君が好き -3ページ目

君が好き

アイドルの話でもしようず。

ほぼ一年前の2024年2月18日のLIKE! Re:fiveが登場するとフロワがざわついた。当時のRe:fiveのメンバーは、柊わかばさん、東雲ういさん、空豆かれんさんの三人。なのにステージに四人目のメンバーが現れたのだ。
研究生衣装の黒セーラーに身を包んだ小柄な少女。それがのちの白鳥ひなさんだった。
事前の告知などなく、いきなりの新メンバーの登場に誰もが驚いた。
しかもそれが、正統派アイドルの圧倒的なビジュアルを持っているポテンシャルの高い研究生だったから、重ねて驚いた。
そしてその圧倒的なビジュアルの研究生を誰もが好きになった。

2024年は熊本アイドルが活性化した年だった。しかし、年初はRe:fiveは大きく出遅れていた。
まだまだコロナ禍の空気が残り、天海や天草でのライブの動員は多くても20人程度、少ないときには10人ぐらいのときもあり、苦戦していた。
ただ、2024年1月に新しく誕生したPOTIONのお披露目ライブはRe:fiveも出演したとはいえ200人、Re:fiveが出演していないChemLilyのお披露目ライブでも50人と、お披露目ということもあるが、単純に熊本でRe:fiveよりも動員していた。更に3月には熊本のコアなヲタクの中では期待値の高いSunnyHoneyのお披露目も控えていた。
熊本のアイドルシーンが盛り上がるのは大歓迎である。でも、最後にはやっぱりRe:fiveしか、となってしまうぼくらにとっては、決して無邪気に喜べる状況ではなかった。
そこへ追い打ちをかけるようにRe:fiveは、1月に活動中止していた人気メンバーが2月頭に脱退と、ネガティブな話題が重なる。
すごくもりあがった2024年を体験したあとだから笑える話だが、当時はそれらの新興勢力と少ないパイを食い合い、Re:fiveはその流れに飲み込まれて消えてしまうかもしれないとぼくは密かに不安になっていた。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはすではないけど、世の中はいつも変っていくから変わらない者は哀しい思いをする。アフターコロナで新しい時代が来そうな熊本アイドルシーンで、Re:fiveが取り残されたらどうしようとぼくは考えていた。
そこに現れたのがひなさんだったのだ。
圧倒的ビジュアルの正統派アイドルのひなさんが加入することでRe:fiveには大きな変化が生み出された。
ひなさんはまさにRe:fiveを救うメシアだったのだ。

Re:fiveというグループは、ひなさんの入る前からメンバーのキャラが被らない、それぞれのメンバーの個性が生きているグループだったが、そのグループに圧倒的ビジュアルの正統派アイドルが入った。
しかもこれがメンバー同士が「仲が良い」といわれるRe:five的だなと感じることだけど、他のメンバーが本当に偉かったと思うのが、どのメンバーも圧倒的ビジュアルのひなさんのかわいさを認め、それを引き立てていたことだ。初めの頃はひなさんのXがなかったから、他のメンバーがXで広めたり、現場でもそのかわいさを前に押し出していた。そして、もちろんひなさんご本人も努力されていただろうが、他のメンバーがそれをうまく引き立てたことで、ひなさん、ひいてはRe:fiveのファンが増えていた。
実際に2024年に熊本のアイドルシーンが本格的に活性化したのは、ぼくは7月の「KUMAMOTO MUSIC FESTIVAL」がきっかけだったと感じているが、その頃にはひなさんは既に他の正規メンバーに負けないぐらいの注目を集めていた。
そして満を持しての8月の正規メンバー昇格で白鳥ひな誕生。
研究生時代には、曲によっては袖にハケていた白鳥さんも、全曲で見られるようになり、歌割も増え、ますます磨きがかかっていった。

昨日はそんな白鳥ひなさんの生誕祭に行ってきた。
白鳥ひなさんにとっては人生初めての生誕祭、Re:fiveにしても9月のういたんさい以来の久しぶりの生誕祭と期待は高まる。
一般チケットの倍以上の価格のするお祝いチケットがわずか5分で完売したこともあり、会場は足の踏み場もないほどのぎゅうぎゅう詰めで、この日の天海は一年前には考えられなかったほど人であふれていた。
天海の入口には「白鳥の会一同」という謎の会からのバルーンスタンドが飾られ、そのバルスタのボードをはじめ、エントランスのドアやロビー、ステージにもRe:fiveの生誕ではおなじみ、なぬきはなの先生の描かれた白鳥さんのイラストが各所に貼られ、生誕「祭」の気分を盛り上げていた。
入場時に白鳥ひなさんからのお礼としてお菓子が配られていた。そのお菓子の箱がめちゃくちゃおしゃれで凝っていて「さすがひなちゃん」と、入場の時点で見せつけられたそのセンスの高さにファンは舌を巻いていた。
生誕祭らしく開演前に、主役の白鳥ひなさんによる影アナが会場に流れる。
去年からアイドルが増えた割に熊本の箱の数が増えていないため、現在熊本のどのグループもワンマンライブが減っている。おそらく他の地域でもアイドルシーンが盛り上がっている所はその傾向だから、それはアイドルシーンが活発な証拠ということで悪いことではないのだけど、そのため進行やMCでマイクを通してメンバーが話す機会が減っているのは残念なことだとぼくは思っている。特に白鳥さんみたいに2024年以降に加入したメンバーはこうやってマイクを通して話す経験は少ないと思う。
ただだからこそ、ういたんさいでも感じたが、生誕祭でメンバーがマイクを通して話す機会が増えるのはいいことだと感じる。機会がないからこそ、こういうときにキャリアを重ねていくのはいいなと思った。
SEが流れ、ステージにメンバーが並ぶ。
衣装はブレザーネクタイ。主役は白鳥ひなちゃん。
だったはずなのだが、ぼくの目は柊わかばさんに釘付けになった。隣で白鳥ひなさんを応援に来たはずのおおまくんも、空豆かれんさんに目を奪われている。おいおい。

Re:fiveの生誕祭は、メンバーがセットリストや衣装、そして髪型まで決めることになっている。
白鳥さんがチョイスしたのは両結びにした髪を白いシュシュで束ねるクラゲヘア。白鳥さんはもちろん、かわいい系の東雲さんもこの髪形をされることはあるけれど、初めてその髪型を見せた柊さん、空豆さんが意外なほど似合っていて、その姿にぼくらは目を奪われていたのだ。
これまで白鳥さんを引き立て盛り上げていた柊さんや空豆さんの、普段はあまり出さないかわいい一面を引き立てるその髪型のチョイスに、ひなさんの他のメンバーへのこの一年の感謝が伝わるようだった。
白鳥さんが選ばれたセットリストの一曲目は「St…you」、二曲目が「This summer」の冬バージョン「This winter」。
二曲ともサビでメンバーが白鳥さんを囲み、フロアのファンも「ひなちゃんだけ愛しています! オレモ―」や「ひながすきー」と叫んでいた。メンバーやファンの白鳥さんへの感謝や祝福のムードであふれていて、スタートから本当に幸せな空気をメンバーが盛り上げていて、本当によかった。
そんな中、息を呑んだのは「This winter」でのオチサビである。記憶が間違っていたら申し訳ないが、フロアが静まり観客の目をひとりで集めひとりで歌いきるオチサビを、白鳥さんが歌うのはこのときが初めてだったと思う。この日はふたりで歌うオチサビもほとんど白鳥さんがこなしていたけれど、やはり圧倒的ビジュアルのアイドルがひとりでオチサビでファンと対峙する姿は、カリスマ性のようなものを感じるほど神々しかった。
また初の生誕祭で更にファンを喜ばせようとしてくれたのか、「This winter」のときにはたくさんの白鳥さんお手製のシュシュが客席に配られた。よく見るとそのシュシュはRe:fiveがマイクにもつけていた。メンバーの個性を前向きに出してくれるRe:fiveにいてくれると、こういうアイデアもすぐに具現化できる。そんなグループに白鳥さんが入ってくれてよかったとぼくは思った。
「ラクガキアクセル」「霖雨のファンタジア」そして「キミを待ってる」と懐かしい曲が並び、「君とRestart」で締めるセットリストは存分に楽しませてくれた。
ライブの持ち時間が終わると、企画の時間に進む。
今回は企画は、白鳥さんと他のメンバーひとりでデュエットするという企画だった。
主役の白鳥さんが進行を行い、ひとりずつメンバーを呼んでそのメンバーと歌う。
まず初めに出てきたのが柊わかばさん。普段は絶対しないと本人が言われていた、かわいいクラゲヘアに、生誕Tシャツに身を包んだ柊さんが、白鳥さんとかわいい曲を歌う。ひなさんがかわいいのはもちろんにしても、柊さんのかわいさも存分に堪能できた。
次は東雲ういさん。双子の姉妹かもと言われるほどセンスが共通している二人が並べば、ステージはかわいい世界が充満する。柊さんとやった曲も東雲さんとやった曲も、白鳥さんがお好きなものにちなんだ曲だったらしい。そんな白鳥さんの世界で、主役の白鳥さんが光るのはもちろんだけど、相乗効果で柊さんや東雲さんの新たな魅力も引き出していてすごくよかった。
そして最後はRe:fiveの歌姫・空豆かれんさん。
柊さんと東雲さんが白鳥さんの世界で躍動していたから、その展開になるかと誰もが思っていたその時、熊本のヲタクにはおなじみの有名なアイドル曲のイントロが流れた。それは白鳥さんの空豆さんのステージパフォーマンスへのリスペクトの表れだとぼくは感じた。本格的な激しいアイドル曲をふたりで踊りきったのはすごかった。安定した歌唱力の空豆さんに負けじと張り切る白鳥さんの歌声が響き、振りコピするファンでぎゅうぎゅう詰めのフロアが揺れる。圧巻の光景だった。
興奮冷めやらないステージをクールダウンさせるように、ドレスへのお色直しのために白鳥さんが中座し、ステージでは他のメンバーが白鳥さんのことを語る生誕ならではの時間になる。
「この話は言いたくなかった」と言いながらも話して爆笑させてくれた柊さんに、Re:fiveの熊本ならではの一面を感じ、やっぱりいいなと盛り上がった。
それから白鳥さんの作成した動画が会場に流された。
入場者に配られたお菓子、ステージ中に配られたシュシュと、この日たくさんのアイデアを具現化してくれた白鳥さん。そのアイデアの最後のサプライズとばっかりに、お披露目のときの映像や小さな時からの誕生日の映像、そしてメンバー昇格してから今日までの活動、それを自分で製作した動画でファンに紹介してくれる動画だった。それはもっともっと白鳥ひなを知って欲しいという白鳥さんの気持ちが伝わるもので、もっともっと白鳥ひなさんがたくさんの人に愛されるアイドルになるだろうなと感じた。
アンコールの掛け声とともにオフホワイトのドレスに身を包んだ白鳥さんが登場。
会場はサイリウムで真っ白になる。
星の数ほどいるアイドルの中でRe:fiveを選んだ奇跡。
ぼくはそのことを本当にうれしく思っているが、白鳥さんもRe:fiveに入れたことをうれしく思っているのがつたわって、思わずじんとなった。
それから生誕委員やゲストからのプレゼントがあり、最後は盛り上げる定番曲「朝からカツカレー」。
時折、目を潤ませる場面もあったものの、ファンには最高の笑顔を見せてくれた白鳥さん。一緒に努力してきた、また努力してきた白鳥さんを見ていたために感極まって泣いてるメンバーもいたけれど、楽しくもかわいくも感動的で笑いもありとあらゆる喜怒哀楽が詰め込まれた素敵な時間だった。
やっぱりRe:fiveの生誕祭は楽しい!

進化の2024年。熊本にはたくさんのアイドルが生まれた。
そんな中、Re:fiveにも白鳥ひなという新しいアイドルが生まれた。
他のメンバーが白鳥ひなの良さを引き出すことで、Re:fiveのファンは増えてきている。
百戦錬磨の美人最年長・柊わかば、アイデアクイーンの自称リーダー・東雲うい、ステージの女神・空豆かれんと、それぞれのメンバーが自分の強みをのびのびと発揮するRe:fiveで、圧倒的ビジュアルの正統派アイドルのキャラクターで加入した白鳥ひな。
その白鳥さんが、この三人の個性的なメンバーと活動できることをうれしいと言ってくれることが、四人のRe:fiveのファンとしてぼくは本当にうれしく感じた。

 

 

 


 

米国トランプ大統領が「性別は男と女しかない」と発言して物議を醸していたが、いわゆる生殖能力以外でも男性と女性は違う生き物だと思うことが世の中には多々ある。科学的にも脳の構造が男性と女性は違うことが証明されているから、ある意味それは当たり前のことなのだろう。
ぼくが生活をしていて男性と女性の違いで感じるのは、男性は「自虐」が好きで、女性は「自己肯定」が好きということである。
80年代にカルビーのかっぱえびせんのCMで「賢い母さんのかっぱえびせん」というコピーがあった。これこそ男性には理解できない女性の自己肯定感をくすぐる名コピーだと思う。たとえば、男女平等だからと同じ感じで「賢い父さんのかっぱえびせん」と出したら、売上は間違いなく落ちるだろう。自虐的な男性にとって「賢い父さん」というコピーはこっぱずかしくて、レジに持っていくのもためらうものだ。だけど自己肯定の女性は「わたしって賢い母さんなの、ふふふっ」と、かっぱえびせんを買うだけで賢いと思えるなら安いものだと買うわけである。これは男であるぼくには理解できない心理だが、実際に売れたのだからそういうものなんだろう。
たとえばと話はどんどん横道にそれるが、いわゆる殺人事件が起こるサスペンスドラマは有能な女性が主人公であることが多い。科捜研の女だったり葬儀会社の女社長だったり女弁護士だったり法医学の有能医師だったり名探偵キャサリンだったりと、とにかく有能な女性が事件を解決する。そんな有能な女性の活躍を女性が見てシンパシーを感じるため、このようなドラマは支持されているように思う。
しかしこの有能な主人公が男性では成り立たないと思う。男が、有能な科捜研だったり社長だったり弁護士だったり医者だったり探偵だったりするドラマがあっても、男性は嫉妬こそすれシンパシーを感じることはなく、つまらないものになりそうな気がする。そこで男性の場合は刑事でもはぐれていたり、さすらっていたりとちょっと自虐的な要素を加えているのだ。
ドラマの主人公で一番典型的なのは「孤高の天才外科医 ドクターX」の大門未知子と「孤独のグルメ」の井之頭五郎であろう。どんな無理難題のオペでも神がかり的な技術で成功させる大門未知子は女性の自己肯定の典型であり、人生の重たくなることから逃げて気楽に生きている冴えないおじさんが「腹が減った」とつぶやくのが見せ場の井之頭五郎は男性の自虐の典型だと感じる。逆に言えば天才外科医を男性が演じ、腹が減ったを女性が演じても、このふたつのドラマはここまでのヒットはしなかったとぼくは思う。

そしてこの「自己肯定」と「自虐」の男女の感性の違いは、そもそも脳の構造が違うのだから埋まらないものだ。
とはいえ、いつの時代も流行は若い女性が作っていく。
日本ではTikTokに若い女性が飛びつき、そのTikTokを見ると「可愛くてごめん」「かわいいだけじゃだめですか」「わたしの一番かわいいところに気付いてる」と自己肯定ソングであふれている。
それを見て若い女性同士が「○○ちゃんかわいい」「△△ちゃんもかわいい」とお互いを肯定しあうコミュニケーションが成り立つのも頷ける。
ただ、女性アイドルのファン層は大多数が男性である。
男性は「自虐」の脳みそである。
だから「自虐」が好きな男性は、アイドルにもそれを求めることがある。
どうしてもファンの男女率が圧倒的に男性が多いから、その価値観でそうなってしまうのだ。
ただ、Re:fiveはそういう男性のニーズにもうまく応えてくれるグループという印象を好意的にぼくは持っている。
ファンに対するスタイルとしても「わたしたちかわいいでしょ!」とファンに自己肯定を押し付けるのではなく、「わたしたちかわいいですか?」と問いかけるようなスタイルのグループなのである。
そのため、もちろん根底にはステージで激しいダンスを踊るのが一番の魅力なのだが、MCや、最近ではあまりやらないけど企画などで、イベント中は笑いが起こる場面が多々あるのもこのグループの良さなのだ。
典型的なのは東雲ういさんのダジャレで、最近では「このあめがあめー」だったっけ? あのぜんぜんおもしろくないやつ。まあ、そうやっていつもファンの琴線に触れるようなこともやってくれるのがRe:fiveなのだ。
そしていつもの会場でいつも見ているファンにとっては、それこそが、今日しか見られない特別なものになり、一番の思い出になったりしている。
「ギャップ萌え」なんて言葉もあったけど、キラキラしているからこそファンにとっては最高の体験になるのだ。
ただし、これはいつも見ているから成り立つ面もある。
根本にはそれ以上に、キラキラしたステージを見せてくれるから、ファンはアイドルに会いに行くという大前提があるのである。
だけど、Re:fiveの定期的な熊本でのライブではファンはそのようなキラキラしてるRe:fiveだけでなく、自虐が好きな男性もくすりと笑わせてくれるようなRe:fiveにも期待しているし、Re:fiveもそれに応えてくれるから、ぼくらは飽きることなく熊本に集まるのである。

で、ようやくここからが本題なのだが、2月2日、そんなぼくらはベイサイドプレイス博多埠頭にあるベイサイドホールに集まっていた。
約3年ぶりのRe:fiveの福岡遠征だったのだ。
いつもはキラキラしながらも、時々くすっと笑わせてくれるRe:fiveを期待しているぼくらだが、この日は違った。
とにかく今日のRe:fiveにはキラキラしてほしい。
キラキラした姿を、Re:fiveを頻繁に見ない人、知らない人にも見せてほしい。
福岡でキラキラ輝いてほしい。
と思っていた。
正直なこと言うと、メンバーさんはどのステージに関してもそのように考えていると思う。
でも脳の仕組みが違うから、いつも見ている男性ファンは違うことも期待している。特にいつも見ている場所なら、いつもと違うライブにしてほしくて期待してしまうのだ。
だけど、この日は違う。言ってしまえば場所が違うだけで、生誕祭のような特別感がいつも見ているファンの気持ちには溢れていたのだ。
場所もステージもいつもと違うのだからこそ、グループが一番大事にしているキラキラした姿を存分に見せてほしいとぼくらは、珍しく素直に願っていた。
Re:fiveは、二部のトップバッターだった。
一部の物販までが終わり、一度客出しをして再入場が終わったばかりで、フロアの空気はまだ落ち着いていなかった。
そこに聴きなれたRe:fiveのSEが流れる。
正装とばかりに、いまのアー写に使われているネイビーのセーラー風衣装に身を包んだメンバーが、ひとりずつ出てきてステージに並ぶ。印象的だったのが柊わかばさんの表情だった。マッチポイントのサーブを打つバレーボール選手のような、力強い表情を浮かべていた。他のメンバーも引き締まった顔でステージに立っていた。
その表情を見ただけで、ぼくは鳥肌が立った。熊本のリラックスしている表情はそれはそれでいいとは思うけど、そのいつもの熊本の表情とは違い、それぞれのメンバーの顔が引き締まっていたのは迫力があった。
久しぶりの福岡、爪痕を残したい。
その気持ちが伝わるような鬼気迫る表情だった。
いつも熊本でライブを見ている周りにいたRe:fiveのファンたちは、いつもと違うその表情に完全に飲まれた。いつもは動画をYouTubeに上げてくださり、この日も動画を取るつもりで動画OKの返事を運営さんからもらっていたぐんけんさんも、このメンバーの気迫に圧倒され、カメラを置いてペンライトで闘うことを選ばれた。
だからおそらくこの日のライブの動画はなく、それはRe:fiveのせいだ! けしからん! と自虐が好きなぼくはそんな冗談も今なら言いたくなるが、あの場にいたらそんなこと言える空気ではなかった。メンバーは「最高のステージを見せたい」と目を輝かせていて、ぼくらはその勢いに圧倒されていた。
一曲目は「君とRESTART」。速いBPMに合わせての激しいダンスはそれだけで、全力でキラキラ輝くRe:fiveらしさが表れていた。それぞれのメンバーが歌うときには、いつものファンがメンバーの名前をコールし、イントロや間奏ではそのいつものファンだけではなく、普段Re:fiveを見ない方のミックスの声も聞こえと、一曲目からフロアは最高の盛り上がりを見せた。
それに手ごたえを感じたのか嬉しそうにフロアを見渡した柊わかばさんが口にした2曲目は定番の「なんてんまんてん」。メンバーひとりひとりが、この日のRe:fiveを最高にするためにキラキラしていた。それでもサビのラストで、東雲ういさんが剣道部出身の橘かえでさん直伝の剣道の振りをひとりだけやるなど、いつもの良さもいいスパイスで効かせている。白いベレー帽の白鳥ひなさんはライブ終了後の物販交流会で列ができるほどの存在感を発揮していたし、いつものファンたちが落ちサビで「おれのかれん」と叫んでいた空豆かれんさんは、安定の歌唱力と手足の長いダンスでRe:fiveを支えていた。
シンプルなMCを挟んでの3曲目はキラーチェーンの「キセキノサキヘ」。Re:fiveにとっては、まるでディープパープルの「Child in Time」のようにメンバーの力と力がぶつかりあう圧倒的なパフォーマンスのこの曲は、それぞれのメンバーのこのステージへの想いと、珍しくかみあったいつものファンの気持ちも加わって、フロアを圧倒していた。
そしてあっという間に最後の曲。最後の曲はMONECCO5時代から福岡遠征では欠かせない「朝からカツカレー」。おそらく「キセキノサキヘ」でメンバーは満足感を得られていたのだろう。それまでアスリートのようにストイックにパフォーマンスを見せていたメンバーの表情は一転し、イントロからはちきれんばかりの笑顔が浮かんでいた。楽しさを全面的に強調するステージに変わった。フロアもそのメンバーの楽しくしようという空気に伝染され、楽しい、幸せな空気が広がる。いつもRe:fiveを見ているぼくらは当然としても、それ以外の普段あまりRe:fiveの現場ではお見かけしない方々も笑顔を浮かべ、手を合わせ楽しんでくださってた。
もちろん、Re:fiveは熊本でもいつもキラキラして、メンバーは精一杯に気持ちを込めてステージをしている。
ただ、熊本ではそれを見慣れているため、ファンはそれ以上の、ライブだからこそのその日だけのプラスアルファを求めてしまう空気がフロアにあり、またRe:fiveもいい子だからそれに応えている。それは素晴らしいことだし、だからこそぼくらは飽きずに熊本に足を運んでしまう。
だが、この遠征のようにファンもメンバーにキラキラしてほしいと願ったとき、それはRe:fiveにとってはいつも通りだとしても、ぼくらにはいつも以上にキラキラしているように見えるのがRe:fiveなんだとぼくは感じだ。それは遠征だったからこそ、改めて感じられたんだと思う。
いつも楽しいRe:fiveのライブだが、昨日は久しぶりに「この子らすごい」と思わせてくれるライブだった。たぶん本当はいつもすごいんだと思うが。
たまにはそんなRe:fiveを感じさせてもらうために、普段とは違う特別な場所のライブに出演してほしいと感じた。
さて今週日曜日のRe:fiveは熊本だが、白鳥ひなさんの生誕祭という特別なライブである。
この日も特別なライブで、ファンの多くは「ひなちゃんにキラキラしてほしい」と願って足を運ぶと思う。
だからこそ、すごいRe:fiveが今週も見られるのではないかと今から楽しみだ。

 

 

 

 

年内最後のブログで、上記のようなツイートをされているコジMAXさんが見たら怒られそうで怖いのですが、なんだかんだで今年一番大きい出来事は、Re:fiveとSunnyHoneyのプロレスだったと思う。
昨年の10月に紫谷氏のRe:five運営からの離脱が発表され、Re:fiveトップの武部氏も「新しくやりたいことがあるならやった方がいい」とそれを見送った。
その結果としていえることは、間違いなく熊本のアイドル界は活性化した。
アイドル雑誌『スクランブルエッグ』スタッフのKEN爺さんは今年の8月11日のLIKE!を見て「熊本は、県としての存在感の割にはご当地アイドルが少ないイメージがあったけど、今や福岡と遜色ないレベル」とおっしゃたほどだ。
この功績にはもちろんRe:fiveとSunnyHoney以外の熊本のアイドルの貢献も大きいが、紫谷氏がRe:five運営から独立し新しいアイドルを立ち上げた影響が最も強いのではないかと思う。

当初、紫谷氏がRe:five運営から離脱すると聞いた時、ぼくが真っ先に浮かんだのは十年以上前の福岡のアイドルシーンの覇権争いだった。
2010年8月、オフィスHRの奥貫社長が福岡初の劇場型アイドルグループ「HR」を立ち上げた。満員御礼だった8月14日の箱崎での初日公演、初遠征になった8月22日の東京上野での「痛SONIC2010」と滑り出しは好調。そのHRには上原あさみさんと劇場支配人にJJ小野氏がいた。
しかし、2011年に事態は急変する。2010年12月に上原あさみさんはHRを脱退、2011年1月にJJ小野氏と新アイドルグループ「LinQ」を立ち上げることが発表されたのだ。
HRの誕生を受け、福岡では老舗アクティブハカタのDVL、エレガントプロモーションのQunQun、ノーメイクの青春女子学園と地場の芸能事務所からのご当地アイドルの注目も高まっていた。2011年10月には会いに行けるアイドルの元祖であるAKSのHKT48の福岡での劇場開設も発表される。
そんないろいろな動きが盛んに話題になった時代だが、このHRのメンバーとスタッフの新グループ立ち上げのニュースは福岡のアイドルファンを二分させた。
ここまでの事は熊本では起こっていないが、たとえるとするならば、紫谷氏と柊わかばさんが別グループを立ち上げると発表したようなものである。もしそんなことがあれば、Re:fiveに大きな動揺が走るのは想像できるだろう。それをやったのである。
その動揺の中、上原あさみさんが出演するCMが作られローカル枠ながらテレビでバンバン流れたが、HRもその間にメンバーを集め三期生まで進み、毎週箱崎でライブをやっていた。
それからもうすぐ14年である。
現在のRe:fiveとSunnyHoneyのように共存共栄して発展していければよかったが、残念ながらそうはいかなかった。
LinQのほうは2013年に福岡市民会館でワンマンライブを開催し、同年メジャーレーベルからのメジャーデビュー。そして全国あまちゃんマップで福岡県担当になったことで、HRとの覇権争いの決着をつけた。名実ともに福岡を代表するご当地アイドルになったのはHRではなく後発のLinQだったのだ。その勢いはとどまらず、2013年11月には全国ツアーを成功させ、その勢いのまま現在も活動が継続している。日本ご当地アイドル活性協会の選ぶ「ご当地アイドル四天王」にも選ばれている。
対するHRは、LinQから遅れること二年後の2015年にメジャーレーベルからのメジャーデビューを果たしたものの、2016年に箱崎の専用劇場を閉鎖、その後もHRのブランド力で活動を続けていたものの2018年に活動停止している。

どうしてこんな結果になったのだろうか?
個人的には以下の要因が大きかったのではないかと考えている。

1.オリジナル曲の強さ
LinQが登場して、福岡どころか九州のアイドルシーンが大きく変わったのは、オリジナル曲の重要性である。
いわゆる地下アイドルと呼ばれるアンダーグラウンドなアイドルを楽しむコアなヲタクにとっては、ライブが楽しいか楽しくないかがいちばんのポイントで、楽曲がオリジナルかカバーかはそう大きな問題ではない。
ただし、一般的なアイドルファンというのはそもそも入口として、ハロプロのこの曲が好きだから、ももクロのこの曲が好きだから、AKBのこの曲が好きだからと、アイドルグループのオリジナル曲をきっかけにアイドルを好きになることが多く、アイドルブームが花開いていたこの時代はそんなライトなファンがコアなヲタクに変わっていく時期だったのだ。
HRは初めの頃はオールカバー曲の公演でスタートし、少しずつオリジナル曲が増え、2012年にようやくすべての公演曲がオリジナル曲に変わった。
ただ、LinQは2011年4月のお披露目イベントから全曲オリジナル曲だった。
当初、コアな福岡のヲタクからは、LinQの公演が全曲オリジナルだと聞いて「知らない曲を一時間もぶっ続けで見れるものなのか?」と疑問の声があがっていたが、知らない曲でも一回聴けば知ってる曲になるわけで、むしろオリジナル曲をやることがここでしか見られないものを見せてくれているという付加価値につながり、LinQの人気を高めていった。
逆に不運だったのはHRで、2011年10月にHKT48が福岡にやってきたときも、まだAKB48のカバーを歌っていたことから、バッタ物のような扱いを受け、結果的に福岡のヲタクの数を増やしたHKT48誕生の相乗効果にうまく乗れなかった。HKT48の誕生でこれまでアイドル現場に行ったこともないような人がアイドル現場に通うようになり、地元のアイドルを見てみようと興味を持ったときに選ばれるのは、AKB48のものまねをしているHRよりもオリジナルで勝負をしているLinQだったのだ。

2.天神と箱崎の差
LinQが定期公演を行っていたのは福岡の中心天神のど真ん中、市役所そばのベストホールだった。
対してHRは東区の箱崎ボックスシアターだった。
当時ぼくはLinQよりもHRをよく見に行っていたのだが、それは自家用車ならばボックスタウンのほうが駐車場が無料で行きやすかったことも大きい。
ただし、公共交通機関を使うなら圧倒的に箱崎よりも天神のほうが行きやすいわけで、特に土地勘のない遠征民にはJRの駅からも地下鉄の駅からもそこそこの距離を歩かなければならず、バスに乗るのは間違ったら全然違うところに連れていかれる箱崎よりも、空港や博多駅から簡単に行ける天神のほうがアクセスが良かった。
そして実際、日曜日のベストホールのロビーには預けられた旅行用のカートが並ぶほど、LinQは遠征民が多かった。西鉄旅行がLinQの通常公演を見る東京・大阪発のツアーを用意していたほどだった。
遠征民が多かった理由は、いまでも九州のアイドル現場では見られる500円の生写真交流のコスパの良さが本州のアイドルファンの心を打ったからだ。
今年スズキの鈴木修会長が亡くなられたが、スズキも47万円のアルトのコスパの良さで名を上げたように、コスパの良さは消費者への訴求効果は高い。
当時はHRもLinQも通常公演でチェキ物販というものはなかった。チェキというのはリリースイベントなど特別な時にのみ実施されるもので、普段は500円でコインを買い、そのコインを好きなメンバーに持っていけばメンバーは写真を渡して、砂時計をひっくり返し、その砂時計の砂が落ちるまで交流できるという仕組みだった。
この仕組みをHRがはじめて、同じようにLinQもやっていたのだが、LinQのおかげで全国的に知られた。
そしてそれを体験しようと遠征するには箱崎よりも天神が行きやすかったのだ。

3.アメーバ経営的意識の高さ
HRはもともと「福岡にアイドル文化を根付かせる」という理念があり、奥貫社長自身が「場の空気を作ってくれる立見席のお客さんを大事にしたい」と言われていたほど、現場の楽しさを追及しているグループだったと思う。
対してLinQは「アイドルをビジネスとして成り立たせる」という理念の強かったグループの印象がある。
そのため、HRではスタッフや運営が行うオンラインショップの運営や衣装のデザインなどを、LinQは「外注するぐらいならメンバーにそのお金を支払おう」とメンバーがやっていた。
2011年といえば、2010年に経営破綻したJALの再建が始まった頃である。JALの再建のキャッチフレーズは「一人ひとりがJAL--人財力」だったが、そこで用いられた手法が、当時JALの会長に就任していた京セラの稲盛和夫氏のアメーバ経営である。
これは会社の組織をアメーバのように分裂させ、その分裂した小さな組織ひとつずつが独立採算制で、一人ひとりが経営者感覚を持って会社で働き、「正しい考え方(フィロソフィ)」を共有しようというもので、これでJALは2016年には営業利益2091億円を計上し上場復活するほどのV字回復を果たした。
LinQは、他のアイドルのようにメンバーに歌って踊るレッスンだけではなく、ビジネスの場にもメンバーを参入させることにより、その「正しい考え方」の共有がうまくできたように感じる。
もともとJALの再建を意識したのかどうかはわからず、テレビなどで見た感想としてはメンバーへの経済的支援の側面でそのような裏方仕事をメンバーにさせていたのだろうが、後年JJ小野氏がLinQのメンバーを「アイドルが売れるか売れないかは楽屋の態度ですぐわかる。うちのメンバーは挨拶ひとつでも正しいことがちゃんとできる子ばかり」と言っていた通り、結果的にビジネスでグループの経済的な面や顧客ニーズをメンバーがスタッフとして受け止めたことで、正しい意識の共有ができていたんだとぼくは感じている。その結果としてJJ小野氏は「自発的にファンの方がどうすれば喜んでくれるかもメンバーが考えられるのがうちの強み」とも言われていた。

4.誰に向けて発信しているかの感度
HRは最初の公演名が「ようきんしゃったね公演」。初の全国発売シングルの曲名が「バリカタ」でCWは「めんたいLock!」だった。
身もふたもない言い方をするならば、東京の人が考える博多のステレオタイプだ。デビュー直後にHRが東京のテレビに出演したときに「東京の人にはわからないような博多弁を話して、司会者に拾わせてほしい」という要望をテレビのディレクターから受けたらしい。その経験から、福岡県外のメンバーにも博多弁を教えるほどのこてこての博多弁のグループになっていた。
ただ、これは大きな失敗だったと思う。

メンバーが博多弁を強調するというその努力が福岡のアイドル文化を支えているファンに向けられたものではなく、博多弁のほうがメディアに取り上げられやすいからというメディアに向けられたものだったからだ。
LinQの「ハジメマシテ」では西鉄バスという単語がサビで印象的に使われている。「なう」も最初は「西鉄電車に揺られてるなう」だった。
西鉄ライオンズがなくなって、西鉄というのは全国区では忘れられた存在だったが、福岡の人にとっては日常的な足であり、福岡の人には響くワードだったのだ。また、福岡の人は標準語のつもりで博多弁を話しているつもりなので、他のアイドルのような歌詞に方言を入れることもLinQはしなかった。
つまり、HRは東京のメディアに向けて、LinQは福岡の人に向けて発信しているのを、ヲタクは敏感に感じてしまったのである。
なお、LinQはJJ小野氏が運営から身を引いた2014年に「ウェッサイ! ガッサイ!」というこてこての方言ソングを出すが、あれは東京のプロデューサーが東京の視点で作ったものだから、その時点で福岡のヲタクはあきらめていたように思う。

5.日常のアイドルライブか非日常のコンサートか
HRは日常的にアイドルに会いに行ける文化を作るために、AKB48のフォーマットを模倣しているところが多い。たとえば、アンコールにTシャツにデニムのハーフパンツというビジュアルまでコピーしていた。
日常なのでいつものように集まっていつものように楽しめるように、AKB48の劇場公演の狙いと同じようにセットリストはアンコールまで固定、当時はいつもいるヲタクを「おまいつ(おまえいつもいるなの略)」と呼ぶような言葉もあったが、常連さんがいつものように盛り上がれるステージが作られていた。
対して、LinQはコンサートのようだった。開演前の会場に入ると、会場には洋楽のヒットソングがBGMで流れている。80年代ごろのヒット曲が多かったが、センスが良くて、いまでもはっきり覚えているのは2012年のドナ・サマーが亡くなった時には、ドナ・サマーが流れていた記憶もある。
そして客電が落ち影アナが流れ、その後TRICK8fの「恋をして」という曲がBGMよりも大きい音量で流れた。

ここでフロアは沈黙する。その演出がよく考えられていた。
このTRICK8fの大音量が、フロアに座っているファンを、それまでの日常から非日常へと切り替えさせてくれいたのである。そこからはメンバーの「わたしたちLinQが笑顔の懸け橋になれますように」の言葉からSEが始まり、ステージが開始。もうSEと同時にステージに映される、天神の街をジャックしたかのようなLinQの映像を見ているときには、気持ちは完全に非日常であった。そして、非日常だからセットリストはそのときまでわからない。
おまいつが楽しめるようにアンコールの曲は固定してあったが、そのアンコールの曲は一曲目がタオル曲、二曲目がペンライト曲とさすがアイドルをビジネスにしたLinQらしいグッズ展開も見事だった。ちなみにこのLinQの劇場は前方は椅子席があったが、アンコールの時のみ、椅子席も総立ちになっていた。
結果としては、ヲタクは日常の中にアイドルが入り込むアイドルのいる生活よりも、ライブの時だけ非日常感が味わえるほうが楽しかったのだと思う。

てなわけで福岡アイドルの覇権をどちらが握るのかの十年以上前の軍配はLinQに上がったわけだが、紫谷氏がJJ小野氏のような他のアイドルにケンカを売るスタイルではないため、現時点ではRe:fiveとSunnyHoneyは、コジMAXさんがいやがる言い方をするプロレスを行う雰囲気ではなく、共存する方向性で進み、当たり前のように共演しているのが現状である。おそらく、狭い熊本で張り合うよりも、お互いに切磋琢磨しながら熊本を盛り上げ、県外のアイドルファンが熊本に集まるようになるならば、これが正解とぼくも思う。
ただし、Re:fiveと比較してSunnyHoneyが他県への遠征を増やしているところを見ると、いちはやくひめキュンフルーツ缶と共演したLinQのような動きを見せている気がしている。また、HRはお披露目当時のメンバーは14人だが、LinQはお披露目当時で33人いた。ここほどの倍以上の差はないものの、Re:fiveが4人に対し、SunnyHoneyのほうが6人とメンバーが多かったりと、Re:fiveがHRっぽく、SunnyHoneyがLinQっぽいと感じる点も多々ある。
ただ、構造としてはHRとLinQの差のような大きな違いは今のところ感じられない。
オリジナル曲の強さに関しては、現状制作陣が同じためそこまで差は見られないが、MONECCO5の曲が使えるRe:fiveにも、新しいグループなので新曲が増えているSunnyHoneyのどちらにもアドバンテージがあるように感じる。個人的には来年にはRe:fiveにも新曲が欲しい気はしている。また、どちらのグループもカバー曲は抵抗なくステージで披露している。LinQは共演したアイドルの曲以外はほとんどカバー曲はやらなかった(2016年ごろになぜかMONGOL800のカバーをしていた)が、HRは周年などの節目の時に2013年ごろまでほぼほぼカバー曲のライブをやっていた。2013年頃に大分のアイドルぶれいずが大阪遠征したときに「九州のグループはオリジナルばかりだけどこっちはカバー曲をやってくれて沸けた」なんて話していたこともあったが、カバー曲はカバー曲なりに魅力がある。そこはそれでうまく生かせばいいのではとはぼくは思う。
会場に関しては、共演が多く、Re:fiveとSunnyHoneyでそこまで差がない。それと福岡よりもマイカー率が高いため、いまのところ自家用車で行くヲタクが多い。これに関しては辛島公園など都心でライブをしているPOTIONがもしかしたら強いのかもしれない。
アメーバ経営的意識の高さは正直LinQがすごく、Re:fiveとSunnyHoneyではそこまで感じられない。ただ、誰に向けて発信しているかの感度にもかかわってくるが、カメラで写真を撮るファンが多い現状を考えれば、Re:fiveはXで自分の写真を上げてくれるファンに関しては「いいね」を押すぐらいのリアクションは取れた方がいいのではないかなと考えている。もちろんその作業を増やすことによってのメンバーの負担やファンとアイドルのトラブルを考えれば二の足を踏む気持ちもわかるが、熊本の他のグループがやっていてそこまで大きなトラブルの話は聞いたことがないし、虎穴に入らずんば虎子を得ずである。写真を撮りたい、それをSNSで見せたいというニーズがあるならば積極的にそれに応えるのも必要かなと感じている。そのあたりは、SunnyHoneyはメンバーがリプ返までして大変そうだが、アドバンテージがあると思う。ただ、毎月5日にリプ返の日をRe:fiveが今年はじめたのは、リスクを回避しながらもリアクション出来るという点では、よかったと感じている。配信もあるので、ぼくのような撮れないヲタクはRe:fiveの現状で満足だが、写真を撮る人のモチベーションを高めるのはSunnyHoneyのほうが一歩リードしている気がする。
日常のアイドルが非日常のコンサートかに関しては、Re:fiveもSunnyHoneyもほぼほぼ同じ会場、同じイベントを行っているのでそこまで差はない。
ファンも正直に言えばそこそこかぶっていて、写真を撮る人、沸く人、見守る人のスタイルも大きな違いはない。
ただ、常連が場の空気を作って楽しめるようにしていたのがHRで、LinQは非日常だからこそ、いつ来ても新鮮に楽しめるように空気を作っていた。
そこでふと思ったのだが、HRもLinQも入場は抽選順で入場だったが、HRは後方の立見席から埋まっていたのに対し、LinQは前方の椅子席から埋まっていた。Re:fiveも劇場を持っていた頃は、後方から埋まっていたが、最近は、Re:five主催のういたんさいでも、前方から埋まるようになってきている。またHRは初期の頃からコールやミックスが中心だったが、LinQはコールを打つ人もいたけれどそれよりも座った人のフリコピが中心の文化だった。そしてフリコピ文化というのは初見で知らない人が巻き込まれなくてもいいという点では、沸いてるフロアよりも入りやすいのである。そこはLinQがすごかったと思う。いまのところ熊本でフリコピがはやりそうな気配は全くないが、コールやペンライトを振るのではなく、フリコピをはやらせたLinQの仕掛けというのもなにかあるような気がする。

ともかく、常連さんと初見さんの住み分けというのはどこのアイドルでも頭を悩ませるテーマではあるが、SunnyHoneyの物販交流会の初回特典を見れば、SunnyHoneyのほうが新しいグループということもあり積極的に初見さんを集めようとしており、その影響でRe:fiveの主催でも前列から席が埋まるように熊本全体が変わってきているような気はする。

今年も暮れになり、4月の頃のようなプロレスの雰囲気はなく、完全にRe:fiveとSunnyHoneyはうまく共存していく道を選べたなとぼくは感じている。
ただ、今年、かつての福岡の覇権争いに似たことが熊本に起こってた。
お互いに戦う気はなさそうなので、勝者も敗者も生まれないだろうが、それでもこの2グループが十年以上前の福岡のときとはどう違う動きをするのか。
メンバーが増え、グループの色というものがこれからしっかりしてくるであろうSunnyHoney。
これに刺激を受け、更に力を伸ばすRe:five。
それを見守るだけでも来年の熊本は楽しい気がしている。

 

2024年のRe:five、ぼくは心配な幕開けだった。

1月に人気メンバーが卒業し三人になった。また、1月に2グループ、3月に1グループと、本拠地の熊本にライバルとなるかもしれない新しいアイドルグループがデビューするため、熊本のアイドルシーンがレッドオーシャン化し、シーンが疲弊する懸念も抱いていた。

ところがどっこい2024年はすごくいい一年だったと思う。

実際めちゃくちゃRe:fiveに楽しませていただいた。

 

まず外的要因としては、本格的なアイドルグループのPOTIONSunnyHoney、ヲタクの心をつかんで離さないChemLily3グループがデビューしたことで、シーン全体が活性化した。

もともと20235月に新型コロナウイルスが五類に移行され、ライブイベントの盛り上がりも少しずつ戻っていた時期にこの新しいグループの誕生は、熊本のアイドルファンというパイを大きくした。

いまでは考えられないが、2023年頃までは、Re:fiveと熊本Flavorが天海でライブをしても10人程度しかファンが集まらないほどパイが縮小していた時期もあった。もちろん既存のグループの活躍によってそのパイが増えたのもあるだろうが、話題性としても新しいグループが誕生したことでシーン全体が活性化したのは大きかった。熊本のアイドルが増えたことにより、POTIONのデビューイベント、竜北での夏フェス、KCmixfes、宇土シティで開催されたアイドルイベントなど、熊本のアイドルが集まるフェス的なイベントが開催されたことも、この新しくグループが増えたことによるシーンの活性化があったからだと思う。

 

そうやってシーンが活性化した中での今年のRe:fiveの活動も勇気に満ちたものですごくよかった。

2024年、最初にRe:fiveはミクチャの配信で騒がせてくれた。

詳しいことはよくわからないままぼくは参加していたのだが、東京ガールズコレクションが熊本で開催され(たぶん、ラフォーレ原宿小倉店みたいに東京でなくても東京というイベント名らしい)、そのショーのランウェイができる権利を配信で女の子たちが競い合うというイベントがミクチャで開催されていた。

そこに柊わかばさんと東雲ういさんが参加したのだ。

そもそもその東京ガールズコレクションがどんなイベントかよくわかっていなかったので、最初はぼくは「メンバーの配信が増えてラッキー!」ぐらいにしかとらえていなかったのだが、長い時間を割いて配信者などのインフルエンサーと戦う我らRe:fiveのメンバーたちの姿を見ているうちに、応援に熱も入ってきた。はじめは「課金イベントかよ」と覚めた気持ちも正直あったが、熱心な柊さんや東雲さんの姿に心を打たれた。

期間中、柊わかばさんも東雲ういさんも毎日数時間に及ぶ配信をしていた。

その長時間の配信でRe:fiveのようなライブアイドルは、物販交流会でライブのたびにファンと交流をしているので、実は配信者のようなファンとのコミュニケーションの取り方がうまいんだと気づかせてくれた。むしろ配信者よりも顔を付き合わせて交流している経験があるので、配信者のライブ配信よりももっと距離の近さを感じるパーソナルコミュニケーションができていた。ぼくはさすがだなと思った。

これまでのYoutubeなどのライブ映像では、どうしても短い持ち時間のライブのMCしか、現場に足を運ばない人には見てもらうことができず、メンバーのキャラクターや良さを伝えるには物足りなかった。

それが配信で堪能できたのがすごく楽しかった。

東雲さんは特別賞まで受賞して、東京のビジョンに出演することができ、柊さんもぼくのような古いファンでも知らないようなことまで教えてくれた。

柊さん、東雲さんの魅力と、その二人が所属するRefiveのよさを伝えるのに、本当にいい機会だったと思う

 

生誕祭は3月に柊さん、6月に空豆かれんさん、9月に東雲さんを主役に開催された。

高校を卒業するということで天草を離れるラスト天草の柊さんの生誕祭は、これまで柊さんが 天草で育った年表なども紹介しての素敵なイベントだった。

初めて正規メンバーとして迎える空豆かれんさんの生誕祭は、ドレスを着た空豆さんを、初の空豆生誕Tシャツを着たほかのメンバーが脇を固め、空豆さんの急成長を感じさせてくれた。

東雲さんの生誕祭は、他のアイドルと東雲さんとRe:fiveのメンバーがコラボするという趣向で、ゲストのグループのファンでも楽しませる、本当にファンを楽しませたいという東雲さんの気持ちが伝わる生誕祭だった。

 

そして2024年一番のトピックは2月に何の前触れもなくステージに登場した研究生・ひなさんの存在だろう。

2024218日のLIKE!で登場したRe:fiveは四人だった。

初ステージということで、たどたどしく踊るひなさん。

しかし、この日会場にいたRe:fiveのファンは、すぐにそのひなさんが好きになった。

「こんなかわいい子がRe:fiveに入ってくれていいんだろうか」と言っているヲタクもいたが、それほどの存在感がひなさんにはあった。

三月ぐらいからひなさんを目当てRe:fiveに来る人も増えてきたように思う。

そのひなさんは8月に正規メンバーに昇格し、白鳥ひなと苗字もついた。

お人形のようなかわいらしいビジュアル、それでいて物販交流会ではフランクに笑顔で話しかけてくれる親しみやすさで、来年も白鳥ひなさんの飛躍は目が離せないように感じている。

 

飛躍といえば、今年最も飛躍したのは空豆かれんさんだろう。

10カ月という長い研究生期間に耐え、昨年の六月に正規メンバーになった空豆さんは、いまでも周りを引き立てるような姿を見せてくれるが、ひなさんが入るまで一番最後に入ったメンバーということで2023年頃はその控えめな感じが強く、あまり表に出ることはなかった。歌唱力のスキルが高いため、歌割は多いのだけど、次に歌うメンバーの引き立て役のような、たとえて言うならハンバーガーセットのフライドポテトのような、なくてはならない重要な存在なのに、メインではないような印象が強かった。

それが、白鳥さんという後輩が刺激になったためか、今年は大きく飛躍した。とにかくパフォーマンスがすごく目を引くようになったのだ。

ステージで一番、空豆さんが今年変わったなとぼくがわかりやすく感じているのは、MCやハケ際の手の振り方である。いまでは恵まれた手足の長さで華麗なダンスを魅せてくれる空豆さんだが、2023年頃の空豆さんは、せっかくそんな宝を持っているのに、控えめにしている場面が多かったように思う。その象徴的なのがMCでの自己紹介のときの手の振り方や、ライブが終わって袖で頭を下げる直前の手の振り方である。これが今年、大きくなった。それはまさに、空豆さんの自信の表れだとぼくはとらえている。そして実際、手の振り方が大きくなるとともに、ダンスの振りも大きくなり、もともと歌唱力と恵まれた長い手足を持っているのだから、空豆さんのパフォーマンスはかなり目を引くものになった。

そしてそれだけ、パフォーマンスが優れていても、自分の苗字に「空豆」を選ぶほどの楽しいキャラで交流してくれるので、空豆さんと話すのが楽しいファンも今年すごく増えたと感じている。

今年急成長した空豆さんの来年は、ますますすごくなるだろうし楽しみである。

 

推しであることもあり、今年も東雲ういさんにはたくさん楽しませていただいた。

注文を付けるとすれば、今年はダジャレが少なかったかなと思ったが、クリスマスイブの配信で久々にダジャレを披露してくれたので、忘れていなかったんだと安心した。

去年と今年の東雲さんの大きな違いは、2023年までは、あのほわーっとした独特とした東雲ワールドともいえる自分の世界をライブや配信、交流会で披露していただけだったけど、今年はその自分の良さもわかったうえで、見せ方を工夫しているなと感じた。

生誕祭では「これまでみんなから愛をたくさんいただいたので、これからはその愛をみんなに返していきたい」と主語が「(ファンの)みんな」という挨拶をしてくれたが、その「みんな」を楽しませたいという気持ちがすごく見える一年だった。

これまでもそういう気持ちは抱いているアイドルだったとは思うけど、デビューして三年でその気持ちをうまくステージでも表現できるようになったのだと思う。

自己紹介後の「ういー!」というファンの掛け声も定番化し、「ウインクください、ういちゃん」とコールをすればウインクで返してくれる、本当に見てて飽きないナイスなアイドルの東雲さんは、この東雲ワールドをもっとたくさんの人に知られるように来年は頑張ってほしいし、その力はあるとぼくは信じている。

 

そんな個性的なメンバーを引っ張っていた柊わかばさん。

MONECCO5時代の彼女を見ていて、久しぶりにRe:fiveの柊わかばを見たら目を丸くする人が多いほど、今年は高校を卒業し、しっかりしたお姉さんになったと感じた。

とにかくMCでは周りが見えているし、ライブの企画でも、他のアイドルがいたとしても司会を任されるほどの安定感はすごいなと思う。

それでいて、髪の毛の色は何度も変わり、トラディショナルなアイドル像ではなく、自分らしさを表に出すから、しっかり者の安定感なのに優等生に収まらないのも魅力だ。まあ、そのくらい自分を持っている人じゃないと、個性的な三人のメンバーがいるRe:fiveを引っ張れないのかもしれない。

また、年齢もあるのだろうが、ぼくの印象はこの一年で完全に「かわいい」から「美人」に変わった。

2023年頃までは前歯を出した小動物のような笑顔が似合い、今年3月の生誕祭でも委員の作ったTシャツはバレーボールがテーマだったぐらい、スポーツも得意なかわいいアイドルという印象が強かったが、今年、特に髪の色が一回派手になってから落ち着いた秋ぐらいからは、ルックスだけでいえば、近寄りがたいほどの美人の印象だ。最近の柊さんは、笑顔よりも、つんとした表情が似合うような気がする。

とはいえ、ぼくの場合は「かわいい時代」から知っていることもあるかもしれないが、その頃から続く親しみやすさはいまも残り、話しかければこれまで通りの明るさで話してくれ、つんとした顔が似合う美人になっても笑ってくれるのは、本当にメロメロするほど素敵である。

ミクチャの配信で、スポーツも好きだけど意外にアイドルも好きな一面を見せてくれ、ラジオ出演でも最初の頃は共演しているアイドルを紹介していたのに、最近では本当に好きなアイドルを紹介してくれていると、アイドルに詳しい一面も見せてくれるようになった。

来年もさらにそのしっかりもので素敵な柊さんに磨きがかかることだろう。

最近、髪を落ち着いた色にした頃から、不肖・たきびはその美人さに物販交流会で柊さんと話すのに緊張するようになってしまったが、来年はもっとびびってしまうぐらい美人になってしまいそうで、いまからぼくは緊張している。

 

そんなわけで心配な幕開けだった2024年だが、終わってみると「やっぱりRe:fiveが最高だな」と思える一年だった。

今年見れるのはあと二回。

来年は1月5日から始動。

最強の四人に今年も来年も会いに行こうと思ってる。




 

 


現在の熊本flavorこと、当時のJunior flavor Kumamotoを最初に見たのは2021年末か2022年だ。手元にあるチェキを見ると2022年の1月にハノさんと撮っている。場所は間違いなく新Refive劇場で、その劇場が存在していたのが、2021年10月からの一年間なので、2021年の年末か2022年の始めに見たのだろう。と言っても三年も前になるのか。

初めてRefive劇場にJunior flavor Kumamotoが出演すると聞いたのは、出演の前の週のRefiveのMCだったと思う。サポートメンバーに吉川りおさんがいた時期で「フレッシュなJunior flavor Kumamotoちゃんがやってきます」と言ったときに、当時のRefiveのヲタクたちは煽るように「やったー!」と騒いでいた記憶がある。個人的には、炭坑ガールズのときにも書いたけど、あまりジュニアアイドルには感心がないので、へー、ぐらいにしか捉えてなかった。この2022年頃はまだ福岡flavorがバリバリに活動していた時期だ。だから曲はなんとなくわかった。あと、熊本なので「ダイスキ!くまもとファイヤー」をやっていたのも印象に残ってる。ただ、福岡flavorと同じ曲をやるからこそ、Junior flavor Kumamotoはすごく幼く聞こえていた。まあ、しかたないことだ。そんな幼いステージを、みんなで暖かく見つめていたように思う。 

ただ楽曲は幼くても、Junior flavor Kumamotoには福岡FlavorにはないおもしろいMCがあることにぼくは気づいた。一応、台本があって言うことを言おうとしてるのだが、必ず誰かが忘れているのである。んで、みゆ先生が口を挟んでどうにか進行すると。 

当時は「このゆるさが熊本っぽいな」と感じていた。個人的にはジュニアアイドルで、完璧になんでもできる子よりも、ぼくはこういうゆるい感じか好きだった。

また、この頃、当時Refiveにいた橘かえでさんが、Junior flavor Kumamotoとコラボをしていた。たしか2022年のゴールデンウィークの三部制Refive劇場ワンコインライブだ。このライブはRefiveが主催してたくさんのアイドルを呼んだために、Refiveのメンバーが他のアイドルのステージを見ていた。そのとき、たしかトップバッターで出演したJunior flavor Kumamotoの「シエスタ」を、橘かえでさんがフリコピしていた。へー、かえでこういう曲好きなんだと見ていたら、二部か三部で「かえでフレーバー」として登場して喝采を浴びていた。 これはこれですごく楽しかった。Refiveのファンがflavorの曲を身近に感じたのもこれがあったからだと思う。


その新Refive劇場は2022年に閉鎖になった。同じ頃、Junior flavor Kumamotoも大きな試練がたちはだかっていた。当時はメンバーはリーダーの水無月あやかさんと日向みさきさんともうひとりいたと記憶してるが、水無月あやかさんが受験のため活動休止、もうひとりの方も休止され、日向みさきさんひとりの活動になっていた。たしか、当時みさきさんは小学五年生だったと思う。それが神がかっていた。いわゆる熊本のコアなヲタクたちが「みちゃ、めっちゃがんばってる!」と注目しだしたのだ。

ぼく自身がRefiveの出ているイベントでJunior flavor Kumamotoを見ることが多かったからそう感じていたのかもしれないが、他のアイドルを見に来てるヲタクが多数いるなかで、だいたいはじめの方に登場して、ひとりでそんなファンを相手にしてる姿は力強かった。

ほんとに小学生なの? と目を丸くする人もいて、堂々とファンを引き付ける姿は、まさにみさきさんの力が溢れていた。 

そして待望の四月がやってきて、水無月あやかさんともうひとりの方も復活した。 

この頃のぼくの思い出は2023年のゴールデンウィークのモネリンピックだった。モネリンピックとはその名の通り、MONECCO5とその後継グループRefiveの運動会だったのだが、そこにゲストでJunior flavor Kumamotoが来てくれたのた。そこでぼくはてっきりジュニアアイドルと思っていたJunior flavor Kumamotoに、リーダーの水無月あやかさんという当時高校一年生のメンバーがいることを知る。また、ジュニアアイドルっぽいと思っていたのに、みさきさんもすごく大人っぽい外観て話してくれて、もともとひとりでステージに立っていてすごい子と思っていたので、そんなみさきさんと触れあうのも楽しかった。モネリンピックの競技も、口だけのRefiveのヲタクは、もくもくと競技をこなすJunior flavor Kumamotoのヲタさんに完膚なまでにやられ、このへんもさすがJunior flavor Kumamotoと感じていた。 

また、この頃に「コイマチ」がキラーチューンになっていったと思う。 

みさきさんが表に出ていたときはJunior flavor Kumamotoと言えば、橘かえでのプッシュもあり「シエスタ」が代表曲のような感じだったのが、「コイマチ」に変わってきた気がする。ぼくがこの頃の「コイマチ」で好きだったのは、二番以降のサビあとに「Lady for you」とあやかさんがいい、そのあとに「f」「l」「a」「v」「o」「r」とコールを入れるところだ。それが2023年の5月ぐらいまでは、なんとなくヲタクもよくわかってなくてあやかさんが「えふ!」とか言われていたのが、ライブの回数を重ねるごとにそのコールがファンから自然に起こるようになったのだ。これをリアルタイムで見ていて、ぼくはすごくいいなと思っていた。 

それと、いまでも運営さんがXで動画を上げることもあるが、熊本独特の「イヤホンの耳をはんぶんこ」のあとにファンが「はんふんこ!」と言いながら片側のイヤホンをステージのメンバーに向けるイヤホンチャレンジも「コイマチ」の見所だ。

これはもともとは熊本にアンジュルムの「夢見る15歳」をカバーしているアイドルがいて、「夢見る15歳」の「ひとりきりイヤホンで音楽聴いている♪」のところでファンの人がイヤホンをステージに向ける土壌があり、それが発展してみんなでイヤホンを向けるようになって、いまや熊本flavorの代名詞になっている。 

2023年の夏ごろにまず水無月あやかさんが熊本flavorになり、この頃は熊本flavor+Junior flavor Kumamotoとクレジットされたこともあったが、2024年に聖ともかさんも加入し、日向みさきさんとともに熊本flavorと名乗るようになった。 

 昨日はそんなJunior flavor Kumamotoからの歴史を持っている熊本flavorの四周年だった。Junior flavor Kumamotoのようなぐだぐだはない変わりに、それぞれのメンバーが素敵なステージを見せてくれた。 

まず自己紹介が変わっていたのだが、フロアでヲタクがよくメンバーに投げ掛ける言葉を取り入れているのがおもしろかった。

「おれの孫」の日向みさきさん、「世界のセイント」聖ともかさん、「おれのあややん。みんなのあややん」水無月あやかさん。

内輪ノリではあるけど、初見の人でもわかるその自己紹介はうまいなと思ったし、こういうノリが熊本らしいなと感じた。

個人的に特筆すべきは、久しぶりにツキダタダシが手掛けた「ロストジェネレーション」が聴けたことだ。 やっぱり痺れる、この曲は。

全国展開するアイドルだからこそ、超一流の楽曲も持っていて、それを歌えるのは本当にいいなと思った。 

「コイマチ」も「シエスタ」も好きだけど、個人的にflavorの中で一番好きな曲なので久しぶりに聴けたのが本当に嬉しかった。 

そして四周年の気合いからか、かなりかっこよく仕上がってた。 

 後半にはサプライズとして、福岡flavor研究生のこはるさんの熊本flavorとの兼任と、新研究生としてのぞみさんの加入が発表された。 

優れた楽曲は持っていながら、地域に密着し、その地域の独自性をうまく出している熊本flavor。四周年を迎えた五年目、新しいメンバーが加わり、いまのメンバーも伸び盛り。どんなに楽しませてくれるか、期待に胸が膨らむ四周年だった。