Re:five福岡遠征 いつも以上にキラキラしてた | 君が好き

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アイドルの話でもしようず。

米国トランプ大統領が「性別は男と女しかない」と発言して物議を醸していたが、いわゆる生殖能力以外でも男性と女性は違う生き物だと思うことが世の中には多々ある。科学的にも脳の構造が男性と女性は違うことが証明されているから、ある意味それは当たり前のことなのだろう。
ぼくが生活をしていて男性と女性の違いで感じるのは、男性は「自虐」が好きで、女性は「自己肯定」が好きということである。
80年代にカルビーのかっぱえびせんのCMで「賢い母さんのかっぱえびせん」というコピーがあった。これこそ男性には理解できない女性の自己肯定感をくすぐる名コピーだと思う。たとえば、男女平等だからと同じ感じで「賢い父さんのかっぱえびせん」と出したら、売上は間違いなく落ちるだろう。自虐的な男性にとって「賢い父さん」というコピーはこっぱずかしくて、レジに持っていくのもためらうものだ。だけど自己肯定の女性は「わたしって賢い母さんなの、ふふふっ」と、かっぱえびせんを買うだけで賢いと思えるなら安いものだと買うわけである。これは男であるぼくには理解できない心理だが、実際に売れたのだからそういうものなんだろう。
たとえばと話はどんどん横道にそれるが、いわゆる殺人事件が起こるサスペンスドラマは有能な女性が主人公であることが多い。科捜研の女だったり葬儀会社の女社長だったり女弁護士だったり法医学の有能医師だったり名探偵キャサリンだったりと、とにかく有能な女性が事件を解決する。そんな有能な女性の活躍を女性が見てシンパシーを感じるため、このようなドラマは支持されているように思う。
しかしこの有能な主人公が男性では成り立たないと思う。男が、有能な科捜研だったり社長だったり弁護士だったり医者だったり探偵だったりするドラマがあっても、男性は嫉妬こそすれシンパシーを感じることはなく、つまらないものになりそうな気がする。そこで男性の場合は刑事でもはぐれていたり、さすらっていたりとちょっと自虐的な要素を加えているのだ。
ドラマの主人公で一番典型的なのは「孤高の天才外科医 ドクターX」の大門未知子と「孤独のグルメ」の井之頭五郎であろう。どんな無理難題のオペでも神がかり的な技術で成功させる大門未知子は女性の自己肯定の典型であり、人生の重たくなることから逃げて気楽に生きている冴えないおじさんが「腹が減った」とつぶやくのが見せ場の井之頭五郎は男性の自虐の典型だと感じる。逆に言えば天才外科医を男性が演じ、腹が減ったを女性が演じても、このふたつのドラマはここまでのヒットはしなかったとぼくは思う。

そしてこの「自己肯定」と「自虐」の男女の感性の違いは、そもそも脳の構造が違うのだから埋まらないものだ。
とはいえ、いつの時代も流行は若い女性が作っていく。
日本ではTikTokに若い女性が飛びつき、そのTikTokを見ると「可愛くてごめん」「かわいいだけじゃだめですか」「わたしの一番かわいいところに気付いてる」と自己肯定ソングであふれている。
それを見て若い女性同士が「○○ちゃんかわいい」「△△ちゃんもかわいい」とお互いを肯定しあうコミュニケーションが成り立つのも頷ける。
ただ、女性アイドルのファン層は大多数が男性である。
男性は「自虐」の脳みそである。
だから「自虐」が好きな男性は、アイドルにもそれを求めることがある。
どうしてもファンの男女率が圧倒的に男性が多いから、その価値観でそうなってしまうのだ。
ただ、Re:fiveはそういう男性のニーズにもうまく応えてくれるグループという印象を好意的にぼくは持っている。
ファンに対するスタイルとしても「わたしたちかわいいでしょ!」とファンに自己肯定を押し付けるのではなく、「わたしたちかわいいですか?」と問いかけるようなスタイルのグループなのである。
そのため、もちろん根底にはステージで激しいダンスを踊るのが一番の魅力なのだが、MCや、最近ではあまりやらないけど企画などで、イベント中は笑いが起こる場面が多々あるのもこのグループの良さなのだ。
典型的なのは東雲ういさんのダジャレで、最近では「このあめがあめー」だったっけ? あのぜんぜんおもしろくないやつ。まあ、そうやっていつもファンの琴線に触れるようなこともやってくれるのがRe:fiveなのだ。
そしていつもの会場でいつも見ているファンにとっては、それこそが、今日しか見られない特別なものになり、一番の思い出になったりしている。
「ギャップ萌え」なんて言葉もあったけど、キラキラしているからこそファンにとっては最高の体験になるのだ。
ただし、これはいつも見ているから成り立つ面もある。
根本にはそれ以上に、キラキラしたステージを見せてくれるから、ファンはアイドルに会いに行くという大前提があるのである。
だけど、Re:fiveの定期的な熊本でのライブではファンはそのようなキラキラしてるRe:fiveだけでなく、自虐が好きな男性もくすりと笑わせてくれるようなRe:fiveにも期待しているし、Re:fiveもそれに応えてくれるから、ぼくらは飽きることなく熊本に集まるのである。

で、ようやくここからが本題なのだが、2月2日、そんなぼくらはベイサイドプレイス博多埠頭にあるベイサイドホールに集まっていた。
約3年ぶりのRe:fiveの福岡遠征だったのだ。
いつもはキラキラしながらも、時々くすっと笑わせてくれるRe:fiveを期待しているぼくらだが、この日は違った。
とにかく今日のRe:fiveにはキラキラしてほしい。
キラキラした姿を、Re:fiveを頻繁に見ない人、知らない人にも見せてほしい。
福岡でキラキラ輝いてほしい。
と思っていた。
正直なこと言うと、メンバーさんはどのステージに関してもそのように考えていると思う。
でも脳の仕組みが違うから、いつも見ている男性ファンは違うことも期待している。特にいつも見ている場所なら、いつもと違うライブにしてほしくて期待してしまうのだ。
だけど、この日は違う。言ってしまえば場所が違うだけで、生誕祭のような特別感がいつも見ているファンの気持ちには溢れていたのだ。
場所もステージもいつもと違うのだからこそ、グループが一番大事にしているキラキラした姿を存分に見せてほしいとぼくらは、珍しく素直に願っていた。
Re:fiveは、二部のトップバッターだった。
一部の物販までが終わり、一度客出しをして再入場が終わったばかりで、フロアの空気はまだ落ち着いていなかった。
そこに聴きなれたRe:fiveのSEが流れる。
正装とばかりに、いまのアー写に使われているネイビーのセーラー風衣装に身を包んだメンバーが、ひとりずつ出てきてステージに並ぶ。印象的だったのが柊わかばさんの表情だった。マッチポイントのサーブを打つバレーボール選手のような、力強い表情を浮かべていた。他のメンバーも引き締まった顔でステージに立っていた。
その表情を見ただけで、ぼくは鳥肌が立った。熊本のリラックスしている表情はそれはそれでいいとは思うけど、そのいつもの熊本の表情とは違い、それぞれのメンバーの顔が引き締まっていたのは迫力があった。
久しぶりの福岡、爪痕を残したい。
その気持ちが伝わるような鬼気迫る表情だった。
いつも熊本でライブを見ている周りにいたRe:fiveのファンたちは、いつもと違うその表情に完全に飲まれた。いつもは動画をYouTubeに上げてくださり、この日も動画を取るつもりで動画OKの返事を運営さんからもらっていたぐんけんさんも、このメンバーの気迫に圧倒され、カメラを置いてペンライトで闘うことを選ばれた。
だからおそらくこの日のライブの動画はなく、それはRe:fiveのせいだ! けしからん! と自虐が好きなぼくはそんな冗談も今なら言いたくなるが、あの場にいたらそんなこと言える空気ではなかった。メンバーは「最高のステージを見せたい」と目を輝かせていて、ぼくらはその勢いに圧倒されていた。
一曲目は「君とRESTART」。速いBPMに合わせての激しいダンスはそれだけで、全力でキラキラ輝くRe:fiveらしさが表れていた。それぞれのメンバーが歌うときには、いつものファンがメンバーの名前をコールし、イントロや間奏ではそのいつものファンだけではなく、普段Re:fiveを見ない方のミックスの声も聞こえと、一曲目からフロアは最高の盛り上がりを見せた。
それに手ごたえを感じたのか嬉しそうにフロアを見渡した柊わかばさんが口にした2曲目は定番の「なんてんまんてん」。メンバーひとりひとりが、この日のRe:fiveを最高にするためにキラキラしていた。それでもサビのラストで、東雲ういさんが剣道部出身の橘かえでさん直伝の剣道の振りをひとりだけやるなど、いつもの良さもいいスパイスで効かせている。白いベレー帽の白鳥ひなさんはライブ終了後の物販交流会で列ができるほどの存在感を発揮していたし、いつものファンたちが落ちサビで「おれのかれん」と叫んでいた空豆かれんさんは、安定の歌唱力と手足の長いダンスでRe:fiveを支えていた。
シンプルなMCを挟んでの3曲目はキラーチェーンの「キセキノサキヘ」。Re:fiveにとっては、まるでディープパープルの「Child in Time」のようにメンバーの力と力がぶつかりあう圧倒的なパフォーマンスのこの曲は、それぞれのメンバーのこのステージへの想いと、珍しくかみあったいつものファンの気持ちも加わって、フロアを圧倒していた。
そしてあっという間に最後の曲。最後の曲はMONECCO5時代から福岡遠征では欠かせない「朝からカツカレー」。おそらく「キセキノサキヘ」でメンバーは満足感を得られていたのだろう。それまでアスリートのようにストイックにパフォーマンスを見せていたメンバーの表情は一転し、イントロからはちきれんばかりの笑顔が浮かんでいた。楽しさを全面的に強調するステージに変わった。フロアもそのメンバーの楽しくしようという空気に伝染され、楽しい、幸せな空気が広がる。いつもRe:fiveを見ているぼくらは当然としても、それ以外の普段あまりRe:fiveの現場ではお見かけしない方々も笑顔を浮かべ、手を合わせ楽しんでくださってた。
もちろん、Re:fiveは熊本でもいつもキラキラして、メンバーは精一杯に気持ちを込めてステージをしている。
ただ、熊本ではそれを見慣れているため、ファンはそれ以上の、ライブだからこそのその日だけのプラスアルファを求めてしまう空気がフロアにあり、またRe:fiveもいい子だからそれに応えている。それは素晴らしいことだし、だからこそぼくらは飽きずに熊本に足を運んでしまう。
だが、この遠征のようにファンもメンバーにキラキラしてほしいと願ったとき、それはRe:fiveにとってはいつも通りだとしても、ぼくらにはいつも以上にキラキラしているように見えるのがRe:fiveなんだとぼくは感じだ。それは遠征だったからこそ、改めて感じられたんだと思う。
いつも楽しいRe:fiveのライブだが、昨日は久しぶりに「この子らすごい」と思わせてくれるライブだった。たぶん本当はいつもすごいんだと思うが。
たまにはそんなRe:fiveを感じさせてもらうために、普段とは違う特別な場所のライブに出演してほしいと感じた。
さて今週日曜日のRe:fiveは熊本だが、白鳥ひなさんの生誕祭という特別なライブである。
この日も特別なライブで、ファンの多くは「ひなちゃんにキラキラしてほしい」と願って足を運ぶと思う。
だからこそ、すごいRe:fiveが今週も見られるのではないかと今から楽しみだ。