なんで否定語が前に出ると倒置するのか | 苦手を克服!得意をもっと得意に!中学・高校英語がわかる講座

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前回は中学英語がメインのことになったので、今回は高校英語をメインに書きましょう。

英文法の授業では、最近ではあまり取り上げないのでしょうか。

倒置について書きたいと思います。

 

ふつう、英文は〈主語+動詞〉、つまり「誰が」「どうする」ということから始まるのですが、たまにそういう書き出しじゃない英文があります。

語順がちょっとちがうというわけですね。

だから倒置というわけなんですが、ただでさえ英語が苦手な人にとっては、いつもと違う語順にされると、よけいにややこしくなっちゃうわけです。

 

そんなややこしくなる倒置の代表例が、否定語が文頭にくる場合です。

Never(決して~ない、一度も~ない)、Not(~でない)、Seldom(めったに~ない)、Only(~だけ)など、訳すと「~ない」と否定的な意味あいになる単語が否定語です。

 

たとえば、I have never played tennis.(私はテニスを一度もしたことがない)という英文で、neverの部分を強調したいから文頭に出して倒置させ、Never have I played tennis.と書いた英文があったりします。

〈主語+動詞〉のルールに全然沿っていませんが、これが倒置した形になります。

よく見ると、neverの後ろの部分はhave Iと疑問文みたいな語順になっていますね。

なんでこんな形の倒置になるんでしょうか。

 

否定語なんてさっき書きましたが、品詞、つまり「動詞」「形容詞」みたいな分類で分けると、否定語はすべて副詞の分類になります。

この副詞ですが、文のどこに置いてもそれほど困ることが少ないものです。

だから、さっきみたいに否定語を文頭に出して、ということも可能なわけですが、だからといってそれぞれの人が適当なところに好き勝手に、ってすると読む人にとっては読みにくいです。

 

なので、副詞というのは、ふつう動詞のことを説明(修飾)することが多いから動詞の近くに置くのが一般的になっていきます。

I always play soccer.というのは「私はいつもサッカーをする」という意味ですが、「いつも」というのはどれくらいの頻度で「する」のかを説明(修飾)しているわけですね。

だから、alwaysはplayの近くにあるわけです。

 

じゃあ、同じように、さっきのI have never played tennis.という英文について考えると、neverが修飾しているのは何でしょう?

have played(したことがある)ということを否定しているわけですよね?

ということは、neverが修飾しているのはhave playedということになります。

だから、neverはこの現在完了の間に位置しているわけです。

 

このneverだけが単独で文頭に来ちゃうと、そのhave playedと離れることになっちゃいます。

それだと、さっきの一般的なルールと違うことになっちゃいますからダメですよね(ただでさえ〈主語+動詞〉の原則と違う形にしているんですから、ここでさらにルール違反するわけにはいきません)。

そこで、neverの後を疑問文の語順にすることで、近くに動詞があるという状態にしようというわけです。

だから、haveだけが前に移ったわけなんです。

 

さっきonlyという単語を出したとき、「~だけ」という意味だったら、「ない」って意味は含んでないじゃないかって思われたかもしれませんが、こういう説明を聞くと否定語になることがちょっとは納得なんじゃないでしょうか。

たとえば、I only study math.(私は数学だけを勉強する)という文なら、違う言い方をすれば「私は数学だけしか勉強しない」ということになるんですから、否定の意味あいが入ってますよね。

 

だから、onlyが文頭に出たら、Only do I study math.となるわけです。

only I study math.なんてしたら、動詞と離ればなれになっちゃうんで、疑問文の語順にして、とりあえずdoというのだけでも置いて動詞の近くという状態にしているわけですね。

 

いかがでしょうか。

こういう理由を説明されると、ちょっとややこしいこの文法もわかりやすくなるんじゃないでしょうか。

単に、「否定語が文頭に来たら、疑問文の語順になる」なんて言われるだけより、納得しやすいんじゃないかなって思います。