知って震えた使い分けです。
そもそも日本語としての「カンヅメ」には大きく分けて二つの意味がありまして、辞書から引用しますと、一つ目は「 食品をブリキ缶やアルミ缶などの容器に詰め、空気を抜いて密封したあと、熱を加えて殺菌し、長期間保存できるようにしたもの」という食べ物が対象のもので、二つ目は「一定の場所に人を閉じ込めて、外部との交渉を断った状態に置くこと」「狭い場所に多人数がとどめ置かれた状態」という人が対象のものであります。(意味は全てデジタル大辞泉より)
これらは用字用例辞典のルールで以前は使い分けが必要なかったのが、この間の改訂においてその二つの意味で使い分けることとなりました。食べ物が送り仮名なし、人が送り仮名ありです。
つまり、
例)非常食として缶詰を買いだめした。
仕事が終わるまでは自宅で缶詰めだ。
ということなんですが、これ、「缶詰」のほうは、しれっと通則7のところに記載されています。そうです、このブログで何度も出てきている、通則6と並んで死ぬほど私を困惑させている通則7「複合の語のうち、次のような名詞は慣用に従って、送り仮名をつけない」です。
通則7を見てみますと、もともと使い分けが必要だった「手引」と「手当」、「割引」が記載されています。これらは前と変わらず引き続き使い分けが必要なものであり、「カンヅメ」もこれらと同様に以前のルールと同じであると思ってしまうと間違いが生じてしまうということです。恐ろしいわなです……。
ほかにもこういうものがあるかもしれないのですが、確認するのを諦めました。小さい字でみっちり1ページ余り記載されている言葉の数々を今見ても、何か見落としがありそうだからです。もうその都度一々用字用例辞典の項目を確認することとします……。