長い間放置したままでごめんなさいm(__)m
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「はぁ、はぁ、はぁ・・恥ずかしい、私ったら何を・・・」
人込みを避け薄暗い裏道に逃げ込んだウンス。
急に駆け出したせいで酔いが一気に回り、足元はフラフラだった。
「もう、早く帰ろう....」
そう思って歩こうとしたが、足が前に動かない。
仕舞いには視界が揺らぎ始め。
「うそ・・目が回る・・」
「危ない!」
「きゃあ?!」
一瞬の出来事だった。
地面に倒れそうになったウンスは、間一髪で大きな手に抱きとめられる。
「大丈夫ですか?」
目の前には見ず知らずの男の顔。
ウンスはポカンと口を開けたまま男の顔を見つめていた。
「大分酔っているようですね?」
「え、あ、大丈夫です、すみません。」
「一人で歩くのは無理でしょう、私が送りましょうか?」
「はい・・・え?あ、そうじゃなくて、えっと・」
ウンスは慌てて身体を起こした。
しどろもどろに答えるウンスの様子を見て、男は愉快そうに笑っている。
「驚かせてしまいましたね、私は怪しい者ではありません、安心して下さい。」
「そんな、怪しいだなんて・・」
それどころか優しい目で見つめられ、彼女の心臓は一気に跳ね上がった。
長い髪が顔半分を隠していたが、それでも酔いが醒めるような美貌の持ち主だということは分かる。
ウンスは思わずゴクリと唾を呑み込んだ。
「今日はイケメンだらけだわ・・」
「何か?」
「いいえ、こっちの話です。」
男っ気の無かった自分の前に次々と現れる超絶ハンサムな男達。
キム先輩もだが、あの・・
「チェ・ヨンだ。」
「そうそう、チェ・ヨンさん、えっ?!」
いつからそこに居たのだろう、人間離れした美貌の男が自分の後ろに立っている。
そしてウンスの腕から男の手を払い除けた。
「チェ・ヨンさん?」
ここは街灯の少ない裏路地。
灯りの真下に来なければ表情までは見えない。
だが見えたら、きっと彼女は気を失っていただろう。
薄闇に浮かぶ二人の瞳は赤く妖艶な光を放っていた。
「彼女に何の用だ?」
チェ・ヨンはウンスの目の前に立ち、もう一人の男を睨んでいる。
「チェ・ヨンさん、何なの?」
長身の男がウンスの目の前を塞ぎ、相手の男の姿は見えない。
ウンスは身を乗り出そうとしたが、腕を掴まれ身動きが取れなかった。
「チェ・ヨン殿、あなたこそ、なぜ彼女の傍に?」
「彼女はユ・ウンスだ、お前の獲物ではない。」
「存じております、ですから、こうして礼儀を守って会いに参りました、あなたこそ、ウンス殿に無礼ではありませんか?」
「知らぬ、彼女は俺だけのものだ。」
「変わらぬお方だ、またウンス殿を独り占めするおつもりですか?」
「お前にとやかく言われる筋合いはない、チャン・ビン。」
訳の分からに会話。
だが自分が関係していることは分かる。
「ちょっと・・何なのよ、さっきからウンス、ウンスって・・」
ほぼ初対面の男と、いま会ったばかりの男に名前を呼ばれる意味が分からない。
ウンスの酔いは一気に醒めた。
長身の男二人が路地の真ん中で対峙している。
いくら裏路地とはいえ、異様な雰囲気は人々の視線を集めた。
遠巻きに人々が集まってくる。
その中には、怖いもの知らずの女子の集団もあった。
「ねえ、彼じゃない?」
「きっとそうよ、きゃあぁぁぁ~、どうしよう、噂通りの超イケメンだわ。」
「見て、二人もいるわよ、あら、あの女は誰?」
アイドルの追っかけ並みのトークが聞こえる頃には黒山の人だかりになっていた。
「どうしよう・・」
次々に光るフラッシュが三人の姿を映し出す。
ウンスはヨンの手を振り解こうとするが、彼は全く離してくれない。
それどころか周りの様子などお構いなしに、チャン・ビンを睨んでいる。
「チェ・ヨンさん、手を放して。」
「離れたら護れぬ。」
「はい?」
護るって・・誰から?
「さっぱり分からないわ・・」
注目される恥ずかしさ。
意味不明な会話。
そして逃げ出す事も出来ない状況。
「もう泣きたい・・」
「まあ、今日のところはこれで引き下がりましょう、ですが、次は遠慮は致しません。」
チャン・ビンが睨み合いの幕を引いた。
「彼女を自由にはさせぬ、俺が必ず護る。」
「結構、ではウンス殿、またお会いしましょう。」
そう言うと、チャン・ビンは踵を返し、人込みを掻き分け立ち去って行った。
「はぁぁぁ・・・・」
緊張から解き放たれたウンスは、その場に座り込んでしまった。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない、あなたのせいで足に力が入らない。」
「では俺が抱いて行こう。」
「きゃあぁぁ!結構です、歩けます!」
ふら付きながら立ち上がったウンスは、穏やかな表情のヨンを見てホッと息を吐いた。
「今の人は誰?」
「知らぬ方がいい。」
知らぬ方がって・・・なによ、人を巻き込んでおいて。
「酔いは醒めたか?」
「お陰様で、すっかり酔いは醒めました。」
「家まで送ろう。」
「け、け、け、結構です、タクシーで帰りますから!」
「遠慮するな。」
「遠慮なんてしてません!」
冗談じゃない、これ以上関わりたくない。
それに記憶が正しければ、あれが夢じゃなければ、私はこの人と・・
「きゃあぁぁ――!!帰ります、ごめんなさい、じゃあ!!」
ウンスは自分でも関心するくらいの速さで踵を返し、一目散に駆け出していた。
薄れていた記憶が次第に鮮明になる。
思い出すたびに心臓が爆発しそうだった。
はっきり覚えてる彼の言葉。
ウンス、愛してる・・・
愛してる・・・
愛してる・・・
今度こそ必ず護から、俺の傍に・・
その言葉を聞いた時、胸が締め付けられるほど苦しくなって.....
そんな彼の頬にそっと触れ、私は呟いていた。
「テジャン、私も愛してる・・」
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