「パパの好きな、凛として時雨が出るってよ。」
リビングから娘の声が聞こえる。
一瞬耳を疑ったが、どうやら凛として時雨がミュージックステーションに生出演するらしい。
ちょっとした驚き。それも不安を伴った。
でも見ないわけにいかないでしょう。
もしかしたら、茶の間に異空間を生じさせてくれるかもしれないし。
やっぱり甘かった。
客観的に見てもひどいデキ。
でも彼らのせいじゃない。
出演を許諾したことを除いて。
音楽的許容度の狭い人たちも観る、テレビという再生キャパの狭い受像機での受信を前提に、バラエティとして制作される音楽番組という枠の中で、彼らが生きる訳がない。
低音も高音もほとんど聴き取れないほどに、中域と中高域が強調されたバランス。
狭い音域のボーカルとわかりやすいメロディだけのJ-POPを聴くにはちょうどいいでしょうけど。
凛として時雨にはレンジが狭過ぎますよ。
ボーカルのキンキン声とうるさいと思われるしかないギター音だけが印象に残る構造。
ちょっとした不快感とともに奇怪なものが一瞬出て消えたね、としか思えなかっただろうなあ。
でもロックの音は異物感であり、そこと共鳴する人を探す楔だからね。
1万人がスルーしても、1人に響けばそれでいいのかも。
でも、凛として時雨は、あの1000倍は凄いです。