ある在宅ワーカーのつぶやき -43ページ目

ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

これも結構難しい使い分けになるかと思います。旧ルールでは区別なく全て平仮名表記で非常に楽でしたが、このたびの改訂で漢字を使い分けることとなりました。

 

これが面倒なのは、日本語としてそんなに明確な区別がないようで、辞書にも特に区分の記載はないんですが、個人的にはふだん何となく感覚で、布団は「柔らかい」、煮豚は「軟らかい」ぐらいの感じで使い分けているものもあり、または使い分けていないものもありというカオスな感じであるからです。

 

そのためか、この項目についてはきちんと用字用例辞典に意味も記載されています。「柔らかい」は「ふんわりしている、しなかやである、穏やかである」で、「軟らかい」は「手応えや歯応えがない、緊張や硬さがない」だそうで、何となく私のもともと持っていたイメージにも合致する感じでした。

ただ、用例を見てみると、「身のこなしが柔らかい」「頭が軟らかい」「文章が軟らかい」など、個人的にちょっと微妙なものも含まれています。これもまた出てくるたびに用例を確認しなければ間違えそうであるなと、ちょっとまた現実逃避したくなってしまった私でありました。

毎度毎度の、新訂で表記が変わった言葉です。

旧ルールでは全て平仮名表記でしたが、このたびの改訂で漢字と平仮名を使い分けるようになりました。

 

どういうルールかといいますと、用字用例辞典の用例を見ただけではちょっと分かりづらいのですが、辞書を調べると一目瞭然です。

用字用例辞典の「程」と「ほど」はもともと日本語としては同じ漢字で表記できますが、辞書では別項目として記載されています。

以下、デジタル大辞泉より意味を一部略して引用します。

 

【名詞の「ホド」】

1 物事・動作・状態の程度や段階。「年の程は二十 (はたち) 前後」「実力の程はわからない」「身の程をわきまえる」
2 許される範囲内の程度。ちょうどよい程度。「ふざけるにも程がある」「何事も程を過ごさないようにしろ」
3 ある広がりをもった時間。
ア)ある程度の時間。間 (ま) 。「程もなく帰ってきた」「程を経て返事が届いた」
イ)おおよその時間・時刻。ころ。おり。「夕暮れの程に家を出る」「手のあいた程をみて連絡します」
4 (「…のほど」の形で)断定を避け、表現をやわらげるのに用いる。「御自愛の程を祈ります」「詳細の程は、お問い合わせください」

 

【副助詞の「ホド」】

1 多く、数量を表す語や、「いか(如何)」「どれ」などの語に付いて、おおよその分量・程度を表す。…くらい。「一週間程旅行する」「どれ程眠ったろうか」
2 ある事柄をあげることによって、動作や状態の程度を表す。…くらい。「二人は驚く程似ている」

3 打消しの意を表す語と呼応して、程度を比較する基準を表す。…くらい。「きのう程暑くはない」「彼程正直な人はいない」
4 (多く「…ば…ほど」の形で)一方の程度が高まるのに比例して、他方の事柄・状態が一層高まる意を表す。…につれて一層。「読めば読む程面白くなる」
 

用字用例辞典の用例は「程」が「程なく」「程よい」「程がある」「身の程知らず」、「ほど」が「先ほど」「それほど」「決意のほど」「嫌というほど」「多いほどよい」「見れば見るほど」ですから、大きく分けると名詞だと「程」、副助詞だと「ほど」になるようです。

また、用例を見ると、「~のホド」というのが平仮名、漢字両方にあります。これはどう分けるかというと、「身の程」は名詞の1番目の意味であり、「決意のほど」は名詞の意味の4の表現を和らげるものであると思われますから、名詞のうちこの表現を和らげる場合のみは平仮名表記であると考えられます。

 

このように、「ホド」は一見名詞と副助詞で分ければいいようにも見えますが、実は「のホド」のときはさらに細かい使い分けが必要であるという、意外と間違いやすいものであります。

これもまた仕事中には忘れてしまう予感がしてなりません。

これは珍しく、もともとの個人的な表記の癖と旧ルールで同じ表記だったものが、今回の改訂で認識を変えないといけなくなったものです。

それはもう、これまでの人生四十数年平仮名表記なイメージだったものですから、すぐうっかり平仮名表記してしまいます。大体、もともと無変換でエンターキーを押す癖をつけてしまっていましたから、ちょっと気を抜くと無変換にしてしまうんですね。変換キーを押すと大丈夫なのですが。

 

ただ、これは幸い、「度肝」と同じく一括変換しても問題がない言葉ですので、機械にお任せして変換してもらい、変換結果を見てじわじわ認識を変えていこうと思っています。

こんなのばかりだといいのにと、ないものねだりが止まらない今日この頃です。

平仮名表記一択からの変更による驚きの使い分けで日々悶絶していますが、こちらは昨日とはちょっと異なるパターンです。

昨日は「えっそんな表記するの??」だったんですが、今日は前に記事にした「堅い」その他と同じく、「どう使い分けするんですかね……?」です。

用字用例辞典の用例を見ますと、「尊い」は「尊い-神仏・平和・教え・生き方」、「貴い」は「貴い-命・犠牲・教訓・資料・体験」とあります。私はこれまで、用字用例辞典の旧ルールでは平仮名表記で区別が不必要でしたし、個人的に完全にごっちゃにしていました。全く書き分けができません。

まあ辞書を見ると一つの項目になっていて、補説もないため特に日本語としては決まった書き分けルールはないようなんですが、ここで問題なのは用字用例辞典のルールですから、きちんと書き分けできるようにしないといけません。

 

辞書を見ると、意味が三つ記載されています。以下、デジタル大辞泉より古文の例を略して引用しますと、

 

1 崇高で近寄りがたい。神聖である。また、高貴である。たっとい。「―・い神仏」
2 きわめて価値が高い。非常に貴重である。たっとい。「―・い命」「―・い犠牲を払う」

3 高徳である。ありがたい。

 

1が「尊い」、2が「貴い」でいいんでしょうけど、「尊い-平和・教え・生き方」が3の意味なんですかね……?

同じ書き分けが必要な「貴ぶ」「尊ぶ」を用字用例辞典、辞書ともに見てみましたが、いまいちよく分かりませんでした。

本当に今回の書き分けは難しいです。取りあえず、出てくるごとに用字用例辞典の用例と見比べることとします……。

以前のルールのとき記事にしたことがありますが、個人的にもともと漢字表記する癖がついていたのを無理やり認識を矯正したものが、今回の改訂で漢字表記に変更になったものです。

 

ぱっと見どういう使い分けか全然分からないため、取りあえず用字用例辞典を開いてみますと、「増える」は増加のときで、用例として「人数・水かさ-が増える」とあり、「殖える」は利殖、増殖のときで、用例として「財産・ネズミ-が殖える」とあります。辞書を見ても補説として「財産や動植物がふえる場合は多く「殖える」と書く」(デジタル大辞泉より)とありますが、私、個人的に「増える」一択だったんですよ……。少数派……。

 

「殖える」は限定的じゃないかと感じる方もおられるかもしれませんが、私の受けている仕事は動植物の増減に関する内容に触れるものが結構ありまして……。

というか、この「増える」の記事を書こうとしてマイ辞書を見て、久しぶりに「殖える」との使い分けが必要なことを思い出しました。もしかしたらこの2か月の間に間違った表記をしてしまったかもしれません……。泣

 

でもまた忘れる自信があります。どうやったら覚えられるんでしょう……。