長い間放置したままでごめんなさいm(__)m

内容をお忘れの方はこちらを↓

    レッドアイズ・ヨン①

    レッドアイズ・ヨン②

    レッドアイズ・ヨン③

    レッドアイズ・ヨン④

    レッドアイズ・ヨン⑤

    レッドアイズ・ヨン⑥

 

 

********************

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・恥ずかしい、私ったら何を・・・」

 

人込みを避け薄暗い裏道に逃げ込んだウンス。

急に駆け出したせいで酔いが一気に回り、足元はフラフラだった。

「もう、早く帰ろう....」

そう思って歩こうとしたが、足が前に動かない。

仕舞いには視界が揺らぎ始め。

 

「うそ・・目が回る・・」

 

「危ない!」

「きゃあ?!」

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。

地面に倒れそうになったウンスは、間一髪で大きな手に抱きとめられる。

 

「大丈夫ですか?」

 

目の前には見ず知らずの男の顔。

ウンスはポカンと口を開けたまま男の顔を見つめていた。

「大分酔っているようですね?」

「え、あ、大丈夫です、すみません。」

「一人で歩くのは無理でしょう、私が送りましょうか?」

「はい・・・え?あ、そうじゃなくて、えっと・」

ウンスは慌てて身体を起こした。

しどろもどろに答えるウンスの様子を見て、男は愉快そうに笑っている。

「驚かせてしまいましたね、私は怪しい者ではありません、安心して下さい。」

「そんな、怪しいだなんて・・」

それどころか優しい目で見つめられ、彼女の心臓は一気に跳ね上がった。

長い髪が顔半分を隠していたが、それでも酔いが醒めるような美貌の持ち主だということは分かる。

ウンスは思わずゴクリと唾を呑み込んだ。

「今日はイケメンだらけだわ・・」

「何か?」

「いいえ、こっちの話です。」

男っ気の無かった自分の前に次々と現れる超絶ハンサムな男達。

キム先輩もだが、あの・・

 

「チェ・ヨンだ。」

 

「そうそう、チェ・ヨンさん、えっ?!」

いつからそこに居たのだろう、人間離れした美貌の男が自分の後ろに立っている。

そしてウンスの腕から男の手を払い除けた。

「チェ・ヨンさん?」

ここは街灯の少ない裏路地。

灯りの真下に来なければ表情までは見えない。

だが見えたら、きっと彼女は気を失っていただろう。

薄闇に浮かぶ二人の瞳は赤く妖艶な光を放っていた。

 

「彼女に何の用だ?」

チェ・ヨンはウンスの目の前に立ち、もう一人の男を睨んでいる。

「チェ・ヨンさん、何なの?」

長身の男がウンスの目の前を塞ぎ、相手の男の姿は見えない。

ウンスは身を乗り出そうとしたが、腕を掴まれ身動きが取れなかった。

 

「チェ・ヨン殿、あなたこそ、なぜ彼女の傍に?」

「彼女はユ・ウンスだ、お前の獲物ではない。」

「存じております、ですから、こうして礼儀を守って会いに参りました、あなたこそ、ウンス殿に無礼ではありませんか?」

「知らぬ、彼女は俺だけのものだ。」

「変わらぬお方だ、またウンス殿を独り占めするおつもりですか?」

「お前にとやかく言われる筋合いはない、チャン・ビン。」

 

訳の分からに会話。

だが自分が関係していることは分かる。

「ちょっと・・何なのよ、さっきからウンス、ウンスって・・」

ほぼ初対面の男と、いま会ったばかりの男に名前を呼ばれる意味が分からない。

ウンスの酔いは一気に醒めた。

 

長身の男二人が路地の真ん中で対峙している。

いくら裏路地とはいえ、異様な雰囲気は人々の視線を集めた。

遠巻きに人々が集まってくる。

その中には、怖いもの知らずの女子の集団もあった。

「ねえ、彼じゃない?」

「きっとそうよ、きゃあぁぁぁ~、どうしよう、噂通りの超イケメンだわ。」

「見て、二人もいるわよ、あら、あの女は誰?」

アイドルの追っかけ並みのトークが聞こえる頃には黒山の人だかりになっていた。

 

「どうしよう・・」

次々に光るフラッシュが三人の姿を映し出す。

ウンスはヨンの手を振り解こうとするが、彼は全く離してくれない。

それどころか周りの様子などお構いなしに、チャン・ビンを睨んでいる。

「チェ・ヨンさん、手を放して。」

「離れたら護れぬ。」

「はい?」

護るって・・誰から?

「さっぱり分からないわ・・」

注目される恥ずかしさ。

意味不明な会話。

そして逃げ出す事も出来ない状況。

 

「もう泣きたい・・」

 

「まあ、今日のところはこれで引き下がりましょう、ですが、次は遠慮は致しません。」

チャン・ビンが睨み合いの幕を引いた。

「彼女を自由にはさせぬ、俺が必ず護る。」

「結構、ではウンス殿、またお会いしましょう。」

そう言うと、チャン・ビンは踵を返し、人込みを掻き分け立ち去って行った。

 

「はぁぁぁ・・・・」

緊張から解き放たれたウンスは、その場に座り込んでしまった。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃない、あなたのせいで足に力が入らない。」

「では俺が抱いて行こう。」

「きゃあぁぁ!結構です、歩けます!」

ふら付きながら立ち上がったウンスは、穏やかな表情のヨンを見てホッと息を吐いた。

「今の人は誰?」

「知らぬ方がいい。」

知らぬ方がって・・・なによ、人を巻き込んでおいて。

「酔いは醒めたか?」

「お陰様で、すっかり酔いは醒めました。」

「家まで送ろう。」

「け、け、け、結構です、タクシーで帰りますから!」

「遠慮するな。」

「遠慮なんてしてません!」

冗談じゃない、これ以上関わりたくない。

それに記憶が正しければ、あれが夢じゃなければ、私はこの人と・・

 

「きゃあぁぁ――!!帰ります、ごめんなさい、じゃあ!!」

ウンスは自分でも関心するくらいの速さで踵を返し、一目散に駆け出していた。

 

薄れていた記憶が次第に鮮明になる。

思い出すたびに心臓が爆発しそうだった。

 

はっきり覚えてる彼の言葉。

 

ウンス、愛してる・・・

愛してる・・・

愛してる・・・

今度こそ必ず護から、俺の傍に・・

 

その言葉を聞いた時、胸が締め付けられるほど苦しくなって.....

 

 

そんな彼の頬にそっと触れ、私は呟いていた。

 

 

 

「テジャン、私も愛してる・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

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