ありきたりの言葉を借りると、清水の舞台から飛び降りる覚悟。

ポチるのに、これだけ逡巡する時間が長いとは。

それくらいに、他と比べると法外な値段。

ソニーから発売された Walkman のフラッグシップ、 NW-ZX2


正面

側面
















まあ、とにかくビックリしました。
ここまでの製品を作ってしまうとは。

何しろ、デカい、厚い、重い。

今使ってるF887ですら割と大きくて、重量103グラム。
それが、ZX2は235グラム。倍以上。
削り出しブラックのアルミダイキャスト。金属塊の本体。
巨大な真鍮製のイヤホンジャック。

ポータブルデジタルプレーヤーも、やはりオーディオ製品だったと認識させられる、電源とシャーシーにこだわった作り。
本体128GBに加え、SDカード使用でさらに128GBの追加ストレージが可能な記憶容量。
FLAC再生でも30時間は保つと言われる、バッテリー容量。

まさに、自分が求めていたスペックが満載。

最大の問題は、やはり価格ですな。

DAPなのに、ウォークマンなのに、約12万円。

iPod mini が1万円台で、ウォークマンの廉価機種もそれくらいで買えるってのに。
しかも、イヤホンもついてない。

余計なイヤホンつけられるくらいなら、少しでも安くしてくれるのは嬉しいけれど、何しろこれ買っただけでは音楽聴けない、ってことですよ。

試聴もしました。
ネットで色んなレビューも読みました。
やっぱり音は、今までのDAPとは明らかに一線を画すほどに良いことを確信。

しかし、12万円。

ここまで来ると、DAPとの比較では正当化が難しいです。
音の良さ、という感覚的なものでは。
思い切って、他の商品やサービスと比較して、その価値を計ろう。

わかりやすいところで、テレビ。
40~50インチのテレビ買えば、そのくらいするでしょう。
自分にとっては、テレビと同等以上に生活必需なDAP。
テレビは、消極的に必要。
高品質なDAPは、積極的に必要。

車検。
なんで2年に一回、20万円も取られるんだ。
自分ではまったく必要としていないのに、自動車を維持してるだけで取られるお金。
これ以上に、消極的な出費はないかも。
それに比べれば、12万円の積極的価値なぞ、安いもんだ。

旅行。
一泊2万円の宿に一家3人で1泊したら6万円。
旅行は宿泊費以外に、交通費や食費やその他で1.5~2倍のお金がかかるもの。
積極的に遊んで2倍かかったとして、12万円。
旅行に一回行ったと思えばいい金額ってことか。

12万円。
決して高くないじゃないの。
やっぱり、それだけの価値はありますな、この商品には。
って、思っていられるうちに買わなきゃ。

ってことで、購入決定~ ポチ
うわー、買ったー

そして、その使用後の印象としては、想像以上の価値があったのでした。
レビューは、改めて。


カナダのインディバンド、 Viet Cong のデビューアルバム。

Viet Cong/Hostess Entertainment

¥2,253
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今の若い世代の人にとって Viet Cong (ベトコン)と言っても聞きなれない固有名詞的な響きしかないだろうけど、オヤジ世代の人間にとっては、グループ名に使われるのに複雑な思いのある言葉。

アメリカ人などは、相当嫌な気がする人が多くいるでしょう。

「南ベトナム民族解放戦線」というのが日本語訳で、1960年に南ベトナムで結成された、反米、反帝国主義のゲリラのことですね。
ベトナム戦争の中心でもあります。

特にアメリカは、相当な戦闘員を投入しても勝利は得られず、無差別テロやアメリカ兵捕虜への残虐な行為が頻発したこともあり、高齢な人たちから見れば、アルカイダやISのような理不尽集団でしかないでしょう。

まあ、そんな名前をグループ名に付けるカナダ人の勇気というか無謀さには、若干呆れながらも、目指す音への過激性の表れかも、などと若干の期待もこめながら、このアルバムを聴いたのでした。

全体的には、シューゲイズ的な音像をベースにしながらのポスト・パンク。
耳から麻痺性のガスを投入されて、だんだん脳と感覚が停止させられていくような音のカタマリという印象です。
そこはかとなく感じられる浮遊感もこの感覚を増大させる。

ボーカルはシューゲイズにありがちな、くぐもってエコーがらみでメロディレスなもの。
その割には、ギターはさほどノイジーでもなく、ベースもしっかりと聴こえ、キーボードもフィーチャーされていて、サウンドデザインも比較的しっかり考えられてるかな。

浮遊感とか麻痺的というのは、多分に3曲目に引っ張られて感じているところもあるけど、単調なギターフレーズやドラムスパターンが、聴き手がイメージするよりも長くリフレインされることでもたらされていると分析。

単にシューゲイザーと割り切れないし、クラウトロック的な部分もあるし、それぞれの良さを取り入れながら、グループ名にひっかかりを持たせてうまくシーンに入り込んできた。
メンバーはWomenというグループ(知らない)のメンバーだった人が多いらしく、デビュー盤とは言っても、新人バンドではないことが、手堅く作れた要因でしょうか。

アルバムはなかなかの完成度だと思います。
自分は後半の方が好きかな。









久しぶりの聴き比べシリーズ。

ジミーペイジは以前20年近く前に、Led Zeppelin (以下 Zep)のほぼ全タイトル一斉にリマスターしましたが、今回またリマスターに挑んでます。

しかも、今回は大量のオマケをつけてバージョン違いを出しながら、数カ月に2~3枚ずつのゆっくりリリースペース。

過去のアーカイブすべてに目を(耳を)通しながら貴重な音源や、アルバムが作成されるプロセスがわかる音源などを探しながらの作業だそうで、それはそれなりに時間がかかるとは思うけれど、どのアルバムでもしっかりセールスを取って行こうという明確な意思も感じ取れます。

自分は Zep は好きだけれど、初期の頃のアルバムにはそれほど思い入れがありません。
はっきりと好きになったのは、アルバムでの音がはっきりと硬くなってきた Physical Graffiti (以下 PG)以降でしょうか。
だから、前回のリマスターで買ったのは PG と Presense だけです。

今回のリマスターは、ペイジの気合いも相当入っているようだし、ゆっくりリリース戦略にまんまと乗せられ、セカンド、Houses Of The Holy をすでに買いました。
もちろんそれぞれデラックスバージョンね。

しかし、その2枚のアルバムは音の比較ができる昔のCDを持ってません。
セカンドはガキのころに友達からLP借りてコピーしたカセットだけだったし、5枚目はLPを持ってるだけ。
だから、今回のリマスターで音がどう変わったのかの検証ができなかった。

それでも確実に言えるのは、セカンドアルバムについては、記憶にあるサウンドと比較しても楽器ごとの分離やエッジが効いているのは確かなようです。

というわけで、自分が初めて過去のCDと音の聴き比べができることになったが Physical Graffiti です。

フィジカル・グラフィティ <リマスター/デラックス・エディション> (デジタルミュージックキャ.../ワーナーミュージック・ジャパン

¥3,564
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そしてこれは、ジミーペイジのサウンドへの意識が急激に変わったアルバムだと、自分は思ってます。
本人は最初のファーストからだと言ってるけどね。

だからこのアルバムでは、初めから本人の目指すサウンドクオリティに近づいていた可能性が高く、リマスターでどれだけ変身するのか、できるのか、期待半分、不安半分、というのが正直なところでした。

さて、聴き比べはいつもの高解像度ヘッドホンシステムを利用して行います。

 ① 最初のリマスターCD
 ② 今回のリマスターCD

リマスターなしのCDは持ってません。LPも売ってしまって手元にありません。

対象とする曲は、
Custerd Pie
Kashimire
Down By The Sea Side
などを中心にしました。

こうして改めて①の初期リマスターを聴くと、それなりにいい音がしてます。
楽器ごとの分離やボーカルの立ち方、それほど不満はありません。
というか、ハードロックにそれほどの音質を期待しても仕方がないと思ってる部分もあります。

こうして過去の音質を確認して、最新のリマスターでは何をどう変えるのか、想像するのが最近の楽しみです。

リマスターコンセプトというか、ここまで技術も機材も進んで、ハイレゾなどという高品質フォーマットまで出てくると、何を目指してリマスターするのかとても重要になります。
昔は不可能だった解像度高い音質を実現、という時代はとっくに終わってますからね。

そして、②の最新リマスターです。

上記候補曲をある程度聴き進んでも、あまり大きな差が感じられません。

確実に言えるのは、ロバートプラントのボーカルがリアルに繊細に響いてくること。
サブの楽器というか、リードギターでもない、ベースでもない、ドラムスでもない、アレンジの味付けに加えられている楽器のパートが鮮明に聴こえること。
あとは多少リードギターのエッジが立って聴こえること。

まあ言ってみると、より自然なバランスで全体がクリアになった印象でしょうか。
明らかにハイレゾを意識したリマスターです。

サウンドスケープの深さを出そうとするリマスター。

繰り返しになるけれど、ハードロックという範疇の音楽でこれをやることのメリットがどのくらいあるのか。
どのくらいの人がこの差を聴き分けられる環境にあるのか。

そして、ジミーペイジが求めていたサウンドデザインやサウンドクオリティは、前回のリマスターでほぼ完成させられていた。
硬い音は、数世代前のデジタルリマスターのもっとも得意とするところだから。

おそらく、Zep のリマスターは、過去のアルバムであるほど、その差を感じやすいのかもしれませんね。
オリジナルのリリース年が古く、ジミーペイジの意識もそれほど高くなかったであろう作品ほど、今回のリマスターは効果があるのだと思います。

一般的なリスナーは、このアルバムに関しては、リマスター効果よりもオマケに魅力を感じてもらった方がいいのかもしれない、というのが結論でしょうか。


聴き始めのインパクトはそれほど強くなくても、なぜだか気が付くと良く聴いているというアルバムがあります。

たぶん、心地よいのでしょう。
そのサウンドスケープに浸っているのが。

ロンドンを拠点とした4人組 Woman's Hour のデビューアルバム、 "Conversations"

Conversations -Digi-/Secretly Canadian

¥1,919
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ややメランコリックなメロディ、けだるげな女性ボーカル、響き重視のスッカスカのサウンドスケープ。
そう、まさに、The XX と Beach House を掛け合わせたような音楽。
それぞれの個性を少し薄めてうまく融合させたと言ってもいいかも。

好きものならたまならない音楽とも言えそうです。
自分もどっちもすごく好きなのでね。

ある種、この前ご紹介した The Pop Group とは対極にあるような音楽。
そのどちらも心に響く。
そのどちらも好き。

音楽の不思議、感性の不思議。

リズミカル系


The XX Beach House 融合系




まんまBeach House 系の曲と、The XX 系の曲もすごくいいんですが、YouTubeで見つかりませんでした。


CDの誕生後、CDを超える音質のフォーマットとして、SACDやDVDオーディオがリリースされ、最近ではBlu-Rayオーディオというフォーマットでの高音質リリースも増えてきました。


そのどれも専用プレーヤー(Blu-RayオーディオはBlu-Rayドライブがついてるパソコンでも再生可能)が必要だし、そもそもタイトル自体が少なすぎて、思い切った一歩を踏み出そうという気持ちが湧いてきませんでした。


そして、結局一番多く聴くのが、ウォークマンにダウンコンバートしてなので、最初の再生クオリティを高めてもほとんど意味ありません。


だから、GenesisのリマスターのCDがSACDハイブリッドでも、King CrimsonのリマスターがDVDオーディオサラウンドのオマケ付きでも、通常のCDフォーマット以外は、自分ではどうしようもない宝の持ち腐れ。


いやいや、ウォークマンやiPod、スマホなどのコンパクトな再生機に、アルバムを山ほど積み込んで自由に聴ける時代になったんだよ、音楽を聴く環境が飛躍的に良くなったんだからそれでいいのだ、多くを求め過ぎちゃいかん、と何の解決にもなっていない妙な納得感を自分に押し付けることで、新しい高音質フォーマットは見てみぬふりをしてました。


ところがいつの間にか、ハイレゾなんていう、新たな高音質フォーマットがいつの間にか登場し、じわじわと浸透してきました。


理論上というか、その理屈はCDの音質を超えるということは良くわかっても、専用の再生機が必要なことは変わらないし、それに見合うクオリティの高い出口(=スピーカーやイヤホン)が無けりゃ、これも宝の持ち腐れ、と最初は相手にしてなかったんですけどね。


ビックカメラで試聴しても周りがうるさすぎてその差なんてほとんどわからないし、そもそも人間の耳の可聴域を超えていると言われる周波数帯域まで再生できても、音の良し悪しに影響があるものか。


でも音には倍音というものがあり、可聴域を超えた周波数が可聴域の音に微妙な影響と複雑さをもたらすのも確からしい。

そして音楽は高音質で聴くべきと標榜しながらハイレゾをスルーしてもいいのか。


そんな思考のスパイラルに徐々にはまり込んでいくのでした。


そして、手元にある愛用のウォークマンF887は実はハイレゾ対応機。

パソコンにダウンロードしたハイレゾ音源をそのまま転送・再生が可能。

お、いけるんじゃないか。


しかし、ハイレゾの持つポテンシャルを生かすには、このウォークマンだと出口のD/Aコンバートがあまりにも貧弱だし、MP3の20倍のデータ量があってハイレゾ1曲でMP3で20曲分の容量が必要となるために、ハイレゾをたくさん記録するには、64GBの記憶容量なんてあっという間にいっぱいになってしまう。


つまり擬似的なハイレゾ体験はある程度できるものの、ハイレゾで音楽を楽しむ状態には絶対にたどり着けないことがわかってしまったのでした。