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君が好き

アイドルの話でもしようず。

昨日は空豆かれんさんの17歳の生誕祭に行ってきた。
三回目の生誕祭。
一回目の2023年の生誕祭は研究生で迎えたかれんさん。それから丸二年、三回目の生誕祭の空豆さんは、予想はしていたことだけど去年までとはまったく違う、パフォーマンスの美しさに、存在感のたくましさが感じられ、その完成ぶりに驚かされた。
一般的にアイドルというのは急成長する思春期の年齢が多いということもあり、急成長することが多い。もちろん、その急成長の裏付けにはそこまでの努力がある。
ここから先は、ひとりのヲタクの勝手な感想として読んでいただきたいが、個人的には空豆かれんさんもそのひとりで昨年のちょうど後輩に白鳥ひなさんが加入した頃から、急成長した印象を抱いている。
個人的な印象としては、グラフにするとこんなイメージだ。

おそらく、空豆さんは激しいダンス曲の多いRe:fiveの中で必死に努力をされていたと思う。その努力のイメージがこのグラフの青い線である。
ただ、持ち前の歌のうまさや長い手足の恵まれた身体能力の魅力はその努力に見合うほどまで、ファンには伝わっていなかったような気がする(個人の感想です。すみません)。特にお披露目から十か月の研究生時代は、あんなに歌がうまいのにソロパートを歌う機会もあまりなかった。
そして1回目の生誕祭当日に正規メンバー昇格。もともと潜在能力の高さは薄々感じていたから、ここからはかれんさんのターンが来るとぼくは信じていた。
そしてそこからAメロの担当曲が増えたり、オチサビを歌うこともあり、空豆さんのターンは確実に来ていて確実に成長はしていたのだが、いまから考えるとその当時の成長の幅は彼女の才能に見合っているものではなかったようだ。結局二年目の空豆さんは空豆さんなりにぼくらを魅了していたように感じたが、本来の空豆さんはそんなものじゃなかったのだ。もっとすごかったのだ。
これは結論から言うと、学力テストなどでも垣間見れるように空豆さんはRe:fiveで一番頭のいいメンバーだと思うが、頭がいいからこそ、グループ全体に気を配り、グループを支えるようなステージングをしている。Re:fiveのメンバーとして、Re:fiveの輝きに貢献したい。頭がいいため、その最適解として、自分が目立つことより、Re:fiveのためにステージをしている。
そのため、潜在能力をステージに爆発させるには二年以上の月日が必要だったのだろう。
共感していただける方も多いと思うが、昨年の生誕祭以降の空豆さんは、これまで以上に見るたびに輝くようになっていた。
それ以前の空豆さんでもRe:fiveのファンにとっては悪くなかったのだが、それでも去年とはケタ違いの急成長をこの一年でされたとぼくは感じている。それが先ほどのグラフの赤い線である。やっと(といってもこれは推測でまだまだ努力の量と比べれば空豆さん的には足りないのかもしれないが)、空豆さんの努力の量に実力が追い付いてきたように感じるのだ。もともと歌唱力にダンスと潜在的に高いレベルのものに恵まれている人のため、実力が追い付いてきたという言い方は変かもしれないけど、とにかく「空豆かれんのパフォーマンスはすごい」と目を見張る機会が去年の生誕祭以降、増えたのは間違いない。
もちろんスタイルとしては、相変わらずスポーツでいえばチームプレーというような、自分のためよりもRe:fiveのためという印象は感じる。それはそれで素晴らしいことだし、その良さも、以前よりもファンに伝えられるようになっているようにも感じる。
でも、だからこそ、そんないつもはグループのために尽くしている空豆さんが主役の生誕祭は楽しみだった。

てなわけで一年に一回、Re:fiveを支え続けている空豆かれんさんが主役のイベント、「空豆かれんお誕生会2025」。
開演と同時にまず来場者へのあいさつ代わりのオープニングアクト的にRe:fiveが登場。熱気に包まれたフロアに流れるOvertureに乗って空豆さんが登場すると、どこかしこからも聞こえる「かれんちゃーん」の声。
そのとき空豆さんは、イントロを待つように下を向いていたが、フロアから見てもはっきりわかるように白い歯を見せて笑っていた。
思い起こせば去年も一昨年も同じように生誕祭のOvertureで登場していたのだが、そのときは逆に緊張した表情を浮かべていた印象が強い。
一年に一度しかない自分が主役のライブ。その日のために努力をしてその成果を見せる日。この緊張感はその場に立ったことがある人しかわからず、ぼくには推測になるが、プレッシャーは相当のもので、それが顔に出るのも普通のことと思う。
でも一年で急成長を遂げた空豆さんはそのプレッシャーを乗り越え、もう楽しくてしようがないといった具合に笑顔を浮かべていて、頼もしかった。
Re:fiveの生誕祭は、衣装とメンバーの髪形、またセットリストを主役のメンバーが選ぶことになっている。
まず衣装だが、実はここでぼくは「さすが空豆!」と感じた。
正規メンバーとして初めて迎えた去年の生誕祭では、通称Avalonとも呼ばれる赤いセーラー衣装だった。そして今年はピエロ(アリサ)衣装だった。
Re:fiveの生誕祭に通っている方ならお気づきだろうが、去年の空豆生誕祭が終わった後の他の三人のメンバーの生誕祭は、全員が全員、ネクタイブラウスの衣装だった。スカートがチェックだったりと多少の違いはあったが、基本はネクタイ衣装だったのである。おそらくだけど、どのメンバーも「Re:fiveといえばこの衣装」というイメージがあって、選ばれているのだろう。それを知ってか知らずか、二年続けて他の三人のメンバーが選んだネクタイ衣装とは違う衣装を選んだところに、空豆さんのひらめきのようなものを感じた。
髪型は全員がサイドポニーだった。実は空豆さんが他のメンバーの生誕祭でよくやっている髪型である。

ブラウスが白の柊さんと白鳥さんが右側に流し、ブラウスが黒の東雲さんとそして空豆さんが左側に流していて、4人そろえばシンメトリーになっているのも素敵だった。
衣装にしても髪型にしても、ちょっと一筋縄ではいかないこの日だけのものを見せてやろうという気づかいを感じた。
ただ、そんな空豆かれんさん本人が選ばれたセットリストの一曲目は「君とRestart」。ど定番だった。ただ、やっぱりこの曲の一番のサビを歌う空豆かれんさんは、純粋なRe:fiveのオリジナル曲だからこそ、自分のものとして歌い上げているところが素敵だ。圧倒的な存在感でぐいぐい引っ張っていく。
ところが続く二曲目は久しぶりの「ラクガキアクセル」だった。やっぱり、生誕祭という特別な時だからこそ、普段はあまりやらない曲をやろうという空豆さんの気遣いが伝わり、ぼくはうれしかった。タイトルからカラフルなイメージが浮かぶこの曲だが、軽快なメロディーは青空を思い起こさせる。水色のペンライトが輝くサイリウムにこの曲がすごくマッチしていて、なかなかニクい選曲だなと感じだ。
空豆さんは開場全体のかれんコールに時折苦笑のような笑顔を浮かべながらも、やっぱり歌が上手いメンバーは見せ場が多いわけで、そのときどきでファンを魅了しながら、終始笑顔でこの二曲をRe:fiveとやり遂げた。
それから、いったんステージはゲストにバトンタッチされる。

最初にゲストで登場した炭坑ガールズは、今月末にお披露目される「煌~KIRA~」のメンバーに選ばれた5人で構成されていた。
この5人を「たんたたんたたたたんこう♪」で見るのは今日で最後かもしれないと思いながら、小さいヘルメットを髪飾りにスコップを持つ姿をぼくは目に焼きつけていた。
激しいアクロバットに歌唱力も高く、ヲタクのツボを心得た選曲は大きな魅力で、この良さは煌~KIRA~に受け継がれていくのだろうと、新たに結成されるグループへの期待と、いまの体制への惜別を感じさせる、ちょっぴり複雑な、でも素晴らしいステージだった。

熊本Flavorはラベンダー色のセーラー服の新衣装をお披露目してのステージ。「LOVE ∞ 無限大」「OMG」「恋煩い」「コイマチ」の四曲を見せてくれたが、圧巻は「コイマチ」。曲の佳境でメンバーが先導してヲタクが「F」「L」「A」「V」「O」「R」とコールをするところがあるのだが、そこをリーダーの水無月あやかさんが「今日はKARENでいきましょう」と言い、聞こえたヲタクたちは「K」「A」「R」「E」「N」と盛り上がっていたのだけど、そこで空豆かれんさんのファンとしても知られ、先日の小倉での無銭イベントでもRe:fiveのステージで空豆さんを応援していた聖ともかさんが目に涙を浮かべられていた。想像するに、空豆かれんさんの生誕祭で本当の意味で空豆さんをお祝いできたという実感が浮かんだ涙だったんだと思う。ぼくの前にいた生誕委員長・だいさんは、その泣いているともかさんを見てぐっと歯を食いしばられていた。きっとだいさんもともかさんと同じような気持ちで、空豆推しだからこそ感じられる、この日空豆さんをお祝いできる幸せをかみしめているように感じた。

しっとりしながらも明るく締めた熊本Flavorのあとに登場したのはRe:fiveのステージパート。
このときもOvertureで登場した空豆さんは笑顔だった。
ただ、音響トラブルがあり、なかなか曲が始まらない。結局一度ハケてもう一度、Overtureからやり直しということになってしまったのだが、この状況をマイクを通してフォローする言葉を言っていたRe:fiveの他のメンバーにも成長を感じた。
Overtureからやり直しと出だしでずっこけた感じになったものの、このパートでの一曲目「Avalon」のイントロがかかると空気が一変した。笑顔を消して、引き締まった表情で空豆さんがAメロをかっこよく歌いだすと、フロアはその空豆さんの勢いに揺さぶられ、心が熱を帯びる。
二曲目は生誕祭定番の「St…you!」。サビの「あなただけ愛しています♪」の歌詞をその日の主役のメンバー名に変えるのは定番で、最近はたとえばこの前の柊わかばさんの生誕祭では一番で「柊だけ愛しています♪」、二番で「ばっちだけ愛しています」、大サビで「わかばだけ愛しています♪」と毎回変えて他のメンバーが歌っていた。ただ、この曲の一番のサビの歌割は主役本人の空豆さんなのだ。
そこでフロアのヲタクたちはみんなでそのサビで「かれんだけ愛しています♪」と叫んだ。かれんさんは歌詞通りに「あなただけ愛しています♪」と歌うと予想していたのだ。だが、空豆さんは「みんなを愛しています♪」と歌っていて、なんともほっこりした。
二番は東雲さんで、ここはヲタクと一緒に「かれんだけ愛しています♪」と歌ってくれるかと思ったら、メンバー同士の仲の良さを見せつけるように「豆ちゃんだけ愛しています♪」と歌うものだから、フロアのヲタクたちはその空豆さんと仲のいい東雲さんと競うようにまたもや「かれんだけ愛しています♪」の大絶叫。
大サビは歌詞通り「あなただけ愛しています♪」と歌っていたが、もうここまで来たら止まらないヲタクたちは「かれんだけ愛しています♪」と大絶叫していた。ただ、それを嬉しそうに見ているかれんさんの優しい瞳がぼくは印象に残って、これはこれでよかったなあと思っている。
そしてこのパート残り二曲で、Re:five生誕祭恒例のチャレンジが始まる。
やっぱり成長には挑戦がつきもので、これまでも主催ライブである生誕祭でチャレンジをすることで、Re:fiveは成長のきっかけをつかんできた。
まずは、いまやほとんどの曲に参加している白鳥ひなさんが、これまで参加したことのなかったカバー曲を四人でやるというチャレンジがあった。
カバー曲だからやる機会がこれまでたまたまなかっただけで、白鳥さんは特になにもなくそのミッションを成功させた。
そして最後の曲「なんてんまんてん」で課せられたのが、メンバーのポジションのシャッフル。
生誕委員も大変お世話になっているなぬきはなのさんのイラストが描かれた抽選箱からメンバーがくじを引き、くじもなぬきさんのイラストが描かれていて、その顔が書かれたメンバーのポジションで曲をやるという企画だった。
抽選の結果、空豆かれんさんが柊わかばさん、柊わかばさんが空豆かれんさん、東雲ういさんが白鳥ひなさん、白鳥ひなさんが東雲ういさんとポジションがシャッフルされた。
どのパートも、完ぺきにこなす柊わかばさんはさすがだったし、あやしいメンバーもそれなりにいたけど、それなりになりきっていて、白鳥さんが東雲さんの真似してたのが東雲推しのぼくにはツボだった。
いつもと違うスタイルでステージをやることで見えることがあるだろう。生誕祭のチャレンジはメンバーの成長にもなるし、また見に来たぼくらにとっては、普段は見られないものが見られるため満足感が高い。
演じるメンバーは大変だろうが、この楽しさもRe:fiveの主催ならではだよなと感じた。

Re:fiveのステージパートが終わり、本編のトリは先週Re:fiveをゲストに呼んで紬ひなたさんの生誕祭を開催したSunnyHoneyだった。先週のお返しとばかりにステージを盛り上げてくれた。熊本で今一番勢いのあるグループらしく、定番の「Sunny days」から最新曲の「雲の向こうで」まで六人の、熊本にしては大人数で演じられるステージは圧巻。フロアの熱気も一番勢いに乗っているだけあって熱い。それぞれのメンバーに歌割りが回ってくるたびに、そのメンバーを推してるヲタクが演者のように力を入れる一体感のあるステージが熱かった。

そのSunnyHoneyが、誰もがわかっているけどアンコールのきっかけのために「これにて空豆かれんお誕生会2025を終了します」と言ってステージを下りる。
客電がつかない真っ暗なステージの沈黙の中で声を上げたのは生誕委員長のだいさんだった。
まずは新年のイベントで空豆かれんさんが書かれた「秒」という文字の書初めを掲げて、「一秒一秒、大切にかれんちゃんを見つめましょう」と言われた。「いいこと言った」とヲタクたちがだいさんを見つめているのもつかの間、そこから突然だいさんは身体をくるりと回してステージに向かい、大きな声でステージに向かって「かれんちゃん大好きだ!」と叫んだ。ぼくはそのだいさんの姿を見て、こんなにストレートに推しに気持ちをぶつける姿に感動してしまった。
そのままだいさんの先導でアンコールのコールが始まる。
そして、ドレスに着替えた空豆さんが登場。
柊わかばさんや東雲ういさんがラジオでアイドルを紹介していることもあって、アイドルへのアンテナは鋭いのがRe:five。まだCD発売されていない東京のアイドルの曲をソロで歌っていた。もしかしたら日本で最初にこの曲をステージでカバーしたアイドルかもしれないと感じたし、メンバーがいないぶん、グループのためではなく楽しそうに歌っているのも印象的だった。

そこからは生誕委員とゲストからのプレゼントのセレモニーがあった。だいだいはどこのグループも時間の都合もあってゲストアイドルの場合、代表者が主役にメッセージを言うのが多いが、SunnyHoneyが一言ずつ、ひとりずつ空豆さんへのメッセージを伝えていたのは新しくていいなと感じた。
そして、他のメンバーがステージに座り、ドレス姿の空豆さんがファンに向かって語りかけた。
サイリウムで青く染まったフロアを見て「こんなにたくさんの人に応援してもらえるのが幻のようにうれしい」と率直な感想。
それからぼくと同じように急成長を感じてるファンがぼくも含めて言っているのだろうが「デビューしてもうすぐ三年になるけれど、デビューの頃と比べて変われたかというと自信がない。だけど、そうやってみんなが言ってくれることがうれしい」と言われていた。
ぼくはこの言葉が本当にうれしかった。
ぼくはこの一年間で空豆さんが急成長したと感じているが、それ以上に間違いなく空豆かれんさんは、これからも成長を続ける。
それはいまの自分に満足してないからだ。
空豆さんのことだ。
少しでもいいステージをぼくらに見せようと日々努力はされているだろう。それはこの一年間の急成長ぶりを見ても間違いない。でもご本人は自信がないとおっしゃる。満足してないのだ。それならばまだまだご本人は、自分の中にコンフリクトを見つけてそれを解消するために努力をされるだろう。持ち前の頭の良さでたくさん乗り越えていくだろう。そう考えると期待しか持てない挨拶だった。
そして最後に「17歳はもっともっとRe:fiveみんなで大きなステージに立てるように努力します」とおっしゃられた。最後をちゃんとRe:five全体の話で締めるのも空豆さんのお人柄だなと感心した。

そしていよいよ本当に最後の二曲。
空豆さんが選曲したのは「キミを待ってる」と「朝からカツカレー」。あまり聴くことのない「キミを待ってる」と定番の「朝からカツカレー」というチョイスがなかなかおもしろいなとぼくは感じた。
「キミを待ってる」ではクライマックスとばかりにオチサビに立った空豆さんに向かって、だいさんがリフトで上がる。その手には空豆かれんさんの横断幕。それを見てうれしそうに唄う空豆さん。そこには、いつも元気づけてくれる空豆さんへのだいさんの感謝と、いつも応援して推してくれるだいさんへの空豆さんの感謝の気持ちが相互に絆として浮かんでいるようで、なんていい生誕祭なんだろうとぼくは感じていた。願わくば、熱狂的なアンコールも届いて、空豆さんへのだいさんをはじめ、たくさんのファンが抱いている感謝の気持ちが届いていればいいなと思った。
ラストの「朝からカツカレー」では、まず白鳥さんが「かれんのことばかり考えて♪」と歌詞の一部を変えて、空豆さんのためのステージであることを伝えると、空豆さんはようやくここに来てこみあげてきたのが、瞳を拭われた。
オチサビには、いつのまにかフロアでヲタクに交じっていた聖ともかさんがカツカレーを持って登場。この日、しあわせな花嫁を前にした結婚式の友人のように、泣きじゃくっていたともかさんが、ファンの気持ちを代弁するように空豆さんに頭を下げる姿は、まさにこの素晴らしいイベントを作ってくれた空豆さんへのみんなの感謝を代弁しているようだった。
大サビでは柊わかばさんが「かれんのいちばんで♪」と歌い、ここでも空豆さんが感極まるシーンもあり、メンバー同士の気持ちのやり取りも暖かく見せてもらった。
東雲さんが「豆ちゃん、おめでとう!」と歌を締めくくると、アウトロで普段ならハングルミックスを入れるヲタクたちは生誕祭恒例のガチ恋口上。だいさんを先頭にみんなで叫んだが、そのヲタクの声に交じって共演したアイドルさんの声も聴こえて、さすが空豆かれんという光景だった。

14歳でデビューし、16歳で大きな成長を見せた空豆かれんさん。
高く飛ぶには姿勢を低くしなければいけないと言われる通り、十カ月の研究生を過ごし、時間をかけて正規メンバーになった。
正規メンバーになって二年、いまでは当時から見ているファンには予想もつかない大きな存在感でRe:fiveを支えている。
そのパフォーマンスは素晴らしく完成度も高いが、ご本人はまだまだ満足しないで更なる高みを目指している。
17歳の空豆かれんさんは、もっとすごい物語をぼくらに見せてくれるだろう。

 

待っていたのは最高の日曜日だった。
4月13日、サガンプロの初熊本主催は、青い太陽さんによるプロデュースライブ。
開場時間は12時半だったが、ぼくが会場のペいあのPLUS’に着いたときには12時40分を回っていた。
ビルの4階にあるペいあのPLUS’に行くにはエレベーターで昇る。もう開場しているだろうなあといそいそと乗ったエレベーターの扉が開いたとき、「おはようございます」と挨拶をして下さったのは、東雲ういさんのご家族だった。
生誕祭などお客さんの多いRe:fiveの主催イベントでメンバーのご家族が受付をされることはよくあることなので、今日はスタッフをされているのかなと特段違和感を感じず挨拶をして、すでにできている入場待機列の最後尾に並ぼうとしたら、ここで意外な一言を耳にした。東雲さんのご家族か顔見知りのヲタさんのどちらかだったかは失念したが、どなたかに「リハが押しててまだ開場してないんですよ」と。
よく聞けば音漏れしている会場の音が耳に入ってくる。その瞬間にぼくは二つの考えが頭に浮かんだ。
ひとつめは会場にいらっしゃる東雲さんのご家族だ。スタッフとしてRe:fiveに帯同されていたお母様とは別に、三人のご家族がお見えになっていた。まるで東雲生誕かと思うほどに。
そこでふと思い出した。東雲家は青い太陽さんのパンのファンだったと。佐賀では園田有由美さんがこの日のプロデューサー青い太陽さんの手を「美味しいパンを作る魔法の手」と呼ばれていることもあって、青い太陽さんのパンは有名で、店頭に並んでいる「愛しき月よ」というパンが試作やコンペ時点では「だーゆんパン」という仮称だったことも知られている。ただ、実は青い太陽さんの実店舗は熊本である。そしてあとで東雲家のあーちゃんから聞いたのだけど、東雲家は青い太陽さんのパンを5000円を越えるほど買っても一回でなくなってしまうほど愛食されているそうだ。だからこそ、東雲家は東雲生誕のときみたいにたくさんのご家族で来場されていたのだ。青い太陽さんの人徳とパンの力ももちろんあるだろうが、アイドルを通してこういう素敵な関係が生まれているのはいいなと本当に思った。
そして、ふたつめに感じたのは妥協を許さないサガンプロのスタイルである。一部では「熊本💛佐賀」と題して、普段のアイドルライブと同じ構成がされていたが、二部はプロデューサーが選んだこの日だけの厳選二十曲である。この日だけだけど、この日だけだからこそ、厳選だからこそ、これまでの蓄積がない分、必死になって作り上げなければならない。このライブの週に入ってサガンプロタレントの気合の入った「あおたいPライブ」への前向きなコメントがXをにぎわせていたが、その裏で青い太陽Pは「サガンプロメンバーの睡眠時間よ。心配よ」とつぶやかれていた。そのプロデューサーのつぶやきから、サガンプロメンバーが寝る間も惜しんでこの「あおたいPライブ」に向けて仕上げ、それでもまだまだできることがあるかもしれないと、直前まで作りこんでいたのだろう。その結果として開場時間は40分遅れの13時10分ごろになった。


開場は40分遅れだったが、一部の開演は25分遅れの13時25分にスタートした。
一部は「熊本💛佐賀」。トップバッターはサガンプロファインド。青い太陽Pの「サガンプロはだーゆんやりさちー以外にも素敵なタレントがいることを知ってほしい」という想いを託すように、まずは一条タクさんがステージに上がる。熊本初出演のステージだが、ばたばたと開演したためか、いきなり音響トラブルで、一条さんが自己紹介をして、曲ふりをしてもなかなか曲が始まらない。まずは一条さんが時間をフリートークで埋めようとし、そこに泉太朗さんが舞台下から助け舟を出す。しかしそれでもなかなか曲が始まらない。そうしていたらなんと、園田有由美さんとひぜんりささんもステージに上がって、音響トラブルが回復するまでの時間を埋める。園田さんが一条さんの自己紹介「3、2、一条」を茶化しながら「物真似をしてみて、誰が本物の一条タクになれるかの大会をしよう」と提案し、ひぜんさんと一条さんと園田さんで順番を決めるじゃんけんをしたとこでタイミング悪く音響が復活して、「一条タクになれるか大会」は開催されなかったが、まるでテレビ収録の前説のように、本編に入る前にフロアが盛り上がった。
そこから始まったサガンプロファインドは、一条タクさんがまず歌い、その後に本格派の弾き語りで泉太朗さんがオリジナル曲「ラブソング嫌いのラブソング」を披露。なんでも学生時代にペいあのPLUS’のステージに立ったこともあるらしい実力の持ち主らしく、普通にうまかった。そして、熱くやかましい香月雅也が登場。一条さん、泉さん、香月さんと三人ともキャラを熊本でしょっぱなから爆発させていたように感じた。

次に登場したのはシンガーソングライターの岡田朱梨。さん。実は岡田さんのアイドル時代、岡田さんの在籍していたグループのリーダーを推していた青い太陽さんは、そのリーダーから「残ったメンバーをよろしく」と約束されたというエピソードを聞いたことがある。その約束を守りたいという青い太陽さんの想いと、そのことを感謝し、まるでそのときのリーダーのように「アイドルファンの人も好きなアイドルをたくさん推してあげて下さい」とステージでつぶやく岡田さん。アイドルがアイドルでいてくれることの尊さと、演者から見たファンがファンでいてくれることのありがたさ。その当たり前だけど、忘れがちなことを再発見させてくれる気持ちの伝わる、まさに青い太陽さんの想いを具現化したようなステージだった。

岡田朱梨。さんが暖かくしたステージに熱気を加えたのはひぜんりささんだった。「ももものがたり」ではコールに青い太陽さんの名前を入れるような先導までして、サガンプロを支えてくれた青い太陽さんへのリスペクトと感謝が伝わるステージだった。ぼくは開演前にソファーでくつろいでいたところをサガンプロの中島代表から「あなたの居場所はそこじゃないでしょ」と言われ、初めから沸きエリアにいたのだけど、ジャッキーさんが先導をとられた沸きエリアは、もくむつライブのように盛り上がっていた。そしてこれも青い太陽さんの演者への気持ちだったらしいのだが、沸きエリアでわいわいしていたら真横にRe:five運営のべーたけさんがいらっしゃって、めっちゃびびってしまった。演者さんにもライブを楽しんでほしいという青い太陽さんの想いで、沸きエリアに出演者や運営さんもファンと一緒に沸いて踊っての楽しい空間ができあがった。そういえば、もくむつライブでは出演者が一緒にステージを見て楽しんでいる光景あったよなとぼくはちょっぴり懐かしい気持ちにもなれた。

そのもくむつに先月初めて出演した熊本Flavor。こちらは沸きエリアを先導するのは原始人さん。熊本現場では今年ぐらいから急に流行りだしたペンライトを他のヲタクたちも取り出して、熊本一の美少女集団を、佐賀のヲタさんたちに見てもらいたくて、盛りあげる。もくむつ初出演のときに、ひぜんりささんが「驚いた」というイヤホンチャレンジのあるキラーチューン「コイマチ」が始まると、沸きエリアにはべーたけさんだけでなく、司会の吉川りおさんまで混ざって、佐賀のヲタさんとも一緒にイヤホンチャレンジをされていた。でも、沸きエリアのサプライズはそこで終わらない。イヤホンチャレンジは一番のAメロという比較的早い段階で行われるため、直前まで出番だったひぜんりささんは間に合わなかった。熊本のヲタクに、いつもの仲良しキャラで「イヤホン終わったと?」と訊いてるひぜんさんに「二番でやろう」と二番のAメロでひぜんさんはイヤホンリベンジをされていた。ステージではもちろん素敵なライブが行われている。でも、それだけじゃなく、青い太陽さんの演者さんもファンと一緒に楽しんでほしいという想いが功を奏し、フロアでも本当に楽しい瞬間が連続していた。

そして青い太陽さんが熊本で我が子のように見守ってくださっているRe:fiveの登場。登場前に司会の吉川りおさんが「Re:fiveのステージはお楽しみもあるようです」と紹介していたが、最初にやった「なんてんまんてん」のオチサビに園田有由美さんが登場、最後にやった「朝からカツカレー」でひぜんりささんが登場というサプライズコラボがあった。あとで青い太陽さんにお話を伺ったら「(前身の)MONECCO5のときはだーゆんとコラボはあったけど、Re:fiveになってからはなかったのでやりたかった。だーゆんもりさちーも大好きと言ってくれるRe:fiveに思い出も作ってほしかった」とおっしゃられてたけど、まさにその想い通り、見ているぼくらにも思い出になる素敵なシーンだった。「熊本💛佐賀」というイベントタイトルで、MONECCO5時代からいちばんサガンプロと仲良くさせていただいているのがRe:fiveで、Re:fiveにとっての感謝がサガンプロのお二人に伝わるといいなとぼくは見ていたし、そのきっかけを作ってくださった青い太陽さんに感謝したい。またその最初と最後の二曲の間には、先日ひぜんりささんが褒めてくださっていた「Avalon」と「キセキノサキヘ」というハードな曲を連続でぶつけてきているのも、わざわざ熊本にお越しになった佐賀の人にも全力を見せつけたいというRe:fiveの気持ちが伝わったと感じた。

一部のトリはもちろん園田有由美さん。青い太陽さんの想い以前に一言ぼくの感想を言わせてほしい。実は、ここ数年、まあコロナがあったのもあるが、ぼくは園田さんを主に656広場など野外でしか見ていなかった。もちろんぼくは656広場も大好きだし音響もしっかりされていると思うけど、やっぱり音が拡散される屋外とライブに特化した音響がされている室内では迫力が違う。そして改めて室内で園田さんの歌声を聴くと、これがまあいつも以上に「すごいですねー」の世界で圧倒されてしまった。もくむつの女王と呼ばれているけど、室内で聴く園田さんの歌声は、女王どころか神の領域でさえあるようだった。
そして神の領域だから、これまでの出演者が青い太陽さんの想いを伝えるステージをしていたのに対し、園田さんは青い太陽さんへ想いを伝えるライブになっていた。ずっと支えてくれた感謝や熊本のアイドルとつなげてくれたお礼を伝えるように歌い、「君に届け」では青い太陽さんを指さすように先導する。園田有由美さんの青い太陽さんへの想いが強く伝わるステージだった。


ということで一部の「熊本💛佐賀」。ぼくの感想を言うと佐賀の演者さんは主催ということもあり、熊本でひと暴れしようかと野心にあふれたステージだったと思う。対する熊本の演者さんは、特にいつも見ている熊本FlavorとRe:fiveは、熊本の会場なのに遠征のような緊張感を抱いていたように感じた。これは結論から言うと、サガンプロの主催で、開場時間を遅らせても最高のものを見せるために妥協を許さなかったサガンプロのステージに対する本気に気圧された影響が強いのではないかと感じた。
ただ、これは青い太陽さんが大好きな熊本のアイドルグループに出した課題だったとぼくは思う。そしてその緊張感の中で二つのグループとも引き締まったステージができたように感じた。本気で準備するサガンプロを見るという体験をさせてくれた青い太陽さんのおかげでこの二グループはまたかけがえのない経験ができたとぼくは感じた。

二部はいよいよそのサガンプロが本気で準備したステージだった。
まず青い太陽さんが仕掛けたのは五感で楽しむライブ。お言葉を借りると「移動時間で食べる時間がないファンの気持ち、出演者側がご飯買ったけど食べれなかった…お腹空いた…と聞くと」「このライブだけでも温かいご飯を一緒に共有しよう」という理由で二部はビュッフェが用意されていたが、実は一部の物販ぐらいから厨房からのおいしそうな匂いが。この匂いまでも演出の五感で楽しむライブになっていた。
ステージは園田有由美さんの歌声を存分に楽しみ、特に熊本のアイドルにとっては、サガンプロに気圧された緊張感の中でステージをやったように、新たな経験を積むチャレンジが用意されていた。
冒頭から園田有由美さんの後ろで華麗にバックダンサーを演じるRe:fiveにぼくは目を奪われた。すごすぎる園田さんの歌を盛り上げるように踊るRe:five。たまらなく贅沢だったし、ステージに立っている自分以外の人も盛り上げるのがグループアイドルには大事なんだよと青い太陽さんがRe:fiveに教えてくれているようにぼくには見えた。
サガンプロのメンバーだけでコントのような曲をやるのも楽しかったし、泉太朗さんのギターの生演奏に合わせて歌う園田さん、そのギターにアイドル時代「打楽器大好き」というキャッチフレーズだった岡田朱梨。さんのカフォンと、一条タクさんのタンバリンとひぜんりささんのピアニカソロの加わった楽曲もあった。
そして、ライブも中盤に差し掛かった頃、突然、吉川りおさんの朗読が始まる。
4月13日の翌日の4月14日は、2016年に熊本地震が発生した日だった。吉川りおさんが読んでいるのは青い太陽さんの震災の体験談だった。
そして熊本のアイドルがステージに並ぶ。シークレットゲストと呼ばれていた熊本Flavorのみゆ先生がピアノを伴奏し、熊本復興を願う合唱曲を、熊本のアイドルが歌い上げた。それからは、サガンプロのメンバーも加わり、冬が終われば暖かい季節が来るような名曲を歌う。このとき、熊本Flavorのミサキさんとトモカさん、Re:fiveの柊わかばさんが手話でも発信していた。
園田さんがステージ上で「わたしは震災にあった人の本当の気持ちはわからないかもしれないけど、少しずつ元気になっていく熊本を見ていて、ずっと応援していた」と言われていた。
青い太陽さんも「熊本地震から9年目という節目に一般人の私に何ができるのかと考えた時にサガンプロのポイントカード特典のプロデュースライブでした」とおっしゃってたが、一度は被災地だった熊本の困難と、それに立ち向かい日常を取り戻した強さに感嘆の想いを抱くステージだった。
更に圧巻だったのは、みゆ先生のピアノに園田有由美さんを中心にサガンプロメンバーで歌う「越えてゆけ」だった。ピンスカ時代から熊本でも人気のこの曲。「越えてゆけ」とすべての人を元気づける力があふれていた。
青い太陽さんへのお礼とそれを返すように青い太陽さんが口上を贈った「一番後ろの君に」、最後は青い太陽さんが大好きな曲を、青い太陽さんが大好きな園田有由美さんが歌うという素晴らしい展開だった。
そしてアンコール。
「サガンプロはだーゆんやりさちーだけじゃない」ことを熊本の人に紹介するように、サガンプロのメンバーの名前を一人ずつ呼んでのアンコールだった。
園田有由美さんを中心にしたサガンプロメンバーで「君に届け」を歌う。会場は配布されたサイリウムで真っ青に染まる。一部のときと同じように指差しの振りは「あおたいPに」と園田さんが先導する。
そしてここでサプライズが起こった。
アウトロのあと、ファンたちが「届いたよー」と普通なら言うところで、青い太陽さんが「あゆみちゃんお誕生日」と叫び、その後に他の人たちが「おめでとう!」と。
4月2日に誕生日を迎えられ、4月27日に656広場で生誕祭が準備されていたのだが、青い太陽さんの「熊本でも誕生日を祝いたい」という気持ちから生まれたサプライズだった。
神のごとき歌声で、MCでも無敵の強さで進行していたスーパーヒロイン園田有由美さんも、これには本当に驚かれたようで、すごいサプライズだった。
熊本の生誕祭らしく吉川りおさんの進行で花束とケーキのセレモニーがあり、アイドルにとって特別なイベントである生誕祭の暖かさまで堪能できるイベントになってしまっていた。
本当に最後の曲は「バイバイまたね」。園田さんがソロになってからはぼくはこの曲は初めて聴いたかもしれないとふと思った。サガンプロメンバーに囲まれ、笑顔でえげつない歌唱力を魅せる園田有由美さん、しあわせそうにそれを見る青い太陽さん。
本当に素晴らしい光景だった。

というわけで熊本のアイドルのチャレンジとサガンプロの本気と園田有由美さんのとてつもないパフォーマンスを感じられたライブだった。
ただ、最後にぼくが一番感じたのは、そんな神のような歌声で会場を圧倒していた園田さんが青い太陽さんだけじゃなく、お金を払っているファンだけじゃなく、身内も含めて一定のリスペクトを持って接していることだった。
園田さんほどの実力を持っていれば、他のアイドルなど相手にしないで天狗になっても人が寄ってきそうなのに、どんな人にも良さがあるように、どんなグループにも良さがあって、それを認めリスペクトしている。
ただ、園田さんがただモノじゃないのは、このあおたいPライブの翌日に「昨日のライブのおかげで負けてられないと思った」とXでポストされていることだ。つまり、共演者の良さを見つけたら、その良さを吸収しもっと自分の力にしようと努力されていることだ。あおたいPライブで「演者全員の心と技術をぐんと成長させてもらった」ともポストされていたが、妥協なく本気で作りこんだ先に成長があることを知っているし、いまの神のような歌声でも満足することなく更に成長した姿を見せようと努力をしている。
青い太陽さんは「わたしがパンを作り続ける限り、あゆみちゃんには歌い続けてほしい」とおっしゃっていたが、歌い続けるためにまだまだ成長を続ける。
おそらくぼくは室内で久しぶりに園田さんの歌声を聴いてその迫力に驚かされたと書いたけど、その驚きには音響だけではなく、実際にはぼくが室内で園田さんの歌を聴いていなかった数年間のうちに、園田さんはさらに進化されていたのもあると思う。もともとが完成されているため、伸びしろが見えにくいが、確実に園田さんは進化を続けているのだ。
そのような新たな園田さんの魅力も感じさせていただいた、しあわせな最高の日曜日だった。

貪欲にいまに満足することなく進化する園田さんはこれからも先頭を走り続けるだろう。園田さん自身がそうやって魅力的でい続けるのはもちろん、その背中を見た他の出演者さんもこれから進化してくれるだろう。そのチャンスを、特にたまにしか園田さんと共演できない熊本のアイドルにも見せてくれる機会を与えてくれた青い太陽Pには、これからの熊本アイドルの成長のために素敵なプロデュースをしていただいたと感じている。

 

昨日はひぜんりさ生誕祭2025に行ってきた。

656広場で有料開催だったため、いつものもくむつよりも客入れ客出しがしっかりしていた。

そして、二部の開場直後、ぼくは素敵な光景を目にした。

おそらく生誕委員なのだろうが、飾り付けたステージの前で十数人のファンに囲まれて記念撮影しているひぜんりささんの姿があったのだ。

建前としてはぼくは、アイドルはすべてのファンに平等に接するべきと思っている。そりゃあ、アイドルにとってはぼくみたいな若い女の子が生理的に受け付けないような中年のおじさんよりも若いイケメンや女性ファンのほうが本音では楽しいだろう。でも、ファンとアイドルとして接しているときはなるべくアイドルはファンに対しては平等に扱ってほしいと願っている。

ただ、アイドルの誕生日を祝うために時間やお金を使う生誕委員だけは、生誕祭当日だけは、別だとも思う。そうやって生誕委員を特別扱いするのを嫌って、いまや運営がカンパだけ集めてあえて生誕委員を作らない生誕祭も増えてきているが、ステージの飾りつけやケーキ、花束、メッセージカードにサイリウムと準備をする生誕委員がいるならば、その生誕委員の気持ちは大切にしてほしいなと思うのだ。

そこで普通のアイドルならば、生誕委員にケーキをステージに運ばせたり、花束を渡させてあげたりと、生誕委員を巻き込んでのセレモニーをやってくれることが多い。もちろんそれはたいへんありがたいものだけど、ひぜんりささんともなるとそこだけじゃ飽き足らず、直接その感謝の気持ちをこうやって記念撮影で返しているのだと感じた。

これはこれで、普通のアイドルではなかなかできないことだからこそ、素敵なことだと思った。

そもそも、ひぜんりささんは生誕祭当日の朝7時50分にXに「今日はみんなとの仲良し距離が近づく日になればいいな」と投稿をされていた。

 

 

ファンはもちろんアイドルを必要としているけど、アイドルもファンを必要としている。

それを言葉や態度に率直に表せるひぜんりささんが、やっぱりすごいなと感じた。

 

イベントは、二年ぶりに司会をするひぜんさんとはMONECCO5時代から仲良しの吉川りおさんがMCをし、ひぜんりささんのトップヲタクを自称する園田有由美さん、Kotoneさん、りゅうらちーさん、泉太郎さんに香月雅也さんのサガンプロメンバーをはじめ、ゲストにこのイベントにはおなじみの博多ORIHIMEにRe:five、それからSunnyHoneyにMonster Cat'sとにぎやかなメンバーがそろっていた。

個人的にぼくはRe:fiveを見に行ってたからってこともあるのだろうが、ゲストの見せ場は「朝からカツカレー」だった。二年前のひぜんりさ生誕祭2023では、四曲ぶっ続けで「朝からカツカレー」をやったこともあるRe:five。佐賀の人にはおなじみということもあって、ぼくは沸きエリアにいたんだけど、「朝からカツカレー」のイントロが流れると、座っている人たちが携帯を取り出す音が。おそらく、ひぜんりささんのファンの方だろう。そして、先週のもくむつSPでも見られたが、この日は生誕のドレス姿でオチサビになると、ファンから渡されたカツカレーのサンプルを持ってひぜんりささんが沸きエリア最前に登場。もはやお約束にもなっているが、その姿はいつ見ても楽しい。おそらくひぜんりささんのファンの方で携帯を出された方もこのシーンを撮影するためだったのだろう。

 

先週のもくむつSPの直後から体調を崩され、撮影会をキャンセルされ、直前の27日のもくむつライブでは座って出演されていたひぜんりささん。

まだ体調が万全ではないとのことで、いつもよりも控えめなダンスだったが、ファンとの「仲良し距離」を近づけるための親しみやすいMCに、サガンプロ伝統の安定した歌唱力は健在。しかも特筆すべきは新曲があった。

一部と二部両方で歌われたこの「世界のシンパシー」という新曲は、80'sっぽいエレクトロポップに仕上がっていて「叫びましょう♪ 叫びましょう♪」というリフが印象的でクセになる名曲だった。

ぼくの印象になるが、アイドルがエレクトロポップをやる場合は、かわいさよりもそれ以外の要素が強調される傾向が強いように感じている。この日は体調であまり激しい踊りをひぜんさんはされなかったがやる前に「ダンスをみんなと」と言われていたので、おそらくダンスが強調された、ちょっとかっこいい仕上がりになるのではないかとぼくは感じた。これまで原色かわいい世界をまんべんなく発揮するスタイルの曲がひぜんさんのオリジナル曲には多いように感じていたが、そのイメージを少し変えるんではないかという期待感のある曲だった。

 

そしてひぜんりささんの持ち時間中、「今日はみんなとの仲良し距離が近づく日になればいいな」の言葉通り、ひぜんりさを知ってもらおうという〇×クイズ企画が出演者も巻き込んで行われ、この日は企画でも楽しませてくれた。

二部では企画はなかったものの、生誕祭らしい40分間のたっぷりなステージ。

ゲスト出演者も見守る中、サガンプロの後輩とステージに立つひぜんりささんの姿は暖かく、楽しかった。

 

ファンと仲良くなりたい気持ちを大事に、新しいタイプの曲にもチャレンジしステージの幅を広げているひぜんりささん。

今月、もくむつライブのステージマスターにもなり、これからもますます期待は高まるだろう。

25歳のひぜんりささんが、もっとファンの人と仲良くなってほしいと思った素敵な生誕祭だった。

 

 

もくむつライブが十年目と聞いて、ふと香月雅也と何年目の付き合いになったのだろうと考えた。たぶん十一年目だ。
2014年、ぼくは佐賀県在住ながら当時から熊本のアイドルを応援していた。当時応援していたグループはくまCan。そしてこのくまCanは、その後、数々の伝説を残す佐賀のアイドルグループ・ピンキースカイが初めて共演したアイドルだったのだ。
そのご縁のおかげで、ぼくはピンキースカイのイベントにもちょくちょく顔を出していた。まだお客さんが十人ぐらいのステージマロで「ピンスカライブ」という名の単独ライブをやっていた頃だ。そこでピンスカ最古参のmaji先輩や当時ピンスカ応援団長を名乗っていたギムくんと出会い、年齢が上だったこともあって、ぼくはその佐賀の現場では井の中の蛙でえらそうな顔をしていた。熊本では、当時から昨日のひぜんりささんの言葉を借りるならば「雄叫びタイプヲタク」が多くて怖かったので小さくなっていたのに、佐賀では「おれについてこい」とばかりにでかい顔をしていた。まるで、東京で働く佐賀県出身者が帰省して部屋の中でもサングラスを付けているようなイキり方だったと思う。恥ずかしいな、あは。
2014年秋に佐賀県初のアイドルライブイベント「GABAI」が始まる。毎月九州のアイドルを集めるアイドルイベントで、そのトリがピンキースカイというイベントだった。熊本では借りてきた猫のように「雄叫びタイプヲタク」を遠目に見て震えていた(※一応念のため言っておきますが大げさに言っています。いまでもそんなヲタクは熊本にいますがみなさんいい人たちです)ぼくだが、佐賀ならば自分の庭とばかりに羽根を伸ばしていた。
その「GABAI」で知り合った若いヲタクの知り合いが香月くんだった。
2015年の1月と2月の「GABAI」にはぼくの推しのグループ、くまCanが出演する。たきびの推してるグループだからと、多くの佐賀のヲタクもくまCanで沸いてくれた。すると若いヲタクたちは「楽しかった」と言ってくれ、「熊本でも見てみたい」となるが、距離的には近いが国鉄佐賀線廃止後、公共交通機関で佐賀から熊本を目指すのは意外と遠かったりする。「ならばおれの車に乗って行け」と若いヲタクを連れて熊本に行っていたのだ。そのとき、ぼくの車に乗っていた若いヲタクの一人が香月くんだった。
そういえば、2015年3月、まだデビューしたばかりのTick☆tikというグループが「天神から井尻までマラソンする」という謎のオフ会をやったことがある。ぼくも参加して当時でもすでにアラフォーだったぼくは、どたどたと息を切らして必死にアイドルについていっていたのだが、そのときアイドルを置いてけぼりにして先頭集団を作っていた若いヲタクの中にも香月くんはいたと思う。
2015年5月、ぼくの推していたくまCanのローンチメンバーの卒業ライブがあった。ピンキースカイも出演していた。その時の行きの車の中で香月くんから「佐賀の劇団に入ったんですよ」という話を聞いた。佐賀の若手劇団の一員としての活動するようになり、縁が遠くなるかなと思っていた。実際それから一緒にアイドルを見に行ったことはない。

だが、縁は切れなかった。
2016年1月にもくむつライブがスタートする。2015年12月に単独ライブで60人動員達成して大喜びした勢いで発表された記憶がある。2017年4月には佐賀市民文化会館大ホールで655人を集めてコンサートをやるグループになるのに、その一年五カ月前の2015年12月の時点では60人で喜んでいたということを振り返ると、このときから始まったもくむつライブは本当にすごいイベントなんだなと感じる。
それでこのもくむつライブにピンキースカイの物販サポートで香月くんも姿を見せるようになったのだ。劇団員らしく気合の入った声で「なぎりんあいてますなぎりんあいてます」「だーゆんいかがですかだーゆんもうあきます」と騒ぎ立てる呼び込みは、ヲタクたちが真似をするほどの人気になっていた。
とはいえ、2016年の冬頃にはもういなくなっていたと思う。
2017年頃のもくむつでひぜんりささんがピンキースカイの物販サポートで入っているときに、「だ―ゆんさんあいてます」と呼びこんでいたのを見て、ぼくが「まさやみたいやん」と言ったら、ひぜんさんはきょとんとされて、園田有由美さんが「りさちゃんはまさやを知らないかも」と言われていたので、香月くんが姿を見せていたのは、インパクトが強かったから記憶は分厚いけど、期間的には短かったんだと思う。
その香月くんと令和で再開したのも2023年8月のもくむつSPだった。
そして昨日はスタッフとしてフル回転して、いまではもくむつの出演者としても香月くんは名を連ねている。
4月13日の熊本でのサガンプロの主催にも出るらしい。
ぼくの持論として、アイドルの仕事は「歌を聴かせる」ことでも「ダンスを魅せること」でもないと考えている。野球選手は野球をする人、サッカー選手はサッカーをする人だけど、アイドルはそうではなくて「愛されること」が仕事だとぼくは思うのだ。
そして愛をはぐくむのは縁である。
この場所が好きだという縁、この人たちを見たいと思う縁、それらが深くなればなるほど、ファンはアイドルを愛するのだと思う。
その縁をはぐくむ場所として656広場は適していて、そこでピンキースカイがもくむつライブを通して縁をはぐくんだから、2015年は60人で喜んでいたグループが、一年五カ月後には655人を集めることもできたのだと感じる。なお、その655人のライブの7か月後の2017年11月のもくむつSPには延べ1000人を集めている。

とくそ長い前置きをしてここから本題だけど、昨日は木曜日なのに祝日で休みということで、もくむつSPに行ってきた。
なぜこんな長い前置きを書いてしまったかというと、一部のライブの園田有由美さんのMCにドキリとさせられたのだ。
「メインを(ひぜん)りさちゃんに引き継いで、わたしも毎回は出れないけれど出たときに、おかえりと言ってくれるファンのみんなの声がうれしいし、わたしもたまにしかここに来れない人をおかえりと迎えたい。そんな場所であり続けたい」
実際ぼくもたまにしか行けない人間である。
でもそれでも、毎回来てよと義務感を背負わされることもなく、たまに来ておかえりと迎えてくれるこの会場の、縁を大事にする姿勢がピンキースカイの伝説や、現在のサガンプロの魅力にもつながっているのではないかと感じた。
そういうわけで、昨日はサガンプロのひぜんりささん、園田有由美さん、Kotoneさん、りゅらちーさんをはじめ、佐賀からねほのむー、福岡から早見あまりさん、Echolocation Squad、空色ソルベ、あいらしっく、Candy Cross、熊本からも熊本Flavor、Re:five、SunnyHoneyと総勢13組のアイドルが集まった。
一部のOAだったKotoneさんは、一曲目に初期ピンキースカイの一曲目でおなじみだったカバー曲を歌い、二曲目はピンキースカイの「ナミダノイロ」。もくむつに集まるファンが喜ぶのがなにかわかっている曲で、それらを歌ってきた先輩にも負けないサガンプロ伝統の圧倒的な歌唱力で最初から聴かせてくれた。
二部のOAに登場したりゅらちーさんは、一部最後の園田さんのステージで小さな女の子がMIXを打っていて、こんな小さな子(小学三年生)でも応援してるんだと思っていたら、二部が始まったとたんステージに立っていて驚いた。天真爛漫に常に笑顔を浮かべられていたところに好感が持てた。カバー曲の選曲も新しいけど、おじさんたちも知ってる曲で楽しかった。
一部の開演前から衣装で会場に控え、OAからライブを楽しんでいた早見あまりさんは、ソロになって帰ってきた姿をもくむつに見せてくれた。いかにも「アイドルが大好き」というセットリストは見ているアイドルが好きな人たちも「大好き」となる楽しいステージだった。以前、グループアイドルとして出演したアイドルが「おかえり」「お久しぶり」とここに帰ってきているのは本当に縁だなと感じた。
昨年9月にデビューした、現在佐賀で一番新しいアイドル、ねほのむー。デビュー一か月後にすでにもくむつに出演していて、月に一回開催されている「水曜日のアレw」でも656広場に出演経験がありということで、佐賀の人にこれから愛されるんだろうなという予感を強く感じた。早乙女ほのさん自身がプロデュースされているということで、佐賀初のセルフプロデュースアイドルというのも魅力的だと感じた。
アイドルというよりダンスユニットといった感じのEcholocation Squad。メンバーも女性一人に男性3人(昨日は2人でした)の男女混合ユニットというのもアイドルイベントでは珍しい。見たのは去年の11月の熊本以来だったけれど、アイドルグループにはあまりないダンスと男女混合だからこそ出せるカッコよさは健在だった。
「念願のもくむつライブに出演できた」と嬉しそうにパフォーマンスをしていたのは空色ソルベだ。ぼく自身はコロナ禍のときにアクロス福岡で前身のグループを見たことがあった。あの頃は正直、ユニドル? といっても納得してしまうようなパフォーマンスのグループ(それでも結構人気はあった)だったのが、正統派アイドルとして覚醒していて、めっちゃよくなってるとかなり驚いてしまった。ライブアイドルの楽しみのひとつとしてクループの成長を見守るというのもある。ただ最近はデビューからそこそこのクオリティで作りこんでいるところが多く、またヲタクも時間をかけてアイドルの成長に付き合うほどの余裕がなくなっている。ぼく自身も、初期のユニドルと一緒に出ていた頃のイメージが空色ソルベには強くて、そこから見ることはなかったのだが、このもくむつの縁でまた見れて、そしてすごくいいグループになったのが知れてうれしかった。
去年の11月のひねひごで熊本に来てくれて、2月にはベイサイドでもRe:fiveと共演したあいらしっく。いま新田さくらさんを推しているヲタさんに、昔MONECCO5の生誕委員を一緒にやっていた人がいて、その人にまた会えるかなと縁を期待したが、残念ながら新田さくらさんが休演のため、そのヲタさんには会えなかった。また機会はあるだろうと思う。あいらしっくは、自ら「王道アイドル」と呼んでいる。ただ王道というのは一番むつかしい。実力がないといけないからだ。他にないスタイルを持ったアイドルグループは、たとえ少々実力が劣っていても、他にない物珍しさから評価をする人がいる。だけど、王道はスタイルが王道であるからこそ、物珍しさではなく実力で勝負しなければいけない。だからむつかしいのだ。あいらしっくはそこを、楽曲の良さで際立たせているように感じた。アイドルファンがノリやすい楽曲はファンのテンションをナチュラルに上げ、目の前のアイドルと一緒に楽しめる。そんな素敵な楽曲があいらしっくにはあり、それこそが王道アイドルが王道アイドルとして君臨できる源になっているように感じた。
3月30日で卒業、引退を発表している花寺紡季さんの最初で最後のもくむつになったCandy Cross。この日はマイクを置いているPAがいつものステージ下手ではなく、後方正面でちょうど沸きエリアの後ろになっていた。そこでステージに向かうアイドルは沸きエリアのヲタクたちの中を通る必要があり、Candy Crossが登場した頃にはヲタクもその演出に慣れ、両端に立って両手を伸ばしてアイドルが通る道にアーチを作っていた。エレクトロポップなOvertureが流れ、Candy Crossが沸きエリアを通り過ぎるそのとき、小鳥遊朱寿さんがそのアーチを作っているファンの指をハイタッチしながら通り過ぎて行った。うわ、おすずさん、さすが! とステージ前からぼくは度肝を抜かれた。そしてステージに立った二人を見て気づいた。実はぼくもこの花寺さんと小鳥遊さんのふたりのCandy Crossを見るのは初めてだった。熊本にいると、小鳥遊さんおひとりのステージを見る機会のほうが多いのだ。Candy Crossといえばお菓子のようなかわいい、ロリータチックなアイドル世界を演出しているイメージ。驚いたのは、もちろん小鳥遊さんはその空気全開なのだが、花寺さんもすごくかわいく仕上がっていたことだった。卒業が発表され、大きな声でも言いやすくなったがそれでも小声の話になるが、ぼくが知ってる花寺さんはCandy Cross加入前の前世のグループのときだった。その時のメンバーカラーはいまと同じ緑色だったけど、そのグループの最年長メンバーということもあり、割とお姉さん系のカッコいいキャラだった記憶がある。その花寺さんまでCandy Crossではふわふわかわいくなってしまう、このCandy Crossの世界観はすごいと感じた。
熊本からは熊本Flavor、Re:five、SunnyHoneyとぼくからするとおなじみのメンバーが出演してくれた。意外にももくむつライブ初出演だった熊本Flavor。一部では緊張気味で立ち位置を探すという、かつてのJunior Flavor Kumamoto時代をほうふつとさせるシーンもあったが、彼女たちのヴィジュアルの良さはどこへ行っても通用するわけで、佐賀の人にもいいインパクトを与えたのではないだろうか。
Re:fiveの見どころは、なんといってもひぜんりささんが「朝からカツカレー」でカツカレーをもって沸きエリア最前に現れたことと「ダンデライオン」でなぜかライオンを持って登場したところだった。MONECCO5時代からの絆を感じさせる素敵なシーンだった。
なにげに今年熊本で一番もくむつに出ているSunnyHoneyは、一部が紬ひなたさんが学校行事で休演していたものの、二部には駆けつけてくれた。二部に全員で出演するために他の演者さんと出番を入れ替えていたのもアットホームなもくむつらしくていいなと感じた。メンバーが増えてからのSunnyHoneyのステージは、それぞれのメンバーの見せ場が一曲のうちに一回か多くても二回しかなくなっている。ただ、だからこそそのチャンスに向けてそれぞれのメンバーは楽曲を支え、チャンスが来ればファンの視線を一身に集めるように見せつけるという緊張感のあるものになった気がする。しかも昨日は何度も来ているもくむつとはいえ遠征であるので、熊本で見るよりもさらにその緊張感が研ぎ澄まされているスリリングなステージが展開されていたように感じた。
2015年12月にワンマンライブで60人集めるのが目標で達成し、その後もくむつライブスタート時から毎週毎週、656広場のステージに立ち続けたもくむつの女王・園田有由美さんは一部から貫禄のあるステージを見せていた。「わたしあんまりステージにはいないんで」と言いながらステージを下りて、ファンの中で歌い続けていた。ピンスカ時代から定番のカバー曲でファンを暖め、もくむつをテーマにした「ひとひらのThursday」、園田さんご本人が作詞された曲も歌われ、一部ラストは「一番後ろの君に」、二部では「君に届け」と、衰え知ららずのアイドル界最強の歌唱力で往年の名曲を歌う姿はまさに女王だった。ぼくが園田さんを見るのは約一年ぶりぐらいだったが、それでも気づいてくれて腰に付けていた推しの東雲ういさんのタオルを「なんで他の女のタオルなの」と言いたげに引っ張ってくれた時に、思わずそうやっていじってくれる人だったんだなとその関係性を思い起こさせてうれしかった。まさに縁を大事にする園田さんだからこそ、いまだにそういうことを、ぼくみたいにたまにしか来ないヲタクにもやってくれるのだろうと感じた。
その園田さんの後を引き継ぎ、もくむつマスターになったひぜんりささんは、OAの前からステージに登場し、司会を務めていた。各グループのステージが終わるたびに、そのステージの感想を口にし、ずっとステージを見守っている。気持ちよくアイドルにもステージをしてほしい、ファンの人も楽しんでほしい、もくむつを素敵な場所であることを守りたい、ひぜんさんからはそんな気持ちを感じた。
圧巻だったのは二部で休演が出たために、急遽空いた時間をサガンプロで埋めたときである。まず、香月くんが出てきて一曲歌い、その後、園田さんと二人でステージに現れたひぜんさんは、熊本アイドルが三組出ていることで熊本のヲタクが通常より多いことと、来月13日に青い太陽さんプロデュースの主催ライブを熊本で開催することもあったのだろう。基本、天草やアニクラでしか歌わないようなアニメソングを二曲披露した。これには熊本のヲタクも大喜び。佐賀の人も久しぶりのものが見られて楽しめたと思う。フロアの空気を読んで、いま盛り上がるものをすぐやれる、この判断力はさすがだなと感じた。ステージは一部は出番がOAのあとでどちらかというとこれから盛り上げる現場を暖めることに徹されていた感じで、トリだった二部で大爆発していた。フロアのファン、ひとりひとりを覚えるように見つめて歌う姿は、これまで園田さんが大事にしていた縁をひぜんさんも大事にしていることが伝わり、かつてたくさんの伝説をピンキースカイが生んだもくむつをこれから支えていく重責に応えているなと感じた。

もくむつが始まる直前の2015年は、あのピンキースカイが必死に集客しても60人集めるのがやっとだった。
ただ、2016年1月にもくむつライブが始まり、毎週毎週地道に続けることで、もくむつライブはどんどん人気を集め、ピンキースカイは伝説を作っていった。
2016年12月には平日に100人の動員を記録している。その後、2017年4月に655人を動員するコンサートを開催するまでになった(余談だが公式に655人になっているのだが、なぜスタッフをひとりにチケット買わせて656人にしなかったのか気になっている)。
もくむつスペシャルも2017年11月には1000人動員という金字塔を打ち立てた。
これらの記録はもう破られないのか、それともひぜんさんが破るのか、それはわからない。
ただ、昨日のぼくが久しぶりにもくむつSPで感じたのは、もくむつライブを主催するサガンプロにとっては、そんな動員の人数や過去の栄光よりも、いまもくむつに足を運んでくれたという縁のある人をひとりでも笑顔にすることが一番大事なんだということなんだろうと思う。
ひぜんりささんのステージ中、もくむつ広場付近を部活帰りの高校生が自転車で通り過ぎたとき、ひぜんさんはマイク越しに「こんにちは」とあいさつしていた。そしてフロアに向かって「佐賀の高校生、いい子ばかりなんです」と紹介するように話していた。
そうやって人の縁を大事にする。
それこそがこのもくむつライブが数々の伝説を生んだ原動力なんだろうなとあらためて感じた一日だった。

 

 

昨日は天草スタジオ5での柊わかば生誕祭2025に行ってきた。
東雲推しにとっての一番の見せ場は「なんてんまんてん」のオチサビで東雲ういさんが「わかばのことを笑顔にしたいよ♪」と歌ったことだろう。
去年の9月に天草スタジオ5で開催された東雲さんの生誕祭で、柊わかばさんはアンコール明けの「朝からカツカレー」で歌詞に「ういちゃん」と何度も入れて東雲さんのクライマックスを盛り上げてくれていた。
そのときのお礼とばかりに、柊さんの生誕祭では歌詞を変えてきた東雲さん。その東雲さんと柊さんの関係にぼくは感動した。
いつまでも「わかばさん」と東雲さんは柊さんを尊敬してほしいし、「しののめ」と柊さんは東雲さんを引っ張ってほしいと感じた。

また「St…you!」では、東雲さんだけでなく他のメンバーも「わかばだけ愛してます♪」と歌い、もちろんそのときもそれぞれのメンバーに尊敬されている柊わかばさんへの思いが伝わり良かった。
このいまでは定番になっている「This summer」や「St…you!」で生誕祭の主役のメンバーの名前を歌詞に入れるアドリブ。これを初めてライブでやったのは橘かえでさんだった。2022年の東雲生誕で「ういが好き―♪」とやってくれたのだ。
その瞬間、東雲さんはうれしそうな笑顔を爆発させていたけど、柊さんは驚いたように目を丸くし苦笑いを浮かべていた。
そして曲が終わると、こらえきれずに笑いながら橘さんに「いきなり打ち合わせにないことをしないで」とマイクを通して話しかけ、橘さんも「思いついたから」と頭をかき、フロアは大爆笑だった記憶がある。
だからこそ、2024年の東雲生誕で「ういちゃん」を歌詞に何度も入れてくれた柊さんには驚いたし、ひとりの東雲推しとして感謝の気持ちでいっぱいだった。そしてそのお返しを昨日、東雲さんがやってくれたから感動的だったのだ。

思いつきでもおもしろそうなことならなんでも果敢にやってしまう橘さんや、そのスタイルを踏襲している東雲さんと違い、柊さんはスポーツ経験者ということもあって、コツコツ努力をして納得できるようになってからステージで見せるという傾向の強い人である。
自分に厳しくストイックで、自信が持てたものしかステージに出さない人なので、去年の東雲生誕でのアドリブは、アドリブも自信がついているという成長を2022年の頃よりも自ら感じられているということなのだろう。
アイデアを優先してなんでもチャレンジする当時の橘さんや現在の東雲さんと同じグループに、こういうコツコツと納得ができるまで努力する人がいるということがこのグループの強みである。そして東雲さんはもちろん、当時の橘さんだって、そんな柊さんに一目置いていて、暴走したら止めてもらうことを期待していた。

そんな柊さんの生誕祭だった昨日は、だからこそ意外なほどコンサバティブにスタートした。
実はぼくは恥をかいているのだが、数日前にXで「MCの口火を切るのは誰だ?」とポストした。
Re:fiveは生誕祭では、通常のライブと違い、主役のMCを変えてくることが多い。いちばんわかりやすいのは自己紹介のときに、主役のメンバーが最後に自己紹介するという流れだ。そして、そのために一曲目が終わってからその自己紹介まで、主役のメンバーは口を開かないことが多いのだ。
通常は一曲目のあとの最初のMCで「ありがとうございます! みなさんこんにちは。わたしたち、熊本ご当地アイドルRe:fiveです」とグループを代表して口火を切るのは柊さんの役割だ。
だけど、柊さんの生誕祭なのだから、柊さんが最後に自己紹介するならばその役割は違うメンバーがやるんじゃないかとぼくは予想した。もしかしたらレアなサプライズがあるかもとぼくは期待をしていた。
結論から言うと、昨日の柊わかば生誕祭2025でそれをやったのは通常通り柊さんだった。
また、ここ数年のRe:fiveの生誕祭ではそれぞれのメンバーが主役のメンバーに合わせて髪型を統一することも多いのだが、それもなし。
まるで通常のライブと同じようにそれぞれのメンバーが、いつも通りの個性を発揮していた。
ただ、ぼくはそれを見て、自分の生誕祭でそうやることこそが、逆に柊さんらしいなと感じた。
レアさやサプライズの意外性で驚かせるのではなく、現時点での最高のRe:fiveで楽しませてやろう! という心意気なのだ。
さすがではないか!
バレーボール選手は一試合で多くても40本ぐらいしかサーブを打たない。でもその40本のサーブのために、毎日200本サーブを打つ練習をするものだ。
そのようにコツコツやって自信をつかみとったものを、ステージで見せたい。
柊さんはそうやってファンを楽しませるアイドルだから、このようなスタイルを選んだのだろう。これはさすがとぼくは感じた。

とはいえ、生誕祭であるから当然いつもよりもスペシャルな内容になっている。
Re:fiveの生誕祭は主役のメンバーがセットリストを決めることになっているが、一番わかりやすかったのはこのセットリストだ。この日は珍しく、ダンスがハードでメンバーも「きつい」とよく口にする二大曲、「Avalon」と「キセキノサキヘ」が二曲とも演じられた。Re:fiveとしては、2023年のファンが無茶ぶりするバレンタインリクエストライブでこの二曲を同じ日に演じることはあったのだが、そのときのバレンタインライブは完成度度外視でファンの要望に応えるというライブだったので、きちんとセットリストとして演じたのはRe:fiveとしては、昨日の柊生誕が初めてのことだったと思う。
いつも高い運動神経で俊敏なダンスを魅せてくれる柊さんがこの二曲で躍動していたのはもちろん、他のメンバーも負けじと輝いていた。
またこの二曲とも、柊さんが神がかるソロパートがあり、そこでいつも以上に柊さんが神がかり、いまのRe:fiveで出来る最高のシーンを見せてくれていると感じた。
ただ、その二曲でいつもの見事な柊さんがいつもの見せ場を改めて披露していてくれていたように、他の曲でも現在のそれぞれのメンバーの良さを堪能してもらうように考えられていたのか、生誕祭らしい歌割の変更はあまりなかった。
生誕の主役がオチサビを歌うのが半ば定番化している「朝からカツカレー」だけはいつもと違い柊さんがオチサビに入っていたけれど、それ以外ではいまの自信を持っているRe:fiveを見せつけるセットリストになっていた。
でもやっぱりそこが柊さんらしいなとぼくは感じた。

もっともサプライズ感があったのはゲストのステージでの柊さんとのコラボだ。
この日はいつもRe:fiveと対バンをやっているSunnyHoney、熊本Flavorに加え、メンバーにファンを抱え、柊さんもファンであることを公言している炭坑ガールズもイベントをリスケして出演してくれた。
まずは熊本Flavorが柊さんを祝いながらステージをやってくれたが、三曲目の「NO.1スター」をやる前に柊さんがステージに登場したのだ。
「いつもステージを見ていてやりたかった」とMCで語っていたが、熊本Flavorに交じってセンターで踊る柊わかばさん、間奏で「わかばの笑顔が宇宙で一番 You are NO.1」と叫ぶヲタク。最高のRe:fiveを見せたいという柊さんの気持ちもわかるが、やっぱりこの日しか見られないレアなことをやってくれるのはうれしかった。
次の炭坑ガールズでも「キラキラ☆エヴリデイ」、SunnyHoneyでも「夏恋バケーション」と一曲ずつ柊さんは、そのグループに交じって出演した。
どれもダンスをこなしていてさすがだなと感じたとともに、柊さんらしいなと思ったのはマイクを持って歌うことはしなかったことだ。ダンスは納得いく完成度まで持っていけたけど、他のグループの曲を歌うのは納得いっていなかったのだろう。その意識の高さこそが柊わかばさんが柊わかばたる所以だとぼくは感じた。
ファンも出演者もこの日は主役の柊さんを笑顔にしたいと願っている。
でも、柊さんは自分の生誕祭に関わってくれる人を笑顔にしたいと考えてくれている。
本当はいまの最高のRe:fiveを見てほしい。でもいつも通りならば生誕祭ならではの楽しみの度合いが薄くなる。そのため、いつもと違うことを、他のグループに協力してもらって、自分が努力をする。
3月5日にリプレイの日のXでのリプ返でぼくは柊さんに「生誕祭楽しみだよ」とポストしたら、「楽しませるよ」とリプしてくれた。
Re:fiveのファンにも、他のグループのファンも楽しませたい。
そのために、納得いくまでダンスを身につけた柊さんの躍動は、Re:fiveにいるときとは違う生誕祭ならではの姿を見せてくれた、来場者へのプレゼントだったようにぼくは感じた。

そして、もちろん楽しませるだけではなく、もっともっとRe:fiveをよくするための工夫もされていた。
今回は普段グループを引っ張っている柊さんが主役ということで、他のメンバーの気合も最高のRe:fiveを見せようと燃えていたようで、すごくよかった。
セレモニーで柊さん以上に号泣していたんじゃないかというほど感動していた空豆かれんさんは、その感情の爆発でもわかるように、いつも以上にステージで喜怒哀楽を表現していた。立見席の近くに来たときには、オレンジのサイリウムを振っているファンをあおっていたほどだ。そのうえ、感情を表現していても「君とRestart」でのマイクトラブルでは動揺することなく、ファンに伝えたい表現だけにその感情を出している姿もうまくなったなと感じた。
白鳥ひなさんはカバー曲でこれまで歌ったことない曲のソロバートでも堂々と歌っていたのがまさに成長を感じた。まだまだ正規メンバーになって半年弱。いつも歌っている曲ではいい意味での慣れが感じられるけど、初めてステージで歌う曲では戸惑いも感じられることも多いのが白鳥さんなのだが、そんな姿を一切見せなかった。これからの白鳥さんの飛躍の予感を感じた。
東雲ういさんは毎週のように配信していることで鍛えられていたMC力を、初めてステージで発揮していた。配信や物販交流会ではたくさん話せるけれど、それをステージに出すには大きな壁がある。その壁を乗り越えて、自由にMCをまわす姿に東雲さんの成長を感じられた。
お色直しなどもあり、それらの姿を柊さんがどこまで見られたかはわからないが、リハなどで自分が引っ張っていくグループのメンバーに手ごたえを柊さんは感じているからこその、この機会だったと思う。

9歳のときに吉川りおに憧れ、アイドルの世界に飛び込んだ柊わかばさん。
去年の18歳の生誕祭のときに「人生の半分がアイドルだね」と言っていたのが、今年は人生の半分以上がアイドルとして過ごされている。
そうやって長い期間アイドルを続けられてきたのは、派手さに振り回されることなく堅実に努力を重ね、納得できてからしかステージで表現しない意識の高さがあったからだろう。
そのため、地元である熊本のアイドルの中ではたくさんのアイドルから尊敬される存在になっている。
そんな柊さんをお祝いしたいアイドルが天草に集まり、ファンもスタジオ5に集まった。
自分には今でも厳しく「まだまだな部分も多い」と話す柊わかばさん、
それでもその「まだまだな部分」を納得いくまで鍛え上げ努力する力が柊さんにあることは、現在のRe:fiveが最高なことで証明されている。
柊さんが引っ張り続ける限り、これからもRe:fiveはもっともっと最高になっていくだろう。これからも素敵な世界をたくさん見せて欲しい。