戦車乗員、つまり戦車に乗っている隊員の職務には車長、砲手、操縦手、装填手があります。
しかし、74式戦車以降の90式戦車や10式戦車は自動装填装置のため装填手がおらず3名の乗員となっています。
若い新兵の陸士の戦車乗員は、74式戦車を装備する部隊の場合装填手から始まる。
装填手は戦車砲弾の装填や連装銃(車載機関銃)の機関銃弾の装填が任務ですが、戦車での仕事は雑用が多いですね。
弾の装填なんて戦車に乗っている間で一瞬だけで、後は左側の警戒、後方警戒、上空警戒・・・。
いやコーヒー淹れるのが一番大切な任務かな?
戦車を降りたら直接警戒員、歩哨、掩体掘り、無線傍受、飯上げ・・・・・。
その装填手が一人減るとどうなるか想像できますか?
戦車乗員の仕事はたくさんあるのです。
車長はもっとも忙しく、操縦手は動いている間は操縦してますし、停車したに直ぐに戦車の整備などあります。
砲手は・・・、射撃以外は暇ですね・・、いやいやそんなことはありません。
斥候、先行して陣地進入の誘導などいろいろやることがあります。
最近は戦車部隊の縮小と、戦車の削減で戦車乗員が余剰人員となってしまい新隊員は余り機甲科へは行けなくなっています。
機甲科へ進んでも戦車乗りになれるとは限りませんからね。
昔は2曹クラスから車長になれましたが、今は・・・・。
砲手は2曹、3曹クラスですが3曹になっても上が空かない限り砲手にもなかなかなれません。
操縦手は陸士長や3曹ですが、元々は3曹の補職ですね。
戦車乗員の大変なのは装填手で一人前になっても、昇格して操縦手になればまた一から鍛えられ学び研鑽を積む必要があり、陸曹になって砲手に昇格すればまた一から砲手として鍛えられます。
当然車長になったらまた一から学び鍛え、今度は装填手、操縦手、砲手を鍛え育てなければなりません。
車長も戦車小隊の小隊陸曹になれば役割も大きく変りますし、曹長や幹部になれば小隊長となりまた一から学び研鑽し鍛えられます。
戦車乗りは常に勉強です。
74式戦車から90式戦車に変れば当然また新しい勉強ですし、10式戦車になれば当然また勉強です。
役職が変れば勉強ですし、戦車乗員はずーーっと戦車乗りでいられる訳でもなく、事務室で係り陸曹になったり、戦車部隊から転属して地本など機関での勤務もありますからね。
それに意外と装填手から車長までやっている戦車乗員はそれほど多くない。
他職種からの転科や生徒や曹学出身は装填手の経験がなかったりしますからね。
普通科出身で機甲科に転科してきた2曹の車長にやたらと殴られたが、何か学んだことは少なかったね。
つまり、教えることが出来なかったのだろう。
しかし、装填手から順に上に昇格した車長は同じ殴られ叱られても学ぶことが多く、そういう車長に学べたことは私にとって貴重な経験であり体験であった。
下積みは大事だね。