印刷技術 技術の継承 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

私が20歳代、30歳代の頃、「超高品質」を売りにしている印刷会社さんが、

日本各地に有りました。知人に頼み込んで、それらの会社さんの印刷物を

無理矢理、手に入れたのですが、そりゃもう、見てビックリの物でした。

 

高精細、FMスクリーン。まだその当時は、それほど技術が確立されていた

時代ではなかったし、何と言ってもCTPではなく、フィルムの時代ですから、

版を焼くってだけでも、こりゃスゴイ技術を必要とするのですが、そりゃもう

「お見事ッ!」 と言う他に、形容する言葉が無いって感じでした。

 

「憧れ」でしたわ~。この印刷物の版が、もし、ここに有ったら、オレの技術で、

この印刷物に匹敵するような物を刷る事が出来るのか?・・・多分、無理だ。

ならば、何をどうしたら、これを刷る事が出来るのか?オレに何が足らない?

 

そんな事を考えていた時代から、30年の月日が流れました。30年と言う

時の流れは、様々な変化をもたらします。高精細やFMの技術を売りにして

いた印刷現場さんが、今は普通の175線でしか刷っていない。・・・なぜ?

200線が普通に成りつつある今、なぜ175線なの?

 

今の時代が、高精細やFMを求めていない。それを刷った時のコストアップ

等をクライアントが許容してくれない等々、様々な理由が有る事と思います。

でもね、30年前に、せっかく作り上げた素晴らしい印刷技術です。こりゃね、

何としても技術継承して行くべきだと思うのですよ。

 

挑戦された事が有る方には、分かると思うのですが、高精細やFMを刷る

技術が身に付くとね、通常の175線が、もっともっとキレイに刷れるように

成るんですわ。そう成れば、175線ごときで悩む事など一切無し!です。

 

今時の刷版出力は、フィルムではなく、CTPです。ソフトさえ持っていれば、

簡単に、高精細の版を作る事が出来ます。もし、もしもですよ、少しだけ

ヒマが有って、少しだけ紙が余ってたりしたら、今、刷った175線の絵柄を

250とか、300線で版を作ってもらって、刷ってみて下さい。

 

当然のように175線とは違う難しさが有りますし、独特のノウハウも必要と

成りますが、175線と高精細では、全く表現力が違います。その違いを、

自分の印刷機で経験するだけで、あなたの175線を本当に、ワンランク、

ステップアップさせる事が出来るんですわ。

 

高精細は、とても良い教材です。でもね、初めて刷るような絵柄を、突然、

高精細で刷るよりは、今さっき、仕事で刷った175線の絵柄と同じ物を、

高精細で刷ってみる方が、勉強に成る部分が圧倒的に多い事と思います。

是非、挑戦してみて下さい。