑われますので、とりあえず、内視鏡検査からって事に成りますわね。

 

これね、私が自分の状態を全く理解出来てなくて、「どんな症状ですか?」

って言う医師からの質問に「食べられなくて8kg 痩せました~」とか、ワケの

分からん事を言ってたりしてたからアカンのですわね。

 

印刷機械の不調を、印刷機メーカーさんに伝える時も同じなんですよ。

「なんか、版替えの時に調子が悪い~」と伝えるのと「版替えの時に胴入れが

ウマく行っていない」と伝えるのでは、こりゃ雲泥の差が有りますわね。

 

ただ単に「調子が悪い」って伝えたら、版替え機構の1+1から、順番に訊いて

行かなきゃ埒(らち)が明かないんですが、「胴入れが悪い」と伝えれば、「じゃ、

電源ボックスを開いて、A28のランプが点灯しているか確認してもらえます?」

なんて言う、高度な点にまで、一発で話が進みますよね。

 

「あ、A28は点灯してないですねぇ」 「ならばA38の配線部分の止めネジを

少し増し絞めしてもらえませんか?それで点灯しないなら基盤の不具合だと

思いますから、基盤を持って、すぐに、お伺いします!」

 

ここまでの会話が出来るように成る為には、いろいろな経験を積んで行く事が

必要に成るのですが、ただ単に過去に経験したってだけでは、こりゃアカンの

ですよ。自分自身でも、「この不具合を理解しよう!」とする強い意志が無いと、

なかなか覚える事が出来ません。

 

例えば印刷機メーカーさんが、自分の印刷機の修理に来た時。こりゃ本当に

絶好のチャンスなんですわ。修理してもらってる時間、他事をやってる人も

多いかと思うんですが、私に言わせれば、そりゃメッチャもったいない話です。

私は修理してもらってる間、ずっと隣にくっ付いて、シッカリ見ています。

 

メーカーから来た担当の方は修理のプロです。プロの技ってヤツを一つでも

多く習得出来れば、そりゃもう、良い事だらけです。例えば、工具の使い方を

見てるだけでも、充分に勉強に成りますし、機械を分解する時の手順だとか、

どの部品に対して、どう気を付けたら良いのか?なんて事も、こりゃ、メッチャ

参考に成ります。

 

まぁ私の場合は、話をするのが大好きですから、「へぇ~、こう言う不具合の

場合は、まず、そんな所から見て行くんだ~」とか言うと、「まぁ、この部分に

問題が有る場合が多いので、まずは、ここから確認します」と教えてくれたり

します。と言う事は、次回、同じ不具合が発生した場合は、まずここを点検

してやればイイんだ。 と、一つ、自分の知識が増えて行くワケですよね。

 

こうやって一つ一つ知識を増やして行くと、次に同じような不具合が発生した

場合、「最初の部分は見たけど、問題無かったよ」と伝えれば、「そうですか、

ならば次の部分だと思います」てな具合に、修理時間を大幅に短縮する事が

出来るように成り、最終的には、自分で直せるように成ったりします。

 

と、言うよりもね、大忙しの時に、修理で2時間も、印刷機が停止してしまう

ってのは、こりゃかなり痛いじゃないですか。そうした大忙しの時に止めない

ように、チョッと暇な時に、その「最初の部分」の点検や整備が出来るように

成るって言うのは、かなり有効なんですよ。

 

印刷をする事だけが、オペレータの仕事ではない。自分の機械を熟知して、

機械停止と言う一番の不具合を防ぐべく、日々の手入れをして行くってのも、

とても重要な、オペレータの仕事だと思っています。

いやいや、久々の印刷展示会ですわ~。

コロナのおかげで、今年は展示会が、ほとんど中止に成ってしまって~。

特に印刷系の展示会は、メチャクチャ、久し振りな感じがしますねぇ~。

 

11月の、19(木)、20(金)の二日間です。インテックス大阪5号館が、

今回の会場と成ります。私は、両日とも、当社のブースにおりますので、

宜しかったら、お越し下さいませ~。(あ、「コスモテック」 ですよ)

 

コロナ感染が心配なのですが、当社のブースでは、当社の売り物である

加湿器をフル稼働させて、感染予防対策としております~。

コロナにしても、インフルエンザにしても、乾燥した時期の感染率が高く

成ります。乾燥した空気の中では、ウイルス混じりの飛沫が、どうしても

飛散しやすく成ってしまうので、感染率が高く成ってしまうんですよ~。

 

学校だとか、老人ホーム、病院、パチンコ屋さん等、もっともっと積極的に、

加湿をしなきゃアカンと思うのですが、広い範囲を加湿する為には、結構、

立派な設備が必要に成ってしまいますから、なかなか難しいですよね。

 

そこで!今回、当社が新開発したのが、コレ↓「いつも」って言います。

 

 

この写真だと見にくいのですが、本体の下に4つのキャスターが付いてますので、

コロコロと移動が可能です。移動式なのに、メッチャ、パワフルなんですわ~。

水のタンクは、本体内部に、10ℓ タンクが、2つ格納されています。

 

本来は、オフィス等向けに作られたんですが、実はこれ、印刷現場さんからも、

大注目を頂いているんです。例えば、本格的な加湿装置(当社のウルオス等)を

付けるほどの広い工場ではないんだけど、やはり、紙を扱う場所だから、冬場の

時期の乾燥では困っている~。 なんて工場さん、けっこう多いんですよ。

 

それから、製本や、折り等、後工程の現場では、本格的な加湿設備までってのは

なかなか付けられないですよね。そんな場所には、この「いつも」 が最適なんです。

可動式でコロコロと移動が出来ますから、現場の中で邪魔に成って来たらチョッと

押して、置き場所を変えるってのも自由自在。

 

そんな使い方を想定して、水道管直結とはせず、タンク式の水供給方式としました。

しかも、この本体のみで、全て完結です。コンプレッサーだとか、別ユニットだとかは

有りません。本体から出てるのは、AC100V(家庭用コンセント)に差し込む電気の

コードだけです。 それなのに、メッチャ、パワフルなんですよ~。

 

印刷周辺機器を、設計開発している当社の製品ですから、その頑丈さもバッチリ!

家電品の加湿器とは比べ物に成らない丈夫な設計です。そして何より、水滴が

細かいんですわ~。細かな水滴をパワフルに噴射しますから、空気中への分散も

バッチリで、床が、水滴で濡れてしまうなんて事も有りません。

 

当然の話ですが、加湿器、大得意の当社の製品ですから、湿度設定をしておけば、

自動でON・OFFを繰り返して、常に、最適な設定湿度にしておく事が出来ます。

 

是非とも、JP展で、実物をご覧下さいませ~。

以前にも紹介したと思いますが、ある印刷工場で、巨大扇風機が置いて

あるのを見ました。印刷が始まると、各ユニット間に、その巨大扇風機を

置いて(4色機ですから4台の扇風機ですわね)インキローラーへ目がけ、

強風を吹き付けながら印刷して行くんですわ~。

 

何してんですか?「いや、こうやって強風で、余分な水を飛ばしてやらんと、

まともな印刷が出来んのですわ」・・・いやいやいや、そんな事をしてるのは、

私が知る限り、日本中でも、ここだけですよ。他では、そんな事をしなくても

普通に、まともな印刷が出来ています。

 

こんな話を聞けば、普通のオペレータさんなら「扇風機!アホやな、そいつ」

って思うのが常識ですよね。「水を絞る」って言う、一番最初の基本が出来て

ないから、扇風機なんて物で、ごまかして印刷しているってわけです。

多過ぎる水を扇風機で飛ばす等と言う、ごまかしの方法を考えるよりも、

なぜ水が多く成ってしまうのか?多い水を少なくする為には、どうするのか?

って言う、基本的な改善方法を考えるのが常識ですよね。

 

その根本の原因を改善す為に、自分の技術の何が足らないのかを考え、

試行錯誤し改善を試みるからこそ、技術力が向上して行きます。それを

扇風機で余分な水を飛ばす等と言う、基本から外れた手法に頼るようでは、

技術の向上なんて、望めるわけも有りませんよね。

 

まぁ、こんなのは、あまりにもレベルが低過ぎる話なんですが、実は先日も、

「版面の乾燥防止の為に、湿し水の中に、ガムを入れている」って話を聞き

ました。・・・湿し水にガム! そりゃ40年も前の、私が若かった頃の手法

だぜ~。今時の、連続給水、超高速印刷の世界では湿し水にガムを入れ

たって、何の役にも立たんだろうが~。

 

何で、版面の乾燥防止なんて事を考えたの?「いやそれは印刷停止後の

再スタートの時、地汚れ等で困るから」・・・だからさ、何でそんなに、モノに

頼ろうとするの。再スタートで地汚れが頻繁に出るとしたら、インキも水も、

多過ぎるって証拠じゃん。もっと水を絞るっていう基本を極めなよ~。そう

したら、ガムなんぞ入れんでも、地汚れなんて出ないんだからさぁ。

 

「ガムを入れたらヒッキーが激しく成ってしまったので、最近はガムを止め

硝酸アンモニウムを入れてます」・・・あんた、歳、ナンボ?オレより歳上?

硝酸アンモなんて、40年以上昔のエッチ液に入れてたヤツでしょうが~。

そんな物、今時の湿し水に入れてイイ訳が無いじゃんか~。

 

「水を絞る」って言う、一番の基本に立ち返れば、ガムだとか、硝酸アンモ

だとか、そんなモノに頼らなくても、普通に印刷が出来るんだよ。「いやでも、

水を絞ったら汚れるし~」 だからさ、インキが多過ぎるんだって、インキを

もっと少なくしてみ、必ず水も絞れるから。「インキ絞ると淡く成ってしまう」

 

だからさ、その究極のバランスを極めるのが、技術者としての本当の仕事

なんじゃないのかい。それを、ガムや硝酸アンモで、ごまかしたって、君の

技術力は何も向上しないだろ。まず、基本を極めてこその技術だろうがッ!

 

基本を極め技術力がアップして行くと、余分な物は、どんどん不要に成って

行きます。例えば、プレートクリーナー。地汚れが頻繁に出るからとか言って、

しょっちゅう、プレートクリーナーで版面をゴシゴシやってた人が基本を極め、

水とインキの究極のバランスが出来るように成るとね、プレートクリーナー

なんてヤツは、全く不要に成るんですよ~。

 

そう言う意味で言えば、パウダーレスインキなんてのも、全く無意味と言うか、

技術向上の為には、完全に不必要な物だと思っています。だってさ、普通の、

プロセスカラーインキの方が、性能がイイに決まってるじゃん。基本技術を、

シッカリ極めれば、パウダーレスインキよりも、圧倒的に、綺麗に刷れるし、

乾燥性とかだって、遜色無いはずだよ。

 

基本を極めてないから、あれこれ、余分な物が必要に成ってしまい、自分の

技術を磨く事が出来なく成ってしまう。「水を極限まで絞る」・・・超シンプルで

単純な事だけど、これを実現するには、機械メンテやローラーメンテ等々、

これまた、超基本的な部分が重要に成って来る。

 

何もかもが、基本からのスタートなんですわ~。印刷技術の勉強も、まずは、

一番基本的な「水を極限まで絞る」って事を徹底的にマスターせんとアカンの

ですわ。その基本が出来てないのに印刷機を使ってしまうから、あれこれと、

ゴマカシのテクニックばかりを覚えてしまう。それが一番アカン事なんですよ。

乾燥する季節がやって来ました~。

今時の印刷工場には、当たり前のように加湿器が設備されていますが、

これはね、印刷現場にとって、絶対に、必須の設備だと考えて下さい。

 

我々が相手をしている素材は「紙」です。中には「フィルム」って方も居る

事と思いますが、紙よりフィルムの方が湿度に関してはシビアですよね。

 

加湿器が無い = 静電気が発生する。・・・これが加湿器を設備する時、

一番に考える事かと思いますが、紙ってヤツは、湿度に対して非常に

敏感な物ですよね。乾燥すれば縮み、湿気が多ければ伸びてしまう。

こんな形態を顕著に現わしてしまうのが、紙なんですわ。

 

紙ってヤツは、木の繊維であるパルプから出来上がっていますよね。

このパルプを、何十倍(昔は百倍)の水に混ぜて、そこから水を絞り、

パルプを結合させて、紙を作って行きます。

 

もともと、何十倍もの量の水の中に浮遊しているパルプを、水を絞る

事で結合させ、最終的にはドライヤーと言う工程で、乾燥をさせて、

紙を作って行くわけですから、そんな紙にとって、水、湿気ってのは、

こりゃ、変化をもたらしてしまう、最大の要因って事に成りますわね。

 

特にヤバいのは、表面と裏面が違うタイプの紙です。例えば上質紙

なんてのは、パルプ100%で出来ていますから(再生上質紙は除く)、

表面も裏面も同じです。それに対して、片アート紙は、上質紙の片面

だけにコーティングがしてあるので、表面と裏面では違いが有ります。

 

この片アート紙、表面のコーティングが施された方は、湿度変化に

対しても、そこそこ強さが有るのですが、裏面の上質紙面の方は、

少しの湿度変化で、大きく伸び縮みが出てしまいます。

 

要するに、表面と裏面で、湿度変化に対する伸縮の度合が違うって

事ですから、例えば乾燥度合が進めば、あまり変化しないコート面に

対して、上質面の方は大きく縮む事に成ります。その結果、上質面を

内側にして、スルメのように、丸まってしまう状態に成ります。

 

普通の場合、紙はワンプで包装されています。実は、このワンプって

ヤツは、ケッコウな仕事をしてるんですわ。・・・例えば、紙を抄紙した

直後ってのは、パルプの何十倍もの水を絞って作られる訳ですから、

1枚の紙の部分部分によっては、湿度の低い所も有ったり高い所も

有ったりと、1枚の紙の中でも湿度が安定していない状態なのです。

 

これを、防湿性のワンプで包装して、何週間か放置しておく事で、

1枚づつの紙の中の湿度ムラを安定させて、使いやすい紙に成長

させているんです。この工程をシーズニングと呼んでいます。

 

シーズニングが出来上がっていない、湿気ムラの多い紙の事を、

「生紙」(ナマガミ)と呼び、一昔前の印刷繁忙期には、この生紙が、

ケッコウ出回る事が有りました。まだ湿気ムラの有る紙ですから、

波打ちが発生したり、部分的な乾燥不良が発生したりと散々です。

 

「紙は遠くの物を買え」・・・昔からよく言われた言葉ですが、私の場合、

名古屋ですから、すぐ隣の市に王子製紙さんが有ります。必然的に、

使用する紙も王子の物が多く成るのですが、繁忙期に成ると生紙が

時々、来てしまって、これには本当に苦労しました。

 

これに対して、北越製紙さん、日本製紙さん等、名古屋から遠い所に

製紙工場が有るメーカーさんの紙は、運送に時間が掛かり、その間に、

少しでもシーズニングが進むので安定度が高く、扱いやすい紙でした。

もちろん、これは逆も有ります。北越の地元の印刷工場では、北越の

紙をボロクソに酷評して、王子の紙を絶賛されていました。

 

これほどまでに、湿度に対して敏感な紙。これを正しく扱い、この素材に

正しく印刷を行う為に、印刷工場内の湿度管理と言うのは、必須事項で

あり、特に、乾燥する冬場のための加湿器設備ってのは絶対必要物で

あるとの認識が常識だと心得て下さい。

 

ウチは、もう付いてるよ~。って所がほとんどだと思いますが、加湿器

って言うのは、ただ工場内に水を撒けばイイって言う訳ではありません。

水滴がボタボタ垂れて来る様ではアカンです。加湿器の下の床の部分が

ベタベタに濡れてしまうようでもアカンです。これ、加湿器から噴射された

細かな水滴が、充分に、空気中に混ざり込んでいないって事ですから、

工場内の空気に対して、加湿の効果がダメって証拠ですよね。

 

加湿器も機械です。当然の様に保守やメンテナンスが必要なんですわ。

特に水が噴射されるノズル部分は、消耗品である場合が多いのですが、

保守やメンテを怠れば、その寿命はグッと短く成ってしまいます。

本格的な乾燥シーズンを迎え、一度、加湿器のメンテをシッカリとして

工場内の加湿状態を見直してやって下さいませ~。

相変わらずの体調不良で、病院に通っています~。

昨日は大きな病院へ行って来たのですが、人の多さにビックリします。

まずは血液検査なのですが、私が手にした整理券番号は196番。

 

その時点で検査を受けている人は、なんとまだ、90番台だったのです。

血液検査だけで100人待ちですよ~。時間にして1時間待ちですわ~。

 

この検査で1時間待たされてメインの診療科では、1時間半待ち。

合計2時間半も待って、肝心の、先生の診察は、たったの5分~。

「ああ、少しづつ良く成ってますねぇ。また来月様子を見せて下さい。」

・・・って、それだけかよぉ~ッ!

 

診察の後の会計では30分待ち。合計3時間、ただただ待つだけ~。

正確に言えば、血液検査5分、診察5分、会計2分ですから、合計で

たった12分のために、2時間48分の待ち時間が発生したわけです。

 

まぁ前回は、この病院で4時間待ちましたから、1時間短縮出来たので

良しとするべきなのでしょうねぇ。それに、3時間、4時間なんてのは、

まだまだや~、病院は1日掛かるのが普通だ~、って話も聞きます。

 

正直なところ、病院の待合場所は、完全に「密」な状態です。

体調が悪い人達で溢れ返っています。コロナの感染者数が再び

急増している中、病院と言う場所で、こんな「密」が、許されても

良いのか~ッ!と、首を捻りたく成ってしまいます。

 

あらかじめ、診察時間の予約をしているのに、3時間も待たなくては

成らないと言う体制。病院の方達も様々な工夫をされている事とは

思いますが、予約して行っているのですから、せめて1時間くらいで、

終了出来るようなシステムに成らないもんでしょうかねぇ~。

 

次回は12月半ばに行く事に成っているのですが、コロナの状態に

よっては、もう行きたくないってのが、正直なところですわ~。

もう10年以上も昔の話なんですが、その当時、勤めさせて頂いていた

印刷会社では、年に1回、他業種に就職された新入社員さん向け等で、

工場見学が行われていました。まぁ、新人研修の一環なのでしょうね。

 

私が、ご案内させて頂く事が多かったのですが、社会人1年生ってのは、

初々しくて本当に大好きでした。突然、印刷工場に、ご案内しても良いの

ですが、少しは予備知識を得て頂こうと、簡単なセミナーを行ってました。

 

「オフセット印刷は、油と水の反発を利用して、インキの着く所と・・・」

なんて言う、お決まりの原理から解説をするのですが、ある年のこと、

その解説の時に、一人の女性新入生の方が、手を挙げたんですよ。

 

「質問です。油がインキと言うのは分かりましたが、この場合の水と言う

のは、普通の水道水だと思えば良いのでしょうか?」 こりゃメチャクチャ

嬉しかったですねぇ。新入生の方が、そんな所にまで、興味を持ってくれ

るのか!こりゃシッカリ解説せにゃアカンぞ~!(^^)v

 

非常に良い質問ですねぇ!実はですねぇ、普通の水道水では、まともな

印刷が出来ないんですよ。水道水に2%ほど、添加剤を加えて油と水の

分離を良好にしてやる必要が有りまして、その添加剤を 「エッチ液」って

言うんですが・・・

 

真剣にメモを取って、私の話を聞いてくれていた、その女性新入生の方、

この「エッチ液」っていう言葉が、彼女のツボにハマってしまったんですわ。

「エッチ液って~、ギャハハハ」 もうね、全く笑いが止まりません。

 

一般の方にはチョッと刺激的な言葉かも知れませんが、我々、印刷業界

では、昔から普通に、エッチ液って言ってるんですよ~。「でも、どうして、

そんなヤバい言葉に成ったんですか、ギャハハハ~」

 

え~と、昔は印刷の版の性能が悪くて、常に腐食させていないとアカン

かったんですわ。腐食させるってのを「エッチング」って言うので、そこから

「エッチング液」⇒「エッチ液」と呼ぶように成ったワケです。

 

「エッチング」って、現在進行形~ギャハハハ~。またまたツボにハマって

しまって、もう、彼女の笑いが止まる事は有りませんでした~(笑)。

 

さて、本題の工場見学なんですが、当時の工場には、菊全の印刷機が、

3台並んでいまして。新入生さん達は、その印刷機のデカさにビックリ。

「印刷機って初めて見ましたけど、本当に大きな物なんですねぇ~ッ!」

 

大きいですよね~。では、ここで問題です。さてこのドデカい印刷機械、

1台の値段は、いくら位するのか当てて下さい!「ええ~ッ!この機械の

値段ですか~。全く想像が付きませんが、1千万円くらいでしょうか?」

「いやいや、この大きさだと3千万円くらいはするんじゃないの~」

 

社会人1年生さん達ですからね、高い値段と言うと1千万とか3千万って

言うのが限界なんでしょうね。「でもさ、3千万って言ったら名古屋市内で

マンションが買えちゃう額だよ~。マンションよりは安いでしょう。」

・・・おおッ、マンションと比較して来たか~。現実的やねぇ~(笑)。

 

実はね、一番奥と、その隣の印刷機が、1億5千万円づつで、手前のが

1億円なんですよ。ですから、皆さんの前には合計で、4億円の機械が

並んでいるってワケなんです。  「ええッ!4億円ッ!」

 

印刷機の1億円が高いか?と言われれば私的には、印刷機ってヤツは

あんなにデカいのに超精密機械だし、電化製品のようにドカドカと売れる

ような物ではないので、こりゃ仕方が無い値段かな。と考えています。

ただ、1億も1億5千万もする高価な機械での生産工賃が、通し料金で

数十銭 ってのが許せんですわ(笑)。「銭」なんて単位、今時無いって!

 

まぁしかしね、印刷会社を経営して行く側は大変なんですよ。例えば、

1億円の印刷機を買って、月々200万円の返済をしなきゃ成らないと

すると、毎月の生産高を、ハラハラして見る事に成りますよね。

 

ある月の生産高が、300万円だった。200万の返済金を引くと、残り

100万。インキ等の資材費が50万で、光熱費、電気代等を引いて、

もし工場が借り物だったら、その借用料を支払うと、オペレータさんの

給料、健康保険代、年金代なんかが出て来ないんですよ~。

 

まして、この機械を、機長と補助の二人で使ってたら、こりゃ本当に

大変なんですわ。そんでもって、印刷でミスして、刷り直しとかで、

紙を再び買わなきゃ成らないとか言ったら、メッチャ最悪ですわね。

 

本当にね、印刷機は高価な機械です。しかも無人では決して動かない

物ですから、大きな人件費が掛かります。そんな事をシッカリ考えて、

つまらんミスを起こさないように充分、注意してやって下さい。

印刷機械には、非常に多くのベアリングが使われています。

チョッと考えただけでも、各ローラーの両端には必ず付いていますよね。

版胴やブラン胴、圧胴の両端にも、でっかいベアリングが付いています。

爪軸、爪を開閉するカムフロアー等、カムが有れば、ベアリングも必ず、

それに付随して付けられています。

 

一昔前、「生産機械の中で、最も多くベアリングが使われているのは

印刷機械である。」と言う話を聞いた事も有るくらいです。・・・もっと昔、

私が印刷業界に入った40年前位の話なんですが、版胴などに使う、

でっかいベアリングを作る技術が、まだまだ未熟だったんですよ。

 

菊全クラス以上の版胴なんて、メッチャ、デッカイですよねぇ。

そのデカくて、超重い版胴の両端を支え、高速回転にも耐えなければ

成らないワケですから、こりゃ、ベアリングを使うのが最も有効だと思うん

ですが、それを作る技術が未熟なのだから、そりゃ仕方ないですわね。

 

この頃はね、「メタル軸受け」と言って、例えば版胴側から出た軸の方が

鉄など、硬い金属であるならば、それを受け止めるフレーム側の穴には、

例えば、銅など軟らかめの金属を使って、回転の摩擦だとか、荷重に

耐えていたってワケなのです。・・・なんかね、原始的な話ですよね。

 

やがて、版胴にベアリングを使った印刷機が開発され、出回る事と成る

のですが、これがねぇ、出だした当初は、ケッコウ酷評されたんですよ。

メタルに比べて、ベアリングは「圧」が掛け辛いから、印刷のベタ部分の

ツブレが悪い!とか言われてしまいましてね。

 

私は機械工学を勉強していましたので、メタル軸受けよりも、ベアリング

の方が絶対にイイに決まってるだろ!って反発していました。だってねぇ

オフセット印刷の適性印圧って、0.10mm なんですよ。そんな、超繊細な

接触幅を保って行くためには、ベアリングの方が圧倒的に優位でしょう。

 

まぁ確かに、メタルの軸受けで、強烈に圧を掛けた方が、ベタのツブレが

良く成るって言う、超シンプルで、超物理的な考え方も分からなくもないの

ですが、そりゃ、オフセット印刷の繊細さを知らない人間がいう言葉ですわ。

それに、オフセット印刷は物理ではなく、科学ですからね。(笑)

 

今時の版胴の軸受けには、テーパーローラーベアリングなんて言う、こりゃ

本当にスゲェ構造の物が、当り前のように使われています。この構造がね、

初めて発表された時、私はメチャメチャ感動しました~。

 

印刷機の版胴に、回転を伝えるのは、ギヤの役目ですよね。昔の印刷機

のギヤには、「平歯歯車」ってのが使われてたんですよ。平歯ってのは、

普通に見掛けるような、真っ直ぐな歯の歯車です。こいつは伝達性が悪く、

極端に言えば、ガッタンガッタンと、動力を伝えてしまうんですわ。

 

印刷機の版胴が、ガッタンガッタンと回ってしまえば、そこには「ギヤ目」と

言う印刷障害が発生してしまいます。これではアカンだろうと作られたのが、

「斜歯歯車」ヘリカルギヤってやつなんですよ。斜めの歯ですから、伝達が

滑らかで、ギヤ目を抑える事が出来るんですわ。

 

でもね、ヘリカルギヤには問題が有るんです。普通の平歯なら、その荷重は

軸と垂直方向に加わりますから、普通のベアリングで受け止める事が可能

なんですが、斜歯の場合は、垂直方向だけではなく、軸と平行な方向へも、

荷重が掛かってしまうんですよ。(ハハハ、マニアックで分からんですよね)

 

軸と平行な方向の荷重を受け止めるベアリングが無い!こりゃどうする!

と作られたのが「山歯歯車」って言って、斜歯を逆向きに2枚重ね、山型の

歯車にする事によって、平行方向の荷重を消してしまうってやり方でした。

ダブルヘリカルギヤ なんて言う、超カッコイイ名前が付いてましたわ~。

 

こりゃこれで、充分に良い方法なんですが、1枚でイイ歯車が、2枚必要に

成るようなものなので、どうしてもコストアップに成ってしまいますよね。

その加工精度も、非常にシビアなものに成ってしまいますしね。

 

そこで、ベアリングの方を改良する事に成って、スラストベアリングって言う、

横方向の荷重を受け止める物が、開発され、使われるように成りました。

まぁこれはこれで、結構イイかな?とも思ったんですが、こりゃやっぱりね、

テーパーローラーベアリングには、到底、敵いません。

 

・・・メッチャ、マニアックな話で申し訳ないです。マニアック過ぎて、どこが

そんなにスゴイのか、サッパリ分からんぞッ!って方も、多い事と思います。

私自身、機械工学を勉強してた事も有り、こうした機械構造が大好きだった

ので、印刷機のオペレータをやりながら、20歳代の頃に、印刷機の、こんな

構造に、超ワクワクしながら仕事をしてたんですわ~(笑)。

 

「機長は、機械の全てを把握せよ!知らぬは己の恥と知れ!」

18歳で就職した印刷現場の、壁に貼り付けられていたスローガンです。

これが元で、マニアックに成ってしまったのですが、今でも、この言葉が

大好きですわ~。(^^)v

以前にもチョッとだけ触れましたが、湿し水を使うオフセット印刷って言うのは、

「インキ」と「水」って言う、二つの「液体」を制御して印刷を行う技術なんですよ。

「ええッ?インキって液体なの?」・・・インキは液体ですよね。使用する前の、

インキ缶のフタを開けて、缶を傾けてやれば、インキはドロドロと流れ出します。

流動性を持った「液体」だからこそ、流れ出す事が出来るってワケです。これが

鉄のようなカチカチの「固体」だったら、流れ出す事なんて出来ませんもんね。

 

液体を制御して様々な製品を造り出す技術って言うのは、世の中にメッチャ

沢山有るだろうと思います。でもね、我々は「2種類の液体」を制御しなければ

成らない。しかも、その2種類が、油と水って言う、反発し合う液体なんですよ。

そして、もっと大変なのが、その相反する2種類の液体を、1,000分の1mm

つまり、ミクロン単位で制御しなければ成らないって言う点なんですわ。

 

反発し合う2種類の液体を、ミクロン単位で扱う技術。・・・なんか、そんな事を

言われてしまうと、メッチャ難しい技術のように聞こえてしまいますが、実際に

オフセット印刷って言う技術は、メッチャ難しい物なんですよ。

 

例えばですよ、2種類以上の液体を使って、お菓子などの食料品を作るとか、

医療に使う薬品を作るだとか言う技術も、当然の様に有るだろうと思うのです

が、これらを製造する場合ってのは、かなり緻密な計測器によって計量され、

調合なり加工なりが、されて行く事だろうと思うんですよ。そうじゃないとねぇ、

安定した、安心な製品が造れませんもんね。

 

それに対して、オフセット印刷ってのは、インキと水って言う、2つの液体を

計測する機器が無いんですわ~。 「ええッ?インキを測るのは濃度計じゃ

ないの?」・・・そうですね、それ、一理有りだと思います。でもね、濃度計で

計測可能なのは、「印刷用紙に印刷されたインキの状態」(濃度)であって、

決してインキそのものの量ではないですよね。

 

いつも言っているように、湿し水が多ければ、インキの濃度が下がってしまい

ますし、強力なエッチ液を大量に入れれば、インキが溶けて、インキ濃度が、

やはり低下してしまいます。ですからね、インキ濃度ってやつは、あくまでも、

「適切な濃度値」であって「適切なインキ量」を表している訳ではないんですよ。

 

実際に、濃度計を使って印刷している方は、是非やってみるとイイんですが、

「OK!適正濃度に成った!」って言う時に、インキの出し量は変えず、水を

5目盛り位、絞ってみて下さい。汚れが出るかも知れませんが、必ず濃度が

高く(濃く)成ります。・・・つまり濃度計って言うのは水とインキが(良し悪しは

全く別にして) たまたまバランスした結果を示してるのであって、インキの量

その物を示してるのではないんですよ。と言う事は、水を絞れば、もっと

インキを絞っても、適正濃度を得ることが出来るかも。って事ですよね。

 

簡単な話、版面上のインキの量を測る計測器が無い。同様に湿し水の量を

測る計測器も存在していない。・・・二つの液体を制御する技術だと言うのに、

その肝心な、二つの液体を測る為の計測機が無いんです。じゃ、どうやって

制御してるのか?これがね、非常に情けない事に、オペレータの経験と勘に

頼るしかない。ってのが、紛れもない現実なんですわ。

 

品質を大きく変化させてしまう二つの液体。一つ間違えば、トラブルだらけの

印刷物を造ってしまう。それほど重要な二つの液体を扱うのがオフセット印刷

と言う、印刷方式なんです。そしてその扱い方を、オペレータの経験と勘だけ

に頼ってしまっている。だから、A君の印刷物と、B君の印刷物に差が出来る。

A君には簡単に出来る事が、B君には全く出来ないと言う事が起こってしまう。

 

オフセット印刷が発明されて、116年の歳月が流れているのに、一番肝心な

二つの液体を制御する方法に関しては、その計測器が無い!と言う状況に、

何ら変化は無く、116年前からオペレータの経験と勘に頼っているんですわ。

・・・だからこそ、おもしろいッ!って言う私の様な方も、おられる事と思いますが、

だからこそ、若手君達の育成を難しくしてしまっている事も、事実なんですよ。

 

おそらく、この先も二つの液体の計測器は、まず、出て来ないでしょう。

であるならば、非常に寂しい話ですが「経験と勘」を磨く方法を考えるしかない。

ってのが、今のところの私の結論です。・・・でもね、それって難しいですよね。

私が20歳代、30歳代の頃、「超高品質」を売りにしている印刷会社さんが、

日本各地に有りました。知人に頼み込んで、それらの会社さんの印刷物を

無理矢理、手に入れたのですが、そりゃもう、見てビックリの物でした。

 

高精細、FMスクリーン。まだその当時は、それほど技術が確立されていた

時代ではなかったし、何と言ってもCTPではなく、フィルムの時代ですから、

版を焼くってだけでも、こりゃスゴイ技術を必要とするのですが、そりゃもう

「お見事ッ!」 と言う他に、形容する言葉が無いって感じでした。

 

「憧れ」でしたわ~。この印刷物の版が、もし、ここに有ったら、オレの技術で、

この印刷物に匹敵するような物を刷る事が出来るのか?・・・多分、無理だ。

ならば、何をどうしたら、これを刷る事が出来るのか?オレに何が足らない?

 

そんな事を考えていた時代から、30年の月日が流れました。30年と言う

時の流れは、様々な変化をもたらします。高精細やFMの技術を売りにして

いた印刷現場さんが、今は普通の175線でしか刷っていない。・・・なぜ?

200線が普通に成りつつある今、なぜ175線なの?

 

今の時代が、高精細やFMを求めていない。それを刷った時のコストアップ

等をクライアントが許容してくれない等々、様々な理由が有る事と思います。

でもね、30年前に、せっかく作り上げた素晴らしい印刷技術です。こりゃね、

何としても技術継承して行くべきだと思うのですよ。

 

挑戦された事が有る方には、分かると思うのですが、高精細やFMを刷る

技術が身に付くとね、通常の175線が、もっともっとキレイに刷れるように

成るんですわ。そう成れば、175線ごときで悩む事など一切無し!です。

 

今時の刷版出力は、フィルムではなく、CTPです。ソフトさえ持っていれば、

簡単に、高精細の版を作る事が出来ます。もし、もしもですよ、少しだけ

ヒマが有って、少しだけ紙が余ってたりしたら、今、刷った175線の絵柄を

250とか、300線で版を作ってもらって、刷ってみて下さい。

 

当然のように175線とは違う難しさが有りますし、独特のノウハウも必要と

成りますが、175線と高精細では、全く表現力が違います。その違いを、

自分の印刷機で経験するだけで、あなたの175線を本当に、ワンランク、

ステップアップさせる事が出来るんですわ。

 

高精細は、とても良い教材です。でもね、初めて刷るような絵柄を、突然、

高精細で刷るよりは、今さっき、仕事で刷った175線の絵柄と同じ物を、

高精細で刷ってみる方が、勉強に成る部分が圧倒的に多い事と思います。

是非、挑戦してみて下さい。