ある在宅ワーカーのつぶやき -13ページ目

ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

御無沙汰しております……。

すっかり更新をサボっておりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

私は、いつもの流れの繁忙期からのバイト入れ過ぎで死にかけておりました。

「取りあえず募集があるものは応募しておこう、全部は採用されないだろうし」と5週間続けて週末バイトに応募したら、全部採用されまして。

しかも、「5週間続けて」というあたりで察した方もおられると思いますが、繁忙期の終わっていない時期からバイトスタートです。こちらは「そんなに忙しくないはずの6月だし、大丈夫かな」という判断によるものです。

私の甘い見込みに、「繁忙期が終わると思ってバイトを入れたら終わらなかった」のほかに新たなパターンが加わりました。

 

というわけで、筋肉痛すら1日置いて来るようになった婆は積み重なったダメージがなかなか抜けないため、今日はテープ起こしには関係ないお話でお茶を濁そうと思います。

 

さて、私がいつも行っているバイトはスーツ着用して行うものなのですが、大分前、その準備でスーツを着用して髪のセットをしていたところ、遊んでくれないとお怒りの猫様に飛びつかれてスーツのパンツが破れました。

※我が家では猫様のほうが偉いので仕方ありません。猫様の要求どおり遊ばないほうが悪いのです。

その日はそれしかなかった冬物スーツに着替えて、汗だくになりながら出勤したんですけど、1着しかなかった夏物のスーツなので大問題です。

何より、10年以上前にバーゲン初日にダッシュして半額で買った、Lサイズでも痩せて見えるお気に入りのブランドのスーツです。もう同じことをする元気はありませんが、正規の値段では買えませんし、痩せて見えるのがいいに決まっています……。

 

それでいろいろ調べた結果、メール見積り&宅配便で頼めるかけつぎのお店をネットで見つけて、頼んでみました。

その結果がこれです。

これは戻ってきてすぐの写真ですが、かけつぎをした部分は生地が2枚重なっているので、すぐ脇にある縫い代のところと同じようにアイロンをかけたところが段差になってちょっと目立っているようです。

これは、一度着用してクリーニングに出したところ、ぱっと見ではどこがかけつぎした部分なのか全く分からなくなりまして、プロの仕事すごい!!と非常に感動しました。

(クリーニング後のアップ写真です。最初の写真とほぼ同じ位置です。ちょっと離れると、まず分かりません)

 

分野は違いますけど、私もこんな、お客様に「さすがプロ」と思ってもらえるような仕事ができたらなと思います。

その節は、江見屋かけつぎ専門店様、大変お世話になりありがとうございました。

※アフィっぽくなりそうで嫌なので、リンクは張りません。必要な方は店名で検索してみてください。

非常に分かりにくくなった使い分けの変更です。

 

以前は、「復原」の項に「(理学)」と記載があり、用例は「船舶・航空機の復原力」とあって、これだけではいまいち何か分からないのですが、辞書を見ると、「復原(元)力」の項に「伸び縮みするばねなどの弾性変形を、もとの状態に戻すように働く力」「傾いた航空機や船舶を、正常の位置に戻すように働く力」(デジタル大辞泉)とありまして、まさにこれが用字用例辞典における「復原」であろうということで、通常は「復元」を用いるのだろうと理解していました。

 

それがこのたびの改訂でどうなったかといいますと、「復元」は、「失われてしまったものを元の姿に戻すよう新たにつくること」で用例は「古代住居を復元する」「復元図」、そして「復原」は、前用いていた「復原力」の場合にプラスして、「改造、変化している現状を元の姿に戻すこと」で用例は「東京駅の復原工事」というものが新たに含まれるようになっていました。

つまり、「元の姿に戻す」という意味のときの使い分けが必要になってしまったのです。ええーー。

 

「失われたものを新たにつくる」と「現状あるものを元の姿に戻す」という明らかな違いがありますけれども、それを実際「フクゲン」という言葉が出てきたときに思い出せるか、そして仮に思い出したとしても、どちらが「元」でどちらが「原」なのかまできちんと認識できる自信はありません。毎回用字用例辞典を開いて確認するしかないということです。

 

そこで何かヒントになりやしないかと文化庁の「言葉に関する問答集」を開いてみましたら、ありがたいことに項目として載っていました。引用してみます。

 

「「元」は、もと、人間のまるい頭を描いた象形文字で、転じて「はじめ」とか「もと」の意味を表す。「原」は、もと、岩の穴から水のわき出る泉の意で、転じて「物事のもと、起源」の意を表す」。それに「復」(もとにもどす)を加えた「フクゲン」は、「復元」と書いても「復原」と書いても、その表す意味に相違はないと考えられる」。

 

……………………全くヒントになりませんでした。

ヒントにならないどころかむしろ、この引用文の後には、学術用語の「フクゲンリョク」の場合のみ「復原」を用いるという、用字用例辞典の前のルールと同じ使い分けが新聞や放送界では用いられており、これが一般的であろうという旨が記載されています。

何で使い分けることにしたのかと、担当者を小一時間問い詰めたいです。

このたびの改訂で、用字用例辞典に追加された言葉です。

同じ意味の「金づち」「ハンマー」はもともと記載されていました。

 

そもそも用字用例辞典の基本ルールとして、「特に指定がないとき、和語は平仮名表記、漢語は漢字表記」というルールがありますが、この「トンカチ」については、改訂前のルールが適用された過去の国会議事録を見ると、片仮名表記されていることのほうが多く見られます。

恐らくですが、この「トンカチ」の語源がその発する音から来ており、前のルールでは「擬音は片仮名表記」というルールがあったためではないかと思いますが、その「擬音は片仮名表記」というルールが、このたびの改訂でなくなっていました。それで今回用字用例辞典の項目として「トンカチ」が追加されたのかなと想像しています。(あくまでも想像ですが)

前のルールのときに、何度も間違って漢字表記してしまっていたものです。このたびの改訂で基本漢字表記になって、個人的に大分楽になりました。

 

「基本漢字表記」と書きましたが、まず漢字表記であると考えていただいて間違いないかと思います。

というのが、平仮名表記するのは、私が用字用例辞典をざっと見た限りですが、「まぶた」と「かさぶた」のみです。「火蓋」「割れ鍋にとじ蓋」なども全て漢字表記になりました。

 

平仮名表記の二つの言葉は、日本語としては「蓋」の漢字を用いて書けるけれども、一般的に漢字表記されるときはほかの文字を使われることが多い、あるいは平仮名表記されることが多いと思われるものであり、個人的なには、「ふた」と「蓋」の使い分けになったのではなく、「ふた」は完全に「蓋」の表記になったというイメージを持っています。

 

上で「まぶた」と「かさぶた」は漢字表記の方法が複数ある旨記載しましたが、こういうところも日本語を学ぶ外国の方々には難しいところだろうなと思います。私もいまだに用字用例辞典を調べて知ることが多いです。本当に日本語は難しいです。

この動詞「スれる」の表記ルールでちょっと分からないところが出てきましたので記事にしておきます。

 

まず、辞書を調べると、動詞「スれる」には以下の三つの意味があります。(以下、デジタル大辞泉より引用)

1 物と物とが触れ合って動く。こすれる。「木の葉が―・れる」
2 物と物とが強く触れ合ったり、絶えず接触した状態で動いたりして、痛んだり減ったりする。
3 いろいろの経験をして、純粋な気持ちがなくなる。世間ずれがする。

 

そして、用字用例辞典では、以前は動詞「スれる」は全て平仮名表記だったのが、「長年の都会暮らしですれてしまう」は平仮名表記のままで、「裾が擦れて破れる」「靴擦れ」は漢字表記となりました。

これからすると、3の「いろいろの経験をして、純粋な気持ちがなくなる。世間ずれがする」のときは平仮名表記、2の「物と物とが強く触れ合ったり、絶えず接触した状態で動いたりして、痛んだり減ったりする」のときは漢字表記になったものと考えてよいかと思います。

 

では、1の「物と物とが触れ合って動く。こすれる」はどうなのか。

 

普通に考えれば1、2は意味が近いため同じで3のみが平仮名表記になりそうですが、ここで動詞「スる」の記事を思い出してください。「スる」は、印刷のときは「刷る」、「物に、他の物を強く触れ合わせて動かす。こする」の場合は「擦る」と表記し、そうでないとき、つまり「手をすり合わせる」なんかは平仮名表記でした。

つまり、動詞「スる」だと、「物と物とが触れ合って動く」は平仮名表記なのですね。
 
「スる」に準じれば「木の葉がスれる」は平仮名ですが、どうなんでしょう……。

考えれば考えるほど謎が深まりますので、もう会社に尋ねます……。