新年早々、いきなり反省から入るのもなんですが。


昨年は音楽をしっかり聴いてこれたとは言えない年でした。


理由はいくつもあるんだけど、大きいのは年中睡眠不足で音楽聴き始めるとすぐに寝てしまうことと、面白い本がたくさんあって気持ちがそっちに向きがちになってしまったことですね。

やっぱり音楽を聴くことは気持ちが良いので、疲れてたり睡眠不足だったりすると、速攻で心地よくて眠くなる。

本をたくさん読むと、自分の脳のキャパシティが低いのか、それも眠くなる。


そして、惹きつけられてたまらないほどの音楽が少なかった、という印象もあります。

期待してたのにそれほどでもなかったというアルバムも多かった。

散漫な聴き方が多かった自分にも問題はありますけどね。


十分な聴き込みができていないアルバムもあるし、聴く余裕が出てから聴こうと思ってる本命アルバムもあるので、昨年のアルバムを今年も続けてゆっくりと楽しんで行こうと思っています。


だから昨年の年間ベストアルバムの選出は行いません。


ベストを選ぶということは、それぞれを年内にしっかり聴いてきたというリスナー側の責任をクリアしていることが前提だと思うのでね。

中途半端な聴き方しかできてないアルバムを落とすことはできないし、あんまり遅くなるのも意味ないし。


まずは塩漬け3カ月の Grizzly Bear と Tame Impala をしっかり聴くことから。


今年は、もう少しちゃんと音楽を聴ける状況に自分を置きたいもの。

「パパの好きな、凛として時雨が出るってよ。」

リビングから娘の声が聞こえる。

一瞬耳を疑ったが、どうやら凛として時雨がミュージックステーションに生出演するらしい。


ちょっとした驚き。それも不安を伴った。

でも見ないわけにいかないでしょう。

もしかしたら、茶の間に異空間を生じさせてくれるかもしれないし。


やっぱり甘かった。

客観的に見てもひどいデキ。

でも彼らのせいじゃない。

出演を許諾したことを除いて。


音楽的許容度の狭い人たちも観る、テレビという再生キャパの狭い受像機での受信を前提に、バラエティとして制作される音楽番組という枠の中で、彼らが生きる訳がない。


低音も高音もほとんど聴き取れないほどに、中域と中高域が強調されたバランス。

狭い音域のボーカルとわかりやすいメロディだけのJ-POPを聴くにはちょうどいいでしょうけど。

凛として時雨にはレンジが狭過ぎますよ。

ボーカルのキンキン声とうるさいと思われるしかないギター音だけが印象に残る構造。


ちょっとした不快感とともに奇怪なものが一瞬出て消えたね、としか思えなかっただろうなあ。


でもロックの音は異物感であり、そこと共鳴する人を探す楔だからね。

1万人がスルーしても、1人に響けばそれでいいのかも。


でも、凛として時雨は、あの1000倍は凄いです。


何かイライラしたり、ぶつけようのない怒りを感じてたり(自分に対してが多いけど)、後悔のカタマリになってたりで、ヘタな音楽聴いても気分転換になりそうもない時ってありませんか。

そういう時は癒し系のゆったりした音楽なんて聴いたら、逆効果。
やっぱり爆音でノイジーなギターをかき鳴らしてるロックに限ります。

ガリガリガリといやな気分をはぎ取ってくれる音楽。
気付け薬として、強い刺激をガツン与えてくれる音楽。
メロディのよさなんて求めません。
音が、音の塊りとして機関銃のように打ち込まれてくるようなロック。

自分の場合は80年代のNew Wave とか、後期 Led Zeppelin などの硬い音系のロックを選びます。
ハードコアも時々いいのがあるんだけど、ヘビメタの流れだと暑苦しくて聴いていてうっとおしいのもけっこうあるのであまり候補には入らない。

でも最近はそういったアルバムやミュージシャンが少なくなりました。
時代がそういった音を求めなくなったのか、自分の探し方がヘタなのか。

そんな中、リイシューではあるけれど、快感な音に出会うことができました。

Moss Icon
自分はまったく知らなかったけれど、1986年にアメリカのメリーランドで生まれたグループ。
4年で解散してしまったそうで、カリスマギタリストの Tonie Joy (知りません)が在籍してたんですと。

で、これが彼らのディスコグラフィーをまとめて再発したアルバム、"Complete Discography"

Complete Discography/Temporary Residence

¥1,691
Amazon.co.jp

とにかく、音が良い。
無駄なぜい肉がなく、切れ味鋭く切れ込んできます。
特にギターが素晴らしい。
エッジの効いたカッティングとリフ。
乾いているけれど独特の重量感を持つノイジーな音。。
ボーカルも金切り声で叫ぶわけでもなく、いい感じにマッシブ。

リマスターも施されてるのか、ベースやドラムスの分離もよいです。







ガリガリ、ガリガリ。
うーん、快感。

自分が知らないグループの名盤って、まだまだあるんだろうな。
こういうカタチでのリイシューで出会えることは嬉しいものです。
音楽はCDとしてフィジカルに手にしないと落ち着かない古い人間なので、どんなに聴きたい音楽でもネットダウンロードのみだとほぼ買いません。

ミュージシャンがタダでもいいから聴いてくれというのであればYouTubeを使うし、タダで聴ける音楽は聴き手もそれなりのゆるい態度で聴くことになってしまうと思うから。
音楽への対価は、送り手にも聴き手にそれなりの覚悟を求めます。

カナダ在住のエチオピア系シンガー件プロデューサーのシングルユニット、 The Weeknd

音を聴いて魅かれ、amazon を見てもタワレコを見ても売っていない。
それもそのはず、ネットからのフローダウンロードのみでの提供だった。
だからいつかフィジカルリリースがあるだろうと、その時点ではアルバムを聴くのをあきらめていた。

やっと、その待望のフィジカルリリースがありました。
今までダウンロードに供した3枚のEPをまとめて1セットに。
リマスターも施されました。

"Trilogy"

Trilogy/Republic

¥1,992
Amazon.co.jp


一度間違えて The Weekend のEPを買ってしまったのは失敗だったけど。
名前が似てて、実にまぎらわしい。

その待望の中身。
まず強く印象に残るのは、そのダークで沈んだサウンドスケープ。
そしてその中で漂うにように歌われる印象的なメロディ。

一見、ウリはダークなサウンドスケープにありそうに見えるけど、これはシンガーによるすぐれたメロディの歌のアルバムです。

この音楽は、歌ありき。
歌とメロディと歌詞があり、それらを取り巻くサウンドスケープにシンセを使用した。

シンセによるバッキングでなく、ギター弾き語りになってもおかしくなかったけど、やっぱりシンセによるダークでエモーショナルなサウンドが遥かに魅力的でしょう。

そして性急ではない、沁み込んで行くようなゆったりとしたリズム。







ダークで、エモーショナルで、ノスタルジック。
Twenty Eight なんてたまりませんね。

どこかでこんな雰囲気の音楽を聴いたな、と思ったら、以前ご紹介した退廃の楽園の歌姫 Lana Del Ray のサウンドスケープがこの系統ですね。
彼女の場合は、歌そのものがダークなエモーショナル感にあふれてますが。

今日ご紹介した曲はどれも3枚組の1枚目、House Of Balloons からのもの。
3枚ともフリーダウンロードのEPとして発表されたものだけれど、この1枚だけとっても尺も十分にあり、中身も捨て曲なしの充実作。

このあとにまだ2枚あるなんて。

楽しみで仕方がありません。
デビューアルバムが自分にはまったく響かずに「ダメ出し」カテゴリーの記事になった、 cero

彼らのデビュー時のうたい文句は、東京インディポップ、とか、はっぴいえんど風ポップの2000年風解釈、などと言ったもの。
ベクトルとしては魅力的。

しかし、確かに多国籍風ではあるサウンドは、独特の雰囲気はあったものの、何か芯というか特別な引っかかりがなくスルスルと流れていくだけのものでした。
ふにゃふにゃとしたメロディ。
個々の楽器も強い存在感を放つものではなく、かといってプラスのシナジーを奏でるものでもないジャムセッション。
演奏してる人達は楽しいのかもしれないけれど、こりゃリスナーとして楽しめる音楽じゃないな、と。
「大停電の夜に」、は良かったけれど。

もう聴くもんか、と思ってましたが、それなりに順調なスケジュールで出してきたセカンドアルバム。

あれ、リリース直後にあちこちの人たちがけっこう褒めてるぞ。
それも、ファーストは中途半端感は否めなかったけれど、これはグッと充実してきた、というもの。

うーん、迷うなあ。聴くべきか止めておくか。

まあ結局、買うんですけどね、興味のある音楽は。
でも用心にタワレコのポイントを使いました。

ということでセカンドアルバム、 "My Lost City"

My Lost City/BounDEE by SSNW

¥2,500
Amazon.co.jp

確かに「芯」ができてきました。
今までは、多国籍風をやることが漠然とした目的で、ゴールイメージが明確でなかったとしたら、今回のアルバムでは音楽に芯があり、そこにベクトルが収斂してきている印象。
そしてその芯には、自分たちのオリジナリティを確立しようという意思が見えます。

個々の曲のサウンドスケープや曲調にもメリハリや強弱感ができて、ずいぶんと整理されてきたなと言う印象。

楽器もただアレンジされたものを弾いてます、というものではなく、音の出し方も含めてその楽器がこの曲に置かれている意味みたいなものを明確に、自己主張もきっちりしてる。





規制かけてるのか、YouTube にほとんど音源がありませんでした。
実はこの「マウンテン マウンテン」のイントロが良くって、セカンド買いを決意したんですが、アルバム収録バージョンにはこのイントロ入ってませんでした。。

こういう音楽なので、ロック好きな人にウケるのかどうかは別物ですが、日本のアーバンポップスとして聴きごたえのあるアルバムになってきたのは確か。

でもやっぱり、聴きごたえは出てきても、自分にとって切実に必要な音楽ではないな。