印刷技術 なにが、どう悪い? | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

今年の秋、自分自身の体調が悪く成り、長く病院の世話に成ってしまいました。

この時、自分の体調が、どう悪いのかを医師に伝える事がメチャ難しかったん

ですよ~。身体中の何もかもが悪いので、何をどう伝えたら良いのか・・・。

 

そんな時に、2週間前に受けた健康診断の結果が出て来ました。それを見た

医師が「こりゃ、いろいろ悪いから順番に検査して行こう」と言う事に成りました。

何よりも悪いのが貧血だったんですが、男性で貧血が有ると、胃や腸からの

出血を疑われますので、とりあえず、内視鏡検査からって事に成りますわね。

 

これね、私が自分の状態を全く理解出来てなくて、「どんな症状ですか?」

って言う医師からの質問に「食べられなくて8kg 痩せました~」とか、ワケの

分からん事を言ってたりしてたからアカンのですわね。

 

印刷機械の不調を、印刷機メーカーさんに伝える時も同じなんですよ。

「なんか、版替えの時に調子が悪い~」と伝えるのと「版替えの時に胴入れが

ウマく行っていない」と伝えるのでは、こりゃ雲泥の差が有りますわね。

 

ただ単に「調子が悪い」って伝えたら、版替え機構の1+1から、順番に訊いて

行かなきゃ埒(らち)が明かないんですが、「胴入れが悪い」と伝えれば、「じゃ、

電源ボックスを開いて、A28のランプが点灯しているか確認してもらえます?」

なんて言う、高度な点にまで、一発で話が進みますよね。

 

「あ、A28は点灯してないですねぇ」 「ならばA38の配線部分の止めネジを

少し増し絞めしてもらえませんか?それで点灯しないなら基盤の不具合だと

思いますから、基盤を持って、すぐに、お伺いします!」

 

ここまでの会話が出来るように成る為には、いろいろな経験を積んで行く事が

必要に成るのですが、ただ単に過去に経験したってだけでは、こりゃアカンの

ですよ。自分自身でも、「この不具合を理解しよう!」とする強い意志が無いと、

なかなか覚える事が出来ません。

 

例えば印刷機メーカーさんが、自分の印刷機の修理に来た時。こりゃ本当に

絶好のチャンスなんですわ。修理してもらってる時間、他事をやってる人も

多いかと思うんですが、私に言わせれば、そりゃメッチャもったいない話です。

私は修理してもらってる間、ずっと隣にくっ付いて、シッカリ見ています。

 

メーカーから来た担当の方は修理のプロです。プロの技ってヤツを一つでも

多く習得出来れば、そりゃもう、良い事だらけです。例えば、工具の使い方を

見てるだけでも、充分に勉強に成りますし、機械を分解する時の手順だとか、

どの部品に対して、どう気を付けたら良いのか?なんて事も、こりゃ、メッチャ

参考に成ります。

 

まぁ私の場合は、話をするのが大好きですから、「へぇ~、こう言う不具合の

場合は、まず、そんな所から見て行くんだ~」とか言うと、「まぁ、この部分に

問題が有る場合が多いので、まずは、ここから確認します」と教えてくれたり

します。と言う事は、次回、同じ不具合が発生した場合は、まずここを点検

してやればイイんだ。 と、一つ、自分の知識が増えて行くワケですよね。

 

こうやって一つ一つ知識を増やして行くと、次に同じような不具合が発生した

場合、「最初の部分は見たけど、問題無かったよ」と伝えれば、「そうですか、

ならば次の部分だと思います」てな具合に、修理時間を大幅に短縮する事が

出来るように成り、最終的には、自分で直せるように成ったりします。

 

と、言うよりもね、大忙しの時に、修理で2時間も、印刷機が停止してしまう

ってのは、こりゃかなり痛いじゃないですか。そうした大忙しの時に止めない

ように、チョッと暇な時に、その「最初の部分」の点検や整備が出来るように

成るって言うのは、かなり有効なんですよ。

 

印刷をする事だけが、オペレータの仕事ではない。自分の機械を熟知して、

機械停止と言う一番の不具合を防ぐべく、日々の手入れをして行くってのも、

とても重要な、オペレータの仕事だと思っています。