一聴して大傑作である確信を持てるアルバムが時々あります。

だいたい、年間ベストアルバムの3位くらいまでに入るアルバムには、そういう入口が用意されてますね。

Arcade Fire の Suburbs 、 John Frusciante の PBX Funicular Intaglio Zone 、Vampire Weekend の Contra などが、パッと思いつくところ。

今年は、このアルバムでその雰囲気を感じました。

Sufjan Stevens "Carrie & Lowell"

キャリー・アンド・ローウェル/ホステス

¥2,561
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ちなみに、自分は彼のファンじゃありません。
今までにちゃんと聴いたことのあるアルバムはありません。
前作の評判が良かったからさわりを聴いてみましたが、それほどピンと来なかった。

だからこの新作にも特別な期待も思い入れもなかったわけですが。

生まれてすぐに離れて会うことができずに亡くなった母親への想いをベースに、書き綴ったアルバム。

どこまでも透明で、自分と愛する人と自分の気持ちを慈しむように流れていく音楽。
メロディも、演奏も、透明に磨かれている。
歌声も沁みてきます。

たぶん、2曲目が始まった時に確信したと思います。
これは素晴らしいアルバムだと。

とてつもなく素晴らしいけれど、たぶんひんぱんに聴くことはないかもしれません。

本当に聴きたい時に、じっくりと聴きたいから。







巷でけっこう評判のいいこの人。

D'angelo & The Vanguard "Black Messiah"

Black Messiah/RCA

¥1,533
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遅ればせながら聴きこみ中。

今のところ、この音楽のどこがそこまで絶賛されるのか、よくわかりません。

なんとなく良さげなところは、わかります。
でも、どことなく中途半端なんだよね。

インパクトも、テンションも。

どの曲も割と平板で退屈。
あんまり音も良くないし。
プリンスの方が、遥かにいいぞ。

今はそういう印象でも、聴けば聴くだけのスルメアルバムであることに期待して。

ZX2 の絶賛を続けましたが、誤解のないように言っておくと、ZX2を買えば何から何まで音楽がいい音になるわけじゃありません。


最終的に音楽を良い音で聴くことができるかどうかは、大きく3つの要素が影響してきます。


1.音源が良い音で記録されているか。


2.再生機(アンプ含む)で音質が劣化しないか。


3.出口(イヤホン、スピーカーなど)での再現性と魅力的な味付け。


ノイズや電源電圧の変動にも惑わされず、低周波から高周波まで、原音の波形を忠実に再現できるか。

音量の大小にも関わらず、波形を崩さずに送出できるか。


出口であるスピーカーやイヤホン、ヘッドホンは、要は振動板と振動板を入れる箱(と言い切ってしまう)です。

送られてきた変幻自在の波形と電流の変化に追従し、余計な共振や外部環境の変化を入れずに鳴らすことができるか。


そういう意味では、DAP+イヤホンの組み合わせは、スピーカーで聴く場合の部屋とかスピーカーの置き方などの外部要因による影響を考えなくて済みますね。


ZX2は再生機なので、この中でZX2が担えるのは、2.の部分だけです。


1.の音源が質の悪い音の場合、それ以上の良い音で聴くことはできないし、3.の出口であるイヤホンが安物の場合は、せっかく良い音でそこまで届けても、その音を再現してもらえません。


それは、ハイレゾだろうとCDだろうとMP3だと同じです。

音源の音が悪ければ、良い音で聴くことはできません。


1.の音源が良い場合、2.と3.の質が高ければ、そこに記録された音が再現可能になります。

ここで ZX2 の良さが発揮される、ってわけで。


それでも、3.が悪ければあまり意味がありません。


つまり、1.2.3.のレベルが合ってこそ、ZX2 の性能が最大に発揮できるってわけです。

1.3.がそこそこのレベルでも、2.の質が上がれば、そこそこの改善は感じることはできるけれど。


音の良さとは、1.の音源と、3.の出口、それらの影響が最も大きいのは確かなので、2.である再生機にお金をかけるのは、まずは3.である出口にお金をかけてから、ということになりますね。


そして、残念なことに、ハードロックを中心としたロックは、音の良い音源が必ずしも多くありません。

ローファイであることをアイデンティティに据えている人もいるし。

もともとノイズのカタマリであることを良しとする音楽だし、それが魅力でもあるし。


自分の中で、ジレンマになっていることのひとつです。



というわけで、わが家にやってきた、ウォークマンのフラッグシップ、 NW-ZX2





箱を開けてから使い始めるまでの時間のうちに、今まで使ってきたDAPとはわけが違うことを実感させられます。

 ○イヤホンが付いてない
 ○革製の専用ケースが付いてる
 ○電源入れてから100時間は慣らし運転が必要、と表示が出る

確かに、聴き始めの音は、決して良いとは言えません。
エージング100時間と言われなければ、ダマされた~と思うかも。

エージングのために、寝る間も、リピートモードで音を出し続けます。
まる4日。
ほぼ100時間。

そしてエージング終了。

これほどまでに、音が変わるとはね。
硬くて高音寄りのソニー製品と思うと、イメージがまったく違います。

深くて、太くて、柔らかくて、芯がある音。
高音よりも、むしろどっしりとした低音重視ともいえる音。
そして、滑らか。

明らかにポータブルオーディオの範疇を超えています。

しかも、この評価はハイレゾ音源ではなく、CDからリッピングしたアルバムを聴いたもの。

いやあ、びっくり。

ハイレゾを聴くまでもなく、すでにPCにある既存の音源をZX2に移し替えるだけで、今までとは別の音世界が広がったのでした!

ラジカセで聴いてた音楽を質の高いセパレートオーディオで聴き始めた、そんな感動が、喜びが、ここには。

高いお金を出した甲斐があった、てか、それ以上の価値があるかもしれない、この機器には。




すでに1年近く前の記事だけど、影響力のあるミュージシャンがこう言ってくれると、頼もしい。

彼にとって、従来のCDフォーマットはどこか不満があったところ、ビクター青山スタジオでハイレゾとCD聴き比べを行った時、ああこれがいつも演奏とCDの間で感じていたギャップを埋めてくれるものだ、と思ったそうです。

MP3とCD以上の違いが、音楽としての本質的な違いがここにはあると。
曲を創っているとき、録音している時にミュージシャンが感じる音楽が、ここにはあると。

純粋に音が素晴らしいから、ハイレゾ配信による音楽を本気で普及させるために、くるりは活動していこうと思っている、ということですね。


くるり岸田氏のハイレゾ配信への挑戦


ちなみに、くるりは、最新アルバムの PIER をハイレゾ配信を意識したクオリティで制作しました。