ほぼ一年前の2024年2月18日のLIKE! Re:fiveが登場するとフロワがざわついた。当時のRe:fiveのメンバーは、柊わかばさん、東雲ういさん、空豆かれんさんの三人。なのにステージに四人目のメンバーが現れたのだ。
研究生衣装の黒セーラーに身を包んだ小柄な少女。それがのちの白鳥ひなさんだった。
事前の告知などなく、いきなりの新メンバーの登場に誰もが驚いた。
しかもそれが、正統派アイドルの圧倒的なビジュアルを持っているポテンシャルの高い研究生だったから、重ねて驚いた。
そしてその圧倒的なビジュアルの研究生を誰もが好きになった。
2024年は熊本アイドルが活性化した年だった。しかし、年初はRe:fiveは大きく出遅れていた。
まだまだコロナ禍の空気が残り、天海や天草でのライブの動員は多くても20人程度、少ないときには10人ぐらいのときもあり、苦戦していた。
ただ、2024年1月に新しく誕生したPOTIONのお披露目ライブはRe:fiveも出演したとはいえ200人、Re:fiveが出演していないChemLilyのお披露目ライブでも50人と、お披露目ということもあるが、単純に熊本でRe:fiveよりも動員していた。更に3月には熊本のコアなヲタクの中では期待値の高いSunnyHoneyのお披露目も控えていた。
熊本のアイドルシーンが盛り上がるのは大歓迎である。でも、最後にはやっぱりRe:fiveしか、となってしまうぼくらにとっては、決して無邪気に喜べる状況ではなかった。
そこへ追い打ちをかけるようにRe:fiveは、1月に活動中止していた人気メンバーが2月頭に脱退と、ネガティブな話題が重なる。
すごくもりあがった2024年を体験したあとだから笑える話だが、当時はそれらの新興勢力と少ないパイを食い合い、Re:fiveはその流れに飲み込まれて消えてしまうかもしれないとぼくは密かに不安になっていた。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはすではないけど、世の中はいつも変っていくから変わらない者は哀しい思いをする。アフターコロナで新しい時代が来そうな熊本アイドルシーンで、Re:fiveが取り残されたらどうしようとぼくは考えていた。
そこに現れたのがひなさんだったのだ。
圧倒的ビジュアルの正統派アイドルのひなさんが加入することでRe:fiveには大きな変化が生み出された。
ひなさんはまさにRe:fiveを救うメシアだったのだ。
Re:fiveというグループは、ひなさんの入る前からメンバーのキャラが被らない、それぞれのメンバーの個性が生きているグループだったが、そのグループに圧倒的ビジュアルの正統派アイドルが入った。
しかもこれがメンバー同士が「仲が良い」といわれるRe:five的だなと感じることだけど、他のメンバーが本当に偉かったと思うのが、どのメンバーも圧倒的ビジュアルのひなさんのかわいさを認め、それを引き立てていたことだ。初めの頃はひなさんのXがなかったから、他のメンバーがXで広めたり、現場でもそのかわいさを前に押し出していた。そして、もちろんひなさんご本人も努力されていただろうが、他のメンバーがそれをうまく引き立てたことで、ひなさん、ひいてはRe:fiveのファンが増えていた。
実際に2024年に熊本のアイドルシーンが本格的に活性化したのは、ぼくは7月の「KUMAMOTO MUSIC FESTIVAL」がきっかけだったと感じているが、その頃にはひなさんは既に他の正規メンバーに負けないぐらいの注目を集めていた。
そして満を持しての8月の正規メンバー昇格で白鳥ひな誕生。
研究生時代には、曲によっては袖にハケていた白鳥さんも、全曲で見られるようになり、歌割も増え、ますます磨きがかかっていった。
昨日はそんな白鳥ひなさんの生誕祭に行ってきた。
白鳥ひなさんにとっては人生初めての生誕祭、Re:fiveにしても9月のういたんさい以来の久しぶりの生誕祭と期待は高まる。
一般チケットの倍以上の価格のするお祝いチケットがわずか5分で完売したこともあり、会場は足の踏み場もないほどのぎゅうぎゅう詰めで、この日の天海は一年前には考えられなかったほど人であふれていた。
天海の入口には「白鳥の会一同」という謎の会からのバルーンスタンドが飾られ、そのバルスタのボードをはじめ、エントランスのドアやロビー、ステージにもRe:fiveの生誕ではおなじみ、なぬきはなの先生の描かれた白鳥さんのイラストが各所に貼られ、生誕「祭」の気分を盛り上げていた。
入場時に白鳥ひなさんからのお礼としてお菓子が配られていた。そのお菓子の箱がめちゃくちゃおしゃれで凝っていて「さすがひなちゃん」と、入場の時点で見せつけられたそのセンスの高さにファンは舌を巻いていた。
生誕祭らしく開演前に、主役の白鳥ひなさんによる影アナが会場に流れる。
去年からアイドルが増えた割に熊本の箱の数が増えていないため、現在熊本のどのグループもワンマンライブが減っている。おそらく他の地域でもアイドルシーンが盛り上がっている所はその傾向だから、それはアイドルシーンが活発な証拠ということで悪いことではないのだけど、そのため進行やMCでマイクを通してメンバーが話す機会が減っているのは残念なことだとぼくは思っている。特に白鳥さんみたいに2024年以降に加入したメンバーはこうやってマイクを通して話す経験は少ないと思う。
ただだからこそ、ういたんさいでも感じたが、生誕祭でメンバーがマイクを通して話す機会が増えるのはいいことだと感じる。機会がないからこそ、こういうときにキャリアを重ねていくのはいいなと思った。
SEが流れ、ステージにメンバーが並ぶ。
衣装はブレザーネクタイ。主役は白鳥ひなちゃん。
だったはずなのだが、ぼくの目は柊わかばさんに釘付けになった。隣で白鳥ひなさんを応援に来たはずのおおまくんも、空豆かれんさんに目を奪われている。おいおい。
Re:fiveの生誕祭は、メンバーがセットリストや衣装、そして髪型まで決めることになっている。
白鳥さんがチョイスしたのは両結びにした髪を白いシュシュで束ねるクラゲヘア。白鳥さんはもちろん、かわいい系の東雲さんもこの髪形をされることはあるけれど、初めてその髪型を見せた柊さん、空豆さんが意外なほど似合っていて、その姿にぼくらは目を奪われていたのだ。
これまで白鳥さんを引き立て盛り上げていた柊さんや空豆さんの、普段はあまり出さないかわいい一面を引き立てるその髪型のチョイスに、ひなさんの他のメンバーへのこの一年の感謝が伝わるようだった。
白鳥さんが選ばれたセットリストの一曲目は「St…you」、二曲目が「This summer」の冬バージョン「This winter」。
二曲ともサビでメンバーが白鳥さんを囲み、フロアのファンも「ひなちゃんだけ愛しています! オレモ―」や「ひながすきー」と叫んでいた。メンバーやファンの白鳥さんへの感謝や祝福のムードであふれていて、スタートから本当に幸せな空気をメンバーが盛り上げていて、本当によかった。
そんな中、息を呑んだのは「This winter」でのオチサビである。記憶が間違っていたら申し訳ないが、フロアが静まり観客の目をひとりで集めひとりで歌いきるオチサビを、白鳥さんが歌うのはこのときが初めてだったと思う。この日はふたりで歌うオチサビもほとんど白鳥さんがこなしていたけれど、やはり圧倒的ビジュアルのアイドルがひとりでオチサビでファンと対峙する姿は、カリスマ性のようなものを感じるほど神々しかった。
また初の生誕祭で更にファンを喜ばせようとしてくれたのか、「This winter」のときにはたくさんの白鳥さんお手製のシュシュが客席に配られた。よく見るとそのシュシュはRe:fiveがマイクにもつけていた。メンバーの個性を前向きに出してくれるRe:fiveにいてくれると、こういうアイデアもすぐに具現化できる。そんなグループに白鳥さんが入ってくれてよかったとぼくは思った。
「ラクガキアクセル」「霖雨のファンタジア」そして「キミを待ってる」と懐かしい曲が並び、「君とRestart」で締めるセットリストは存分に楽しませてくれた。
ライブの持ち時間が終わると、企画の時間に進む。
今回は企画は、白鳥さんと他のメンバーひとりでデュエットするという企画だった。
主役の白鳥さんが進行を行い、ひとりずつメンバーを呼んでそのメンバーと歌う。
まず初めに出てきたのが柊わかばさん。普段は絶対しないと本人が言われていた、かわいいクラゲヘアに、生誕Tシャツに身を包んだ柊さんが、白鳥さんとかわいい曲を歌う。ひなさんがかわいいのはもちろんにしても、柊さんのかわいさも存分に堪能できた。
次は東雲ういさん。双子の姉妹かもと言われるほどセンスが共通している二人が並べば、ステージはかわいい世界が充満する。柊さんとやった曲も東雲さんとやった曲も、白鳥さんがお好きなものにちなんだ曲だったらしい。そんな白鳥さんの世界で、主役の白鳥さんが光るのはもちろんだけど、相乗効果で柊さんや東雲さんの新たな魅力も引き出していてすごくよかった。
そして最後はRe:fiveの歌姫・空豆かれんさん。
柊さんと東雲さんが白鳥さんの世界で躍動していたから、その展開になるかと誰もが思っていたその時、熊本のヲタクにはおなじみの有名なアイドル曲のイントロが流れた。それは白鳥さんの空豆さんのステージパフォーマンスへのリスペクトの表れだとぼくは感じた。本格的な激しいアイドル曲をふたりで踊りきったのはすごかった。安定した歌唱力の空豆さんに負けじと張り切る白鳥さんの歌声が響き、振りコピするファンでぎゅうぎゅう詰めのフロアが揺れる。圧巻の光景だった。
興奮冷めやらないステージをクールダウンさせるように、ドレスへのお色直しのために白鳥さんが中座し、ステージでは他のメンバーが白鳥さんのことを語る生誕ならではの時間になる。
「この話は言いたくなかった」と言いながらも話して爆笑させてくれた柊さんに、Re:fiveの熊本ならではの一面を感じ、やっぱりいいなと盛り上がった。
それから白鳥さんの作成した動画が会場に流された。
入場者に配られたお菓子、ステージ中に配られたシュシュと、この日たくさんのアイデアを具現化してくれた白鳥さん。そのアイデアの最後のサプライズとばっかりに、お披露目のときの映像や小さな時からの誕生日の映像、そしてメンバー昇格してから今日までの活動、それを自分で製作した動画でファンに紹介してくれる動画だった。それはもっともっと白鳥ひなを知って欲しいという白鳥さんの気持ちが伝わるもので、もっともっと白鳥ひなさんがたくさんの人に愛されるアイドルになるだろうなと感じた。
アンコールの掛け声とともにオフホワイトのドレスに身を包んだ白鳥さんが登場。
会場はサイリウムで真っ白になる。
星の数ほどいるアイドルの中でRe:fiveを選んだ奇跡。
ぼくはそのことを本当にうれしく思っているが、白鳥さんもRe:fiveに入れたことをうれしく思っているのがつたわって、思わずじんとなった。
それから生誕委員やゲストからのプレゼントがあり、最後は盛り上げる定番曲「朝からカツカレー」。
時折、目を潤ませる場面もあったものの、ファンには最高の笑顔を見せてくれた白鳥さん。一緒に努力してきた、また努力してきた白鳥さんを見ていたために感極まって泣いてるメンバーもいたけれど、楽しくもかわいくも感動的で笑いもありとあらゆる喜怒哀楽が詰め込まれた素敵な時間だった。
やっぱりRe:fiveの生誕祭は楽しい!
進化の2024年。熊本にはたくさんのアイドルが生まれた。
そんな中、Re:fiveにも白鳥ひなという新しいアイドルが生まれた。
他のメンバーが白鳥ひなの良さを引き出すことで、Re:fiveのファンは増えてきている。
百戦錬磨の美人最年長・柊わかば、アイデアクイーンの自称リーダー・東雲うい、ステージの女神・空豆かれんと、それぞれのメンバーが自分の強みをのびのびと発揮するRe:fiveで、圧倒的ビジュアルの正統派アイドルのキャラクターで加入した白鳥ひな。
その白鳥さんが、この三人の個性的なメンバーと活動できることをうれしいと言ってくれることが、四人のRe:fiveのファンとしてぼくは本当にうれしく感じた。